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番外編
可愛すぎる写真
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調査員の仕事で名古屋に行っていた慎一がお土産を病室に置いて帰った翌朝、伊月からお礼のメッセージと可愛い自撮り写真が送られてきた時の慎一視点のお話がなかったなと思って書いてみました。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
名古屋での仕事を済ませて新幹線に飛び乗った。
手には忘れずに田淵くんへのお土産がある。
名古屋で超人気の店だがここ以外に支店はなく、物産展などにも出展しないためここでしか手に入れることはできない。
田淵くんのためなら数時間待つことももちろんできるが、ここの主人とは以前獣医としての仕事のほうで知り合いになり、気に入ってもらえたこともあって、今回は特別に並ばずに裏口から購入させてもらえた。
今日は時間の制約があったから本当に助かった。今度はお礼に田淵くんを連れてきて、イートインで食事をするとしよう。
東京につき、その足で田淵くんが入院している病院に向かう。
特別室だから面会時間も特別にいつでも入れるのはありがたい。
一応スタッフステーションにもお菓子を差し入れすると、一人の看護師が田淵くんの様子を教えてくれた。
「今日夕食を食べ終わるのがいつもよりも時間がかかってましたよ」
「もしかして、体調が悪いとか?」
「いえ、きっと寂しかったんじゃないでしょうか」
「――っ!!」
俺がいなかったから食が進まなかったのか……。
寂しい思いをさせてしまったな……。
田淵くんに対して少し申し訳ない気持ちを持ちながら静かに田淵くんの部屋に入った。
ベッドに近づくと、スウスウと寝息を立てているのが見える。
眠りはできたみたいでよかった。
ホッとしながら寝ている横にしゃがみ込んだ。
柔らかな髪を撫でて、少しふっくらとしてきた可愛い頬に触れた。
「ただいま。ちゃんと帰ってきたからね」
小さな声で語りかけると、
「かわ、きた、さん……」
俺の名前を呼ぶ声がうっすらだが確かに聞こえた。
俺が来たことに無意識に気づいてくれたんだろうか。
そう思うだけでとてつもなく嬉しい。
俺が来た事に気づいて笑顔になった寝顔がたまらなく愛おしくて、気づいたらスマホを取り出して写真を撮っていた。
ああ、可愛い。
だが、あんまり長居はしないほうがいいか。
もっていたメモ用紙に
<田淵くん。これはお土産だよ。今日もリハビリ頑張って!>
と手紙を書き、お土産が入った紙袋に入れて朝起きたらすぐに気づくようにベッド横の棚にある田淵くんのスマホの隣に置いておいた。
それだけで帰ろうと思った。
でもどうしても我慢できなくて、田淵くんの頬にキスをして帰った。
本当は唇にキスしたかった。
でも、最初は意識がある時がいい。
そのために我慢したんだ。
後ろ髪引かれる思いで部屋を出て自宅に戻った。
家に帰っても思い出すのはあの可愛い寝顔と唇に残る田淵くんの頬の感触。
久々の長距離移動で疲れたこともあって、すっかり興奮し切ってる。
風呂場で汗と欲望の蜜を流し、ベッドに入った。
目を覚ましたら田淵くんから反応が来るだろうか……。
それだけを楽しみに眠りについた。
枕元に置いていたスマホの通知音で目を覚ました。
少し寝ぼけながらスマホを見ると田淵くんからのメッセージ。
<河北さん。おはようございます。起きたら素敵なプレゼントが置いてあって、サンタさんが来てくれたのかと思いました。美味しそうなお菓子で今日もリハビリ頑張れそうです!! ありがとうございます!! 今度お礼をさせてくださいね。あと、河北さんが無事に帰ってきたのがわかって安心しました。伊月>
サンタさんか、可愛いな。
朝からこんなに丁寧で可愛いメッセージをもらえるなんて思わなかったな。
喜びに浸っていると、もう一度ポンと通知音が鳴った。
「んっ? なんだ?」
すぐに開いてみて、
「えっ???」
あまりにも信じられないほど可愛い写真に自分の目を疑った。
すぐに保存してからじっくり見つめた。
お菓子の入った紙袋を持って笑顔だが、すぐ前に泣いたのだろうとわかるくらい目が潤んでいる。
ベッドのヘッドボードに寄りかかっているようだが、手をかかげて撮ったようで涙で潤んだ目で見上げられてそれだけで興奮する。それだけじゃない。パジャマ姿も可愛いし、寝起きのせいか少し鎖骨まで見えている。
これは、田淵くんから俺へのご褒美か?
可愛すぎる自撮り写真をもらって大喜びしていると、また田淵くんからメッセージが来た。
<すみません、プレゼントが嬉しすぎて寝起きで寝巻き姿を送っちゃいました。後で写真を撮り直すので、削除しておいてください!! 伊月>
この反応も可愛すぎる!
と言うか、こんなご褒美画像を絶対に削除するわけない。
<田淵くん、おはよう。お土産そんなに喜んでもらえて嬉しいよ。お礼は可愛い田淵くんの写真がもらえたからそれで十分だよ>
興奮を抑えながら、なんとか紳士的な言葉を送ると、安心したように可愛い犬のスタンプが送られてきた。
ああ、もう! 本当に可愛すぎて困るな。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
名古屋での仕事を済ませて新幹線に飛び乗った。
手には忘れずに田淵くんへのお土産がある。
名古屋で超人気の店だがここ以外に支店はなく、物産展などにも出展しないためここでしか手に入れることはできない。
田淵くんのためなら数時間待つことももちろんできるが、ここの主人とは以前獣医としての仕事のほうで知り合いになり、気に入ってもらえたこともあって、今回は特別に並ばずに裏口から購入させてもらえた。
今日は時間の制約があったから本当に助かった。今度はお礼に田淵くんを連れてきて、イートインで食事をするとしよう。
東京につき、その足で田淵くんが入院している病院に向かう。
特別室だから面会時間も特別にいつでも入れるのはありがたい。
一応スタッフステーションにもお菓子を差し入れすると、一人の看護師が田淵くんの様子を教えてくれた。
「今日夕食を食べ終わるのがいつもよりも時間がかかってましたよ」
「もしかして、体調が悪いとか?」
「いえ、きっと寂しかったんじゃないでしょうか」
「――っ!!」
俺がいなかったから食が進まなかったのか……。
寂しい思いをさせてしまったな……。
田淵くんに対して少し申し訳ない気持ちを持ちながら静かに田淵くんの部屋に入った。
ベッドに近づくと、スウスウと寝息を立てているのが見える。
眠りはできたみたいでよかった。
ホッとしながら寝ている横にしゃがみ込んだ。
柔らかな髪を撫でて、少しふっくらとしてきた可愛い頬に触れた。
「ただいま。ちゃんと帰ってきたからね」
小さな声で語りかけると、
「かわ、きた、さん……」
俺の名前を呼ぶ声がうっすらだが確かに聞こえた。
俺が来たことに無意識に気づいてくれたんだろうか。
そう思うだけでとてつもなく嬉しい。
俺が来た事に気づいて笑顔になった寝顔がたまらなく愛おしくて、気づいたらスマホを取り出して写真を撮っていた。
ああ、可愛い。
だが、あんまり長居はしないほうがいいか。
もっていたメモ用紙に
<田淵くん。これはお土産だよ。今日もリハビリ頑張って!>
と手紙を書き、お土産が入った紙袋に入れて朝起きたらすぐに気づくようにベッド横の棚にある田淵くんのスマホの隣に置いておいた。
それだけで帰ろうと思った。
でもどうしても我慢できなくて、田淵くんの頬にキスをして帰った。
本当は唇にキスしたかった。
でも、最初は意識がある時がいい。
そのために我慢したんだ。
後ろ髪引かれる思いで部屋を出て自宅に戻った。
家に帰っても思い出すのはあの可愛い寝顔と唇に残る田淵くんの頬の感触。
久々の長距離移動で疲れたこともあって、すっかり興奮し切ってる。
風呂場で汗と欲望の蜜を流し、ベッドに入った。
目を覚ましたら田淵くんから反応が来るだろうか……。
それだけを楽しみに眠りについた。
枕元に置いていたスマホの通知音で目を覚ました。
少し寝ぼけながらスマホを見ると田淵くんからのメッセージ。
<河北さん。おはようございます。起きたら素敵なプレゼントが置いてあって、サンタさんが来てくれたのかと思いました。美味しそうなお菓子で今日もリハビリ頑張れそうです!! ありがとうございます!! 今度お礼をさせてくださいね。あと、河北さんが無事に帰ってきたのがわかって安心しました。伊月>
サンタさんか、可愛いな。
朝からこんなに丁寧で可愛いメッセージをもらえるなんて思わなかったな。
喜びに浸っていると、もう一度ポンと通知音が鳴った。
「んっ? なんだ?」
すぐに開いてみて、
「えっ???」
あまりにも信じられないほど可愛い写真に自分の目を疑った。
すぐに保存してからじっくり見つめた。
お菓子の入った紙袋を持って笑顔だが、すぐ前に泣いたのだろうとわかるくらい目が潤んでいる。
ベッドのヘッドボードに寄りかかっているようだが、手をかかげて撮ったようで涙で潤んだ目で見上げられてそれだけで興奮する。それだけじゃない。パジャマ姿も可愛いし、寝起きのせいか少し鎖骨まで見えている。
これは、田淵くんから俺へのご褒美か?
可愛すぎる自撮り写真をもらって大喜びしていると、また田淵くんからメッセージが来た。
<すみません、プレゼントが嬉しすぎて寝起きで寝巻き姿を送っちゃいました。後で写真を撮り直すので、削除しておいてください!! 伊月>
この反応も可愛すぎる!
と言うか、こんなご褒美画像を絶対に削除するわけない。
<田淵くん、おはよう。お土産そんなに喜んでもらえて嬉しいよ。お礼は可愛い田淵くんの写真がもらえたからそれで十分だよ>
興奮を抑えながら、なんとか紳士的な言葉を送ると、安心したように可愛い犬のスタンプが送られてきた。
ああ、もう! 本当に可愛すぎて困るな。
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