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恋人なら当然
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「ありがとう。田淵くんもおめでとう。田淵くんを守ってくれるいいひとができて僕、とっても嬉しいよ」
「砂川くん……ありがとう」
二人とも涙を浮かべたまま見つめあって、それ以上の言葉がなくても通じ合っている感じが微笑ましくも妬けてくる。
「田淵くんの快気祝いと、お互いに幸せになったってことで乾杯しようか」
ユウさんが声をかけると、すぐに砂川くんの視線がユウさんに向かう。すぐにそれに気づき嬉しそうな表情を見せるユウさんをみて思わず笑いそうになる。
俺が少し妬いてしまった以上に、ユウさんも妬いたみたいだ。
本当に砂川くんが関わると普段のユウさんじゃなくなってしまうんだな。
「シン。ニヤついてないで飲み物注文するぞ」
「はいはい」
車を運転してきた俺とユウさんはもちろん、ノンアル。だけどせっかくの乾杯だから最初だけは四人で同じものを頼むことにした。
ノンアルのシャンパン。しかもこれはかなり飲みやすい。これなら伊月くんはもちろん、砂川くんも大丈夫だろう。
すぐにシャンパンとグラスが運ばれて、俺とユウさんがそれぞれ愛しい人に注ぎ、俺とユウさんは交代でグラスに注いだ。
そして、四人でグラスを持ち上げ
「運命的な出会いに、乾杯!」
とユウさんが音頭を取り、みんなで笑顔を見せあいながら乾杯した。
伊月くんは慣れない様子で俺の飲み方を真似しながら、一口飲むと
「んっ! これ、美味しいです!!」
と目をキラキラさせて教えてくれた。
「ああ、もう! 伊月くんは可愛いな」
「えっ、し、しんいちさんっ。恥ずかしいです」
あまりの可愛さに抱きしめてそのまま膝に乗せると、伊月くんは真っ赤な顔で抵抗して見せたが、
「田淵くん、大丈夫だよ。恋人が膝に乗せてもらうのは当然だし、膝に乗ったままご飯食べてもいいんだよ。僕も優一さんと一緒にいる時はほとんど膝に乗ってるし、ご飯も食べさせてもらうよ」
と砂川くんが当然のように言い放つ。
ちらっとユウさんを見ると、イタズラが見つかった少年のよう表情で誤魔化そうとしている。
「優一さん、そうですよね?」
「ああ、そうだな。お互い恋人同士なんだから、気にしなくていいよ」
「ねっ、だから田淵くんも気にしないでいいよ」
「そう、いうものなんですか?」
ユウさんと砂川くんの言ったことを素直に聞き入れてくれる伊月くんは、驚きながら俺に問いかけてくる。
「そうなんだよ。しかもここは個室だし、知り合いしかいないんだし気にすることないんだよ」
「そう、ですよね」
最後の一押しをするように伝えると、伊月くんは思いっきり納得してくれて、そのまま俺の膝の上にいてくれた。
ああ、もう本当に素直すぎてかわいい。
ユウさんを見ると、俺のおかげだと言わんばかりの表情を向け、ついでとばかりに砂川くんを膝の上に乗せていた。
広い個室なのに全然広々と使えていないが、それでも俺もユウさんも最高に満ち足りた気分でいっぱいになっていた。
料理が運ばれても、俺たちは伊月くんたちを膝に乗せたままだったけれど、さすがこの店のスタッフはそんなことに動じたりはしない。にこやかな笑顔を向け、サッと料理を並べるとすぐに部屋から出て行った。
「本当に普通のことなんだ……」
伊月くんがポツリと呟くのが聞こえた。どうやらスタッフの態度で確信したらしい。これでいつだって伊月くんを膝に乗せられるな。
「わぁ、美味しそう!」
「真琴、何が食べたい?」
「僕、これがいいです」
砂川くんの言葉にユウさんが嬉しそうに箸で掴み、砂川くんに食べさせる。
「んっ! 美味しい!」
「そうか、よかった」
「田淵くんも食べてみて! これ、すっごく美味しいよ!」
「うん。あの、慎一さん……これ、食べたいです」
「――っ! ああ、あーんして。どう?」
「んんっ! ふっごく、んーひーっ」
「――っ!!!!」
膝に乗せているから余計に顔が近くて、今のかわいい瞬間を間近でみられた。膝に乗せて食べるのって、これ、最高すぎる!!
伊月くんのかわいい姿にメロメロになっている俺をみて、ユウさんがニヤニヤとした顔を見せてくるけれど今はそんなことを気にしていられない。それほど伊月くんが可愛すぎる。
ユウさんも砂川くんのかわいい表情に悶絶しそうな表情をしながら、俺たちはお互い可愛い子猫に食事を食べさせた。
「ここのご飯、どれもすごく美味しかったです」
「気に入ってくれてよかったよ」
「ねぇ、田淵くん。デザート入りそう? ここの抹茶プリンがすごく美味しいんだって」
「抹茶プリン? わぁ、食べたい! あっ……」
いいのかな? と気にしながら俺を見上げてくる。
これも計算じゃないんだから凄すぎる。
「いいよ、好きなもの選んで」
「わぁー、慎一さん。ありがとうございます」
「真琴、このメニュー見ながら、二人で選んだらいい」
「はーい」
ユウさんは砂川くんを膝から下ろし、メニューを持たせた。だから、俺もそれに倣って伊月くんを膝からおろし、可愛い子猫が二人で戯れる姿を見ることにした。
「砂川くん……ありがとう」
二人とも涙を浮かべたまま見つめあって、それ以上の言葉がなくても通じ合っている感じが微笑ましくも妬けてくる。
「田淵くんの快気祝いと、お互いに幸せになったってことで乾杯しようか」
ユウさんが声をかけると、すぐに砂川くんの視線がユウさんに向かう。すぐにそれに気づき嬉しそうな表情を見せるユウさんをみて思わず笑いそうになる。
俺が少し妬いてしまった以上に、ユウさんも妬いたみたいだ。
本当に砂川くんが関わると普段のユウさんじゃなくなってしまうんだな。
「シン。ニヤついてないで飲み物注文するぞ」
「はいはい」
車を運転してきた俺とユウさんはもちろん、ノンアル。だけどせっかくの乾杯だから最初だけは四人で同じものを頼むことにした。
ノンアルのシャンパン。しかもこれはかなり飲みやすい。これなら伊月くんはもちろん、砂川くんも大丈夫だろう。
すぐにシャンパンとグラスが運ばれて、俺とユウさんがそれぞれ愛しい人に注ぎ、俺とユウさんは交代でグラスに注いだ。
そして、四人でグラスを持ち上げ
「運命的な出会いに、乾杯!」
とユウさんが音頭を取り、みんなで笑顔を見せあいながら乾杯した。
伊月くんは慣れない様子で俺の飲み方を真似しながら、一口飲むと
「んっ! これ、美味しいです!!」
と目をキラキラさせて教えてくれた。
「ああ、もう! 伊月くんは可愛いな」
「えっ、し、しんいちさんっ。恥ずかしいです」
あまりの可愛さに抱きしめてそのまま膝に乗せると、伊月くんは真っ赤な顔で抵抗して見せたが、
「田淵くん、大丈夫だよ。恋人が膝に乗せてもらうのは当然だし、膝に乗ったままご飯食べてもいいんだよ。僕も優一さんと一緒にいる時はほとんど膝に乗ってるし、ご飯も食べさせてもらうよ」
と砂川くんが当然のように言い放つ。
ちらっとユウさんを見ると、イタズラが見つかった少年のよう表情で誤魔化そうとしている。
「優一さん、そうですよね?」
「ああ、そうだな。お互い恋人同士なんだから、気にしなくていいよ」
「ねっ、だから田淵くんも気にしないでいいよ」
「そう、いうものなんですか?」
ユウさんと砂川くんの言ったことを素直に聞き入れてくれる伊月くんは、驚きながら俺に問いかけてくる。
「そうなんだよ。しかもここは個室だし、知り合いしかいないんだし気にすることないんだよ」
「そう、ですよね」
最後の一押しをするように伝えると、伊月くんは思いっきり納得してくれて、そのまま俺の膝の上にいてくれた。
ああ、もう本当に素直すぎてかわいい。
ユウさんを見ると、俺のおかげだと言わんばかりの表情を向け、ついでとばかりに砂川くんを膝の上に乗せていた。
広い個室なのに全然広々と使えていないが、それでも俺もユウさんも最高に満ち足りた気分でいっぱいになっていた。
料理が運ばれても、俺たちは伊月くんたちを膝に乗せたままだったけれど、さすがこの店のスタッフはそんなことに動じたりはしない。にこやかな笑顔を向け、サッと料理を並べるとすぐに部屋から出て行った。
「本当に普通のことなんだ……」
伊月くんがポツリと呟くのが聞こえた。どうやらスタッフの態度で確信したらしい。これでいつだって伊月くんを膝に乗せられるな。
「わぁ、美味しそう!」
「真琴、何が食べたい?」
「僕、これがいいです」
砂川くんの言葉にユウさんが嬉しそうに箸で掴み、砂川くんに食べさせる。
「んっ! 美味しい!」
「そうか、よかった」
「田淵くんも食べてみて! これ、すっごく美味しいよ!」
「うん。あの、慎一さん……これ、食べたいです」
「――っ! ああ、あーんして。どう?」
「んんっ! ふっごく、んーひーっ」
「――っ!!!!」
膝に乗せているから余計に顔が近くて、今のかわいい瞬間を間近でみられた。膝に乗せて食べるのって、これ、最高すぎる!!
伊月くんのかわいい姿にメロメロになっている俺をみて、ユウさんがニヤニヤとした顔を見せてくるけれど今はそんなことを気にしていられない。それほど伊月くんが可愛すぎる。
ユウさんも砂川くんのかわいい表情に悶絶しそうな表情をしながら、俺たちはお互い可愛い子猫に食事を食べさせた。
「ここのご飯、どれもすごく美味しかったです」
「気に入ってくれてよかったよ」
「ねぇ、田淵くん。デザート入りそう? ここの抹茶プリンがすごく美味しいんだって」
「抹茶プリン? わぁ、食べたい! あっ……」
いいのかな? と気にしながら俺を見上げてくる。
これも計算じゃないんだから凄すぎる。
「いいよ、好きなもの選んで」
「わぁー、慎一さん。ありがとうございます」
「真琴、このメニュー見ながら、二人で選んだらいい」
「はーい」
ユウさんは砂川くんを膝から下ろし、メニューを持たせた。だから、俺もそれに倣って伊月くんを膝からおろし、可愛い子猫が二人で戯れる姿を見ることにした。
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