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小悪魔との戦い
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「わぁっ!!」
「うわっ! ごめんっ!!」
途轍もない快感に身体を震わせたのも束の間、目の前に俺の欲望の蜜まみれになった伊月くんを見て、一気に顔が青褪める。
慌てて自分の脱ぎ捨てたシャツを手に取り、顔や髪にかかったものを拭おうとしたがこれは洗ったほうが良さそうだ。
「伊月くん、お風呂で洗ったほうが良さそうだ」
「えっ、わっ!!」
俺は急いで伊月くんを抱きかかえて寝室の奥にある風呂場に運び、すでに裸になっていたから、そのまま浴室に入った。
ボタンを押せばほんの数分で湯船いっぱいに湯が溜まるからその間に髪と身体を洗い流しておこう。
「本当にごめん。かけるつもりじゃなかったんだ」
そんな言い訳がましいことを言っても俺がしてしまったことが消えるわけじゃない。
いくら恋人とはいえ、初めての夜に髪や顔に精液をかけられたらトラウマになってもおかしくない。
これで俺ともう触れ合いたくないなんて言われたら生きていけないかもしれない。
なんせ、俺は伊月くんの裸どころか、蜜を弾けさせる可愛い姿も、可愛い声も、そして俺のを握ってくれた手の感触も全て知ってしまったんだから。今更それを失って生きていける気がしない。
シャワーの温度を確かめて、伊月くんにかけようとした時、伊月くんの指が自分の顔にかかった俺の欲望の蜜を掬い取っているのが見えた。
「い、伊月くんっ」
止めようとするよりも早く、伊月くんの指が口の中に入ってしまった。
「だ、大丈夫?」
「はい。初めての味ですけど、慎一さんのだから美味しいですよ」
「――っ!! 伊月くん!!」
ああ、もう本当に無意識に俺を煽る。本当に小悪魔だな。
でもそこが可愛すぎるんだ。
「伊月くんがそう言ってくれて嬉しいよ。このまま髪を洗ってあげるね」
「あ、ありがとうございます」
まずは髪と顔と身体についた蜜を洗い流し、愛用のシャンプーを手に取って泡立ててから伊月くんの髪に触れる。ずっとこうして一緒に入って髪を洗ってやりたいと思っていたけど、やっと夢が叶ったな。
「わっ、慎一さんって髪洗うの上手ですね」
「そう?」
「はい。病院でいつも同じ人に髪を洗ってもらってたんですけど、その人も上手でしたけど、慎一さんはもっと気持ちがいいです」
病院の洗髪ルームで伊月くんの髪を洗ってくれていたのは、あそこにいる美容師の中でもベテランの女性。伊月くんとほとんど同じ年齢の息子がいる気のいい人だ。国生先生が彼女なら大丈夫だろうと伊月くんの専属にしてくれて、俺自身も何度か会って話をしたが、会うたびに伊月くんのことを褒めてくれていた。
そのベテランの彼女より俺が髪を洗うほうが気持ちがいいとは……なんて嬉しいことを言ってくれるんだろうな。
「そんなに気に入ってくれたなら、これから毎日俺が洗ってあげるよ」
「えっ、いいんですか?」
「もちろん! というか、こっちからお願いしたいくらいだよ」
これで伊月くんと毎日風呂に一緒に入れる権利を手に入れた。最高だな。
「ついでに身体も俺が洗おうか?」
「えっ、それは……」
「冗談だよ。目の前のがボディーソープだからそれを使って。伊月くんは肌がデリケートだから手で洗うといいよ」
俺が髪を洗っている間に、伊月くんは素直に手のひらにボディーソープの泡を乗せて洗い始めた。
「この泡、とっても気持ちがいいですね」
「ああ。肌荒れしにくい成分を使ってるからね」
あっという間にもこもこの泡に覆われた伊月くんにシャワーをあて、髪と身体の泡を綺麗に洗い流し、伊月くんを抱きかかえて湯船に浸かった。
「今日はこのまますぐに出るから、明日もらった入浴剤を入れようね」
「はい。あの、このお家……お風呂って一体何個あるんですか?」
「ははっ。そこ気になった?」
「ここにもお風呂があるって思わなくて……」
「伊月くんが入ったお風呂はお客さん用のお風呂だよ。誰か泊めることがあったら、そこを使ってもらうんだ。もちろん、今まで誰も使ってないけどね。あとはこの寝室にこの風呂場と、隣にシャワールームがある。お客さん用のお風呂がもう一つあるから、全部でお風呂は三箇所かな。それプラスシャワールームだね」
「ふぇ……っ、三箇所……。すごいですね」
「でも使ってたのはこことシャワールームだけだから。あっても意味ないよ。それにこれからもここしか使わないし」
「えっ、あっ、そうですね。はい。一緒がいいです」
そう言って抱きついてきてくれる伊月くんが愛おしくてたまらない。
ああ、もうこのまま最後まで伊月くんを奪いたいけれど、今からしたら明日出かけられなくなるかもしれない。
それだけは避けないとな。
これまで我慢したんだ。あと一日くらい耐えてみせる!!
俺は自分にそう言い聞かせた。
「うわっ! ごめんっ!!」
途轍もない快感に身体を震わせたのも束の間、目の前に俺の欲望の蜜まみれになった伊月くんを見て、一気に顔が青褪める。
慌てて自分の脱ぎ捨てたシャツを手に取り、顔や髪にかかったものを拭おうとしたがこれは洗ったほうが良さそうだ。
「伊月くん、お風呂で洗ったほうが良さそうだ」
「えっ、わっ!!」
俺は急いで伊月くんを抱きかかえて寝室の奥にある風呂場に運び、すでに裸になっていたから、そのまま浴室に入った。
ボタンを押せばほんの数分で湯船いっぱいに湯が溜まるからその間に髪と身体を洗い流しておこう。
「本当にごめん。かけるつもりじゃなかったんだ」
そんな言い訳がましいことを言っても俺がしてしまったことが消えるわけじゃない。
いくら恋人とはいえ、初めての夜に髪や顔に精液をかけられたらトラウマになってもおかしくない。
これで俺ともう触れ合いたくないなんて言われたら生きていけないかもしれない。
なんせ、俺は伊月くんの裸どころか、蜜を弾けさせる可愛い姿も、可愛い声も、そして俺のを握ってくれた手の感触も全て知ってしまったんだから。今更それを失って生きていける気がしない。
シャワーの温度を確かめて、伊月くんにかけようとした時、伊月くんの指が自分の顔にかかった俺の欲望の蜜を掬い取っているのが見えた。
「い、伊月くんっ」
止めようとするよりも早く、伊月くんの指が口の中に入ってしまった。
「だ、大丈夫?」
「はい。初めての味ですけど、慎一さんのだから美味しいですよ」
「――っ!! 伊月くん!!」
ああ、もう本当に無意識に俺を煽る。本当に小悪魔だな。
でもそこが可愛すぎるんだ。
「伊月くんがそう言ってくれて嬉しいよ。このまま髪を洗ってあげるね」
「あ、ありがとうございます」
まずは髪と顔と身体についた蜜を洗い流し、愛用のシャンプーを手に取って泡立ててから伊月くんの髪に触れる。ずっとこうして一緒に入って髪を洗ってやりたいと思っていたけど、やっと夢が叶ったな。
「わっ、慎一さんって髪洗うの上手ですね」
「そう?」
「はい。病院でいつも同じ人に髪を洗ってもらってたんですけど、その人も上手でしたけど、慎一さんはもっと気持ちがいいです」
病院の洗髪ルームで伊月くんの髪を洗ってくれていたのは、あそこにいる美容師の中でもベテランの女性。伊月くんとほとんど同じ年齢の息子がいる気のいい人だ。国生先生が彼女なら大丈夫だろうと伊月くんの専属にしてくれて、俺自身も何度か会って話をしたが、会うたびに伊月くんのことを褒めてくれていた。
そのベテランの彼女より俺が髪を洗うほうが気持ちがいいとは……なんて嬉しいことを言ってくれるんだろうな。
「そんなに気に入ってくれたなら、これから毎日俺が洗ってあげるよ」
「えっ、いいんですか?」
「もちろん! というか、こっちからお願いしたいくらいだよ」
これで伊月くんと毎日風呂に一緒に入れる権利を手に入れた。最高だな。
「ついでに身体も俺が洗おうか?」
「えっ、それは……」
「冗談だよ。目の前のがボディーソープだからそれを使って。伊月くんは肌がデリケートだから手で洗うといいよ」
俺が髪を洗っている間に、伊月くんは素直に手のひらにボディーソープの泡を乗せて洗い始めた。
「この泡、とっても気持ちがいいですね」
「ああ。肌荒れしにくい成分を使ってるからね」
あっという間にもこもこの泡に覆われた伊月くんにシャワーをあて、髪と身体の泡を綺麗に洗い流し、伊月くんを抱きかかえて湯船に浸かった。
「今日はこのまますぐに出るから、明日もらった入浴剤を入れようね」
「はい。あの、このお家……お風呂って一体何個あるんですか?」
「ははっ。そこ気になった?」
「ここにもお風呂があるって思わなくて……」
「伊月くんが入ったお風呂はお客さん用のお風呂だよ。誰か泊めることがあったら、そこを使ってもらうんだ。もちろん、今まで誰も使ってないけどね。あとはこの寝室にこの風呂場と、隣にシャワールームがある。お客さん用のお風呂がもう一つあるから、全部でお風呂は三箇所かな。それプラスシャワールームだね」
「ふぇ……っ、三箇所……。すごいですね」
「でも使ってたのはこことシャワールームだけだから。あっても意味ないよ。それにこれからもここしか使わないし」
「えっ、あっ、そうですね。はい。一緒がいいです」
そう言って抱きついてきてくれる伊月くんが愛おしくてたまらない。
ああ、もうこのまま最後まで伊月くんを奪いたいけれど、今からしたら明日出かけられなくなるかもしれない。
それだけは避けないとな。
これまで我慢したんだ。あと一日くらい耐えてみせる!!
俺は自分にそう言い聞かせた。
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