有能な調査員は健気で不憫なかわい子ちゃんを甘やかしたい!

波木真帆

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可愛すぎて困る※微

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寝室に戻ると伊月くんがまだ眠っていたことにホッとする。初めての部屋で起きたら一人じゃ寂しがらせてしまうからな。

そっとベッドに身体を滑り込ませると、伊月くんが俺の方に近づいてくる。それが可愛くて腕の中に包み込むと嬉しそうに俺の胸元に擦り寄ってきた。

ああ、可愛い……っ。これを幸せというんだろう。

伊月くんの全てが俺のものだと本能が主張しているのがわかる。もう一生手放すことなんてできないな。

飽きることなく可愛い寝顔を見続けていると、

「んっ……」

という可愛い声が漏れ出て、ゆっくりと瞼が開いていく。

その綺麗な瞳に俺の顔が映っていく、それだけでとてつもない幸せを感じる。

「しん、いちさん……」

「おはよう」

「いいにおいが……」

「んっ?」

「いい匂いが、夢の中までしてました。これ、慎一さんの匂いだったんですね」

うっとりとした表情を見せながら、俺の胸元をすんすんと嗅いでくれる姿に興奮してしまう。伊月くんはただ思ったことを言っているだけで、誘っているわけないじゃないとわかっていても、これは興奮しないわけがない。

ただでさえ、可愛い伊月くんを腕に閉じ込めているのにいい匂いだと言われて嬉しそうに匂いを嗅がれてはどうにもできない。ズボンの下ではとんでもない状態になっているが、伊月くんが気づいていないのが幸いとでもいうべきか。

「慎一さん? どうかしましたか?」

「んっ? いや、なんでもないよ。俺の匂い、好き?」

「はい。すっごく安心します」

「そう言ってもらえると嬉しいよ。伊月くんはもう少し休んでいて。俺は夕食の準備をしてくるよ」

「夕食作りなら僕もお手伝いします」

「そう? まだ来たばかりだから休んでていいんだよ」

「でも、慎一さんと一緒がいいです……僕がいたら、迷惑ですか?」

「くっ――!! そんなことないよ」

あんな悲しげな目で見つめられたら一人でいいなんて言えるはずがない。だが、コレ・・をどうにかしないとな……。さて、どうしようか……。

何とかして伊月くんから少し離れないとな……と思っていると、ベッド脇のテーブルに置いていた伊月くんのスマホが振動を伝えた。

「あっ、スマホに何か通知が来ているよ」

それが天の助けのように感じられて慌ててそのスマホを取ると画面には砂川くんの名前が見える。どうやらメッセージが入ってきたようだ。

「ゆっくりしてて。俺は先に準備しておくよ」

スマホを手渡しながら、伊月くんの視線がスマホに向いたところで急いで寝室を出てトイレに向かった。

今にも暴発してしまいそうな状態のモノを取り出し、伊月くんの可愛い姿を思い出すとあっという間に欲望の蜜が弾けた。

「くっ!」

まるで中高生の時に戻ったような激しい欲に自分の身体なのに驚いてしまう。こんなにも反応するってことは伊月くんが本当に俺の運命だってことなんだろうな。

立て続けに二度欲を出して、少しは治まったところでトイレを出てキッチンの冷蔵庫を開けていると、部屋から伊月くんが出てきてホッとした。

いいタイミングだったな。

「砂川くん、なんだって? 退院するって伝えてた?」

「はい。病室にあまりお見舞いに行けなかったから会いたいって……それに、この前までお兄さんと宮古島に帰ってたみたいで、お土産も渡したいって書いてありました」

明日の食事会の話題はなしか……。ってことはユウさん、内緒にして驚かすつもりだな。きっと砂川くんには二人で食事に行こうとでも話をしているんだろう。それなら俺も乗ってやった方がいいか。

「そうか、今の時期の宮古島は最高だろうな」

「はい。写真もいくつか送ってくれて……砂川くんちのすぐ近くの海の写真とか、砂川くんちのマンゴーを持ってる写真とかすごかったです。マンゴーってあんなに真っ赤でおっきいんですね」

「きっとアップルマンゴーっていう品種だろうな。今の時期でも作れているなら、温室で丁寧に栽培されてるんだろう」

「お母さんたちの手伝いをしてマンゴーを箱詰めしたって書いてました。あとはお祭りに行ったりすごく楽しかったみたいですよ。だからお土産話をいっぱい聞きたいって伝えたんです。それで、いつ会えるかなって……慎一さんに聞いてから返事しようと思って……」

伊月くん、本当にいい子だな……。俺の意見をわざわざ聞いてくれるなんて。

「そうか。うちに来てもらえるならいつでも構わないよ」

「でも、慎一さん……自分の家に人が入るのは嫌なんですよね?」

「ああ、そうだね。でも伊月くんの友人なら構わないよ。このリビングと伊月くんの部屋なら入ってもらっていいし」

「でも……」

「どうかした?」

「僕も、この家には慎一さんと二人だけがいいなって……」

「くっ!!」

伊月くんからのまさかの言葉に、さっき出したばかりの欲が一気に再燃するのを感じた。

「あ、あの……どうかしましたか?」

「いや、なんでもない。それなら、このマンションに来客者と会うための個室があるからそこで会うといいよ」

まぁ、ユウさんがここまで来るのを許せばだけどな。多分一緒に来そうな気もする。その時は俺も一緒に行くとしようか。
全ては明日の食事会で決まるだろう。
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