260 / 262
番外編
ラガヌムの女神
しおりを挟む
突然思いついたお話。
ザックとハーヴィーの屋敷から帰宅途中のお話です。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<sideフレッド>
「ねぇ、フレッド……」
「どうした?」
「次の町で少し長く休んだりできる?」
私の膝に乗り、外の景色を見ていたシュウが突然そんなことを言い出した。
「ああ、それは構わないが疲れたのか?」
それならば宿のある町まで行ってのんびりと過ごさせた方がいいと思ったのだが、シュウの口からは
「ううん、そうじゃなくてフレッドといつもと違う町でデートしたいなって」
という想像以上の嬉しい言葉が出てきた。
「――っ!! シュウっ!!」
ああ、もうどうしていつもシュウは私の喜ぶことを考えてくれるのだろう。
「それでは次の町を一緒に散策でもしようか」
「わぁー! 嬉しいっ! フレッド、大好き!!」
「シュウ、そういう時はどうしてくれるのだった?」
「あ、そうか。フレッド、目を瞑って……」
シュウが口付けてくれるのを見たい気持ちはあるが、シュウが目を瞑って欲しいというのならそれに従うだけだ。
「こうか?」
「うん。目を開けないでね」
そういうと、シュウの顔が少しずつ近づいてくる気配がする。
そしてシュウの小さな両手が私の頬に触れたと思ったら、柔らかくて小さな唇が私のそれにそっと重なった。
ああ、シュウとの口付けはいつだって私を高揚させるが、シュウからしてくれる口付けは格別だ。
我慢できずにシュウの唇に舌を当てると、小さな唇がそっと開いた。
吸い込まれるように舌を入れると、シュウの方から舌が絡みついてくる。
拙いその動きが何よりも私の興奮を増してくる。
あまり激しくしては町で外に出せなくなるとわかっているから、自分からは動かずにシュウにされるがままになって唇を離すと
「フレッド……どうだった?」
とほんのりと頬を染めて尋ねてくる。
「ああ、シュウからの口付けは最高だ。続きは今夜の宿でな」
「うん……楽しみにしてる」
「――っ!!」
ああ。もう本当にシュウは私を煽る天才だ。
少し経って目的の町に到着し、御者には予定より少し長めに休憩を取ることを伝えて、シュウと二人で馬車を降りた。
ここから我がサヴァンスタック領まではそこまで離れてはいないが、私が泊まるような宿もない小さな町だから迷惑になってはいけないと思い、馬たちの休憩地として暫く留まっているくらいの場所だった。
だからこうしてこの地に降り立つのは初めてかもしれない。
流石に私やシュウの名を知らないことはないから安心だが正直に言ってここに何があるのかもよくわかっていない。
馬車を降りてすぐに甘い匂いに誘われた。
「なんだ、この匂いは?」
「フレッドも知らないの?」
「ああ、初めてだな」
「じゃあ、行ってみようよ!」
「わかった。だが、絶対に私から離れてはいけないぞ」
「うん! わかった」
そういうとシュウは私の腕にしっかりと絡みつき、ピッタリと寄り添って歩き始めた。
ああ、これならいいだろう。
シュウとその甘い匂いを出してみる店に向かうと、店先で何やら揚げているものがいる。
「わぁ! ドーナツみたい!」
「ドーナツ?」
「うん、僕がいたところにもこうやって揚げたものに砂糖とかチョコレートとかかけて食べてたんだよ。向こうでは真ん中がくり抜かれた丸い形だったんだけどね。ここのは小さいから食べやすそう!」
「そうなのか。シュウのところにもあったものと聞けば興味が湧くな。一つ買ってみようか」
「やったぁ! フレッド、大好き!!」
嬉しそうに抱きついてくれるシュウを愛おしく思いながら、店に立ち寄ってみるとちょうど全ての菓子が揚がったところだったようで、火は消えていた。
よかった、シュウを連れているから万が一のことがあっては危ないからな。
安心して声をかけようとすると、客のいる気配に気づいたのか店主が後ろ向きに我々に声をかけながら振り返った。
「いらっしゃ――ええっ? も、もしや、さ、さゔぁ、サヴァンスタック公爵さま?? い、いや、まさか……っ、公爵さまがこんな辺鄙なところに来るはずがない!! でもとてもよく似ていらっしゃる」
とかなり混乱を極めている様子。
まぁ、私もシュウが言わなければ決して立ち寄ることもなかった店だ。
店主が混乱するのも無理はない。
「店主、落ち着いてくれ」
「は、はい」
何度も私とシュウの顔を見て、本物だとわかると途端にトーンダウンしたのは、きっと、あまりのことに茫然としてしまっているのかもしれない。
「私たちのことを知ってくれているのは有り難いが、今回のこの町の訪問は個人的なものだ。だから、そこまで畏まらずとも良い。ここまではわかるか?」
「は、はい」
「そこでだ、私の愛しい伴侶が、其方の作っている菓子に興味があるようで、一つ購入したいのだ。良いか?」
「は、はい。えっ?」
半ば茫然と話を聞いていた店主だったが私たちが購入したいという話にようやく我に返ったのか、驚いたように大きな声を上げた。
「あ、あの……私の、ラガヌムをお召し上がりいただけるのですか?」
「ほお、ラガヌムというのか。それを一つもらいたい」
「は、はい。ありがとうございます」
店主は小さな箱にラガヌムを数個入れると、上から黒い砂糖と蜂蜜をかけ小さな棒を二本突き刺して渡してくれた。
「いくらだ?」
「い、いえ。お代は結構でございます。公爵さまと奥方さまに召し上がっていただけるだけで光栄でございます」
深々と頭を下げるが、
「そんなのダメです!」
とシュウが声を上げた。
「えっ?」
突然のシュウの声に目を丸くする店主にシュウはしっかりと諭した。
「一生懸命作っているものをタダであげたりしちゃダメです。物を渡して対価をもらうのは当然のことですよ。そうじゃないとこれを美味しくいただけません。ねぇ、そうだよね、フレッド」
「ああ、そうだな。私の伴侶もこう言っているから、店主。金を受け取ってくれ」
「は、はい」
店主は恐縮しながらも、金を受け取ってくれた。
「フレッド、食べてみたい!」
国王の弟で公爵でもある私が店先で立ったまま食べ物を食べるなど、考えられないことだが、シュウの望みなら別だ。
「ああ、少しまだ熱いみたいだから冷めたかどうか確認してからな」
店主には悪いが、毒味をしないでシュウに食べさせるわけにはいかない。
一個の半分を口に入れると、特に問題はないようだ。
しかも思っていたよりも随分と美味しい。
流石、シュウが食べたいと望むものだ。
「ほら、シュウ」
私の食べかけを当然のように口に入れて、美味しそうに食べるシュウの姿にいつしか町の者たちが見惚れているのがわかる。
これでシュウの人気がまた増えることだろう。
「んっ! これ、すっごく美味しい!!」
シュウの嘘偽りのない言葉に店主は満面の笑みを浮かべていた。
ああ、この町に立ち寄ったことはいいことだったかもしれないな。
そんな予想通り、シュウのこの時の美味しいという一言が瞬く間にオランディア王国で広がり、それとともに一気にラガヌム人気が加速して、この小さな町は途轍もない数の観光客で溢れるようになり、大きな賑わいを見せるようになった。
それからはいろいろな町からシュウへの招待状が届き、その各地でシュウは女神のように崇め奉られるようになった。
今やサヴァンスタック公爵夫人ではなく、私の方が女神の伴侶と言われそうな勢いだ。
だがそれでもいい。
私はシュウの伴侶であることに変わりはないのだから。
ザックとハーヴィーの屋敷から帰宅途中のお話です。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<sideフレッド>
「ねぇ、フレッド……」
「どうした?」
「次の町で少し長く休んだりできる?」
私の膝に乗り、外の景色を見ていたシュウが突然そんなことを言い出した。
「ああ、それは構わないが疲れたのか?」
それならば宿のある町まで行ってのんびりと過ごさせた方がいいと思ったのだが、シュウの口からは
「ううん、そうじゃなくてフレッドといつもと違う町でデートしたいなって」
という想像以上の嬉しい言葉が出てきた。
「――っ!! シュウっ!!」
ああ、もうどうしていつもシュウは私の喜ぶことを考えてくれるのだろう。
「それでは次の町を一緒に散策でもしようか」
「わぁー! 嬉しいっ! フレッド、大好き!!」
「シュウ、そういう時はどうしてくれるのだった?」
「あ、そうか。フレッド、目を瞑って……」
シュウが口付けてくれるのを見たい気持ちはあるが、シュウが目を瞑って欲しいというのならそれに従うだけだ。
「こうか?」
「うん。目を開けないでね」
そういうと、シュウの顔が少しずつ近づいてくる気配がする。
そしてシュウの小さな両手が私の頬に触れたと思ったら、柔らかくて小さな唇が私のそれにそっと重なった。
ああ、シュウとの口付けはいつだって私を高揚させるが、シュウからしてくれる口付けは格別だ。
我慢できずにシュウの唇に舌を当てると、小さな唇がそっと開いた。
吸い込まれるように舌を入れると、シュウの方から舌が絡みついてくる。
拙いその動きが何よりも私の興奮を増してくる。
あまり激しくしては町で外に出せなくなるとわかっているから、自分からは動かずにシュウにされるがままになって唇を離すと
「フレッド……どうだった?」
とほんのりと頬を染めて尋ねてくる。
「ああ、シュウからの口付けは最高だ。続きは今夜の宿でな」
「うん……楽しみにしてる」
「――っ!!」
ああ。もう本当にシュウは私を煽る天才だ。
少し経って目的の町に到着し、御者には予定より少し長めに休憩を取ることを伝えて、シュウと二人で馬車を降りた。
ここから我がサヴァンスタック領まではそこまで離れてはいないが、私が泊まるような宿もない小さな町だから迷惑になってはいけないと思い、馬たちの休憩地として暫く留まっているくらいの場所だった。
だからこうしてこの地に降り立つのは初めてかもしれない。
流石に私やシュウの名を知らないことはないから安心だが正直に言ってここに何があるのかもよくわかっていない。
馬車を降りてすぐに甘い匂いに誘われた。
「なんだ、この匂いは?」
「フレッドも知らないの?」
「ああ、初めてだな」
「じゃあ、行ってみようよ!」
「わかった。だが、絶対に私から離れてはいけないぞ」
「うん! わかった」
そういうとシュウは私の腕にしっかりと絡みつき、ピッタリと寄り添って歩き始めた。
ああ、これならいいだろう。
シュウとその甘い匂いを出してみる店に向かうと、店先で何やら揚げているものがいる。
「わぁ! ドーナツみたい!」
「ドーナツ?」
「うん、僕がいたところにもこうやって揚げたものに砂糖とかチョコレートとかかけて食べてたんだよ。向こうでは真ん中がくり抜かれた丸い形だったんだけどね。ここのは小さいから食べやすそう!」
「そうなのか。シュウのところにもあったものと聞けば興味が湧くな。一つ買ってみようか」
「やったぁ! フレッド、大好き!!」
嬉しそうに抱きついてくれるシュウを愛おしく思いながら、店に立ち寄ってみるとちょうど全ての菓子が揚がったところだったようで、火は消えていた。
よかった、シュウを連れているから万が一のことがあっては危ないからな。
安心して声をかけようとすると、客のいる気配に気づいたのか店主が後ろ向きに我々に声をかけながら振り返った。
「いらっしゃ――ええっ? も、もしや、さ、さゔぁ、サヴァンスタック公爵さま?? い、いや、まさか……っ、公爵さまがこんな辺鄙なところに来るはずがない!! でもとてもよく似ていらっしゃる」
とかなり混乱を極めている様子。
まぁ、私もシュウが言わなければ決して立ち寄ることもなかった店だ。
店主が混乱するのも無理はない。
「店主、落ち着いてくれ」
「は、はい」
何度も私とシュウの顔を見て、本物だとわかると途端にトーンダウンしたのは、きっと、あまりのことに茫然としてしまっているのかもしれない。
「私たちのことを知ってくれているのは有り難いが、今回のこの町の訪問は個人的なものだ。だから、そこまで畏まらずとも良い。ここまではわかるか?」
「は、はい」
「そこでだ、私の愛しい伴侶が、其方の作っている菓子に興味があるようで、一つ購入したいのだ。良いか?」
「は、はい。えっ?」
半ば茫然と話を聞いていた店主だったが私たちが購入したいという話にようやく我に返ったのか、驚いたように大きな声を上げた。
「あ、あの……私の、ラガヌムをお召し上がりいただけるのですか?」
「ほお、ラガヌムというのか。それを一つもらいたい」
「は、はい。ありがとうございます」
店主は小さな箱にラガヌムを数個入れると、上から黒い砂糖と蜂蜜をかけ小さな棒を二本突き刺して渡してくれた。
「いくらだ?」
「い、いえ。お代は結構でございます。公爵さまと奥方さまに召し上がっていただけるだけで光栄でございます」
深々と頭を下げるが、
「そんなのダメです!」
とシュウが声を上げた。
「えっ?」
突然のシュウの声に目を丸くする店主にシュウはしっかりと諭した。
「一生懸命作っているものをタダであげたりしちゃダメです。物を渡して対価をもらうのは当然のことですよ。そうじゃないとこれを美味しくいただけません。ねぇ、そうだよね、フレッド」
「ああ、そうだな。私の伴侶もこう言っているから、店主。金を受け取ってくれ」
「は、はい」
店主は恐縮しながらも、金を受け取ってくれた。
「フレッド、食べてみたい!」
国王の弟で公爵でもある私が店先で立ったまま食べ物を食べるなど、考えられないことだが、シュウの望みなら別だ。
「ああ、少しまだ熱いみたいだから冷めたかどうか確認してからな」
店主には悪いが、毒味をしないでシュウに食べさせるわけにはいかない。
一個の半分を口に入れると、特に問題はないようだ。
しかも思っていたよりも随分と美味しい。
流石、シュウが食べたいと望むものだ。
「ほら、シュウ」
私の食べかけを当然のように口に入れて、美味しそうに食べるシュウの姿にいつしか町の者たちが見惚れているのがわかる。
これでシュウの人気がまた増えることだろう。
「んっ! これ、すっごく美味しい!!」
シュウの嘘偽りのない言葉に店主は満面の笑みを浮かべていた。
ああ、この町に立ち寄ったことはいいことだったかもしれないな。
そんな予想通り、シュウのこの時の美味しいという一言が瞬く間にオランディア王国で広がり、それとともに一気にラガヌム人気が加速して、この小さな町は途轍もない数の観光客で溢れるようになり、大きな賑わいを見せるようになった。
それからはいろいろな町からシュウへの招待状が届き、その各地でシュウは女神のように崇め奉られるようになった。
今やサヴァンスタック公爵夫人ではなく、私の方が女神の伴侶と言われそうな勢いだ。
だがそれでもいい。
私はシュウの伴侶であることに変わりはないのだから。
725
お気に入りに追加
4,159
あなたにおすすめの小説


運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない
てんつぶ
BL
連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。
その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。
弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。
むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。
だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。
人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる