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番外編
嬉しい再会 10
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<sideハーヴィー>
目が覚めると、いつものようにザックの大きな胸に抱き締められていた。
朝が来るたびにいつも、ザックとのことが夢じゃなくてよかったって思いに駆られる。
それをしっかりと認識するために今日も眠っているザックの唇にそっと自分のそれを重ねる。
それができるのがこの世界で私だけだってことを実感するんだ。
「ハーヴィー」
「おはようございます、ザック」
「ああ、今日もハーヴィーの口づけで起きることができたからいい一日になりそうだ」
「ふふっ。私もです。ザックに口付けできる幸せを噛み締めてました」
「ハーヴィー……これからは一生ハーヴィーだけだ」
「はい。ザック……」
そうしてザックから甘い甘い口付けをしてもらって、ようやくベッドから起き上がる。
それがいつもの朝の風景なのに、今日はベッドでの戯れが終わらない。
「あ、あの……ザック」
「どうした?」
「そろそろ起きて、朝食を……公爵さまたちが……」
「ふふっ。心配はいらない」
「えっ?」
「お二人はまだまだ起きて来られないよ。昨夜は離れの特別室でたっぷりと愛し合っていらっしゃるはずだからな」
「――っ!!!」
そんなことを言われてついつい想像してしまう。
あの小さくて華奢なシュウさまが……あの、逞しい公爵様に……。
「ハーヴィー、顔が赤くなってる」
「えっ、そんなことは……っ」
「お二人の愛し合う姿でも想像して恥ずかしくなったか? 自分も私とたっぷり愛し合っているだろうにいつまで経っても初心で愛らしい」
「そんな……揶揄わないでください」
「揶揄っているわけではないが、私以外のことで頭の中をいっぱいにしているのは正直少し嫉妬してしまうな」
「嫉妬だなんて――んんっ!!!」
ザックの形の良い唇が重なってきて、さっと肉厚な舌が滑り込んでくる。
あっという間に舌を絡められて深い口付けの気持ちよさにもうおかしくなってしまいそうになる。
たっぷりと口内を堪能されて、ゆっくりと唇が離れていった時には身体の力が抜けてしまって、ザックの胸元に顔を擦り寄せていた。
「朝からこんなふうに戯れる時間があるというのもなかなかいいものだな」
満足そうなザックを見ていると、私も幸せでたまらなくなる。
「ザック……公爵さまとシュウさまがお帰りになったら、またたっぷりと愛してください」
「――っ! ああ、もちろんだとも」
そう言って、抱き合いまた口付けを繰り返して、いつもの起床よりも二時間ほど遅くベッドから起き上がった。
* * *
「すっかり世話になったな。今回はいい休暇になったぞ。それにシュウの提案に耳を傾けてくれたことを心から感謝している。ゴードンの研究がうまくいくように願っている」
「はい。ご伴侶さまからいただきましたお知恵は必ず形にして見せます。次にお会いできる時にはその報告ができるかと存じます」
「そうか、それは頼もしいな」
公爵さまは嬉しそうにシュウさまをお見つめになる。
その幸せそうな表情を見るだけで私もなんだか癒されていく。
今回、こうして同じ時を過ごせたことで公爵さまのイメージがすっかり変わった気がする。
こんなにも表情豊かなお方だったのだな。
それもこれもシュウさまがいらっしゃってこそなのだろう。
「ゴードン、次は我が屋敷に遊びにくるがいい。シュウもハーヴィーと出かけられるのを楽しみにしているのでな」
公爵さまが私に笑顔を向けられる。
ただの子爵令息の、しかも次男だった私がこんなふうに公爵さまに話しかけられることなど一生ないと思っていただけに嬉しくてたまらない。
「は、はい。ぜひ伺わせていただきます! あの、シュウさま……それまでお元気でお過ごしください」
「うん。ありがとう。ハーヴィーさんも元気で。一緒に美味しいお菓子食べに行こうね」
「はいっ!!」
「あっ、ハーヴィーさん」
何かを思い出したかのように、シュウさまが私に近づき、耳元でそっと囁かれる。
「ゴードンさんにたっぷりと言葉で愛を伝えてね」
「――っ!!! は、はい。約束します」
「ふふっ。頑張ってね」
そう言って、シュウさまは公爵さまに抱きかかえられながら、馬車に乗り込まれた。
その馬車が見えなくなるまでずっと手を振り続けていると、ギュッとザックに抱きしめられた。
「わっ! どうしたんですか?」
「さっき、ご伴侶さまから何を言われたんだ?」
「えっ……そ、れは……内緒、です」
「唯一の私に内緒事とは……。これはお仕置きだな」
「わぁっ!!」
さっと抱きかかえられて家の中に連れて行かれる。
けれど、ザックの表情を見る限り、本気で怒っているわけではなさそうだ。
それなら、私も思いを伝えよう。
シュウさまと約束したのだし。
「ザック……愛してます……だから、たっぷり蜜を注いでください」
「――っ!!! ああっ、ハーヴィー!! 今日はもう離さないからな」
ギラギラとした獣のような目でザックに見つめられるだけで身体の奥が疼く。
それから二日間、私がザックと離れることは一度もなかった。
目が覚めると、いつものようにザックの大きな胸に抱き締められていた。
朝が来るたびにいつも、ザックとのことが夢じゃなくてよかったって思いに駆られる。
それをしっかりと認識するために今日も眠っているザックの唇にそっと自分のそれを重ねる。
それができるのがこの世界で私だけだってことを実感するんだ。
「ハーヴィー」
「おはようございます、ザック」
「ああ、今日もハーヴィーの口づけで起きることができたからいい一日になりそうだ」
「ふふっ。私もです。ザックに口付けできる幸せを噛み締めてました」
「ハーヴィー……これからは一生ハーヴィーだけだ」
「はい。ザック……」
そうしてザックから甘い甘い口付けをしてもらって、ようやくベッドから起き上がる。
それがいつもの朝の風景なのに、今日はベッドでの戯れが終わらない。
「あ、あの……ザック」
「どうした?」
「そろそろ起きて、朝食を……公爵さまたちが……」
「ふふっ。心配はいらない」
「えっ?」
「お二人はまだまだ起きて来られないよ。昨夜は離れの特別室でたっぷりと愛し合っていらっしゃるはずだからな」
「――っ!!!」
そんなことを言われてついつい想像してしまう。
あの小さくて華奢なシュウさまが……あの、逞しい公爵様に……。
「ハーヴィー、顔が赤くなってる」
「えっ、そんなことは……っ」
「お二人の愛し合う姿でも想像して恥ずかしくなったか? 自分も私とたっぷり愛し合っているだろうにいつまで経っても初心で愛らしい」
「そんな……揶揄わないでください」
「揶揄っているわけではないが、私以外のことで頭の中をいっぱいにしているのは正直少し嫉妬してしまうな」
「嫉妬だなんて――んんっ!!!」
ザックの形の良い唇が重なってきて、さっと肉厚な舌が滑り込んでくる。
あっという間に舌を絡められて深い口付けの気持ちよさにもうおかしくなってしまいそうになる。
たっぷりと口内を堪能されて、ゆっくりと唇が離れていった時には身体の力が抜けてしまって、ザックの胸元に顔を擦り寄せていた。
「朝からこんなふうに戯れる時間があるというのもなかなかいいものだな」
満足そうなザックを見ていると、私も幸せでたまらなくなる。
「ザック……公爵さまとシュウさまがお帰りになったら、またたっぷりと愛してください」
「――っ! ああ、もちろんだとも」
そう言って、抱き合いまた口付けを繰り返して、いつもの起床よりも二時間ほど遅くベッドから起き上がった。
* * *
「すっかり世話になったな。今回はいい休暇になったぞ。それにシュウの提案に耳を傾けてくれたことを心から感謝している。ゴードンの研究がうまくいくように願っている」
「はい。ご伴侶さまからいただきましたお知恵は必ず形にして見せます。次にお会いできる時にはその報告ができるかと存じます」
「そうか、それは頼もしいな」
公爵さまは嬉しそうにシュウさまをお見つめになる。
その幸せそうな表情を見るだけで私もなんだか癒されていく。
今回、こうして同じ時を過ごせたことで公爵さまのイメージがすっかり変わった気がする。
こんなにも表情豊かなお方だったのだな。
それもこれもシュウさまがいらっしゃってこそなのだろう。
「ゴードン、次は我が屋敷に遊びにくるがいい。シュウもハーヴィーと出かけられるのを楽しみにしているのでな」
公爵さまが私に笑顔を向けられる。
ただの子爵令息の、しかも次男だった私がこんなふうに公爵さまに話しかけられることなど一生ないと思っていただけに嬉しくてたまらない。
「は、はい。ぜひ伺わせていただきます! あの、シュウさま……それまでお元気でお過ごしください」
「うん。ありがとう。ハーヴィーさんも元気で。一緒に美味しいお菓子食べに行こうね」
「はいっ!!」
「あっ、ハーヴィーさん」
何かを思い出したかのように、シュウさまが私に近づき、耳元でそっと囁かれる。
「ゴードンさんにたっぷりと言葉で愛を伝えてね」
「――っ!!! は、はい。約束します」
「ふふっ。頑張ってね」
そう言って、シュウさまは公爵さまに抱きかかえられながら、馬車に乗り込まれた。
その馬車が見えなくなるまでずっと手を振り続けていると、ギュッとザックに抱きしめられた。
「わっ! どうしたんですか?」
「さっき、ご伴侶さまから何を言われたんだ?」
「えっ……そ、れは……内緒、です」
「唯一の私に内緒事とは……。これはお仕置きだな」
「わぁっ!!」
さっと抱きかかえられて家の中に連れて行かれる。
けれど、ザックの表情を見る限り、本気で怒っているわけではなさそうだ。
それなら、私も思いを伝えよう。
シュウさまと約束したのだし。
「ザック……愛してます……だから、たっぷり蜜を注いでください」
「――っ!!! ああっ、ハーヴィー!! 今日はもう離さないからな」
ギラギラとした獣のような目でザックに見つめられるだけで身体の奥が疼く。
それから二日間、私がザックと離れることは一度もなかった。
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