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番外編
嬉しい再会 6
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<sideゴードン辺境伯>
「そろそろ食事にいたしましょう。今宵は王都ではなかなかお目にかかれない我が領地で採れたものを中心にご用意させていただきました」
「ほお、それは楽しみだな。悪いが、料理は全て一つの皿に二人前盛ってもらえるか?」
「一つのお皿に、でございますか?」
公爵さまが仰られた意味がよくわからずに失礼とは思いながら聞き返してしまった。
わざわざ料理を二人分盛るとはどういう意味なのだろう?
「ああ、そうだ。シュウの食事は全て私が食べさせることにしているのでな。皿が別だと食べにくいのだ」
「えっ? 毎食、公爵さまがシュウさまに?」
「さすがに毎食必ずというわけではないが、一緒に食べる時はそうしているのだ。ああ、よければ其方にもやってほしい。シュウには唯一の伴侶は食べさせあって食事をするものだと教えているのでな。ああ、膝に乗せて食べてもらえれば助かる」
なんとっ!!
そんなことをしていらしたのか……。
なんとも羨ましい……。
「それに我々と一緒に食事をすることで、其方もハーヴィーとの食事を楽しめるだろう? ハーヴィーには私から頼まれたといえば良い。それなら素直に従ってくれるだろう」
「おお! なんと素晴らしいお考え! 承知しました!」
ハーヴィーを膝に乗せて食事ができる。
しかも食べさせあってと仰っていたな。
ああ、なんと幸せな時間だろう。
ハーヴィーとご伴侶さまが過ごしている部屋に向かうと、なんとも楽しそうに話をしている。
「どうやらあの二人、緊張も解けて仲良くなったようだな」
「はい。ハーヴィーに素晴らしいご友人ができて大変嬉しゅうございます」
ハーヴィーに近づくと、なんとも興奮気味に話をしてくれた。
どうやら、今度は公爵さまのお屋敷にお泊まりの誘いを受けたようだ。
しかも、王都で四人で出かけたいのだという。
『でーと』なるものの誘いにハーヴィーは頬を高揚させ喜んでいる。
普段この辺境の地で寂しい思いをさせているのだから、たまにはいいだろう。
それにハーヴィーを見せびらかして王都を歩くのもいい。
子爵家の三男だったハーヴィーは同級生にも家族にもみくびられてきたようだからな。
私や公爵さまご夫夫に愛されているとわかれば、皆悔しがるだろう。
ハーヴィーにも少しくらい優越感を感じさせてあげたいのだ。
まぁ、ハーヴィーは心清らかだからそれをあからさまに喜びはしないだろうがな。
全ては私のためだ。
食事が始まると、ご伴侶さまは当然のように公爵さまに抱きかかえられ、膝の上に乗せられていた。
ハーヴィーはそれをみて目を丸くしているが、ご伴侶さまのいうことを否定することもなく、おとなしく私に抱きかかえられてくれた。
ああ、やはりハーヴィーは空気を読むということに長けているようだ。
公爵さまが慣れた様子でご伴侶さまの口に料理を運ぶ。
それに倣うように私もハーヴィーに食事をさせる。
料理を口に運ぶと雛鳥のように口を開けてくれるのが実に可愛らしい。
美味しい! と嬉しそうに笑うハーヴィーの顔を間近でみられるのも楽しくてたまらない。
ああ、本当に公爵さまは素晴らしい食事の仕方をお教えくださったものだ。
いつもよりも楽しい食事の時間を終え、リビングに戻り楽しい食後の時間が始まる。
ハーヴィーとご伴侶さまには新鮮な果物を使ったジュースを用意し、公爵さまには上質なワインで喉を潤していただく。
「先ほどの食事は素晴らしかったな。シュウ、さっきの食事に使われた食材はほとんどがこの領地で採れたものなのだぞ」
「ああ、そうなんだ。だから、王都やサヴァンスタックではみない食材が多かったんだね。あんなに美味しい食材が採れるなんて素晴らしい領地ですね」
「はい。それはもう。ですが、冬には一切の食材が採れなくなります。ここは冬になると雪で全てが覆い尽くされてしまいますので、なかなか難しいですね」
これがこの地に領民が増えない大きな理由だ。
他の時期には有り余るほど採れるから生きてはいけるが、冬の分を保存する必要があるため、領地外に回せる余裕がない。
私の言葉にご伴侶さまは少し考えているような表情をなさっていたが、
「あの……ゴードンさんは、元は研究者さんだと伺ったのですがエネルギーを蓄えておくようなものを作ることはできますか?」
と質問なさった。
私は突然の質問に驚きつつも、なんとか答えた。
「えっ? エネルギーを……? そう、ですね……おそらく可能でしょう」
「それなら、僕ずっと試してみたいものがあるんです! ねぇ、フレッド、話をしてみてもいいかな?」
「ああ。もしかしてシュウが前に話してくれていたことか?」
「うん。これができたら、きっとこの領地もそしてサヴァンスタックも、オランディア全体も今よりも潤うと思うんだよね」
この国が今よりもさらに潤う?
そんなことが可能なのか?
私はご伴侶さまの言葉に驚きを隠せなかった。
「そろそろ食事にいたしましょう。今宵は王都ではなかなかお目にかかれない我が領地で採れたものを中心にご用意させていただきました」
「ほお、それは楽しみだな。悪いが、料理は全て一つの皿に二人前盛ってもらえるか?」
「一つのお皿に、でございますか?」
公爵さまが仰られた意味がよくわからずに失礼とは思いながら聞き返してしまった。
わざわざ料理を二人分盛るとはどういう意味なのだろう?
「ああ、そうだ。シュウの食事は全て私が食べさせることにしているのでな。皿が別だと食べにくいのだ」
「えっ? 毎食、公爵さまがシュウさまに?」
「さすがに毎食必ずというわけではないが、一緒に食べる時はそうしているのだ。ああ、よければ其方にもやってほしい。シュウには唯一の伴侶は食べさせあって食事をするものだと教えているのでな。ああ、膝に乗せて食べてもらえれば助かる」
なんとっ!!
そんなことをしていらしたのか……。
なんとも羨ましい……。
「それに我々と一緒に食事をすることで、其方もハーヴィーとの食事を楽しめるだろう? ハーヴィーには私から頼まれたといえば良い。それなら素直に従ってくれるだろう」
「おお! なんと素晴らしいお考え! 承知しました!」
ハーヴィーを膝に乗せて食事ができる。
しかも食べさせあってと仰っていたな。
ああ、なんと幸せな時間だろう。
ハーヴィーとご伴侶さまが過ごしている部屋に向かうと、なんとも楽しそうに話をしている。
「どうやらあの二人、緊張も解けて仲良くなったようだな」
「はい。ハーヴィーに素晴らしいご友人ができて大変嬉しゅうございます」
ハーヴィーに近づくと、なんとも興奮気味に話をしてくれた。
どうやら、今度は公爵さまのお屋敷にお泊まりの誘いを受けたようだ。
しかも、王都で四人で出かけたいのだという。
『でーと』なるものの誘いにハーヴィーは頬を高揚させ喜んでいる。
普段この辺境の地で寂しい思いをさせているのだから、たまにはいいだろう。
それにハーヴィーを見せびらかして王都を歩くのもいい。
子爵家の三男だったハーヴィーは同級生にも家族にもみくびられてきたようだからな。
私や公爵さまご夫夫に愛されているとわかれば、皆悔しがるだろう。
ハーヴィーにも少しくらい優越感を感じさせてあげたいのだ。
まぁ、ハーヴィーは心清らかだからそれをあからさまに喜びはしないだろうがな。
全ては私のためだ。
食事が始まると、ご伴侶さまは当然のように公爵さまに抱きかかえられ、膝の上に乗せられていた。
ハーヴィーはそれをみて目を丸くしているが、ご伴侶さまのいうことを否定することもなく、おとなしく私に抱きかかえられてくれた。
ああ、やはりハーヴィーは空気を読むということに長けているようだ。
公爵さまが慣れた様子でご伴侶さまの口に料理を運ぶ。
それに倣うように私もハーヴィーに食事をさせる。
料理を口に運ぶと雛鳥のように口を開けてくれるのが実に可愛らしい。
美味しい! と嬉しそうに笑うハーヴィーの顔を間近でみられるのも楽しくてたまらない。
ああ、本当に公爵さまは素晴らしい食事の仕方をお教えくださったものだ。
いつもよりも楽しい食事の時間を終え、リビングに戻り楽しい食後の時間が始まる。
ハーヴィーとご伴侶さまには新鮮な果物を使ったジュースを用意し、公爵さまには上質なワインで喉を潤していただく。
「先ほどの食事は素晴らしかったな。シュウ、さっきの食事に使われた食材はほとんどがこの領地で採れたものなのだぞ」
「ああ、そうなんだ。だから、王都やサヴァンスタックではみない食材が多かったんだね。あんなに美味しい食材が採れるなんて素晴らしい領地ですね」
「はい。それはもう。ですが、冬には一切の食材が採れなくなります。ここは冬になると雪で全てが覆い尽くされてしまいますので、なかなか難しいですね」
これがこの地に領民が増えない大きな理由だ。
他の時期には有り余るほど採れるから生きてはいけるが、冬の分を保存する必要があるため、領地外に回せる余裕がない。
私の言葉にご伴侶さまは少し考えているような表情をなさっていたが、
「あの……ゴードンさんは、元は研究者さんだと伺ったのですがエネルギーを蓄えておくようなものを作ることはできますか?」
と質問なさった。
私は突然の質問に驚きつつも、なんとか答えた。
「えっ? エネルギーを……? そう、ですね……おそらく可能でしょう」
「それなら、僕ずっと試してみたいものがあるんです! ねぇ、フレッド、話をしてみてもいいかな?」
「ああ。もしかしてシュウが前に話してくれていたことか?」
「うん。これができたら、きっとこの領地もそしてサヴァンスタックも、オランディア全体も今よりも潤うと思うんだよね」
この国が今よりもさらに潤う?
そんなことが可能なのか?
私はご伴侶さまの言葉に驚きを隠せなかった。
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