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番外編
嬉しい再会 2
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<sideゴードン辺境伯>
「ハーヴィー、もうすぐ到着されるようだ」
「わぁー、じゃあ玄関にお出迎えに行かなくちゃ!」
「ハーヴィー、お二人が来てくださって嬉しいのはわかるが、あまり私を放っておくと拗ねてしまうぞ」
「ふふっ。ザックったら。知っているでしょう? 私はいつでもザックのことだけを考えていますよ」
「ハーヴィー」
優しく抱きしめると、ハーヴィーがそっと目を閉じる。
可愛い伴侶が口づけを望んでいるのだ。
期待に応えないわけにはいかないな。
公爵さま方が来られるまでしばしの愛を育むとしようか。
たっぷりとハーヴィーの口内を味わい、満足していると屋敷に近づいてくる馬車の反応を感じる。
安全のために設置しているものだが、誰が来ているかを瞬時に判別することができてかなり使える。
これは私の作ったものだが、公爵さまのお屋敷にもこの装置をつけると安全性が増し、公爵さまもご伴侶さまを残してお出かけになる時には安心だろう。
せっかく我が家に来られたのだから、話をしてみるとするかな。
我々と執事、そして使用人たちも並ばせて公爵さまとご伴侶さまをお迎えする。
先ほどまで浮かれていたハーヴィーは、少し緊張しているようだ。
子爵令息だったからか、公爵さまと聞くと緊張してしまうのは習性のようなものかもしれないな。
そっと腰を抱き、
「緊張せずとも大丈夫だ。公爵さまとご伴侶さまは私たちを結びつけてくださったお方だ。私たちが幸せな様子を見せれば安心なさるはずだよ」
と耳元で囁いてやると、身体を震わせながらも嬉しそうに頷いた。
門の前に馬車が停まり、扉が開くとご伴侶さまを大事そうに抱えて公爵さまが降りて来られる。
「辺境伯。ハーヴィー、出迎え感謝する」
「こちらこそ、遠路はるばるお越しくださいまして誠に嬉しゅうございます。短い間ではございますが、ゆっくりとご静養いただければ幸いでございます」
「ああ、ありがとう。ここで共に過ごす時間をシュウも楽しみにしているぞ。なぁ、シュウ」
「はい。ここにくるまでの道のりも王都とは違ってすごく新鮮で……素敵なところですね」
「ははっ。自然しかないところですがお気に召していただけて嬉しゅうございます。さぁ、長旅でお疲れでしょうから、どうぞ中でお寛ぎください」
中に案内する間も公爵さまはご伴侶さまを決して離そうとはしない。
それは私たちを警戒しているのではなく、ただ手放したくないだけだろう。
大きなソファーに案内し、執事に紅茶の用意をさせる。
ご伴侶さまはその香りを嗅いだだけで、紅茶の茶葉を当ててしまった。
「素晴らしいですね。そんなに紅茶がお好きなのですか?」
「はい。淹れてくれる人それぞれの味に深みがあって好きです」
にっこりと微笑まれる。
その笑顔だけでどきっとしてしまうが、すぐに公爵さまから威圧が放たれる。
ご伴侶さまに好意を持つだけですぐに反応なさるのだから、本当にすごいセンサーをお持ちだ。
だが、私も人のことは言えない。
ハーヴィーに良からぬ視線を向けられるだけで、すぐにそれを察知し殺してやりたくなるのだから同じだ。
「ハーヴィーさん。甘いものはお好きですか?」
「えっ、はい。大好きです」
「ふふっ。よかった。これ、王都で人気の焼き菓子なんです。一緒に食べましょう」
「わぁー、ありがとうございます!」
「ハーヴィー、よかったな。ここまでは王都のような流行の菓子はなかなか届きませんから、いつも執事の焼き菓子で我慢させていたんですよ」
「えっ、執事さん。焼き菓子を作れるんですか? それってすごいですよ。やっぱり焼きたては何よりも美味しいですからね。尊敬します」
キラキラとした美しい瞳で見つめられて執事もまんざらではなさそうだ。
だが、これ以上ご伴侶さまの視線を奪うと、公爵さまが不機嫌になりそうだな。
執事に合図を送り、お礼を言って部屋から下げると公爵さまの機嫌が少し戻った気がした。
ふふっ。
本当にわかりやすいお方だ。
「うわぁ、これ本当に美味しいです!」
「でしょう? ぼくも気に入ってるんですよ。いつも頼んで買ってきてもらうんですよ。ねぇ、フレッド」
「ああ。シュウが強請ってくれるのが嬉しいのでな。私の伴侶は慎ましいからなかなかおねだりをしてくれないのだよ」
「えっ、だって……ぼくは、フレッドがいてくれるだけで大満足だから……」
「シュウ……」
こんなにも嬉しそうに公爵さまを拝見できる日が来るなんて思いもしなかったな。
ハーヴィーは目の前で公爵さまの惚気を聞いて驚いているようだ。
今までの印象もガラッと変わったことだろう。
「シュウ、ここでしばらくハーヴィーとお茶をしていてもらえるか? 私は少し辺境伯と大事な話があるのでな」
「うん。わかった。ここにいるから心配しなくていいよ」
「ああ、じゃあ行ってくる。ハーヴィー、私の伴侶を頼むぞ」
「は、はい。承知しました」
緊張しているようだが、まぁ大丈夫だろう。
この二人に限って何もないのはわかっているからな。
執事のホレスもいるし、問題はない。
私たちは二人をリビングに残し、公爵さまを執務室へと案内した。
「ハーヴィー、もうすぐ到着されるようだ」
「わぁー、じゃあ玄関にお出迎えに行かなくちゃ!」
「ハーヴィー、お二人が来てくださって嬉しいのはわかるが、あまり私を放っておくと拗ねてしまうぞ」
「ふふっ。ザックったら。知っているでしょう? 私はいつでもザックのことだけを考えていますよ」
「ハーヴィー」
優しく抱きしめると、ハーヴィーがそっと目を閉じる。
可愛い伴侶が口づけを望んでいるのだ。
期待に応えないわけにはいかないな。
公爵さま方が来られるまでしばしの愛を育むとしようか。
たっぷりとハーヴィーの口内を味わい、満足していると屋敷に近づいてくる馬車の反応を感じる。
安全のために設置しているものだが、誰が来ているかを瞬時に判別することができてかなり使える。
これは私の作ったものだが、公爵さまのお屋敷にもこの装置をつけると安全性が増し、公爵さまもご伴侶さまを残してお出かけになる時には安心だろう。
せっかく我が家に来られたのだから、話をしてみるとするかな。
我々と執事、そして使用人たちも並ばせて公爵さまとご伴侶さまをお迎えする。
先ほどまで浮かれていたハーヴィーは、少し緊張しているようだ。
子爵令息だったからか、公爵さまと聞くと緊張してしまうのは習性のようなものかもしれないな。
そっと腰を抱き、
「緊張せずとも大丈夫だ。公爵さまとご伴侶さまは私たちを結びつけてくださったお方だ。私たちが幸せな様子を見せれば安心なさるはずだよ」
と耳元で囁いてやると、身体を震わせながらも嬉しそうに頷いた。
門の前に馬車が停まり、扉が開くとご伴侶さまを大事そうに抱えて公爵さまが降りて来られる。
「辺境伯。ハーヴィー、出迎え感謝する」
「こちらこそ、遠路はるばるお越しくださいまして誠に嬉しゅうございます。短い間ではございますが、ゆっくりとご静養いただければ幸いでございます」
「ああ、ありがとう。ここで共に過ごす時間をシュウも楽しみにしているぞ。なぁ、シュウ」
「はい。ここにくるまでの道のりも王都とは違ってすごく新鮮で……素敵なところですね」
「ははっ。自然しかないところですがお気に召していただけて嬉しゅうございます。さぁ、長旅でお疲れでしょうから、どうぞ中でお寛ぎください」
中に案内する間も公爵さまはご伴侶さまを決して離そうとはしない。
それは私たちを警戒しているのではなく、ただ手放したくないだけだろう。
大きなソファーに案内し、執事に紅茶の用意をさせる。
ご伴侶さまはその香りを嗅いだだけで、紅茶の茶葉を当ててしまった。
「素晴らしいですね。そんなに紅茶がお好きなのですか?」
「はい。淹れてくれる人それぞれの味に深みがあって好きです」
にっこりと微笑まれる。
その笑顔だけでどきっとしてしまうが、すぐに公爵さまから威圧が放たれる。
ご伴侶さまに好意を持つだけですぐに反応なさるのだから、本当にすごいセンサーをお持ちだ。
だが、私も人のことは言えない。
ハーヴィーに良からぬ視線を向けられるだけで、すぐにそれを察知し殺してやりたくなるのだから同じだ。
「ハーヴィーさん。甘いものはお好きですか?」
「えっ、はい。大好きです」
「ふふっ。よかった。これ、王都で人気の焼き菓子なんです。一緒に食べましょう」
「わぁー、ありがとうございます!」
「ハーヴィー、よかったな。ここまでは王都のような流行の菓子はなかなか届きませんから、いつも執事の焼き菓子で我慢させていたんですよ」
「えっ、執事さん。焼き菓子を作れるんですか? それってすごいですよ。やっぱり焼きたては何よりも美味しいですからね。尊敬します」
キラキラとした美しい瞳で見つめられて執事もまんざらではなさそうだ。
だが、これ以上ご伴侶さまの視線を奪うと、公爵さまが不機嫌になりそうだな。
執事に合図を送り、お礼を言って部屋から下げると公爵さまの機嫌が少し戻った気がした。
ふふっ。
本当にわかりやすいお方だ。
「うわぁ、これ本当に美味しいです!」
「でしょう? ぼくも気に入ってるんですよ。いつも頼んで買ってきてもらうんですよ。ねぇ、フレッド」
「ああ。シュウが強請ってくれるのが嬉しいのでな。私の伴侶は慎ましいからなかなかおねだりをしてくれないのだよ」
「えっ、だって……ぼくは、フレッドがいてくれるだけで大満足だから……」
「シュウ……」
こんなにも嬉しそうに公爵さまを拝見できる日が来るなんて思いもしなかったな。
ハーヴィーは目の前で公爵さまの惚気を聞いて驚いているようだ。
今までの印象もガラッと変わったことだろう。
「シュウ、ここでしばらくハーヴィーとお茶をしていてもらえるか? 私は少し辺境伯と大事な話があるのでな」
「うん。わかった。ここにいるから心配しなくていいよ」
「ああ、じゃあ行ってくる。ハーヴィー、私の伴侶を頼むぞ」
「は、はい。承知しました」
緊張しているようだが、まぁ大丈夫だろう。
この二人に限って何もないのはわかっているからな。
執事のホレスもいるし、問題はない。
私たちは二人をリビングに残し、公爵さまを執務室へと案内した。
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