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第五章 (王城〜帰郷編)

フレッド   50−1※

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「シュウ、そろそろ今日の宿に着くぞ」

私の膝を枕に眠っているシュウをわざわざ起こしたのは、シュウの可愛い寝顔を他の奴らには見せたくないという私のわがままだ。

「フレッドの膝が気持ちよくてぐっすり寝ちゃった」

眠そうな目を擦りながら起き上がるシュウを抱き寄せた。

「起こして悪い」

「ううん、一緒に歩きたかったから起こしてくれて嬉しい」

シュウはそう言って私のわがままにも笑顔で付き合ってくれる。
ああ、本当に私は幸せ者だ。


今日の宿泊宿はサヴァンスタックに移った私のためにアレクが建ててくれた宿だ。
本館と離れがあり、離れは私やアレクが使うための王族専用の部屋になっている。
一般の者たちが入ることはなく、離れに立ち入ることができる従業員も事細かくチェックされている。

以前の世界にこういった宿はなかったが外観から中身までアンドリュー王の指示通り全てシュウの好みの様相に造られているというのだから、アンドリュー王の予言書の効果は素晴らしい。
きっとシュウもこの宿は気に入ることだろう。

我々が夫夫だときちんと見せつけるためにシュウを抱き寄せて宿に入った。
おかしな従業員はいないと思うが、念の為だ。

しっかりとした女将から歓迎の挨拶を受けて安堵したのも束の間、私とシュウの近くに並んでいた従業員の女が突然

「あ、あの……サヴァンスタック公爵さま。なんでも・・・・お申し付けください。すぐに私が参りますので!」

と勢いよく声をかけてきた。

――なんでも・・・・お申し付けください。
と言っているが、部屋に女を呼ぶのはそういう・・・・意味だ。

なんだ、こいつは?
私の隣に麗しい伴侶がいるのが見えていないのか?

明らかにおかしな言動に一気に気分が悪くなり、女と女将に

「悪いが、君に言い付ける用などなにもない。私には麗しい伴侶と過ごすことしか興味はないからな。女将、彼女は離れには近づけさせないでくれ」

と吐き捨てると、女将は慌てたようにその女を奥へと連れて行かせた。
と言っても、ギャーギャーと文句を言っているのがまる聞こえだったがな。

この宿にあんな頭のおかしい奴がいるとは思ってもいなかった。
これはアレクに報告しておかねばならぬな。

女将は青褪めた顔で頭を下げ、詫びの言葉を口にしていたが、シュウの前で声をあららげるのは避けたい。

気をつけるようにと威圧感たっぷりにいうと、女将はそれに気づいたようで身体を震わせながらもう一度頭を下げていた。

シュウを早くこの場から遠さげたくてマクベスを呼び部屋の準備が整ったかを尋ねた。

前もって部屋を確認しておかしなものが置かれていないか確認させたのだ。
王族専用部屋で入れるものが限られているとはいえ、シュウを連れているのだからいつもより深くしっかりとした確認が必要だ。

「どうぞお入りください」

マクベスがそういう時はもう完璧に確認を済ませている証拠だ。

安心してシュウを連れ中に入り、さっとマクベスが部屋の扉を閉めたのを確認して、私はシュウを抱き上げソファーに腰を下ろした。

疲れているだろうに、変な女に声をかけられさぞかし嫌な思いをしたに違いない。
シュウはあの女の言った言葉の意味は理解していないだろうが、あんな言葉をシュウの耳に入れてしまったことが私は許せなかった。

謝る私にシュウは大丈夫だと言いつつも、あの女の怪しげな雰囲気には気づいていたようで恐怖を感じたと震えながら私に抱きついてきた。

私にできることはシュウがこれ以上嫌な思いをしないように安心させることだけだ。

シュウには指一本触れさせないし、怖い思いもさせないと宣言するとシュウは嬉しそうに私の耳元で

「ねぇ、早くお風呂に入ろう。怖い思いしたからあっためてほしい」

と甘く可愛らしい声で誘ってきた。

シュウからの誘いにすぐに愚息が滾るのを感じながら、シュウを抱き上げたまま急いで風呂場へと連れていった。

寝室の奥にある風呂場は前面が庭に続いているようで解放感があり気持ちがよかった。
庭といっても外からは入れない造りになっているからシュウと一緒でも誰にも見られる心配はない。

シュウはやはり大きな風呂にご満悦のようだ。
この大きな風呂がアンドリュー王の予言書の指示に基づいて造られたのだと知ると驚きながらもかなり嬉しそうだった。

それだけシュウの気に入るように書かれた予言書を一度見てみたいといっていたが、私も少し気になっている。
今度アレクにこっそり見せてくれといってみようか。

きっとアンドリュー王だけでなく、トーマ王妃やブルーノ、そしてヒューバートの意見も入っているに違いない。
そうでなければこれほどまでにシュウの気に入るようにはできていないだろう。
シュウのことはトーマ王妃やブルーノがよくわかっているだろうしな。


シュウに早く風呂に入りに行こうと声をかけ、私は急いで服を脱がせた。
脱がせ方は全て頭の中に入っている。
これも自らシュウの服を注文した賜物だ。

あっという間にシュウを裸にすると、恥ずかしそうに私にも早く脱げと言ってくる。
シュウの裸など今までに何度も目にしているというのに未だに初めてのような初々しい反応を見せてくる。
その可愛らしく恥じらう姿に愛おしさが募る。

まぁ私としても何度シュウの裸を目にしたとしても、愚息はすぐに滾るし慣れるということはあり得ないのだから同じかもしれない。

上着を脱ぎ、シャツのボタンを外していくたびにシュウの熱い視線を感じる。
シュウに見られるのは嫌ではない。
むしろ嬉しくらいだが、そんなにも期待を込めた目でじっと見られるとただでさえシュウの裸を見て滾った愚息がさらに大きさを増していくのだ。

あまり大きくなりすぎて恐れられるのも嫌で、あまり見られると反応してしまうと素直にシュウに声をかけると顔を真っ赤にしながらも愚息に目をやったのがわかった。

ふふっ。どうやら怖がってはいないようだ。

私はシュウを抱き上げ風呂場へ向かった。
ぴったりとくっついたシュウの滑らかな肌から心地良い温もりが伝わってくる。

シュウも同じことを思ってくれているのか、私にギュッと抱きついてくる。
ああ、なんて幸せなんだろうな。

髪と身体をさっと洗い終え、シュウを抱き抱えて風呂に入る。

広くて足の伸ばせる風呂はシュウの好きなものだ。

「ふわぁーーっ、気持ちいい……」

シュウはいつも大きな風呂に入ると、気持ちよさからこの声を必ずあげる。
これを聞くだけでシュウが心からこの風呂を気に入っているのだとわかって幸せな気分になる。

これはシュウの世界の人間の癖らしく、シュウはトーマ王妃も必ずこの声を出しているはずだと言い張っていた。
そういえばこのことは尋ねたことがなかったな。
聞いてみていればアンドリュー王と答え合わせができていただろうに……。
惜しいことをしたな。

そんなことを話していると、突然庭の奥に怪しげな気配を感じた。
どう考えても我々を狙っていると思しき気配に私は咄嗟にシュウを自分の身体で隠し、

「レオンっ!!!」

と大声を上げると、レオンは私とほぼ同時にその輩の気配に気づいていたようですぐに輩を仕留めたようだ。

「ぎゃあーーっ!!」

という輩の叫び声が私たちのところまで聞こえてくる。
咄嗟にシュウの耳を塞いだが、シュウの耳に届いてしまっていたようでシュウはガタガタと恐怖に身を震わせながら何あったのかと問うてくる。

震えるシュウの身体を抱きしめながら、もう大丈夫だと言ったがこれ以上ここにいるわけにはいかない。
早くシュウを安心させてやらなければ。

急いで脱衣所に連れて行きシュウのために用意した大きくて柔らかなバスタオルでシュウを包んだ。
自分の身体を手早く拭き、シュウを抱きかかえ寝室に戻った。

変な輩が入ってきたとはいえ、中の様子はわからない場所。
シュウに手出しをされた訳でもない。

それでもシュウを怖がらせたことは絶対に許せない。

シュウを守り通せたことに安心しながら、シュウを抱きしめるとシュウは少し落ち着いた様子で何があったのか教えてと言ってきた。

この状況的に流石に何も教えないわけにはいかない。
だが全て真実を告げるわけにもいかない。

だから私は当たり障りのないように、良からぬものが離れに入ってきた気配を感じたからレオンの名を呼び捕らえてもらうようにしたのだと。
レオンもまた私と同時に良からぬものの気配に気づいて捕らえてくれたのだと伝えた。

シュウはそれを聞いて安堵の表情を浮かべながら、裸を見られたかもしれないと心配しているようだった。

大丈夫、心配せずとも私がシュウの裸を誰かに見られるようなヘマをするわけがない。
入る前に気配は確認していたし、あの時まで気配は何も感じなかったというと、シュウは顔を横に振った。

「フレッドの裸見られてないんだ。それが一番ホッとした」

私の裸などどうだって……と思っていると、

「フレッドはぼくだけのフレッドだから誰にも見せたくないもん……」

と可愛らしく言ってくれた。

そうか。
私がシュウの裸を誰にも見られたくないと思っているようにシュウもまた私の裸を見られたくないと思ってくれるのか。

途轍もない幸せが広がっていくのを感じながら、シュウを抱きしめ愛しているよと囁きながら、シュウの左耳に口づけをした。

その瞬間、

「ひゃあ――っ!」

と身を震わせながら可愛らしい声をあげる。
私の宝石いしがついている場所はどうやらシュウの性感帯らしい。

ビクビクと身体を震わせるシュウを愛おしく思いながらもう一度左耳に口づけをした。


ふと首筋に目をやるとこの前つけた赤い花が少し薄くなっているのが見えて、私はその上からもう一度シュウが私の所有である証をつけた。

服を着ても必ず見える場所につける。
それが私の独占欲の現れだ。

誰も咎めたりはしない。
なんと言ってもこれだけ美しいシュウだ。
所有の証は多すぎて悪いことなど何もない。

可愛らしい胸の尖りを味わった後はそのままシュウの果実へと唇を滑らせた。

すでに限界まで勃ち上がった果実から溢れ出た甘い蜜に吸い寄せられるように根元まで咥え、私の大きな舌で包み込みながら吸い上げるとあっという間にシュウは蜜を弾き飛ばした。

ビュルビュルと噴き出した蜜は一瞬にして私の口内を甘く染める。
そのなんとも言えない甘い蜜をゴクリと飲み干し、シュウを見つめるとシュウの小さな手が愚息に触れた。

「ふ、れっどぉ……は、やく……おくぅ……ほ、しぃ……」

シュウの可愛らしいおねだりに理性が飛んでしまった私は、天を向いて大きく聳り立った愚息をシュウの後孔にあてがった。
すりすりと擦るのも惜しくてグッと押し込むとシュウの後孔は愚息を難なく受け入れた。

もう本当に私だけの後孔だ。
シュウの中は愚息の形をしっかりと覚えているのがわかる。
隙間なくピッタリと心地良い締め付けを味わいながら、愚息はシュウの最奥まで行き着いた。
肉襞に包み込まれて何もせずとも気持ちがいい。

だが、シュウに

「うご、いてぇ……」

というおねだりされればすぐに腰が動き出す。

シュウの細く折れそうな腰を掴み、激しく動かすとシュウは気持ちよさそうに嬌声をあげながら甘い蜜を吐き出した。
その芳しい匂いを嗅ぎながら、私もシュウの最奥に蜜を叩きつけた。

思っていたより大量だったのはシュウの可愛いおねだりに愚息が滾ったからかもしれない。

「ふ、れっど……だい、すき……」

シュウは私への愛を囁くと、目を瞑ってしまった。
夢の世界へといざなわれていくシュウの唇に軽い口づけを与えると、シュウは嬉しそうな表情を浮かべながら深い眠りへと落ちていった。

しばらくシュウの寝顔を見つめてから、私は静かにベッドを出た。

「パール、私がいない間シュウを見ていてくれ」

小声でパールに声をかけると、キューンと小さな声をあげ寝床である籠から飛び出てきた。

「私がいない間だけだからな」

もう一度釘を刺すとキューンと鳴き静かにシュウの隣に潜り込んでいった。
私が刷り込むようにシュウに蜜を纏わせていたからか、パールは私の蜜の匂いに塗れたシュウの姿に一瞬動きを止めたが仕方ないとでもいうように大人しくしてくれていた。

情事後の色気をたっぷりと漂わせたシュウの隣に私以外のものをいさせたくはないが、シュウをたった一人で置いていくことなどできないのだから仕方がない。
守護獣であるパールなら許容範囲内だ。

パールがシュウのそばにいてくれることに安堵しながら、着替えを終えた私は部屋を出た。

部屋の前で待機していたレオンに

「フレデリックさま。ご案内いたします」

と連れて行かれたのは本館の地下にある犯罪者収容部屋。
アレクが何かあった時のためにと設置しておいてくれたのが功を奏したらしい。

開館して初めて使ったのだろう、この収容部屋は空気がかなり悪い。
あまり長居はしない方が良さそうだな。

檻の中を見れば、椅子に座らされ頑丈そうな紐でぐるぐる巻きに固定されている女の姿があった。
ボサボサの長い髪を顔の前に垂れ下げて俯いているから誰かはわからないがおそらくあの女だろう。

「顔を上げろ!」

声をかけると、女は身体をびくつかせながら頭を振り乱しながら顔を上げた。
そして私を見るやいなや、

「ああ、サヴァンスタック公爵さま!! お助けください!! 私……私、何もしていないのに突然縛り上げられてこんなところに連れてこられたんです!!」

と助けを請い始めた。

「何もしていないだと?」

「はい! 私はただサヴァンスタック公爵さまの欲を解消して差し上げたい一心で離れに伺っただけなんです。あんな小さな子どものような身体より私の方が公爵さまにご満足いただけると思って……ただそれだけだったのに、こんな目に遭わされるなんてひどすぎます!!」

「お前が私の欲を解消? お前の方が満足するだと? ふざけるな!!!!」

私の怒りに震えた声に収容部屋全体がビリビリと地鳴りのように響いた。
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