ひとりぼっちのぼくが異世界で公爵さまに溺愛されています

波木真帆

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第五章 (王城〜帰郷編)

フレッド   48−1

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朝からのんびりと部屋で寛いでいると、部屋のドアが叩かれシュウをソファーに残し、扉を開いた。
どうやら若い騎士が私宛の手紙を届けてくれたようだ。
手紙は2通。
一つはエルドからシュウの服が完成したのですぐにでも届けに行きたいという内容だった。
そして、もう一つは我が領地サヴァンスタックからの返信。
ふふっ。やはり皆、大喜びのようだな。

「あの、サヴァンスタック公爵さま。実は、マクベスさまが先ほど城に到着されまして、ただいま応接室でお待ちいただいております」

「なに?」

手紙に目を通す私に申し訳なさそうに声をかけてきた若い騎士の話に思わず声を上げてしまった。
まさかマクベスがわざわざ私を迎えにくるとは思ってもみなかった。
それにしても流石に早すぎるが私が知らない間にこの国の馬車はとてつもない進化を遂げたのだろうか?

シュウがあの時代に振動の少ない馬車のヒントを教えてきたのだから、歴史が良い意味で変わったといえば納得できる。
それも後で確認してみるとするか。

「お部屋にお呼びいたしますか?」

「シュウと少し話をしてからにする。マクベスにはそのまま応接室で待たせておいてくれ」

そう頼むと若い騎士は畏まりましたと頭を下げ去っていった。

シュウの元へ戻り、頼んでいた服が出来上がったと話すと、嬉しそうにしながらも思った以上に驚いていた。
きっともう少し時間がかかると思っていたのだろう。
服が完成すれば我々はここを離れ領地へと向かう。
シュウにとってはここを離れることは寂しいのかもしれないな。

そんなシュウにとどめを刺すようで申し訳ないと思いつつも、屋敷から返信が届いたことを伝えると先ほどよりも激しく反応した。

屋敷からの反応を気にしているようだが、一体何事だろうか?
とりあえず手紙に書いてあったことを話し、領地が大騒ぎになっているようだというと、シュウは少し俯いて私が無事に見つかったからかと尋ねてきた。

まぁ確かにその理由も少しはあるだろうが、大騒ぎになる理由といえばただ一つ。
私に唯一の伴侶であるシュウが見つかったことだ。

なんて言ったって唯一だ。
30になるこの時まで私に伴侶がいないことを考えれば、屋敷の者にも領民たちにとっても気になることは私がいつ伴侶を娶るかということだけ。

結婚はしなくとも跡継ぎは見つけられるが、公爵としての仕事を守っていくにあたって私を支えてくれる存在が必要なことは皆が知っている。

皆が待ち望んだ伴侶が見つかり、しかもその相手が唯一だとわかれば大騒ぎにならないわけがない。
もうサヴァンスタック領地を挙げての祝い事となっても不思議はないのだ。

それなのにシュウは何を思ったのか、自分が伴侶だということを屋敷のものたちが気に入らないのではないかといらぬ心配をしている。

皆が大喜びしてくれている、私にとって伴侶はシュウしかあり得ないというと、シュウは心から安堵の声を漏らしその場に蹲った。

シュウがそれほどまでに心配していた理由が知りたくて、シュウを抱きしめながら尋ねてみると、

「だって、フレッドの大好きな領地で、ぼくのこと受け入れてもらえなかったらどうしようって……。ぼくの記憶の中にはサヴァンスタックでフレッドと過ごした楽しい日々が残っているけど、今のあそこには何も残っていないから……。ぼくがフレッドの伴侶だって認めてもらえるか心配で……」

と思いを伝えてくれた。
シュウがそれほどに思い詰めていたことに気づいていなかった自分が悔しかった。

私がここで色々と話すよりはシュウに直接屋敷の者の意見を聞かせてやろうと、シュウをマクベスの待つ応接室へと連れていくことにした。

私はシュウを抱き上げたまま、何も説明せずに部屋を出た。
腕の中でシュウは驚いているが、今からもっと驚くことになるだろう。

マクベスの待つ部屋の前に着き、何が何だわからないと言った様子のシュウに笑顔を向けてゆっくりと扉を開いた。

開けた瞬間、直立不動で部屋の隅に立っていたマクベスと目があった。
と同時にマクベスは大粒の涙を流して私の元へと近づいてきた。

あの日、王都へ向かう私たちを見送ってくれた日から私たちの中では数ヶ月経過している。
こんなにも離れて過ごしたことは今までに一度もなかったな。

私の記憶の中のマクベスよりも随分と若々しく見える。
今のマクベスがこんなにも若々しく見えるのはきっと領地でも幸せに過ごしているということか。
ただ、ほんの少し頬がやつれて見えるのはおそらく私が行方不明となっていたからだろう。


「マクベス、よく迎えにきてくれた」

心からの礼を伝えると、マクベスは私が無事でいたことを喜びながらも、気になるのは私の腕に抱かれているシュウのようだ。

シュウを見て手紙に書かれていた唯一の方かと聞いてきたところを見ると、やはりあの手紙を読んでから私たちを迎えに来たのか……。

いやはや、馬車の進化は素晴らしいな。

私の唯一が見つかったことに感動しているマクベスにもっと喜ばせてやろうと、シュウがトーマ王妃の血縁者だと教えるとマクベスを目を大きく見開いて、立て続けに勢いよく喋り続けた。

「なんと――っ!! あのトーマ王妃の? まことでございますか! そんな素晴らしいお方が旦那さまの唯一とは……」

いつもどんな時でも冷静だったマクベスがこんなにも驚くとはな……。
嬉しい話がさらに嬉しさを増す。

腕の中でシュウはマクベスの興奮しきった様子に驚いているようだが、さっきまでの不安げな様子は無くなっていた。
おそらく自分が歓迎されていると感じることはできたのだろう。

マクベスはハッと我に返って、シュウに挨拶を始めた。

「私、サヴァンスタック公爵家にて執事をしておりますマクベスと申すものでございます。末長くよろしくお願いいたします」

私のシュウににこやかな笑顔を向けるマクベスには、シュウへの邪な思いは一切感じられない。
純粋に私の伴侶として喜んでくれていることに安堵した。

シュウはそんなマクベスの言葉が嬉しかったようで、この上ないほど満面な笑みを浮かべながら、

「ぼく、シュウと言います。マクベスさんに会えて本当に嬉しいです」

と挨拶をした。

ああ、やってしまった……。

シュウはわかっていないのだ。

シュウの笑顔がどれほどの威力があるのかを。

ほんの少し微笑んだだけでも相手の動きを止めてしまうというのに、マクベスは極上の笑顔を目の前で見てしまったのだ。
いくら冷静沈着なマクベスといえども、おそらくひとたまりもないだろう。

いや、私の知らないこの世界のマクベスはもしかしたら美しいものに耐性でもあるかもしれない……そう期待したのだが、マクベスは当然というかなんというか、やはり目を大きく見開いて、魂を抜かれたように茫然とその場に立ち尽くしていた。

すっかり昇天してしまっているマクベスに、

「マクベス! 戻ってこい」

と大声をかけると、ようやく我に返った。

シュウのあまりの麗しさに心奪われていたと正直に話したマクベスに

「シュウが美しいのは正しいが、シュウは私の唯一だからな」

と睨みを効かせると、マクベスは安堵の表情を浮かべ嬉しそうに笑って見せた。

私が誰かに嫉妬する姿を見られたことがよほど嬉しかったとみえる。
マクベスの知っている私はそれほどまでに他の人間に好意を持つことがなかったのだろう。


しばらくマクベスと話をして過ごしていたが、どうしても気になることを聞いてみることにした。

「お前、ここに着くのが早かったな。アレクの手紙が着いてすぐに屋敷を出たのか?」

しかし、マクベスはその問いかけを笑って否定した。

話を聞くと、マクベスは屋敷の者たちと話し合い、行方がわからなくなっていた私を探しに王都へ向かっていたらしい。
その途中で、サヴァンスタック公爵家の紋章をつけた馬車をアレクの手紙を持った早馬の使者が見つけ、マクベスに先に手紙を読ませてくれたのだという。

それを見て、私が無事に見つかったこと、そして、唯一を伴って城に留まっているということを知り、それならばそのまま私を迎えに行こうと城を目指してここまできてくれたようだ。

シュウがサヴァンスタックで受け入れられるかを心配していたことを考えると、マクベスがここに来てくれてシュウを安心させてくれたのだから、マクベスが城に来てくれたのは最良の選択だったと言える。

それにしても、馬車がものすごい進化を遂げたわけではなかったのだな。
少し期待をしてしまっていたから、残念だ。


サヴァンスタックからの手紙のことをまだ知らないマクベスに、私の唯一が見つかったことで領地がお祭り騒ぎになっていると伝えると、それは当然と言わんばかりに笑顔を浮かべていた。

「旦那さまに素敵なご伴侶が見つかることを領民たちも皆、願っておりましたから。シュウさまのような素敵なお方がこれからサヴァンスタック領を盛り立ててくださるのですから、これからさらに繁栄すること間違いなしでございますね」

マクベスの言葉にシュウが嬉しそうに微笑む。
ああ、シュウの憂いが無くなって本当によかった。


先ほどここに到着したばかりでそのままこの応接室に通されたマクベスはまだアレクとブライアンには会っていないようだ。

私とサヴァンスタック領に移ってから、何度王都に戻ったのか……。
おそらく、マクベスのことだから私と共に屋敷を空けることはないだろう。
今回マクベスが私を探しに出たのもかなりのイレギュラーなことに違いない。

となると、アレクやブライアンに会うのは10年ぶりくらいにはなっているかもしれないな。

後でアレクやブライアンに会わせるのが楽しみだ。

マクベスと話しをしていると、シュウがマクベスとブライアンが知り合いなのかと尋ねてきた。
そうか、シュウには話をしていなかったな。

幼少期のアレクの世話役がブライアンで、私の世話役がマクベスだったのだと教えると、納得したように笑顔を見せた。

マクベスが私と共にサヴァンスタックに移ったと理解し、

「じゃあ、楽しみだね。きっとアレクお兄さまもブライアンさんも驚くよ。ふふっ」

と可愛らしく微笑んだ。
そんな無邪気な笑顔を見せるシュウにマクベスはまるで孫でも見るように笑顔を向けていた。

話をしすぎて少し喉が渇いてきたなと思い、ふとマクベスに紅茶を淹れてほしいと声をかけた。

きっとシュウもマクベスの紅茶を飲みたいと思っているに違いないと思ったのだ。

マクベスは自分のテリトリーでない場所で紅茶を淹れて良いものかと少し躊躇っている様子だったが、シュウに飲ませてやりたいというと喜んで了承してくれた。

マクベスにとっては、私の唯一へ飲ませる初めての紅茶だ。
だが、シュウにとってはこの世界に来てからあの屋敷で毎日のように飲んでいた飲み物だ。

私が幼少期からずっと飲んできたブライアンの紅茶を懐かしいと思うように、シュウにとってもマクベスの紅茶をそのように思うのではないかと思ったのだ。

マクベスが紅茶を淹れに部屋の奥にあるキッチンへ向かった。
シュウはそのマクベスの姿を何も言わずにただじっと見つめていた。

しばらくして部屋中に紅茶の香りが漂ってきた。

紅茶は淹れる人の癖が出る。
ブライアンの紅茶も、ブルーノの紅茶も、そしてマクベスの紅茶も、同じ茶葉を使っていたとしても同じ味にはならない。

期間的には過去の世界でブルーノの淹れた紅茶を一番飲んでいる。
しかも、それはトーマ王妃との思い出の紅茶だ。
もう二度と飲むことはできないが……。

さて、シュウはマクベスの味を覚えているだろうか……。


そんなことを考えている間にマクベスが紅茶を淹れ終え、シュウと私の前に置いてくれた。

シュウはほんの少し手を震わせながら、マクベスの淹れた紅茶をゆっくりと口に運んだ。
ゆっくりと味わうと、とても綺麗な笑顔を浮かべ、

「ああ……美味しい」

と一言呟いた。

その瞬間、マクベスがハッと息を呑んだのは、シュウの漆黒の瞳から一筋の涙が頬を伝っていたからだろう。

私は上着の内ポケットからさっとハンカチを取り出し、シュウの目にそっと当てた。

シュウは私の行動の意味がわからないとでもいいたげに驚いていた。
自分が涙を流していることに気づいていないようだ。

マクベスはシュウが涙を流した理由が自分の紅茶の味だと思い、すぐに謝罪の言葉を告げていたが

「違うんです! とっても優しくて懐かしくてホッとする味だったから……泣いちゃったりしてごめんなさい。でも、ぼく……マクベスさんの紅茶、とっても好きです」

とあまりにも必死なシュウの言葉に安堵の表情を見せた。

やはりシュウは覚えていたのだ。
シュウにとっては紅茶はマクベスの味なのかもしれないな。

マクベスにもっと安心させようと

「シュウはお前の味が泣くほど気に入ったようだぞ」

と声をかけると、マクベスはそれはそれは嬉しそうに微笑んだ。

ああ、シュウはもうすっかりマクベスを虜にしてしまったようだな。


「私を探しにきてくれたのは嬉しいが、お前まで屋敷を離れて大丈夫なのか?」

今更ながら、私もいない屋敷で筆頭執事であるマクベスまでもが留守にしているとなるとおそらくあの屋敷は立ち行かないのではないかと心配になり尋ねたのだが、マクベスはにっこりと笑顔浮かべ、屋敷の者たちの総意でマクベスを送り出してくれたのだと教えてくれた。

今頃は屋敷の皆でしっかりと切り盛りして留守を守ってくれていることだろうという言葉に私は安心した。

マクベスがこれほど自信満々に言うのだからそれに間違いはないだろう。
この世界の私と屋敷の者たちの間にこれほどまでに強い信頼関係が築かれていることに私は途轍もない喜びと幸せを感じていた。

「それで、旦那さまはいつ頃領地へお戻りの予定でございますか? 屋敷の者も領民の皆さまも旦那さまがシュウさまとお戻りになるのを心待ちにしていますよ」

マクベスの言葉に、私はエルドのことをすっかり忘れていたことに気づいた。

私がここで衣装を仕立てたことに驚いていたマクベスだったが、シュウのために仕立て、それを着て領地へと連れ帰りたいのだというとすぐに納得してくれた。

やはり、唯一の伴侶には私の愛がこもった衣装を着せたいものだからな。
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