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第五章 (王城〜帰郷編)
フレッド 45−3
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シュウから漂う甘い香りに顔を綻ばせながら、シュウの可愛らしい寝顔を見つめていると腕の中のシュウが身動いだ。
無意識なままに私に擦り寄ってくるシュウが可愛くて思わずギュッと抱きしめると、シュウの綺麗な目がゆっくりと開いていく。
シュウの瞳が私をとらえる。
ああ、この瞬間が私をこの上ない幸せに導いてくれるのだ。
かすれた声で私の名を呼ぶ。
そのかすれ声を聞くだけで先ほどまでの甘い情事が呼び起こされ、一瞬にして昂りそうになる愚息を必死に抑えつける。
シュウの喉に潤いを与えるために用意しておいたレモン水を私の口に含み、シュウに口移しで与えると、とろけるような笑顔を見せながら美味しそうにレモン水を飲み干していく。
何度か繰り返し飲ませてやると、ようやく喉も潤ってきたようだ。
落ち着いたところで、久しぶりの交わりだというのに激しくしすぎてしまったことを謝ると、シュウは気持ちよかったから平気と笑顔で返してくれた。
こんなに小さな身体に無体なことをしてしまったというのに、シュウはどれだけ私を甘えさせてくれるのだろう。
もう、シュウへの愛が溢れてどうしようもない。
抑えきれないシュウへの愛を囁きながらシュウの唇に口づけを贈った。
ああ、本当に私は幸せ者だ。
アンドリュー王やトーマ王妃と別れポッカリと空いてしまった心は、この世界の変化が埋めてくれた。
あのとき、大広間で私を嫌悪感も何もなくまっすぐに見つめてくれた者たちのあの視線は一生忘れることはないだろう。
私たちのより良い未来のために尽力してくれたアンドリュー王やトーマ王妃、そしてブルーノやヒューバートに心からの感謝を伝えたい。
そして、私たちが幸せな日々を過ごしていることも、どうか皆に届きますように……。
シュウは私との口づけを終えるとすぐに眠ってしまった。
時空を超えて戻ってきた小さな身体は私以上に疲れ果てていたのだろう。
その上、あれほど長く愛し合ったのだから無理はない。
アレクには明日の朝は起きられないと伝えてあることだし、ゆっくりと身体を休めることにしよう。
シュウを抱きしめながら私もようやく眠りにつくことにした。
次に目を覚ますともうすっかり高いところまで日がのぼっているようだった。
こんなにもぐっすり寝たのはいつぶりだろうか。
それほどまでにあちらから帰ってきたのは身体にこたえていたのか。
いや、戻るまでの数日はよく眠れていなかったからそのせいもあるのだろうな。
正直な気持ちを言うと、我々のいた時代に戻って何も変わっていなかったら……という不安があったのだ。
シュウがいてくれるとはいえ、また辛い日々が始まったら……しかもシュウにも辛い思いをさせるようなことになったら……そう思うと不安でたまらなかったのだ。
戻ってすぐにそれが杞憂だとはわかったが、それがわかるまでは緊張が止まらなかった。
それでも頑張れたのはシュウがそばにいてくれたからだ。
シュウに勇気をもらえたことに感謝しながら、可愛らしいシュウの寝顔を見つめていると
「うーん……いい、におい……」
とシュウが微笑みながら顔を擦り寄せてきた。
シュウはどうやら寝起きの私の匂いが好きなようだ。
愛しい人に濃い匂いを嗅がれて嬉しくないわけがない。
シュウに朝の挨拶をして、見つめながらいつものものを待っているがなかなかしてくれない。
んっ? 焦らしているのか?
そう思った瞬間、シュウが少し照れながら私の唇に口づけをしてくれた。
ああ、やっぱりシュウからの口づけは最高だ。
嬉しさのあまり笑みを浮かべていると、
「ふふっ。もう何十回もしてるのにそんなに嬉しいの?」
と尋ねてきた。
そんなこと、愚問だな。
だって、シュウからの甘い口付けは何ものにも変え難いものなのだから。
今日はアンドリュー王の仕事を手伝うことも、ましてやアレクの手伝いをすることも何もない。
ただシュウとの時間を過ごすことができるのだ。
こんな日が来ようとはな……。
そう感慨深く思っていると、突然
「フレッド……だぁ~い好き!」
とシュウが私に抱きついてきた上に先ほどよりも長く口づけをしてくれた。
まさかのシュウからの贈り物に私は昨夜のブライアンからの小言も忘れて、シュウの唇を貪った。
何度も何度も角度を変え、シュウの唇を味わいすぎてシュウはぐったりとしてしまっていたが、口づけだけで我慢しているのだから許してもらおう。
シュウの甘い唇をもっと味わおうともう一度唇を重ねようとしたところで、
『くぅーーっ』
と可愛らしいシュウのお腹の音が寝室に響いた。
それに照れているシュウを可愛いと思いながら、ブライアンに食事を頼むことにした。
シュウをゆっくりと抱き上げベッドに座らせた瞬間、突然パールがシュウ目がけて飛び込んできて、シュウに朝の挨拶をしようとしている。
我々の朝の挨拶が終わるまで待っていたのは褒めてやってもいいが、パールにも同じことはさせられない。
何度も言っていると思うが、シュウの唇は私だけのものなのだからな。
間一髪のところでパールを抱き上げシュウから引き離すと、パールは鳴き声を上げて抵抗してきたが手を離すわけには行かない。
「こらっ、パール。何度言ったらわかるんだ? シュウは私の伴侶だぞ。舐めるのはもちろん、口づけはもってのほかだ。わかったか?」
必死にパールを躾けていると、シュウが
「ふふっ。フレッド、パールのお父さんみたい」
と言い出した。
パールが子ども?
たしかに我々に子どもがいれば、毎朝こうやってシュウを巡っての戦いになるのだろうな。
優しいシュウのことだから私と同じように子どもからの口づけもなんの抵抗もなく受け入れるのだろう。
私とシュウとの子なら可愛いとは思うが、シュウを共有する気にはなれない。
そう考えるとシュウが子どもの産めない男でよかったと思ってしまう。
「パールをぼくたちの子どもだと思って、ちゅーくらいは許してもいいんじゃないかな?」
シュウの言葉に子どもよりはパールの方が……と一瞬心が傾きかけたがそれとこれとは別だ。
口づけは許せないが、仕方がない。
頬なら許してやろうと譲歩してみせると、パールは納得したように
「キューン」
と声をあげ、嬉しそうにシュウの頬に長い舌を伸ばした。
複雑だが、唇よりはマシだ。
そうだ、唇よりはマシだと何度も自分に言い聞かせた。
頬を舐められ楽しそうにパールと朝の挨拶をしているのを見ながら、そろそろいいだろうとシュウに食事をどうするかと尋ねると、リビングに行きたいと言い出した。
リビングには夜着のままでは行かせられない。
そう思ったところで、シュウの着替えがないことを思い出した。
私の服はきっと昔のものが置いてあるだろうし、なかったとしてもほとんど体格の近いアレクのを借りればいい。
だが、シュウはそうはいかない。
サイズの合うものは昨日着ていた服しかないが、流石に私の大切な伴侶に二日も続けて同じ服を着せるわけにもいかない。
そんなのを見られたら私がシュウを軽んじていると取られてもおかしくない。
とはいえ、この夜着のままでいさせるわけにはいかないしどうすればいいか……。
そうだ、私の幼い頃の服でも残っていないかブライアンに聞いてみるとしよう。
私はシュウにそう告げて急いで部屋を出た。
「ブライアンを呼んでくれ」
私の声が聞こえる場所にいたのか、ブライアンがすぐにやってきた。
「おはようございます、フレデリックさま」
「ああ、おはよう。ところで、シュウの着替えなのだが……」
「はい。それでしたらアレクサンダーさまより言付かっております」
「アレクから?」
「はい。フレデリックさまとシュウさまのご衣装はおサイズにぴったりなものが全てクローゼットにご用意致しております」
「私だけでなくシュウのものもか?」
「はい。アレクサンダーさまが毎年お作りでございましたよ。フレデリックさまのものでないおサイズのものもお作りになっていらっしゃいましたのでどなたのものかと思っておりましたが、ようやく謎が解けました」
「そうか……わかった。あ、シュウが目覚めた。着替えたら食事にするから準備を頼む」
「畏まりました」
ブライアンと話を終えて急いでシュウの元へと戻った。
言われた通りにクローゼットを開けてみると、そこには私とシュウの服がぎっしりと並んでいた。
「フレッド……これ??」
シュウは大きな目を丸くして驚いていたが、これがアンドリュー王からの心遣いでそれをアレクがきちんと用意してくれていたのだと告げるとシュウが嬉しそうに顔を綻ばせた。
シュウに今日は何を着せようかとクローゼットの服を吟味していると、あることに気がついた。
金色と水色の服が多いな。
それがわかった時、私から思わず笑みが溢れた。
これがアンドリュー王の指示なのか、それともアレクが考えてくれたのかはわからないが、私が愛しいシュウに私の色を着せたいという気持ちをよくわかってくれているようだ。
そうならば、とシュウのために選んだ服は、金色の縁取りが入った水色のジャケット。
ああ、やはりこの服がよく似合う。
というより、この色がよく似合う。
やはりシュウは私と対になるために生まれてきたのだろう。
シュウが私の色の服を着ている姿は実に美しいが、こうやってみているとやはり私がシュウのために誂えた服を着てほしいという欲が膨らむ。
私が王都へと向かう途中で行方知れずになり、シュウと共に大広間に現れたとなると、おそらく以前サヴァンスタックの屋敷でシュウのために仕立てたものは全て存在しないだろう。
となると、シュウの着られる服はここにあるだけとなってしまう。
せっかくシュウのために誂えてくれたものを邪険に扱うつもりはないが、やはり愛しい伴侶には自分で仕立ててやりたいと思うものだ。
シュウに食事の後に仕立て屋を呼ぶと告げると、
「ここで注文しても完成まではいないだろうし、サヴァンスタック領に戻ってから注文したらどうかな?」
と提案してきた。
なるほど、それも一理ある。
少量であればすぐにできるだろうから数枚だけ頼むことにして、他は領地の仕立て屋で頼むことにしよう。
そのほうが領民も潤うしいいだろう。
さすがシュウ。
もう公爵の伴侶として領民への配慮を持ってくれているようだ。
着替えの終わったシュウを連れリビングへと向かうと、さっき頼んでいた食事の支度が整っているようだ。
ブライアンに頼んでいて正解だったな。
これでもお腹の空いたシュウを待たせずに済む。
可愛らしい腹の音を鳴らすシュウをテーブルへと誘うと、広いテーブルに料理が横並びで置かれている。
私は何も指示をしていないのだが、これもブライアンの配慮だろう。
我々が蜜月な新婚だとわかっているからこそだ。
私は嬉しさを隠せないまま、シュウを呼び寄せピッタリと寄り添って座った。
「シュウ、どれから食べる?」
「ふふっ。じゃあ、美味しそうな匂いのするパン。食べたい」
可愛らしいシュウの願いを叶えるべく、パンを手に取るとふわふわとして柔らかい。
ああ、久しぶりだな。
この感触は。
あの時代の食事も美味しかったが、やはり数百年の時を経て料理も進化しているのだろう。
もうすっかりあちらの料理に馴染んでいたからこそ、そのように感じるのだと思いながら、シュウの口にパンをちぎって入れてやると、
「――っ! うわっ、美味しいっ!!」
シュウは感動の声を上げた。
そしてにっこりと笑顔を浮かべながら
「フレッドも食べさせてあげる」
と私の持っていたパンを取り、口に入れてくれた。
「ああ、これは美味しいな」
このパンの味も、シュウが食べさせてくれたことも何もかも全て美味しいんだ。
食事を終え、食事を片付けにきたブライアンに美味しかった、ありがとうと告げるシュウをブライアンは驚きながらも嬉しそうに見つめていた。
そうだろう。
食事の給仕をやって数十年になるだろうが、お礼など言われたことなどないだろうからな。
改めて私の伴侶を素晴らしいと思ったに違いない。
まぁ、シュウはそんな計算などなく自分の気持ちを正直に告げただけなのだがな。
「夕食も楽しみにしていると料理人たちに伝えておいてくれ」
私がそう付け加えると、ブライアンは満面の笑みで
「フレデリックさまのお言葉、必ず申し伝えておきます」
と言ってくれた。
これで料理人たちが楽しく仕事をしてくれれば言うことはない。
ブライアンには続けて、仕立て屋を呼んでほしいと頼んだ。
不思議そうな表情を浮かべるブライアンに、私がシュウのために服を仕立てたいのだと告げると、楽しそうに笑みを浮かべながら了承してくれた。
おそらく、私の意図に気付いたのだろう。
私は正直にブライアンに
「そうだ、嫉妬だ。アレクが頼んだ服をシュウが着ているのが妬けるのだ」
というと、ブライアンは驚きと嬉しさが半々のような表情ですぐに仕立て屋を呼ぶと言って部屋を出ていった。
今仕立て屋を呼ぶように指示したばかりだ。
流石にすぐには来ないだろう。
その間、シュウと2人で部屋にいるのもいいが、少し散策してみようか。
慣れ親しんだ王城とはいえ、今の城はシュウにとっては何も知らない場所だからな。
トーマ王妃と一緒に過ごしたあの城との違いを、そして変わらない場所を探すのも楽しいかもしれない。
シュウは王城を散策しに行こうと誘った私の言葉に飛び上がって喜んでくれた。
ふふっ。こういう反応をしてくれるシュウが好きなんだ。
王城内を散策するとはいえ、今この城の中で一番目立っている我々が護衛もつけずに出かけるわけにはいかない。
部屋の前で護衛をしている騎士たちについてきてもらうために声をかけた。
「悪いが、今からシュウと王城散策に出かけるのだが、お前たちついてきてくれるか?」
「サヴァンスタック公爵さま、申し訳ございません。昨夜遅くに王国騎士団のレオン騎士団長が戻られまして、公爵さまとご伴侶さまのお時間があります時にご挨拶に伺いたいと申しておりました。ご散策される前にご挨拶させていただいてもよろしいでしょうか?」
「ああ、そういえば騎士団長の姿を見ていなかったな。どこかに遠征にでも出かけていたのか?」
「アレクサンダー陛下の名代でジェリエア領を訪問しておりました」
「ジェリエア領に? そうか、騎士団長は相当陛下に信頼されているのだな。ならば、騎士団長にはこれから我々の護衛を頼むこともあるだろう。わかった。来たらすぐに部屋に通せ」
「はっ。ありがとうございます」
私との散策を楽しみにしているシュウには悪いが、騎士団長にシュウを紹介しておくに越したことはない。
レオン騎士団長か……。
私の知っている騎士団長とは違うな。
どんな者か気になる。
シュウに騎士団長が挨拶にくるから出かけるのはその後にしようと声をかけると、ヒューバートのような人かもしれないなと嬉そうにしている。
シュウはヒューバートを頼れる兄のように慕っていたからな。
そこに恋愛の情がないとはいえ、私以外の者のことを思い喜びの表情をしているシュウを見るのは嫌なものだ。
「シュウ、浮気はダメだぞ」
冗談混じりにそう言ったが、これは私の本心だ。
シュウは本当にただの冗談だと思っているようだが、絶対に私以外のものに目を向けさせたりはしないからな。
しばらくして、扉が叩かれ、
「オランディア王国騎士団団長のレオン・ガーランドと申します。
サヴァンスタック公爵さま、並びに奥方さまにご挨拶に参りました」
と声が聞こえた。
声に馴染みはない。
やはり私の知らない者だろう。
こういうところでも少しずつ歴史の歪みが出てきているのだと感じさせられる。
中に入るように促すと、頭を下げながら中に入ってきた。
我々への挨拶が遅れたことに詫びの言葉を告げるレオンに、
「国王直々の命により王都を離れていたのだから其方が気にすることはない。
其方にはここでの警護と我々が領地へ戻るときの警護を頼むことになるがよろしく頼む」
と返し、続けてシュウを紹介すると、顔をあげシュウと目を合わせた途端、大きく見開いた目に涙をいっぱい潤ませて
「ああ……っ、なんてことだ! まさか、こんなことが起こるとは……」
とその場に立ち尽くした。
私はレオンの突然の行動に嫌な予感しかしなかった。
なんだ、この胸騒ぎは……。
私との面識もないレオンがシュウを知るはずがないというのに。
あの目は明らかにシュウを知っている。
シュウはいきなり取り乱したレオンに優しい声をかけているが、レオンはシュウに声をかけられ嬉しそうだ。
やめてくれ、そんな目でシュウを見つめるのは。
レオンは取り乱した理由を告げようとしているが、私には聞かれたくないのか言いかけようとしてやめている。
だが、私はシュウから離れる気はない。
話すなら私の目の前で言ってもらおうか。
「レオン、言いたいことがあるなら気にせずにいえ。シュウに何かあるのか?
もし、不埒なことを考えたのならば容赦はしないが、其方の様子を見せ限りそのようなことではないのだろう?」
私の伴侶に手を出すなよと目で強く訴えながら言ってやると、レオンは私の視線にも動じない様子で
「はい。恐れながら申し上げます。私、レオン・ガーランドはシュウさまとお会いする日を心待ちにしておりました」
と言い放った。
「な――っ、それは、どういうことだ?!」
知らないはずのシュウと会える日を待っていただと?
一体どうなっているんだ?
レオンは私の声に耳を傾けようともせずにシュウだけを見つめて、
「やっとお会いできました……」
と言いながら嬉しそうに涙を流していた。
感極まった様子でシュウに近づき、シュウの手を握ろうとしたレオンの手を強く叩き落としてやり、一体どういうつもりなのかと睨みつけると、レオンはなぜか堂々とした様子で私を見つめていた。
なんだ、この自信に満ちた表情は。
負けるわけには行かない。
シュウは私のものだ。
2人で睨み合っているとシュウは私たちの不穏な空気を察したのか、心配そうに私の手を握りながら尋ねてきた。
そうだ、私はレオンにばかり気を取られてシュウのことを蔑ろにしてしまっていた。
シュウに詫びを入れるとシュウは安心したように笑顔を向け、レオンに声をかけた。
「あの、ぼくに会いたかったってどういうことですか? ぼくはレオンさんに会うのは初めてだと思うのですが……」
私も聞きたかったその質問にレオンは嬉しそうに答えた。
「さっきシュウさまにお目にかかった瞬間、私の頭の奥底で眠っていた記憶が一気に甦ったのです。
私は全て思い出しました。自分がルイ・ハワードだった時の記憶を……」
まさか、レオンが……。
あのルイ・ハワードの生まれ変わりだと??
シュウのことを一途に思い続けて亡くなった、あのルイ・ハワードが……まさか今私たちの目の前に現れるとは……。
もしかして私からシュウを奪い取るつもりではないだろうな?
そうだとしたら、私は必死で闘うまでだ。
私のシュウを決して手放したりはしない。
無意識なままに私に擦り寄ってくるシュウが可愛くて思わずギュッと抱きしめると、シュウの綺麗な目がゆっくりと開いていく。
シュウの瞳が私をとらえる。
ああ、この瞬間が私をこの上ない幸せに導いてくれるのだ。
かすれた声で私の名を呼ぶ。
そのかすれ声を聞くだけで先ほどまでの甘い情事が呼び起こされ、一瞬にして昂りそうになる愚息を必死に抑えつける。
シュウの喉に潤いを与えるために用意しておいたレモン水を私の口に含み、シュウに口移しで与えると、とろけるような笑顔を見せながら美味しそうにレモン水を飲み干していく。
何度か繰り返し飲ませてやると、ようやく喉も潤ってきたようだ。
落ち着いたところで、久しぶりの交わりだというのに激しくしすぎてしまったことを謝ると、シュウは気持ちよかったから平気と笑顔で返してくれた。
こんなに小さな身体に無体なことをしてしまったというのに、シュウはどれだけ私を甘えさせてくれるのだろう。
もう、シュウへの愛が溢れてどうしようもない。
抑えきれないシュウへの愛を囁きながらシュウの唇に口づけを贈った。
ああ、本当に私は幸せ者だ。
アンドリュー王やトーマ王妃と別れポッカリと空いてしまった心は、この世界の変化が埋めてくれた。
あのとき、大広間で私を嫌悪感も何もなくまっすぐに見つめてくれた者たちのあの視線は一生忘れることはないだろう。
私たちのより良い未来のために尽力してくれたアンドリュー王やトーマ王妃、そしてブルーノやヒューバートに心からの感謝を伝えたい。
そして、私たちが幸せな日々を過ごしていることも、どうか皆に届きますように……。
シュウは私との口づけを終えるとすぐに眠ってしまった。
時空を超えて戻ってきた小さな身体は私以上に疲れ果てていたのだろう。
その上、あれほど長く愛し合ったのだから無理はない。
アレクには明日の朝は起きられないと伝えてあることだし、ゆっくりと身体を休めることにしよう。
シュウを抱きしめながら私もようやく眠りにつくことにした。
次に目を覚ますともうすっかり高いところまで日がのぼっているようだった。
こんなにもぐっすり寝たのはいつぶりだろうか。
それほどまでにあちらから帰ってきたのは身体にこたえていたのか。
いや、戻るまでの数日はよく眠れていなかったからそのせいもあるのだろうな。
正直な気持ちを言うと、我々のいた時代に戻って何も変わっていなかったら……という不安があったのだ。
シュウがいてくれるとはいえ、また辛い日々が始まったら……しかもシュウにも辛い思いをさせるようなことになったら……そう思うと不安でたまらなかったのだ。
戻ってすぐにそれが杞憂だとはわかったが、それがわかるまでは緊張が止まらなかった。
それでも頑張れたのはシュウがそばにいてくれたからだ。
シュウに勇気をもらえたことに感謝しながら、可愛らしいシュウの寝顔を見つめていると
「うーん……いい、におい……」
とシュウが微笑みながら顔を擦り寄せてきた。
シュウはどうやら寝起きの私の匂いが好きなようだ。
愛しい人に濃い匂いを嗅がれて嬉しくないわけがない。
シュウに朝の挨拶をして、見つめながらいつものものを待っているがなかなかしてくれない。
んっ? 焦らしているのか?
そう思った瞬間、シュウが少し照れながら私の唇に口づけをしてくれた。
ああ、やっぱりシュウからの口づけは最高だ。
嬉しさのあまり笑みを浮かべていると、
「ふふっ。もう何十回もしてるのにそんなに嬉しいの?」
と尋ねてきた。
そんなこと、愚問だな。
だって、シュウからの甘い口付けは何ものにも変え難いものなのだから。
今日はアンドリュー王の仕事を手伝うことも、ましてやアレクの手伝いをすることも何もない。
ただシュウとの時間を過ごすことができるのだ。
こんな日が来ようとはな……。
そう感慨深く思っていると、突然
「フレッド……だぁ~い好き!」
とシュウが私に抱きついてきた上に先ほどよりも長く口づけをしてくれた。
まさかのシュウからの贈り物に私は昨夜のブライアンからの小言も忘れて、シュウの唇を貪った。
何度も何度も角度を変え、シュウの唇を味わいすぎてシュウはぐったりとしてしまっていたが、口づけだけで我慢しているのだから許してもらおう。
シュウの甘い唇をもっと味わおうともう一度唇を重ねようとしたところで、
『くぅーーっ』
と可愛らしいシュウのお腹の音が寝室に響いた。
それに照れているシュウを可愛いと思いながら、ブライアンに食事を頼むことにした。
シュウをゆっくりと抱き上げベッドに座らせた瞬間、突然パールがシュウ目がけて飛び込んできて、シュウに朝の挨拶をしようとしている。
我々の朝の挨拶が終わるまで待っていたのは褒めてやってもいいが、パールにも同じことはさせられない。
何度も言っていると思うが、シュウの唇は私だけのものなのだからな。
間一髪のところでパールを抱き上げシュウから引き離すと、パールは鳴き声を上げて抵抗してきたが手を離すわけには行かない。
「こらっ、パール。何度言ったらわかるんだ? シュウは私の伴侶だぞ。舐めるのはもちろん、口づけはもってのほかだ。わかったか?」
必死にパールを躾けていると、シュウが
「ふふっ。フレッド、パールのお父さんみたい」
と言い出した。
パールが子ども?
たしかに我々に子どもがいれば、毎朝こうやってシュウを巡っての戦いになるのだろうな。
優しいシュウのことだから私と同じように子どもからの口づけもなんの抵抗もなく受け入れるのだろう。
私とシュウとの子なら可愛いとは思うが、シュウを共有する気にはなれない。
そう考えるとシュウが子どもの産めない男でよかったと思ってしまう。
「パールをぼくたちの子どもだと思って、ちゅーくらいは許してもいいんじゃないかな?」
シュウの言葉に子どもよりはパールの方が……と一瞬心が傾きかけたがそれとこれとは別だ。
口づけは許せないが、仕方がない。
頬なら許してやろうと譲歩してみせると、パールは納得したように
「キューン」
と声をあげ、嬉しそうにシュウの頬に長い舌を伸ばした。
複雑だが、唇よりはマシだ。
そうだ、唇よりはマシだと何度も自分に言い聞かせた。
頬を舐められ楽しそうにパールと朝の挨拶をしているのを見ながら、そろそろいいだろうとシュウに食事をどうするかと尋ねると、リビングに行きたいと言い出した。
リビングには夜着のままでは行かせられない。
そう思ったところで、シュウの着替えがないことを思い出した。
私の服はきっと昔のものが置いてあるだろうし、なかったとしてもほとんど体格の近いアレクのを借りればいい。
だが、シュウはそうはいかない。
サイズの合うものは昨日着ていた服しかないが、流石に私の大切な伴侶に二日も続けて同じ服を着せるわけにもいかない。
そんなのを見られたら私がシュウを軽んじていると取られてもおかしくない。
とはいえ、この夜着のままでいさせるわけにはいかないしどうすればいいか……。
そうだ、私の幼い頃の服でも残っていないかブライアンに聞いてみるとしよう。
私はシュウにそう告げて急いで部屋を出た。
「ブライアンを呼んでくれ」
私の声が聞こえる場所にいたのか、ブライアンがすぐにやってきた。
「おはようございます、フレデリックさま」
「ああ、おはよう。ところで、シュウの着替えなのだが……」
「はい。それでしたらアレクサンダーさまより言付かっております」
「アレクから?」
「はい。フレデリックさまとシュウさまのご衣装はおサイズにぴったりなものが全てクローゼットにご用意致しております」
「私だけでなくシュウのものもか?」
「はい。アレクサンダーさまが毎年お作りでございましたよ。フレデリックさまのものでないおサイズのものもお作りになっていらっしゃいましたのでどなたのものかと思っておりましたが、ようやく謎が解けました」
「そうか……わかった。あ、シュウが目覚めた。着替えたら食事にするから準備を頼む」
「畏まりました」
ブライアンと話を終えて急いでシュウの元へと戻った。
言われた通りにクローゼットを開けてみると、そこには私とシュウの服がぎっしりと並んでいた。
「フレッド……これ??」
シュウは大きな目を丸くして驚いていたが、これがアンドリュー王からの心遣いでそれをアレクがきちんと用意してくれていたのだと告げるとシュウが嬉しそうに顔を綻ばせた。
シュウに今日は何を着せようかとクローゼットの服を吟味していると、あることに気がついた。
金色と水色の服が多いな。
それがわかった時、私から思わず笑みが溢れた。
これがアンドリュー王の指示なのか、それともアレクが考えてくれたのかはわからないが、私が愛しいシュウに私の色を着せたいという気持ちをよくわかってくれているようだ。
そうならば、とシュウのために選んだ服は、金色の縁取りが入った水色のジャケット。
ああ、やはりこの服がよく似合う。
というより、この色がよく似合う。
やはりシュウは私と対になるために生まれてきたのだろう。
シュウが私の色の服を着ている姿は実に美しいが、こうやってみているとやはり私がシュウのために誂えた服を着てほしいという欲が膨らむ。
私が王都へと向かう途中で行方知れずになり、シュウと共に大広間に現れたとなると、おそらく以前サヴァンスタックの屋敷でシュウのために仕立てたものは全て存在しないだろう。
となると、シュウの着られる服はここにあるだけとなってしまう。
せっかくシュウのために誂えてくれたものを邪険に扱うつもりはないが、やはり愛しい伴侶には自分で仕立ててやりたいと思うものだ。
シュウに食事の後に仕立て屋を呼ぶと告げると、
「ここで注文しても完成まではいないだろうし、サヴァンスタック領に戻ってから注文したらどうかな?」
と提案してきた。
なるほど、それも一理ある。
少量であればすぐにできるだろうから数枚だけ頼むことにして、他は領地の仕立て屋で頼むことにしよう。
そのほうが領民も潤うしいいだろう。
さすがシュウ。
もう公爵の伴侶として領民への配慮を持ってくれているようだ。
着替えの終わったシュウを連れリビングへと向かうと、さっき頼んでいた食事の支度が整っているようだ。
ブライアンに頼んでいて正解だったな。
これでもお腹の空いたシュウを待たせずに済む。
可愛らしい腹の音を鳴らすシュウをテーブルへと誘うと、広いテーブルに料理が横並びで置かれている。
私は何も指示をしていないのだが、これもブライアンの配慮だろう。
我々が蜜月な新婚だとわかっているからこそだ。
私は嬉しさを隠せないまま、シュウを呼び寄せピッタリと寄り添って座った。
「シュウ、どれから食べる?」
「ふふっ。じゃあ、美味しそうな匂いのするパン。食べたい」
可愛らしいシュウの願いを叶えるべく、パンを手に取るとふわふわとして柔らかい。
ああ、久しぶりだな。
この感触は。
あの時代の食事も美味しかったが、やはり数百年の時を経て料理も進化しているのだろう。
もうすっかりあちらの料理に馴染んでいたからこそ、そのように感じるのだと思いながら、シュウの口にパンをちぎって入れてやると、
「――っ! うわっ、美味しいっ!!」
シュウは感動の声を上げた。
そしてにっこりと笑顔を浮かべながら
「フレッドも食べさせてあげる」
と私の持っていたパンを取り、口に入れてくれた。
「ああ、これは美味しいな」
このパンの味も、シュウが食べさせてくれたことも何もかも全て美味しいんだ。
食事を終え、食事を片付けにきたブライアンに美味しかった、ありがとうと告げるシュウをブライアンは驚きながらも嬉しそうに見つめていた。
そうだろう。
食事の給仕をやって数十年になるだろうが、お礼など言われたことなどないだろうからな。
改めて私の伴侶を素晴らしいと思ったに違いない。
まぁ、シュウはそんな計算などなく自分の気持ちを正直に告げただけなのだがな。
「夕食も楽しみにしていると料理人たちに伝えておいてくれ」
私がそう付け加えると、ブライアンは満面の笑みで
「フレデリックさまのお言葉、必ず申し伝えておきます」
と言ってくれた。
これで料理人たちが楽しく仕事をしてくれれば言うことはない。
ブライアンには続けて、仕立て屋を呼んでほしいと頼んだ。
不思議そうな表情を浮かべるブライアンに、私がシュウのために服を仕立てたいのだと告げると、楽しそうに笑みを浮かべながら了承してくれた。
おそらく、私の意図に気付いたのだろう。
私は正直にブライアンに
「そうだ、嫉妬だ。アレクが頼んだ服をシュウが着ているのが妬けるのだ」
というと、ブライアンは驚きと嬉しさが半々のような表情ですぐに仕立て屋を呼ぶと言って部屋を出ていった。
今仕立て屋を呼ぶように指示したばかりだ。
流石にすぐには来ないだろう。
その間、シュウと2人で部屋にいるのもいいが、少し散策してみようか。
慣れ親しんだ王城とはいえ、今の城はシュウにとっては何も知らない場所だからな。
トーマ王妃と一緒に過ごしたあの城との違いを、そして変わらない場所を探すのも楽しいかもしれない。
シュウは王城を散策しに行こうと誘った私の言葉に飛び上がって喜んでくれた。
ふふっ。こういう反応をしてくれるシュウが好きなんだ。
王城内を散策するとはいえ、今この城の中で一番目立っている我々が護衛もつけずに出かけるわけにはいかない。
部屋の前で護衛をしている騎士たちについてきてもらうために声をかけた。
「悪いが、今からシュウと王城散策に出かけるのだが、お前たちついてきてくれるか?」
「サヴァンスタック公爵さま、申し訳ございません。昨夜遅くに王国騎士団のレオン騎士団長が戻られまして、公爵さまとご伴侶さまのお時間があります時にご挨拶に伺いたいと申しておりました。ご散策される前にご挨拶させていただいてもよろしいでしょうか?」
「ああ、そういえば騎士団長の姿を見ていなかったな。どこかに遠征にでも出かけていたのか?」
「アレクサンダー陛下の名代でジェリエア領を訪問しておりました」
「ジェリエア領に? そうか、騎士団長は相当陛下に信頼されているのだな。ならば、騎士団長にはこれから我々の護衛を頼むこともあるだろう。わかった。来たらすぐに部屋に通せ」
「はっ。ありがとうございます」
私との散策を楽しみにしているシュウには悪いが、騎士団長にシュウを紹介しておくに越したことはない。
レオン騎士団長か……。
私の知っている騎士団長とは違うな。
どんな者か気になる。
シュウに騎士団長が挨拶にくるから出かけるのはその後にしようと声をかけると、ヒューバートのような人かもしれないなと嬉そうにしている。
シュウはヒューバートを頼れる兄のように慕っていたからな。
そこに恋愛の情がないとはいえ、私以外の者のことを思い喜びの表情をしているシュウを見るのは嫌なものだ。
「シュウ、浮気はダメだぞ」
冗談混じりにそう言ったが、これは私の本心だ。
シュウは本当にただの冗談だと思っているようだが、絶対に私以外のものに目を向けさせたりはしないからな。
しばらくして、扉が叩かれ、
「オランディア王国騎士団団長のレオン・ガーランドと申します。
サヴァンスタック公爵さま、並びに奥方さまにご挨拶に参りました」
と声が聞こえた。
声に馴染みはない。
やはり私の知らない者だろう。
こういうところでも少しずつ歴史の歪みが出てきているのだと感じさせられる。
中に入るように促すと、頭を下げながら中に入ってきた。
我々への挨拶が遅れたことに詫びの言葉を告げるレオンに、
「国王直々の命により王都を離れていたのだから其方が気にすることはない。
其方にはここでの警護と我々が領地へ戻るときの警護を頼むことになるがよろしく頼む」
と返し、続けてシュウを紹介すると、顔をあげシュウと目を合わせた途端、大きく見開いた目に涙をいっぱい潤ませて
「ああ……っ、なんてことだ! まさか、こんなことが起こるとは……」
とその場に立ち尽くした。
私はレオンの突然の行動に嫌な予感しかしなかった。
なんだ、この胸騒ぎは……。
私との面識もないレオンがシュウを知るはずがないというのに。
あの目は明らかにシュウを知っている。
シュウはいきなり取り乱したレオンに優しい声をかけているが、レオンはシュウに声をかけられ嬉しそうだ。
やめてくれ、そんな目でシュウを見つめるのは。
レオンは取り乱した理由を告げようとしているが、私には聞かれたくないのか言いかけようとしてやめている。
だが、私はシュウから離れる気はない。
話すなら私の目の前で言ってもらおうか。
「レオン、言いたいことがあるなら気にせずにいえ。シュウに何かあるのか?
もし、不埒なことを考えたのならば容赦はしないが、其方の様子を見せ限りそのようなことではないのだろう?」
私の伴侶に手を出すなよと目で強く訴えながら言ってやると、レオンは私の視線にも動じない様子で
「はい。恐れながら申し上げます。私、レオン・ガーランドはシュウさまとお会いする日を心待ちにしておりました」
と言い放った。
「な――っ、それは、どういうことだ?!」
知らないはずのシュウと会える日を待っていただと?
一体どうなっているんだ?
レオンは私の声に耳を傾けようともせずにシュウだけを見つめて、
「やっとお会いできました……」
と言いながら嬉しそうに涙を流していた。
感極まった様子でシュウに近づき、シュウの手を握ろうとしたレオンの手を強く叩き落としてやり、一体どういうつもりなのかと睨みつけると、レオンはなぜか堂々とした様子で私を見つめていた。
なんだ、この自信に満ちた表情は。
負けるわけには行かない。
シュウは私のものだ。
2人で睨み合っているとシュウは私たちの不穏な空気を察したのか、心配そうに私の手を握りながら尋ねてきた。
そうだ、私はレオンにばかり気を取られてシュウのことを蔑ろにしてしまっていた。
シュウに詫びを入れるとシュウは安心したように笑顔を向け、レオンに声をかけた。
「あの、ぼくに会いたかったってどういうことですか? ぼくはレオンさんに会うのは初めてだと思うのですが……」
私も聞きたかったその質問にレオンは嬉しそうに答えた。
「さっきシュウさまにお目にかかった瞬間、私の頭の奥底で眠っていた記憶が一気に甦ったのです。
私は全て思い出しました。自分がルイ・ハワードだった時の記憶を……」
まさか、レオンが……。
あのルイ・ハワードの生まれ変わりだと??
シュウのことを一途に思い続けて亡くなった、あのルイ・ハワードが……まさか今私たちの目の前に現れるとは……。
もしかして私からシュウを奪い取るつもりではないだろうな?
そうだとしたら、私は必死で闘うまでだ。
私のシュウを決して手放したりはしない。
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