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第四章 (王城 過去編)

フレッド   40−2

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応接室に入ると、すぐにギーゲル画伯の嬉しそうな顔が飛び込んできた。
先ほどまでのアンドリュー王やトーマ王妃、そして私と再会した時とは確実に違う表情だ。
おそらくギーゲル画伯はシュウに会うことを楽しみにしていたのだろうな。

シュウがギーゲル画伯に挨拶をすると、ギーゲル画伯はアトリエに篭りっきりになっていたことを詫びながら、シュウに肖像画の進捗状況を尋ねた。

このまま順調に仕上がれば、あと1週間ほどで完成できると話すシュウにギーゲル画伯は楽しみですねと返すが、シュウの思いが複雑なのは私が一番よく分かっている。

画家にとって自分の思い通りの絵が完成することは喜びでしかない。
しかし、シュウにとってはトーマ王妃をはじめ、この世界との別れでもある。

楽しみという言葉では語り尽くせないほどの感情が溢れているのだ。

ギーゲル画伯は楽しみだと語るシュウの表情に何か憂いのようなものを感じ取ったのだろう。
不思議そうな表情をしていたが、ギーゲル画伯に分かる由はない。


「さぁ、それでは私の絵をご覧いただきましょう」

ギーゲル画伯は隣に控えていた弟子たちに、

「お前たち」

と声をかけ、持ってきていた箱を机に並べさせた。
そしてその箱から丁寧に絵を取り出し我々に見せてくれた


「ほぉっ……」
「わぁっ!」
「これは……!」
「すごいっ!!」

そこに二枚並べられた絵は同じ構図で、我々4人が楽しげに語り合っている様子が描かれ、今にも楽しそうなシュウとトーマ王妃の声が聞こえてきそうなそんな臨場感があった。

これなら数百年の時を隔ててもいつでも2人を感じられる。
シュウの寂しさもこの絵が受け止めてくれることだろう。

アンドリュー王もこの絵の出来栄えの素晴らしさに喜び、褒美をとらそうと声をかけたのだが、
ギーゲル画伯は

「いえ、褒美など滅相もございません。私はこちらの絵をいただくことが褒美だと思っております」

と言って、弟子にもう一つの箱を机に置かせた。
そして、その箱から丁寧に絵を取り出すと、我々に見せてくれた。

てっきり我々にくれるものと同じ構図だと思ったその絵はシュウとトーマ王妃を正面に、そして後ろから2人を見守るようなアンドリュー王と私の姿。

我々4人からは互いに慈しみ合うようなそんな感情が読み取れる。

なぜギーゲル画伯はこの一枚だけこの構図にしたのだろう。
そう思った時、アンドリュー王がギーゲル画伯に尋ねた。

『素晴らしい絵だ。しかし、なぜこれだけこの構図にしたのだ?』
という私の疑問と同じアンドリュー王の問いかけに、ギーゲル画伯はその言葉に答える前に、弟子たちを応接室から出るように指示をした。

よほど聞かれたくない話なのか……それとも別の意図が?

弟子たちには元々そのように伝えていたのかもしれない。
手際よくすぐに我々に頭を下げさっと部屋を出ていった。

扉が閉まったのを確認してからギーゲル画伯がゆっくりとアンドリュー王に向き直り、謝罪の言葉を述べながら弟子たちには聞かれたくなかったのだと答えた。
やはり何か複雑な事情でもあるのだろうか……。


「何か配慮してくれたのだろう?」

アンドリュー王の言葉にギーゲル画伯はシュウとトーマ王妃に視線をむけ、穏やかな笑みを浮かべながら、以前シュウとしたという会話を語りはじめた。

――シュウにとって、アンドリュー王とトーマ王妃がどのような存在か

その質問にシュウはアンドリュー王についてはすぐに答えたものの、トーマ王妃については即答せずに必死に超えたを探している様子だったと教えてくれたのだ。

あれは確かギーゲル画伯が我々の絵を描いてくれる経緯を尋ねたときだ。

シュウは自分が平民であるにも関わらず公爵である私の伴侶になったことでどうやったら私の役に立てるか、そしてサヴァンスタックの領民のために何ができるかを悩んでいたという。
自分が満足いく勉学をしてこなかったことも不安の要素であったようだ。

そう悩んでいたシュウにトーマ王妃は

――シュウは知識が足りないだけなのだ。知識は努力で補うことができる

と声をかけてくれたという。

シュウが悩み苦しんでいた暗闇に一筋の光を与えてくれたというわけだ。
そんな道標とも言える言葉を与えてくれたトーマ王妃のことだからこそどんな存在かなどと一言では語り尽くせなかったのだろう。
シュウの言葉が詰まるのも当然だ。

だからこそ、ギーゲル画伯はシュウとトーマ王妃の深い繋がりに気づいたのだ。

「奥方さまのお言葉には王妃さまへの愛が感じられました。ですから、お二人の素晴らしい縁を残しておきたくあの構図にしたのです」

ギーゲル画伯のその言葉にシュウたちはもちろん、私もアンドリュー王も大いに納得した。

2人の深い繋がりを活かすのはあの構図しか考えられないな。

「なるほど、ギーゲル画伯。あなたは本当に素晴らしい絵師だ。このような絵を描いていただき感謝する」

そうお礼を言うと、ギーゲル画伯は嬉しそうに微笑みながらお礼を言ってくれた。

シュウは目の前に並べられた三枚の絵を前に、それをじっくりと見つめた後で何かを尋ねようかどうか悩んでいる様子だったが、意を決した表情でギーゲル画伯に声をかけた。

「あ、あの……ギーゲル画伯。一つだけお伺いしたいことがあるのですが……」

不安げなシュウの表情とは対照的にギーゲル画伯は少し笑みを浮かべながら
余裕そうに『なんですかな?』と聞き返した。


「あの……私たちの絵が全部白黒なのは意味を持って描かれたんでしょうか?」


その質問に、トーマ王妃がハッとしたのが見えた。
おそらくトーマ王妃もそのことを思っていたのだろう。

本来ならば、我々王族に献上される絵は彩り豊かな美しい色をつけて描かれる。
今日見たシュウの絵がまさしくそれだ。

アンドリュー王の金色の髪も淡い水色の瞳も、トーマ王妃の漆黒の髪も瞳も、そしてパールの白い毛色もどれもが美しい色を見せてくれていた。

しかし、ギーゲル画伯の絵は全て紙の白と黒い筆だけで描かれた白黒の絵。
だが、色のない世界だからこそ、我々4人が光り輝いているように見えるのだ。

その美しさだからこそ、白黒の絵でもシュウが質問するまで誰も疑問になど思わなかったのだ。

普通、ギーゲル画伯が我々4人の姿を残したいと描くなら、本当であれば色をつけるはずだろう。
それは王族への献上品だからではない。
それはギーゲル画伯の絵はトーマ王妃とシュウがお互いの繋がりを忘れないようにと描いてくれることになったものだからだ。

そこをあえて白黒にした理由はなんなのだろうか。

私はシュウの質問にギーゲル画伯がなんと答えるか、ただじっと見つめていると、ギーゲル画伯は『ふっ』と一瞬笑みを浮かべながら、

「それは奥方さまが一番ご存じなのではと思いますが……」

と意味深に返した。

シュウが一番わかっている……ギーゲル画伯は一体何を言いたいのだろう?

そんなギーゲル画伯の言葉にシュウは何かを言いかけたものの、口を噤んだ。
途中で問いかけをやめたシュウに、いや、私たち全員に聞こえるように、

「皆さまの絵には白黒が一番ふさわしいと感じた……ただそれだけでございます」

とにこやかな笑顔を見せながらそういってくれた。


――我々の絵には白黒がふさわしい。

ギーゲル画伯の言葉はその一言に尽きるようだ。

その言葉を胸に刻みながら、もう一度あの三枚の絵をじっくりと見つめる。
無色の世界のシュウはかずらをつけたあの金色の髪ではなく、トーマ王妃と同じ漆黒の髪色をしている。

そして、赤色の鬘をつけた私もシュウやトーマ王妃、そしてアンドリュー王と同じ姿だ。

そう、この世界はなんの差別もない。
私の理想郷がある。

幸せに語り合う我々4人の絵姿は、誰にも不審に思われることなく、数百年後の私たちの部屋に飾ることができるのだ。

だからギーゲル画伯は我々の絵を白黒にしたのではないか。

ということは、私とシュウが本当の姿を隠していることに気づいているのかもしれない。
ギーゲル画伯の画家としての目が我々の姿を見破ったということか……。

画家としての観察眼ということだろうか……さすがだな。

シュウもそのことに気づいたのだろう。
シュウは何度も何度もギーゲル画伯にお礼を言い、ギーゲル画伯に肖像画が完成するまで頑張りますと笑顔で言い切った。

「ギーゲル、この絵の私よりアルフレッドの方が些か良い男に見えないか?」

「もうアンディー、何言ってるの? すっごく格好良く描いてくれているのに」

「そうか? トーマはこの絵の私が好きか?」

「ふふっ。だって、僕にはアンディーが格好良く見えるもん」

「そうか。トーマが格好良いと言ってくれるなら、ギーゲル、このままでいいぞ」

アンドリュー王の突然の言葉にギーゲル画伯は少し戸惑っているようだったが、トーマ王妃からすぐに格好良いと言われればすぐに変わるのだ。
ただの惚気だから心配せずとも良いとこっそり言ってやると、ギーゲル画伯はホッと一息吐くと安心したように微笑んだ。

しばらくギーゲル画伯との会話を楽しみ、構図違いのあの素晴らしい一枚の絵を持って、ギーゲル画伯は弟子たちと共に帰っていった。

褒美はいらないとギーゲル画伯は言っていたが、おそらくアンドリュー王からギーゲル画伯のアトリエに寄付が与えられるのだろうな。

あれほどの絵を三枚も描いたのだ。
ゆっくりと身体を休めて欲しいものだ。


ギーゲル画伯が帰って行った後、応接室でもう一度4人で絵を眺めながら語り合った。
アンドリュー王もトーマ王妃もギーゲル画伯が絵を見せた時に一瞬白黒であることに驚いたようだが、それを打ち消すほどの素晴らしい絵に納得したようだ。

ギーゲル画伯とシュウの会話を聞いて、アンドリュー王にもトーマ王妃にも思うところがあったのだろう。

きっと2人の中では絵の中の我々はお揃いの髪色と瞳の色に補正されているのだろうな。
偽りの姿をこの地に残すことにならずに済んで本当によかった。

「これは我々4人の宝物ですね」

そういうと、シュウはもちろんアンドリュー王もトーマ王妃も満面の笑みを返してくれた。

シュウはそのままの笑顔で

「アンドリューさまとお父さんの肖像画……あと1週間くらいで出来上がるんだ。
その前に素敵な贈り物をもらえて本当によかった」

と語りかけた。

その目に涙を潤ませ、必死に零さないように耐えながらそれでも笑顔を見せるシュウにトーマ王妃も必死に涙が出そうになるのを抑えながら笑顔で

「よかった、本当によかった」

と返してあげていた。
アンドリュー王が涙を堪えるトーマ王妃にピッタリと寄り添っているのが印象的だった、

2人が別れて伴侶が悲しい思いをしないように、我々がいつまでも寄り添っていこう。
アンドリュー王の目がそう私に訴えかけているように見えて、私は心の中で必ずやお守りしますと誓いながら、アンドリュー王の目をしっかりと見つめた。

ギーゲル画伯の絵を大切に箱に入れ、シュウと共に部屋に戻った。

シュウはこの絵を嬉しそうに見ながら、我々の時代へと帰ったらこの絵をどこに飾るか? と尋ねてきた。

アンドリュー王とトーマ王妃に贈られた絵は我々の時代ではどのような扱いになっているのだろうか。
もし国宝にでもなっていたならば、同じ絵である我々の絵は他の者に知られると厄介だな。
その場合はやはり我々にしか見られないように寝室にでも飾るべきか?

だが、絵とはいえアンドリュー王とトーマ王妃に私とシュウの交わりを見せるのは些か抵抗がある。
いや、些かではない。
絶対に許せないことだ。

とすると、我々の部屋の居間にでも飾ることになるだろうか。
我々の部屋ならばメイドたちかマクベスぐらいしか入ってくることはないし、あの絵の存在が知られることはない。

やはり居間が一番良いだろうな。

そう考えた上でシュウに居間に飾ろうかと話したのだが、シュウは私が絵でさえもシュウの裸を見せたくないという言葉に引っ掛かりを感じたようだ。

「そこ、気になる?」

と不思議そうに尋ねるが、いや、そこしか気にならない。

アンドリュー王もおそらく寝室に飾ることはしないだろう。
トーマ王妃の裸を息子であるシュウはともかく、私に見られると思えば私と同じように拒否するはずだ。

シュウはそれが信じられないようでアンドリュー王もトーマ王妃もそんなことを気にするはずがないと自信満々に言い、もし寝室に飾ると言ったら寝室にしてもいいか? と聞いてきたが、アンドリュー王が絶対に許すはずがないことがわかっているのだからもう答えはわかったも同然だ。

お互いに本気で言い合っているわけではなく、シュウも面白半分で言っているだけだろうが、まぁ正直なところアンドリュー王が私と同じ気持ちかを確かめてみたいだけだ。

明日、夕方のお茶の時間にシュウはトーマ王妃に尋ねるつもりだろうが、私は先にアンドリュー王に聞いてみるとしよう。

ふふっ。明日アンドリュー王に会うのが楽しみだな。

あの絵をどこに飾るか問題がとりあえず保留になったところで、今度は

「ねぇ、お父さんたちの肖像画が出来上がったら、どのタイミングでぼくたち元の世界に戻るんだろう?」

と尋ねられた。

そうだ。
私もそのことはずっと考えていた。

だが、私は一つの答えを導き出していた。
それはやはりあの時と状況を作ることだろう。

あの時、あの部屋でアンドリュー王とトーマ王妃の肖像画を前にパールがシュウの服の中で暴れ始めて、体勢を崩したシュウが肖像画にぶつかりそうになったのを助けようとしてそのままあの眩い光に包まれた。

あの『神の泉』で包まれたのと同じ光。

神は我々をあの光でこの時代へと送り込んだのだ。

とすれば、きっと同じようにシュウの描いた肖像画にシュウと共にぶつかれば、またあの時のようにあの光が現れるはずだ。

そう話すとシュウは『わかった』と納得しているようだった。

完成をずっと見守ってきていたブルーノは別れが近いことを知っているだろう。
これまでシュウのことを見守ってくれていたこの城の者たちにもシュウは別れを告げたいと思っているだろうな。

完成まで1週間だと言っていたから、そろそろ自分達の郷里に戻ると伝え始めたほうがいいかもしれない。

明日にでもアンドリュー王に相談してみるとするか。


翌日、執務室でアンドリュー王に会ってすぐに、

「陛下。あの絵はどちらに飾ることになさったのですか?」

と尋ねると、アンドリュー王は『ああ、あれか……』と言いながら、

「あれは居間に飾っているぞ」

と教えてくれた。

「やはりそうでございますよね」

アンドリュー王も同じ気持ちだったかと安堵して一息ついた。

「んっ? と言うと?」

「いえ、シュウがどうしても寝室に飾りたいと言い出しまして……」

「ああ、そういうことか。ふふっ。やはり親子だな。トーマも同じことを言っておったぞ。
ベッドから見える位置に飾れば就寝の挨拶もできるし、いつでもシュウに話しかけられるとな。だが、其方も同じだと思うが、たとえ絵とはいえトーマのあのような姿をシュウや其方にも見せるわけにはいかないだろう?
寝室に飾るならシュウに目隠しをつけねばならん、それに誰も立ち入らぬ寝室に置いておく方が可哀想だろうと言ったらトーマも納得してくれたぞ」

「なるほど。さすが、陛下」

「ははっ。煽ても何もでらぬぞ。それで、其方たちはどうすることにしたのだ?」

「トーマ王妃にお尋ねして同じ場所にすると申しておりましたから、我々も居間になるかと存じます」

「そうか、それなら良いな。だが、2人して寝室がいいと言い出すとは、あちらの世界では大切な絵は寝室に飾る風習でもあるのかも知れぬな」

そう言われて、なるほど確かに……と思った。

だが、シュウの願いならなんでも叶えたいとは思っているが、風習があったとしてもこればかりはさすがにきけぬ。
トーマ王妃が納得してくれたことに心から安堵した。

「そういえば、もう一つご相談があるのですが……」

「どうした?」

「来週にはここから離れることになりそうですので、シュウが城の者たちに別れの挨拶がしたいと申しているのですがどのようにしましたら良いでしょうか? お知恵をいただければと存じます」

「そうだな、其方もシュウもここには随分と慣れ親しんだからな、急に帰るとなれば城の者たちもがっかりするだろう。
明確な日は言わずにそろそろ……と話をしておくか。ヒューバートにだけは其方たちのことを話しても良いかも知れぬな」

「ヒューバートに? よろしいのですか?」

「ああ、其方たちのいなくなった後の混乱を鎮めるにはヒューバートが知っておいた方が良いだろう」

そう言われればそうだな。
私たちがヒューバートたちの知らぬ間にここにやってきたことになったこともかなり騒動になったらしかったし、次に我々が急にここから帰ったことを騎士団団長として知らなかったとはさすがに言えないだろう。
ヒューバートの責任問題となっても困るし、これまで世話になった相手だ。
最後くらいはきちんと挨拶をしておいた方が良いだろうな。

「では、近いうちにシュウと共にヒューバートに説明を」

「ああ、そのときは私とトーマも一緒にいよう」

「ありがとうございます」

これで城の者たちへの挨拶はなんとかなりそうだ。
ヒューバートに話すのはいつにしようか。



「お父さんたち、あの絵を居間に飾ってたよ」

「ふふっ。そうだろう?」

東屋でのお茶会の後、あの絵を飾っているところが見たいと言ったらトーマ王妃が見せてくれたようだ。

「どうした? それでもシュウは寝室が良いと思ったのか?」

「ううん、そうじゃなくて……居間にあるのすごく綺麗だった。
考えてみたら、寝室ってずっと暗いもんね。お父さんたちを暗いところに置いておくよりは居間の方が何倍も良さそう」

「ああ、そうだな。我々もあちらに帰ったら一番目につくところに飾るとしよう。
そうしたらいつでもトーマ王妃と陛下のお顔がみられるぞ」

「うん。そうだね。そうしよう。それまではあのケースに保管しておこうね」

シュウはテーブルに置かれたあの絵の入った箱を愛おしそうな眼差しで見つめていた。


それからしばらく経って、そう言えば……と今日アンドリュー王と話したことをシュウに伝えた。

「――というわけでな、我々がいなくなった後の混乱を鎮めるためにもヒューバートには我々が未来からやってきたことを話した方が良いと仰るのだ。それで近々話そうと思うのだが、シュウはどう思う?」

「でもヒューバートさん……信じてくれるかな? ぼくたちが未来から来ただなんてそんな話……」

「大丈夫だ。ヒューバートは陛下が信頼しているこのオランディア王国の騎士団団長だぞ。我々が嘘をついて騙そうとしているかどうかなどすぐにわかるはずだ。それに陛下もトーマ王妃も一緒にいてくださるそうだからな」

「そっか、それなら大丈夫そうだね。ああ、でも緊張しちゃうな」

「大丈夫。私がついているから」

「うん、そうだね」

そう言いつつも、私もヒューバートがどのような反応をするか、少し緊張していたことはシュウには内緒だ。
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