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第四章 (王城 過去編)

フレッド   37−1※

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歯を磨きなんとか口を濯ぐまでは持ち堪えたシュウだったが、そのまま私の腕の中でぐっすりと寝入ってしまった。
片時も離していたくなくて、私はシュウを抱きかかえたまま身支度を整え寝室へと向かった。

ベッドに横たわらせ腕の中に包み込むように抱きしめると、シュウは嬉しそうに笑っていた。

「ふ、れっど……ふふっ」

寝ている間も私の名を呼んでくれるのか。
私は本当に幸せ者だな。

明日は仕事も休みだ。
久しぶりにシュウとゆっくりとした時間を過ごすことにしよう。

私はシュウの甘い匂いに包まれながら眠りについた。





「旦那さま。おかえりなさいませ」

んっ? お前、マクベスか?

「旦那さま、どうかなされたのですか?」

いや、大丈夫だ。
そういえば、ここは見慣れたサヴァンスタックの屋敷。
私はいつの間に戻ってきたんだったか?

はっ! シュウは? シュウはどうした?
まさか今までのことは私の長い夢?

「旦那さま。シュウさまならこちらに……」

「フレッド、おかえりなさい」

シュウが突然マクベスの後ろから現れて私に抱きついてくる。
黒髪に私の瞳色のピアスが光っている。
久しぶりにみる男性の格好をしたシュウの姿に胸がときめく。

ああ、シュウ。
良かった。
女性の格好をしていた時も美しかったが、シュウはやはり男性の姿が似合っている。
なんて可愛らしいんだ。
柔らかなシュウを抱き寄せると途端にシュウの甘い香りに包まれた。

シュウ、今日は何をしていたんだ?

「ふふっ。フレッドのためにご飯作ったんだよ。食べる?」

ああ、そうだな。だが、その前にシュウを食べさせてくれないか?

「フレッドったら、そんなことをマクベスさんの前で恥ずかしいよ」

恥ずかしがることはないだろう?
私たちは愛し合っているのだから。
ほら、シュウ……寝室に行こうか。

恥じらって顔を真っ赤にするシュウを抱き上げるとシュウは私の首に手を回し身を預けた。
シュウもその気になっている。
私は喜びに胸を震わせながら、シュウをベッドに座らせた。

抑えきれない衝動にシュウの服を脱がせていくと、そっと手を掴まれた。

「ねぇ……先に『ちゅー』してよ」

ああ、私としたことが欲望に負けて口づけもせずに服を脱がせるとは……。
シュウの唇に重ね合わせるとシュウは嬉しそうにそっと唇を開いた。
誘われるように舌を挿し入れると甘い甘い唾液の味に蕩けそうになる。

口付けを交わしながらゆっくりと服を脱がせると、シュウが『んっ』と可愛く喘いだ。
どうやらシュウの胸の尖りに触れてしまったようだ。

私が触れるのを期待しているかのようにぷっくりと膨らんだ胸の尖りを指先で弄ると、

「ああっ……やぁっ……ん」

シュウから甘やかな声がする。

そっと唇を離し、胸の尖りを可愛がってあげようと顔を近づけると、『ふれっどぉ……』とシュウの声が聞こえる。

どうしたんだ?

「あの……ぼくまだ、お風呂入ってないんだけど……」

ふふっ。なんだ、そんなことか。
シュウの濃い味が味わえるのなら最高じゃないか。

「やだっ、そんなの」

恥じらいながら手で身体を隠そうとするシュウの両手を掴み、頭の上で押さえつけるとシュウは恥ずかしそうに身体を震わせる。
しかし、それが余計に私の興奮を高めることに気づいていないのだろうか。

モジモジと身体を震わせるシュウの胸に唇を寄せ、口の中でコロコロと転がしてやるとシュウの果実のようなモノからピュッと蜜を飛ばした。

まだシュウのモノには何も触れていないのにこんなにも感じてくれるシュウが可愛くて、私はもう我慢の限界だった。
シュウの足を高く持ち上げると私の目の前に可愛い蕾が現れた。

最初は固く閉ざしていた蕾だったが、私との交わりですっかり私の形を覚えてくれたこの可愛い蕾。
顔を近づけ舌を出し蕾を舐めると濃く甘い蜜の味がする。
果実から漏れ出た蜜が蕾を濡らしてるんだ。

なんて美味しいんだ。

貪るように蕾に舌を挿し入れると、中はとてつもなく熱くグチュグチュに蕩けている。
ああ、ここに愚息を挿入てやったらどれほど喜ぶだろう。

シュウ、待っていてくれ。
今すぐシュウの奥深くまで突き入れて可愛がってやるから。

私は凶悪なほどに昂った愚息をシュウの小さな蕾にあてがいグッと押し込んだ――――


ビクッと全身に電流が走ったような刺激を感じて私は目を覚ました。

んっ? ここは……?

サヴァンスタック……の屋敷ではないな。
そうか、夢だったか。

だがあの刺激は?

恐る恐る布団を捲り愚息に目をやると、シュウの可愛らしい小さな手が服の上から愚息を握っている。
なんの夢を見ているのか嬉しそうに愚息を弄るシュウの姿に可愛らしいと思いつつも、激しくなるシュウの動きに私も興奮が止まらない。

「ああっ、くっ――!」

恥ずかしいことに私は眠るシュウにイかされてしまったのだ。
夢の中から刺激を受け続け凶悪に育っていた愚息は大量の蜜を吐き出し、ようやく普段の姿を取り戻したが寝室中が私の蜜の匂いで充満している。

私はシュウを起こさないようにそっと起き出し風呂場へと駆け込んだ。

さっと身体を清め新しい夜着を纏い、シュウの隣に潜り込んだ。

ああ、今日はシュウの可愛い悪戯にすっかりやられてしまった。
私はシュウの唇にそっと口付けを落として眠りについた。

それにしても久しぶりに見たマクベスの姿……我々が元の時代に戻った時あの屋敷にマクベスはいるのだろうか。
どうなっているのか見当もつかないな。


んんっ? くすぐったいな。

シュウの悪戯で愚息が蜜を吐き出して落ち着いたところでシュウを抱き枕にして、久々にぐっすりと寝入っていると何かが髪に触れている感触がする。

そっと目を開けてみると、シュウが私の地毛に触れているのが見えた。
途中でシャワーを浴びたりしたから髪が乱れていたようだ。
みっともないところを見せてしまったかと思ったが、シュウは私の金色の髪に優しく触れながら嬉しそうに微笑んでいる。

ああ、シュウは本当に私の全てを愛してくれているのだな。
誰しもが嫌がって触れるなんてことされたこともなかった私の髪をあんなに愛おしそうに見つめながら触れてくれるなんて……。
頑なだった私の心に触れてくれたのはいつでもシュウの笑顔だったんだ。

もし、歴史が変わってマクベスや他の者と会えずとも諦められるが、シュウだけは絶対に手放したりしないよ。

シュウが私の金色の髪に触れてくれるのを寝たふりをしてじっと幸せを感じていると、シュウが突然私の頬に触れた。
柔らかくすべすべとした指の感触が心地良い。

私の頬を何度かペタペタと触れた後で、今度は自分の頬を触り『うーん』と声を上げたと思ったら、急に『ふふっ』と笑い出した。
それがあまりにも可愛くて私は思わず『何を笑っているんだ?』と声をかけてしまった。

しまった! もう少しシュウの可愛い悪戯を楽しもうと思っていたのに。

だが、もうバレてしまったのなら仕方がない。

急に声をかけて驚かせてしまったシュウに『驚かせて悪かった』と言うと、シュウもまた『起こしてごめんね』と返した。

いや、こんな天使の微笑みが見られるのなら毎日でもしてほしいくらいだ。

シュウに朝の挨拶を強請ると、シュウは少し恥じらいながらもそっと唇に口づけして大好きだよと言ってくれた。
ふふっ。夜中に愚息にあんな淫らな悪戯をしてくれたというのに、起きているシュウは初心うぶなのだな。

そんなシュウが可愛くてシュウの耳元に愛の言葉を囁いて軽い口付けをしてから、

「さっき何を笑っていたのか、教えてくれないか?」

と尋ねた。

すると、シュウはそのことを思い出したのが少し笑顔を見せながら、自分に髭が生えたらどんな感じになるのかを想像していたと教えてくれた。

シミやホクロ、アザも何一つないすべすべの赤子のような肌をもつシュウに髭???

全く持って想像つかないが、もし今のこのシュウの顎に髭が生えたら……?

「ははっ。シュウに顎髭が生えたら……くっくっくっ。か、可愛いじゃないか」

シュウと髭……あまりにも不適合なその取り合わせに思わず笑ってしまう。
シュウは私のその反応に『もうっ! フレッドっ!』と拗ねて、両手で私の胸を叩いてきたが、正直言って何の痛みも感じなかった。

逆にシュウが痛いのではないかと思ってしまったが、シュウのそんな子猫のような非力な叩きっぷりに愛おしさが増したのは言うまでもない。

シュウの透き通るように白くすべすべの肌に触れながらシュウを抱きしめ、『ごめん、ごめん』と謝ると、
『仕方ないなぁ、許してあげる』と可愛い返事が返ってきた。

「ねぇ、そういえばぼくもフレッドの夢を見たよ」

「ほぉ、夢の中でまでシュウと出会えるとは幸せだな」

「フレッドとピクニックしてたらお花畑を見つけてね、甘くて美味しそうな匂いでいっぱいでお腹いっぱいになっちゃったんだ」

「――っ! そ、そうか。楽しそうな夢だな」

「うん。でもあの匂いよく嗅いだことあるぼくの好きな匂いだったんだよね~。
夢の中なのにすごく鼻に残ってる気がするんだ。あの匂い、何だったかな~」

まずい、もしかしたらシュウは寝ていてもあの匂いを覚えているのかもしれないな。
あのことがシュウに知られるのだけは避けたい。

私は『そろそろ朝食にしようか』と声をかけると、ちょうどよくシュウの腹の音が鳴った。

私はシュウを抱きかかえて朝の身支度をしに洗面所へと連れていった。

「ねぇ、そういえば髭の話だけど……」

その言葉でシュウに顎髭が生えた姿を思い出して思わずニヤける。
揶揄い混じりに『可愛い髭の話か?』と声をかけると、

「もう、違うってば。フレッドのほっぺたちくちくしてたよ。フレッドっていつもいつ髭を手入れしてたの?」

と聞かれた。

その時初めて自分の頬に手をやると、そういえば少し伸びているか……。
昨日はアレ・・を塗るのを忘れていたな。

シュウは私の言葉に『どういうこと?』と尋ねてきた。

そうか、シュウは知らなかったか。
まぁシュウには必要ないものだからな。

シュウに私が風呂で使っている洗顔に髭を溶かす成分が入っているのだと教えてやると、
『えーっ、知らなかった』と驚いている姿が可愛らしかった。

自分の洗顔にも同じものが入っているかと尋ねるシュウに

「シュウのは生まれたばかりの赤子が使う肌に優しいものだよ。シュウにそんな強い成分を使ったら綺麗な肌が台無しになってしまうよ」

と教えてやると、シュウは自分の頬を撫でながら何だか不思議そうな顔をしていたが、どんな表情でもシュウの可愛さは変わらないな。

それにしても成人していてあの洗顔を使っているのは世界広しといえども、シュウとトーマ王妃だけだろうな。
本当にシュウたちの肌のきめ細やかさには驚かされる。
あちらの世界の人間は皆シュウたちと同じような肌質をしているのだろうか?
それともトーマ王妃とシュウのようにあの五芒星の痣を持つもののみの特徴なのだろうか?
いずれにしても2人の肌は国宝級の美しさだな。

シュウに洗顔した後の肌を触れさせると、『つるつるだっ! すごいっ!』と喜んでくれたが、ひとつ気になることがある。

「シュウは私が髭を生やすのはどう思う?」

そう尋ねてみると、シュウはしばし考えながら私の顔をじっと見つめて、

「かっこいいかも……」

と言ってくれた。

そうか、シュウは髭が好みだったか。
それならすぐにでも生やしてみるか?
一週間ほど塗らなければすぐに生えるだろう。

「シュウが髭がある方が好みだというのなら、伸ばしてみるのもいいかもしれないな」

「あ、でも伸ばしている間はチクチクするから、フレッドと『ちゅー』できないなぁ……」

えっ? 『ちゅー』できない?
一週間もシュウと口付けができない?
そんなこと耐えられるわけがない。
シュウ好みにするのは興味はあるが、それでシュウとの口付けが奪われるならそれは無しだ。

慌てて撤回すると、シュウは可愛らしい表情で、

「ふふっ。冗談だよ」

と笑っていた。
ああ、もう本当にシュウの言葉の一つ一つにすぐ翻弄されてしまうな、私は。
だがそれもまた幸せというものだ。

「フレッドのほっぺた、つるつるの方が気持ちいい」

そう言ってシュウは綺麗になったばかりの私の頬に口付けを落としてくれた。
ああ、なんて可愛いんだろう。
シュウが愛おしすぎておかしくなりそうだな。

シュウを抱き上げ寝室へと戻り、鏡台の前に座らせた。
シュウの美しい漆黒の髪がかずらで隠れてしまうのもだいぶ見慣れたが、夢で見た黒髪で男性の格好をしているシュウも実に麗しかった。

だが、この鬘ともお別れする日が来る。
しかもそう遠い未来でないことになんとなく寂しい気分が込み上げる。
私は色々な気持ちを込めながら丁寧にシュウの髪に金色の鬘をつけた。

シュウの今日の服に私の鬘と同じ赤い服を選んだのは、もし、ジュリアン王太子と会うことになった場合に私の色を身につけさせている方が牽制になっていいと思ったのだ。
今日の赤い服はいつにも増してよく似合っている。

身支度を整えからブルーノを呼び、朝食の支度をしてもらった。
シュウを膝に乗せ、全ての食事を食べさせてやったが、シュウは嫌がるどころか嬉しそうに食べてくれた。
ふふっ。シュウが怪我をするのは忍びないがこうやって大っぴらにシュウの世話ができるというのは最高だな。

食後に紅茶を飲みながらブルーノにジュリアン王太子の様子を尋ねると、今の時間はアンドリュー王とトーマ王妃と一緒に朝食をとっているらしい。
どうやらアンドリュー王の怒りは解けたようだな。
シュウに恐怖を与えたのは許し難いが、地下牢に入れられずに良かったと思う。

ジュリアン王太子の今日の予定を尋ねると、

「今日は午前はアンドリューさまがジュリアンさまを執務室にお連れになって、フレデリックさまのお仕事をさせなさるとのことでございます。午後はトーマさまが畑にお連れになるようでございますよ」

と教えてくれた。
ジュリアン王太子がアンドリュー王とトーマ王妃と共に過ごすのなら、今日はそこまで神経質にならずとも良いか。
だがシュウも怪我をしていることだし、今日はゆっくりと家で過ごすこととしよう。

シュウを膝に乗せソファーに腰を下ろすと、シュウが私を押し倒してくる。

「フレッド~! ふふっ。いい匂い~」

正直シュウのか弱い力に私が押し倒されることなどあり得ないのだが、シュウが戯れてくるのが可愛くてシュウにそのまま押し倒されてやる。
私はシュウの大きな目で上から覗き込まれるのが好きなのだ。

ただ、こうやってシュウと戯れているとどうも愚息がよからぬことを考えてしまう。
シュウの甘い匂いに愚息がすぐに昂ってしまうのだ。
数時間は我慢したが、このまま密着しているとシュウを襲ってしまうかもしれないな。
さすがにシュウがあんなに怖い思いをした上に怪我までしているというのに、朝から交わりをしたとわかればトーマ王妃にはもちろんブルーノにも何を言われるか……。

想像に身を震わせながら、私はシュウに『厩舎に行ってみよう』と声をかけた。
外に行くのは少し心配ではあるが、アンドリュー王とトーマ王妃がジュリアン王太子についているなら大丈夫だろう。
ここで二人で密着しているよりは気が紛れていい。

私のそんな企みなど気づかずにシュウはただ純粋に厩舎に行けることを喜んでいる。
シュウは私と密着していても昂ったり良からぬことを考えたりすることはないのだろうか?
私と交わるときはあんなにも淫らになるというのに、普段は本当になんの欲望も持たない子どものようだ。
本当に不思議だな。

シュウと厩舎に行くとブルーノに告げると、快く見送ってくれた。
おそらくジュリアン王太子はその近くにはいないのだろう。
ブルーノの様子に安堵し私はシュウを抱きかかえ、厩舎へと向かった。

我々の後ろからは護衛の騎士たちが三人ついてきている。
他にも三人隠れるようについてきているのはシュウには内緒だ。
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