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第四章 (王城 過去編)

フレッド   35−2※

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ベッドの背もたれにもたれかかった私の身体を跨いで子どものように抱きつきながら紅い花を散らそうとチュッ、チュッと私の鎖骨あたりに可愛らしく吸い付いてくる。
シュウが与えてくれる仄かな痛みに幸せを感じながら、私がシュウの柔らかな黒髪を優しく撫でるとくすぐったいのかシュウがほんの少し身を捩る。

それでも吸い付くのをやめようとしないシュウが可愛くて、髪を撫でていた手をそっと下に移動させると滑らかな肌が手に吸い付いてくる。
なんともいえない絹のような手触りを心地良く感じながら、手を滑らせシュウの小さくて丸い尻を揉むと

「もうっ、フレッド……いたずらばっかり」

と頬を少し膨らませながら拗ねてみせるが、そんなに顔を赤らめていてはなんの説得力もないぞ。

「シュウ、舐めてくれ」

私の指をシュウの唇に当てると、シュウはまるで子猫のように舌を出してぺろぺろと舐め始めた。
私の指がそんなにも美味しいのだろうかと錯覚するほどに、嬉しそうに舐めるその姿は私の興奮をさらに増していく。

シュウの甘い唾液を纏った指を『もういいぞ』と口から離し、ゆっくりとシュウの蕾を撫でると、毎日のように可愛がっているからか私の指の感触を覚えているようでなんの抵抗もなく、プツリと挿入はいりこんだ。

「んっ……」

可愛らしい声をあげるがその声に痛さを感じている様子は一切ない。
それどころか、熱っぽい目で『もっと奥まで挿入いれて』と訴えかけている。

ふふっ。シュウはすっかり私色に染まってくれた。
そう、私だけに淫らな姿を見せてくれるのだ。

シュウの願い通りに指を奥まで挿入いれてやると、『ああっ、んっ……んんっ』と気持ちよさそうな声を上げながら身を捩る。
どうやら無意識に自分の気持ち良い場所に当てようとしているようだ。

ちょっと焦らして違う場所に当てていたことに気付いたのか。
やっぱりシュウはいやらしく可愛い。

ならばと指を曲げシュウの良いところに当ててやると、

「ひゃぁ――っ! ああっ、んっ……」

ピュルっとシュウの果実から蜜が溢れた。
シュウが私の指だけでイくようになったことに頬のニヤケが止まらない。

私の胸についたシュウの甘い蜜の香りとシュウの痴態に我慢も限界になり、私は蕾から指を引き抜き、そこに愚息をあてがった。
待ちかねていた愚息は自分でも引くほどに硬く天を向いて聳り立っていたが、シュウの蕾の方も愚息が挿入ってくるのを待ち望んでいたようでなんの抵抗もなくスルスルと飲み込んでいく。
あっという間にシュウの中に包まれて気を失ってしまうかもしれないと思うほどの快感の中、シュウの最奥にまで到達した。

私が腰を動かすたびに『フレッド、きもちいぃ、もっとぉー』と甘い声を上げられ、すでに限界を迎えていた私は我慢することもできずにシュウの最奥に蜜を放った。
が一向に萎える様子などない。
私はそのまま何度も何度もシュウと愛を交わし続けた。
それこそ蜜が空っぽになるほどにシュウと交わりを続けた。

身体中がお互いの蜜の香りに包まれて、心の奥底まで満ち足りた気がした。
身体を清めにいくこともなく、2人でそのまま裸で戯れ続けるのがこんなに楽しいとは思わなかった。
ああ、こんな時間がずっと続けばいい。
私はそんな思いでいっぱいだった。

シュウは私の身体に身を委ねながら、自分がつけた紅い花を愛おしそうに撫でる。

シュウの細く長い指が鎖骨や首筋を滑っていくだけで気持ちがいい。
幸せをひしひしと感じていると、シュウが

「ねぇ、フレッド。ぼく、何か不安にさせちゃった?」

と尋ねてきた。

シュウの優しげな瞳に私は自分の狭量さを思い知る。
きっとシュウは私の心が不安定になっているのに気付いていたんだ。
だから、シュウは私を甘えさせてくれたんだな。

そんなシュウの優しさに私はシュウを抱きしめたまま起き上がった。

『私が勝手に心配になっただけだ』
そういうと、シュウは無邪気な表情を見せながら思い出したかのようにジュリアン王太子の名を口にしようとする。

だめだ、私たちのこの寝室でシュウの口から私以外の者の名など言ってほしくない。
私はシュウの口から名前が出る前に自分のそれで唇を塞いだ。

絶対にシュウの口から聞きたくない思いがシュウへの口付けを激しいものにしていく。
甘い唾液に魅了されていると、シュウが息苦しそうに悶え始めた。

慌てて唇を離し、激しい口付けにぐったりと力の抜けたシュウに夜着を纏わらせ優しく抱きかかえて寝室を出た。

交わりをしたばかりのシュウの身体に負担をかけるのは本意ではない。
なんといってもシュウの身体は小さく、そして折れそうなほどに細い。
そんなシュウに自分でさえも引くほどの大きさの愚息を突き立てているのだ。

それがわかっているからこそ、シュウの疲れが癒えるまでベッドに横たわりながら過ごすのだが、あの話をするには寝室は適していない。
できるだけシュウの身体の負担にならぬようにソファーに腰を下ろした。

自分の狭量さに呆れつつ、シュウに私たちの寝室で他の男の話をしたくなかったのだと寝室を出てきた理由を告げると、シュウはハッとしたような表情で『ごめんね』と謝罪の言葉を言ってくれた。

いや、本当ならシュウが謝る必要など一切ない。
ただ私が狭量なだけで、シュウの口からの名前が出るのが許せないだけなんだ。
許してほしい。

シュウとお互いに自分が悪いと言い合って、どちらからともなく『ふふっ』と笑みが溢れたところで、シュウが優しい声で問いかけてきた。

「ねぇ、フレッドが心配に思っていること……教えて」

シュウは私が不安定になっていることを知っている。
もう隠すことなど何もないだろう。

そう自分に言い聞かせて、私はようやく覚悟を決めた。

腕の中にいるシュウを抱きしめながら、私は必死に思いを告げた。
ジュリアン王……いや、ジュリアン王太子がオランディアに帰国するのはシュウに会うためだということを。

シュウはトーマ王妃からジュリアン王太子が帰国するのは我々に会うためだと聞いたと言っていた。
でも本当はそうじゃない。

目的はシュウだけなんだ。

そう話すと、シュウは目を丸くして驚いていた。

信じられないと言った様子のシュウに、ジュリアン王太子が留学しているリャバーヤでシュウがオランディアに突然現れた絶世の美女だと噂になっていること、そしてそのオランディアの絶世の美女にどうしても会いたくてジュリアン王太子が帰国するのだと詳しく説明してやった。

しかし、シュウはそれでも自分が絶世の美女だと言われていることが信じられないようで、ジュリアン王太子は自分を見てがっかりするのではないかと言い出した。

ああ、もう……シュウは何もわかっていない。

現にシュウを見た者たちが次々とシュウに魅了されているではないか。
リャバーヤでの噂もシュウの姿を城下かこの前のレナゼリシアの道中で出会った者たちが興奮気味に話していたに違いない。

ジュリアン王太子がシュウに会ってがっかりなどするわけがない!!

その強い思いを伝えるとシュウ少し怯えたように身体を震わせた。

疲れ果てているシュウに私はなんということを……。
私は慌てて謝罪をしながらも、いい加減にシュウは自分がどれだけ美しいのかわかってほしいと伝えると、シュウは戸惑いながらもようやく少しは理解してくれたようだった。

私はジュリアン王太子がトーマ王妃に一目惚れをして、アンドリュー王から奪い取ろうとしていたこと
アンドリュー王とトーマ王妃が唯一だと知っても諦めようとしなかったこと、
そしてジュリアン王太子が見目麗しい国王として語り継がれていて、シュウを取られるのではないかと心配になってしまったことをシュウに話した。

こんなことをシュウに伝えるなど、自分の狭量さを露呈するようなことは恥ずかしくてたまらないのだが、もう伝えずにはいられなかった。

シュウはこんな私を呆れていないだろうか?
心配しつつ、シュウの顔を見つめるとシュウは穏やかな顔で

「ねぇ、フレッド。ジュリアン王太子が本当にぼくに会うことを目的できたのかはまだわからないけど、もしそうだとしてもぼくはフレッドやお父さんたちと一緒にいる時しか会わないよ。だから、心配しないで。
ぼくたちはずっと一緒だって誓い合ったでしょう」

と優しく言ってくれた。
そして、シュウの指が愛おしそうに、私の指に光るシュウとお揃いの指輪と耳に付けられた黒金剛石ブラックダイヤモンドのピアスにそっと触れ優しく撫でていく。

その瞬間、どちらからも眩い光が放たれ私とシュウの身体を包み込んだと思ったら瞬く間に消えてしまった。

「なんだったんだ、今のは?」

驚く私にシュウは何もかも理解したような表情で

「ふふっ。多分ね、神さまがフレッドにもっと自信を持ちなさい! ってフレッドのお尻を叩いてくれてるんじゃないかな」

と笑顔を見せた。

『ぼくたちは今までに2人でいろいろな経験をして何度も愛を誓い合って、ぼくたち2人以外愛し合える存在などどこにもないと確信しあっただろう、そんなぼくたちがたった3日会うだけのジュリアン王太子に引き離されることなどありはしない、だから余裕を持って迎えてあげよう。故郷に帰れるということは嬉しいことなんだから』と力説するシュウに私は大いに納得しながらも、とりあえずはジュリアン王太子がシュウを見てひと目で諦めることができるように、シュウは私のものだという証を刻むため、首筋の消えない位置にいくつも紅い花を散らすことに決めた。

次の日から少し首の開いたドレスを着せると、ブルーノもトーマ王妃もすぐにシュウの首筋の紅い花に気づいたもののジュリアン王太子の帰国が近づいているからかなんのお咎めもなかった。

ジュリアン王太子が訪れるのはまだ不安ではあるが、シュウの首筋に私の付けた紅い花がいつでも見られるという点だけで言えば私にとって喜ばしいことに他ならない。
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