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第四章 (王城 過去編)
フレッド 31−1
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朝食を終え、執務室に向かう前に洗面室でひとり、身支度を整えていると部屋の扉がトントントンと叩く音が聞こえかすかにブルーノの声が聞こえた。
まだ執務室へ行くにはやい時間だ。
この朝の時間にブルーノが部屋に来るのは珍しいと思いながらも、どうしようかと思っているとシュウが対応する声が聞こえた。
まぁ、相手がブルーノならばシュウが対応しても大丈夫だろうとそのまま身支度を済ませていると、部屋の方からブルーノとシュウの楽しそうな声が聞こえてきた。
なんだ?
私は気になって急いで用意を済ませ、シュウとブルーノがいる方へと向かった。
「おはようブルーノ、どうした? まだ出る時間ではないだろう?」
「アルフレッドさま。おはようございます。シュウさまにお伝えごとがございまして参じました」
「シュウに?」
ブルーノが朝からシュウに一体何の用だろう。
そう思っていると、ブルーノが『少し失礼致します』と一旦部屋を出て画材道具を持って戻ってきた。
そういえばシュウがこの前トーマ王妃の絵を描いた時に今度はアンドリュー王の絵をと言っていたが、今日描くつもりなのだろうか?
気になってシュウに尋ねると、アンドリュー王が午後から城下へ視察に行くからそこに同行して絵を描くつもりなのだと教えられた。
てっきり執務室でのアンドリュー王の様子を描くのだと思っていたからわざわざ城下に行って絵を描くとは思いもしなかった。
しかもそんな大事なことを私にも知らせずに。
大体今日午後からアンドリュー王が城下に視察に行くなど私は何も聞いていない。
何だか私ひとり蚊帳の外に追いやられているような疎外感を感じて、何だか面白くない気持ちになり、私はそんな話聞いていないと不満を漏らすと、シュウは焦ったようにブルーノに援護を求めた。
「先ほど、アンドリューさまがお決めになられて、すぐに私がシュウさまにお伝えに参じましたので、フレデリックさまはご存じなくて当然かと存じます」
そう言われれば納得せざるを得ない。
それでもシュウだけをアンドリュー王に同行させるなどできるはずはなかった。
『ならば、私も一緒に行こう』
気がつけば、そう口が言ってしまっていたが、シュウは特に反対などせず私が行くことをすぐに了承してくれた。
それどころか、私が思っても見なかった提案というか可愛らしいお願いをしてきたのだ。
「あのね、フレッドに一緒にお馬さんに乗ってもらって、絵を描いているぼくが落ちないように後ろからぎゅっとしてて欲しいなって……ダメかな?」
馬に乗ってアンドリュー王の絵を描くために後ろから抱きしめていてほしい……そんなかわいいお願いを自分の愛しい伴侶から上目遣いにお願いされて断る男がいるならここに連れて来いっ! と大声を上げてしまいそうになる。
『うぐぅっ!』
シュウの可愛い表情に悶絶しながら、必死に耐えた。
「ごめんね、やっぱ――」
「駄目なわけがないだろう!!」
私の反応に断られたと思ったのか引き下がろうとするシュウに食い気味に声を被せ、
「私に任せてくれ! シュウは落ち着いて絵を描いてくれたらいい」
と言い切った。
嬉しそうに抱きついてくるシュウを抱きかかえ、城下に行くときの服装を選んでやるというと、シュウは驚いていたが私はもう上機嫌でシュウを寝室へと連れ去った。
シュウを寝室に座らせクローゼットを開けてたくさんの衣装の中から今日にふさわしい衣装を選ぶ。
いつもなら膝より少し長い可愛らしいドレスを選ぶのだが、今日は馬に乗るのだ。
乗り降りの際にシュウのドレスの中が見えるような事態になってはいけない。
とはいえ、普通の乗馬服ではシュウの可愛らしさを引き出すことなどできない。
ならばどれにするのが良いか……散々悩んで私は自分の髪色と同色のロングドレスを手に取った。
これならば多少足を振り上げても中身が見える心配はない。
まぁ、そもそも私が抱きかかえて乗るのだからそんな失態など起こすはずはないのだが。
念には念を押しておくに越したことはない。
シュウに午後私が部屋に戻ってくるまでにこのドレスを着て準備をしておくようにと告げ、シュウの柔らかで甘い唇にそっと口づけをして部屋を出た。
ほんの少し執務室へ行く時間が遅れたが、城下へ行くことが突然決まったのだから仕方ない。
アンドリュー王も納得してくれることだろう。
「おはよう、アルフレッド。今日は少し遅かったな。何かあったのか?」
「陛下、おはようございます。今日城下へ行くというシュウの服を選んでおりましたので遅くなりました」
「ああ。そういうことか。ならば仕方ないな」
ニコリと笑って遅れたことを許してくれたアンドリュー王を見て、やはりシュウのためならばアンドリュー王は優しいなと嬉しく思った。
「今日の視察はシュウのためというのは本当なのでございますか?」
「ああ、そうだ。まぁシュウのためというよりはトーマのためだがな」
「トーマ王妃のため、でございますか?」
「先日シュウがトーマの絵を描いたであろう? そのときにシュウが描いてくれた絵をいたく気に入っていてな、私の絵もシュウに同じように描いてもらいたいと言うんだ。書類を前に難しい顔をしている姿より、自然な私の姿を残して欲しいって言ってな、ならばとヒューバートが城下を見回るのについて行こうと思ったんだ」
「なるほど。そういうわけでございますか」
トーマ王妃がそこまでシュウの絵を気に入ってくれたとは。
まぁ確かにあのトーマ王妃の絵は素晴らしかったからな。
「それで、アルフレッド……。其方も一緒に行くのだろう?」
「ふふっ。もちろんでございます。シュウだけを城下に行かせるなどあるはずがございません」
「まぁそうだろうと思っていたぞ。大体シュウは1人では馬には乗れないだろうからな。それで2人でついてくるのであれば馬車を用意するのか?」
「いいえ。私がシュウと共に馬に乗ります。シュウにも絵を描いている間、落ちないように後ろから抱きしめていて欲しいと頼まれましたし」
シュウが可愛らしいお願いをしてくれた時のことを思い出して、思わず顔がニヤけてしまう。
「愛しい伴侶にそのような頼みをされればそんな締まりの無い顔になっても仕方がないが、そろそろ顔を引き締めろ。
午後の視察に向けて早めに政務を終わらせるぞ」
そうだ、早く終わらせないとな。
シュウのあのドレスを着せて2人で馬に乗って城下を巡る……それを想像してまたニヤけそうになった。
アンドリュー王には『褒美があると仕事が捗るな』と笑われたが、本当のことだから仕方がない。
私は午後の楽しい時間を過ごすことを励みに政務に勤しんだ。
昼食を食べる時間すら勿体無くて、軽食を食べながら仕事を進めた。
そのおかげで午後を迎えてすぐに今日の政務は終了した。
「思っていたよりも早く終わったな。シュウの支度が済んだら玄関に来てくれ」
「畏まりました」
急いで部屋へと向かうと、艶やかな赤いロングドレスに身を纏い、準備万端整えたシュウがにこやかな笑顔で出迎えてくれた。
ああ、こんなに愛しい伴侶が自分の帰りをこれほどまでに嬉しそうに待ち望んでくれているとは……なんと幸せなことだろう。
私の髪色……鬘だから偽りの色ではあるが、シュウに同じ色を纏わせていると、シュウが私のものだと皆に見せつけられるのはいい。
それにお互いの瞳の色をピアスにつけているのだから、シュウに声をかけてくるような輩は現れないだろう。
まぁずっと私がすぐ後ろで目を光らせているのだからそんな命知らずなやつはいないだろうが。
赤いドレスを気に入ってくれたシュウを連れ部屋を出ると、玄関へ向かうアンドリュー王とヒューバートに出会った。
アンドリュー王はシュウの姿を見た瞬間、私を見てニヤリと不敵な笑みを浮かべたのは、私がこのドレスを選んだ意図を理解したからだろう。
アンドリュー王とヒューバートは揃ってシュウに賛辞の言葉を送るとシュウは少し照れながら嬉しそうに礼を言っていた。
その照れている顔が本当に可愛らしくて、それを2人に見られたことにほんの少し苛立ちを覚えたが仕方ないかと胸に納めておくことにした。
玄関に向かうと、入り口正面に我々の乗る馬が並べられていた。
シュウはその馬を見てすぐに
「ユージーンがいるっ!」
と駆け寄っていった。
何頭もいる馬の中からきちんとユージーンを見分け駆け寄っていったことに驚いたが、あの気性の荒いユージーンもまたシュウをきちんと覚えていて、決して暴れることもなく『ヒヒーン』とシュウが驚かない程度の声で嘶く様子にただただ驚いてしまう。
シュウがユージーンの首筋を優しく撫でるとユージーンは嬉しそうにシュウに擦り寄ってくる。
『ユージーンめっ、シュウは私のものだぞ!』と睨みをきかせると、ユージーンはそっぽを向きながらシュウに擦り寄るのをやめようとしなかった。
ユージーンと同じくらいシュウもまた再会を楽しんでいる様子だったから少しは我慢しようかと思ったが、あまりにも仲良さそうな様子にこれ以上は無理だとシュウとユージーンの間に入り引き離してやった。
シュウにユージーンに急に駆け寄るのは危ないと注意すると、シュウは素直に謝った。
きっと私が本気で心配したと思ったのだろう。
ほんの少しも心配がないとは思わないが、ユージーンがシュウを傷つけることなどしないことはわかっていた。
ただシュウとユージーンとの仲に嫉妬しただけだ。
「今日は我々2人でユージーンに乗ることになった。頼むぞ、ユージーン」
ユージーンの目を見ながら語りかけると、ユージーンは私は邪魔だがなとでも言いたげな目をしていたが、シュウのためだと納得したように『ヒヒーン!』と大きく嘶いた。
まるで意思疎通ができているようなその嘶きに驚きながらも、神に愛されたシュウのことだからともう納得するしかなかった。
シュウは元の時代にいる時から馬に好かれていたからな。
シュウはユージーンに私と2人で乗ることに心配げな表情をしていたが、ユージーンは比較的体格の大きな重種であるし、それに何よりシュウは身体も小さく軽い。
シュウとの二人乗りなどユージーンにとってはなんの問題もない。
大丈夫だと言ってやると安堵して、
「そうなんだ。ユージーン、よろしくね」
と極上の笑みで語りかけた。
シュウのその極上の微笑みを垣間見た騎士たちが一瞬にして顔を赤らめる。
『――っ!』
『なんと美しい!!』
『女神のようだ!!』
職務中の私語が禁止されているはずの騎士たちが声を漏らしてしまうほど、シュウの笑顔にやられてしまったようだ。
そのざわめきにシュウが気づき、騎士たちの方を振り向こうとするのを自分の大きな身体を使って隠した。
もうこれ以上シュウの美しい顔を直視させるわけにはいかないからな。
シュウとの体格差に少々悩んだ時期もあったが、こうやって自分の身体ですっぽりとシュウを覆い隠せるのは都合がいい。
それに今日のようにシュウを後ろから抱きしめながら馬に乗れるのだから、シュウとの体格差はこれくらい有ってよかったのだと思えるようになった。
「さぁ、乗るぞ」
シュウを片手に抱きかかえ、鎧に足をかけひょいっとユージーンに飛び乗った。
羽のように軽いシュウならば1人で乗り込むのと同じだ。
私の足の間にシュウをすっぽりと抱え、横抱きで座らせた。
長いドレスがシュウのくるぶしまで覆っていてこれならシュウの色白で細い綺麗な足は誰にも見えることはないだろう。
やはりこのドレスを選んで正解だったようだ。
私たちがユージーンに乗ったところでブルーノがスッと近づいてきて、シュウに画板に挟んだ紙と木炭を手渡した。
てっきり以前のように画帳で絵を描くのだとばかり思っていたが、さすがブルーノ。
この画板があれば安定もしているし、これならシュウも絵を描きやすいだろう。
嬉しそうにブルーノにお礼を言うシュウに感心しながら、私はアンドリュー王に続いてユージーンを歩かせた。
馬を走らせ城下の視察を始めるとすぐに、ひと目アンドリュー王の姿を見たいと言う城下の者たちが広場に集まり始めた。
アンドリュー王はどうするのだろうかと少し離れた場所から眺めていると、アンドリュー王は広場の真ん中でスタッと馬から飛び降り、噴水の前に立った。
そして、集まった城下の者たちと楽しそうに談笑を始めたではないか。
アンドリュー王の優しげな表情に安心したのか我先にと話しかける者たちに、嫌な顔ひとつせずに対応する姿に感動してしまう。
アンドリュー王が貴族や平民の垣根を越えてこうやって対等に話をする姿が、伝説の国王だと語り継がれる要因だったのだろう。
本当に素晴らしい国王だ。
シュウもまた今のアンドリュー王の姿に何か感じるものがあったのだろう。
シュウは今のアンドリュー王の姿を書きたいと言い出した。
シュウの言う通り、アンドリュー王の顔が正面から見える少し離れた木の下にユージーンを止めてやると、シュウは画板にかかっている紐を首にかけ、絵を描き始めた。
シュウは最初こそ紙に時折目を落としながら木炭を滑らせていったが、だんだんとアンドリュー王にしか視線が向かなくなった。
一心不乱にアンドリュー王を見つめているのに、指先はサラサラと紙の上を滑っていく。
と同時に真っ白な紙にアンドリュー王の姿が少しずつ浮かび上がってきた。
おお……。
なんて素晴らしいんだ。
あのとき……グラシュリンの森の小川で私の絵を描いてくれていたときも、ずっとシュウの瞳は私に向いたままだった。
それなのにシュウの指は絶え間なく動いていたのを覚えている。
あのときは遠くてはっきりと見えなかったが、今日はよくわかる。
シュウの絵はこれほどまでに美しく素晴らしいのだな。
肖像画を描くときに私も手伝うと約束したが、ここまで素晴らしいのであれば私が手伝えることは本当に微々たるものになりそうだ。
とりあえず、今日のところはシュウが馬から落ちたりしないで安心して絵を描けるようにシュウをしっかりと抱きしめていよう。
それは私にしかできない大切な仕事だ。
馬上とは思えないほどの安定感にシュウも安心したのか身動きひとつすることなく、指先はどんどん描き進めていく。
完成間近なシュウの絵に感動していると、アンドリュー王が話を切りあげようとしているのが見えた。
確かにアンドリュー王が城下の者たちと話を始めてそろそろ小一時間経つ。
いくら国王でも1人で皆の相手をするのは疲れることだろう。
どこかに移動するようだと気づき、私はシュウに声をかけたがシュウは描くことに夢中で私の声が聞こえていないようだ。
『シュウ』
もう一度、今度はシュウの耳元で囁いてやると、シュウはビクリと身体を震わせた。
気づかせようと思っただけの本の悪戯心だったのだが思った以上に驚かせてしまったようで、シュウを抱きしめながら謝るとシュウは可愛らしい笑顔で私を見上げ優しく微笑んだ。
せっかく気持ちよさそうに絵を描いていたのに邪魔をしてしまって申し訳ないなと思いながら、
『アンドリュー王が移動するからついていこう』と声を掛けると、
シュウはハッとしたように『気づかないでごめんね』と謝りながら絵を片付けていた。
シュウが謝ることなどは何もないのに、私の気持ちを慮ってそう言ってくれるシュウの優しさに
「シュウは絵を描くこと以外気にすることはないよ」
と言って、シュウの柔らかな頬に口付けを送るとシュウは嬉しそうに微笑んだ。
その女神のような微笑みに心が温かくなる。
アンドリュー王とヒューバートの馬の後を追うようにゆっくりとユージーンを歩かせながら、シュウに絵を描いているときのことについて話しかけると、シュウは2人の絵を描けることになったことを喜んだ上に
「フレッドがお父さんたちにお願いしてくれたから……本当にありがとう」
とお礼を言ってくれたのだ。
私はただシュウの絵を肖像画として後世に残したいと思っただけだ。
言うなれば私のわがままのようなものなのだがら、シュウがお礼を言う必要などないのだが、シュウが心からそう思ってくれているのがわかるからただ純粋に嬉しい。
シュウを抱きしめている腕の力を強め、ギュッと抱きしめながらシュウの気持ちが嬉しいと伝えると、シュウも嬉しそうに笑った。
シュウと馬上で抱きしめ合いながら仲睦まじい時間を過ごしていると、前を走っていたアンドリュー王が我々の元へと駆け寄ってきた。
何事かと思い、どうかしたのか尋ねてみると、
「いや、先ほど少し話しすぎてな、喉が渇いたのだ。近くでお茶でもして行こうかと誘いにきたのだが……」
というお誘いだった。
あれだけ大勢を相手に話をしていたのだから喉が渇くのも無理はない。
シュウにどうするか尋ねようと思ったら、シュウは目を輝かせて
「わぁっ!! 行きたいですっ!!」
と声を上げた。
その食いつきっぷりが面白かったのかアンドリュー王は『ククッ』と笑いながら、
「それじゃあ行くとしよう。アルフレッド、ついてこい」
と行って、颯爽と前に進んで行った。
そして、アンドリュー王はある一軒の店の前で止まった。
香ばしい焼き菓子の香り……ふむ。なるほど。
ここはアンドリュー王の気に入っているお店というよりはきっとトーマ王妃の気に入っている店なんだろう。
シュウにここの菓子を食べさせようと連れてきたということか……。
おそらく今日来られなかったトーマ王妃にも買って帰るつもりなのだろうな。
離れていてもいつも伴侶のことを考えている辺り、やはり私と同じだと思ってしまった。
まだ執務室へ行くにはやい時間だ。
この朝の時間にブルーノが部屋に来るのは珍しいと思いながらも、どうしようかと思っているとシュウが対応する声が聞こえた。
まぁ、相手がブルーノならばシュウが対応しても大丈夫だろうとそのまま身支度を済ませていると、部屋の方からブルーノとシュウの楽しそうな声が聞こえてきた。
なんだ?
私は気になって急いで用意を済ませ、シュウとブルーノがいる方へと向かった。
「おはようブルーノ、どうした? まだ出る時間ではないだろう?」
「アルフレッドさま。おはようございます。シュウさまにお伝えごとがございまして参じました」
「シュウに?」
ブルーノが朝からシュウに一体何の用だろう。
そう思っていると、ブルーノが『少し失礼致します』と一旦部屋を出て画材道具を持って戻ってきた。
そういえばシュウがこの前トーマ王妃の絵を描いた時に今度はアンドリュー王の絵をと言っていたが、今日描くつもりなのだろうか?
気になってシュウに尋ねると、アンドリュー王が午後から城下へ視察に行くからそこに同行して絵を描くつもりなのだと教えられた。
てっきり執務室でのアンドリュー王の様子を描くのだと思っていたからわざわざ城下に行って絵を描くとは思いもしなかった。
しかもそんな大事なことを私にも知らせずに。
大体今日午後からアンドリュー王が城下に視察に行くなど私は何も聞いていない。
何だか私ひとり蚊帳の外に追いやられているような疎外感を感じて、何だか面白くない気持ちになり、私はそんな話聞いていないと不満を漏らすと、シュウは焦ったようにブルーノに援護を求めた。
「先ほど、アンドリューさまがお決めになられて、すぐに私がシュウさまにお伝えに参じましたので、フレデリックさまはご存じなくて当然かと存じます」
そう言われれば納得せざるを得ない。
それでもシュウだけをアンドリュー王に同行させるなどできるはずはなかった。
『ならば、私も一緒に行こう』
気がつけば、そう口が言ってしまっていたが、シュウは特に反対などせず私が行くことをすぐに了承してくれた。
それどころか、私が思っても見なかった提案というか可愛らしいお願いをしてきたのだ。
「あのね、フレッドに一緒にお馬さんに乗ってもらって、絵を描いているぼくが落ちないように後ろからぎゅっとしてて欲しいなって……ダメかな?」
馬に乗ってアンドリュー王の絵を描くために後ろから抱きしめていてほしい……そんなかわいいお願いを自分の愛しい伴侶から上目遣いにお願いされて断る男がいるならここに連れて来いっ! と大声を上げてしまいそうになる。
『うぐぅっ!』
シュウの可愛い表情に悶絶しながら、必死に耐えた。
「ごめんね、やっぱ――」
「駄目なわけがないだろう!!」
私の反応に断られたと思ったのか引き下がろうとするシュウに食い気味に声を被せ、
「私に任せてくれ! シュウは落ち着いて絵を描いてくれたらいい」
と言い切った。
嬉しそうに抱きついてくるシュウを抱きかかえ、城下に行くときの服装を選んでやるというと、シュウは驚いていたが私はもう上機嫌でシュウを寝室へと連れ去った。
シュウを寝室に座らせクローゼットを開けてたくさんの衣装の中から今日にふさわしい衣装を選ぶ。
いつもなら膝より少し長い可愛らしいドレスを選ぶのだが、今日は馬に乗るのだ。
乗り降りの際にシュウのドレスの中が見えるような事態になってはいけない。
とはいえ、普通の乗馬服ではシュウの可愛らしさを引き出すことなどできない。
ならばどれにするのが良いか……散々悩んで私は自分の髪色と同色のロングドレスを手に取った。
これならば多少足を振り上げても中身が見える心配はない。
まぁ、そもそも私が抱きかかえて乗るのだからそんな失態など起こすはずはないのだが。
念には念を押しておくに越したことはない。
シュウに午後私が部屋に戻ってくるまでにこのドレスを着て準備をしておくようにと告げ、シュウの柔らかで甘い唇にそっと口づけをして部屋を出た。
ほんの少し執務室へ行く時間が遅れたが、城下へ行くことが突然決まったのだから仕方ない。
アンドリュー王も納得してくれることだろう。
「おはよう、アルフレッド。今日は少し遅かったな。何かあったのか?」
「陛下、おはようございます。今日城下へ行くというシュウの服を選んでおりましたので遅くなりました」
「ああ。そういうことか。ならば仕方ないな」
ニコリと笑って遅れたことを許してくれたアンドリュー王を見て、やはりシュウのためならばアンドリュー王は優しいなと嬉しく思った。
「今日の視察はシュウのためというのは本当なのでございますか?」
「ああ、そうだ。まぁシュウのためというよりはトーマのためだがな」
「トーマ王妃のため、でございますか?」
「先日シュウがトーマの絵を描いたであろう? そのときにシュウが描いてくれた絵をいたく気に入っていてな、私の絵もシュウに同じように描いてもらいたいと言うんだ。書類を前に難しい顔をしている姿より、自然な私の姿を残して欲しいって言ってな、ならばとヒューバートが城下を見回るのについて行こうと思ったんだ」
「なるほど。そういうわけでございますか」
トーマ王妃がそこまでシュウの絵を気に入ってくれたとは。
まぁ確かにあのトーマ王妃の絵は素晴らしかったからな。
「それで、アルフレッド……。其方も一緒に行くのだろう?」
「ふふっ。もちろんでございます。シュウだけを城下に行かせるなどあるはずがございません」
「まぁそうだろうと思っていたぞ。大体シュウは1人では馬には乗れないだろうからな。それで2人でついてくるのであれば馬車を用意するのか?」
「いいえ。私がシュウと共に馬に乗ります。シュウにも絵を描いている間、落ちないように後ろから抱きしめていて欲しいと頼まれましたし」
シュウが可愛らしいお願いをしてくれた時のことを思い出して、思わず顔がニヤけてしまう。
「愛しい伴侶にそのような頼みをされればそんな締まりの無い顔になっても仕方がないが、そろそろ顔を引き締めろ。
午後の視察に向けて早めに政務を終わらせるぞ」
そうだ、早く終わらせないとな。
シュウのあのドレスを着せて2人で馬に乗って城下を巡る……それを想像してまたニヤけそうになった。
アンドリュー王には『褒美があると仕事が捗るな』と笑われたが、本当のことだから仕方がない。
私は午後の楽しい時間を過ごすことを励みに政務に勤しんだ。
昼食を食べる時間すら勿体無くて、軽食を食べながら仕事を進めた。
そのおかげで午後を迎えてすぐに今日の政務は終了した。
「思っていたよりも早く終わったな。シュウの支度が済んだら玄関に来てくれ」
「畏まりました」
急いで部屋へと向かうと、艶やかな赤いロングドレスに身を纏い、準備万端整えたシュウがにこやかな笑顔で出迎えてくれた。
ああ、こんなに愛しい伴侶が自分の帰りをこれほどまでに嬉しそうに待ち望んでくれているとは……なんと幸せなことだろう。
私の髪色……鬘だから偽りの色ではあるが、シュウに同じ色を纏わせていると、シュウが私のものだと皆に見せつけられるのはいい。
それにお互いの瞳の色をピアスにつけているのだから、シュウに声をかけてくるような輩は現れないだろう。
まぁずっと私がすぐ後ろで目を光らせているのだからそんな命知らずなやつはいないだろうが。
赤いドレスを気に入ってくれたシュウを連れ部屋を出ると、玄関へ向かうアンドリュー王とヒューバートに出会った。
アンドリュー王はシュウの姿を見た瞬間、私を見てニヤリと不敵な笑みを浮かべたのは、私がこのドレスを選んだ意図を理解したからだろう。
アンドリュー王とヒューバートは揃ってシュウに賛辞の言葉を送るとシュウは少し照れながら嬉しそうに礼を言っていた。
その照れている顔が本当に可愛らしくて、それを2人に見られたことにほんの少し苛立ちを覚えたが仕方ないかと胸に納めておくことにした。
玄関に向かうと、入り口正面に我々の乗る馬が並べられていた。
シュウはその馬を見てすぐに
「ユージーンがいるっ!」
と駆け寄っていった。
何頭もいる馬の中からきちんとユージーンを見分け駆け寄っていったことに驚いたが、あの気性の荒いユージーンもまたシュウをきちんと覚えていて、決して暴れることもなく『ヒヒーン』とシュウが驚かない程度の声で嘶く様子にただただ驚いてしまう。
シュウがユージーンの首筋を優しく撫でるとユージーンは嬉しそうにシュウに擦り寄ってくる。
『ユージーンめっ、シュウは私のものだぞ!』と睨みをきかせると、ユージーンはそっぽを向きながらシュウに擦り寄るのをやめようとしなかった。
ユージーンと同じくらいシュウもまた再会を楽しんでいる様子だったから少しは我慢しようかと思ったが、あまりにも仲良さそうな様子にこれ以上は無理だとシュウとユージーンの間に入り引き離してやった。
シュウにユージーンに急に駆け寄るのは危ないと注意すると、シュウは素直に謝った。
きっと私が本気で心配したと思ったのだろう。
ほんの少しも心配がないとは思わないが、ユージーンがシュウを傷つけることなどしないことはわかっていた。
ただシュウとユージーンとの仲に嫉妬しただけだ。
「今日は我々2人でユージーンに乗ることになった。頼むぞ、ユージーン」
ユージーンの目を見ながら語りかけると、ユージーンは私は邪魔だがなとでも言いたげな目をしていたが、シュウのためだと納得したように『ヒヒーン!』と大きく嘶いた。
まるで意思疎通ができているようなその嘶きに驚きながらも、神に愛されたシュウのことだからともう納得するしかなかった。
シュウは元の時代にいる時から馬に好かれていたからな。
シュウはユージーンに私と2人で乗ることに心配げな表情をしていたが、ユージーンは比較的体格の大きな重種であるし、それに何よりシュウは身体も小さく軽い。
シュウとの二人乗りなどユージーンにとってはなんの問題もない。
大丈夫だと言ってやると安堵して、
「そうなんだ。ユージーン、よろしくね」
と極上の笑みで語りかけた。
シュウのその極上の微笑みを垣間見た騎士たちが一瞬にして顔を赤らめる。
『――っ!』
『なんと美しい!!』
『女神のようだ!!』
職務中の私語が禁止されているはずの騎士たちが声を漏らしてしまうほど、シュウの笑顔にやられてしまったようだ。
そのざわめきにシュウが気づき、騎士たちの方を振り向こうとするのを自分の大きな身体を使って隠した。
もうこれ以上シュウの美しい顔を直視させるわけにはいかないからな。
シュウとの体格差に少々悩んだ時期もあったが、こうやって自分の身体ですっぽりとシュウを覆い隠せるのは都合がいい。
それに今日のようにシュウを後ろから抱きしめながら馬に乗れるのだから、シュウとの体格差はこれくらい有ってよかったのだと思えるようになった。
「さぁ、乗るぞ」
シュウを片手に抱きかかえ、鎧に足をかけひょいっとユージーンに飛び乗った。
羽のように軽いシュウならば1人で乗り込むのと同じだ。
私の足の間にシュウをすっぽりと抱え、横抱きで座らせた。
長いドレスがシュウのくるぶしまで覆っていてこれならシュウの色白で細い綺麗な足は誰にも見えることはないだろう。
やはりこのドレスを選んで正解だったようだ。
私たちがユージーンに乗ったところでブルーノがスッと近づいてきて、シュウに画板に挟んだ紙と木炭を手渡した。
てっきり以前のように画帳で絵を描くのだとばかり思っていたが、さすがブルーノ。
この画板があれば安定もしているし、これならシュウも絵を描きやすいだろう。
嬉しそうにブルーノにお礼を言うシュウに感心しながら、私はアンドリュー王に続いてユージーンを歩かせた。
馬を走らせ城下の視察を始めるとすぐに、ひと目アンドリュー王の姿を見たいと言う城下の者たちが広場に集まり始めた。
アンドリュー王はどうするのだろうかと少し離れた場所から眺めていると、アンドリュー王は広場の真ん中でスタッと馬から飛び降り、噴水の前に立った。
そして、集まった城下の者たちと楽しそうに談笑を始めたではないか。
アンドリュー王の優しげな表情に安心したのか我先にと話しかける者たちに、嫌な顔ひとつせずに対応する姿に感動してしまう。
アンドリュー王が貴族や平民の垣根を越えてこうやって対等に話をする姿が、伝説の国王だと語り継がれる要因だったのだろう。
本当に素晴らしい国王だ。
シュウもまた今のアンドリュー王の姿に何か感じるものがあったのだろう。
シュウは今のアンドリュー王の姿を書きたいと言い出した。
シュウの言う通り、アンドリュー王の顔が正面から見える少し離れた木の下にユージーンを止めてやると、シュウは画板にかかっている紐を首にかけ、絵を描き始めた。
シュウは最初こそ紙に時折目を落としながら木炭を滑らせていったが、だんだんとアンドリュー王にしか視線が向かなくなった。
一心不乱にアンドリュー王を見つめているのに、指先はサラサラと紙の上を滑っていく。
と同時に真っ白な紙にアンドリュー王の姿が少しずつ浮かび上がってきた。
おお……。
なんて素晴らしいんだ。
あのとき……グラシュリンの森の小川で私の絵を描いてくれていたときも、ずっとシュウの瞳は私に向いたままだった。
それなのにシュウの指は絶え間なく動いていたのを覚えている。
あのときは遠くてはっきりと見えなかったが、今日はよくわかる。
シュウの絵はこれほどまでに美しく素晴らしいのだな。
肖像画を描くときに私も手伝うと約束したが、ここまで素晴らしいのであれば私が手伝えることは本当に微々たるものになりそうだ。
とりあえず、今日のところはシュウが馬から落ちたりしないで安心して絵を描けるようにシュウをしっかりと抱きしめていよう。
それは私にしかできない大切な仕事だ。
馬上とは思えないほどの安定感にシュウも安心したのか身動きひとつすることなく、指先はどんどん描き進めていく。
完成間近なシュウの絵に感動していると、アンドリュー王が話を切りあげようとしているのが見えた。
確かにアンドリュー王が城下の者たちと話を始めてそろそろ小一時間経つ。
いくら国王でも1人で皆の相手をするのは疲れることだろう。
どこかに移動するようだと気づき、私はシュウに声をかけたがシュウは描くことに夢中で私の声が聞こえていないようだ。
『シュウ』
もう一度、今度はシュウの耳元で囁いてやると、シュウはビクリと身体を震わせた。
気づかせようと思っただけの本の悪戯心だったのだが思った以上に驚かせてしまったようで、シュウを抱きしめながら謝るとシュウは可愛らしい笑顔で私を見上げ優しく微笑んだ。
せっかく気持ちよさそうに絵を描いていたのに邪魔をしてしまって申し訳ないなと思いながら、
『アンドリュー王が移動するからついていこう』と声を掛けると、
シュウはハッとしたように『気づかないでごめんね』と謝りながら絵を片付けていた。
シュウが謝ることなどは何もないのに、私の気持ちを慮ってそう言ってくれるシュウの優しさに
「シュウは絵を描くこと以外気にすることはないよ」
と言って、シュウの柔らかな頬に口付けを送るとシュウは嬉しそうに微笑んだ。
その女神のような微笑みに心が温かくなる。
アンドリュー王とヒューバートの馬の後を追うようにゆっくりとユージーンを歩かせながら、シュウに絵を描いているときのことについて話しかけると、シュウは2人の絵を描けることになったことを喜んだ上に
「フレッドがお父さんたちにお願いしてくれたから……本当にありがとう」
とお礼を言ってくれたのだ。
私はただシュウの絵を肖像画として後世に残したいと思っただけだ。
言うなれば私のわがままのようなものなのだがら、シュウがお礼を言う必要などないのだが、シュウが心からそう思ってくれているのがわかるからただ純粋に嬉しい。
シュウを抱きしめている腕の力を強め、ギュッと抱きしめながらシュウの気持ちが嬉しいと伝えると、シュウも嬉しそうに笑った。
シュウと馬上で抱きしめ合いながら仲睦まじい時間を過ごしていると、前を走っていたアンドリュー王が我々の元へと駆け寄ってきた。
何事かと思い、どうかしたのか尋ねてみると、
「いや、先ほど少し話しすぎてな、喉が渇いたのだ。近くでお茶でもして行こうかと誘いにきたのだが……」
というお誘いだった。
あれだけ大勢を相手に話をしていたのだから喉が渇くのも無理はない。
シュウにどうするか尋ねようと思ったら、シュウは目を輝かせて
「わぁっ!! 行きたいですっ!!」
と声を上げた。
その食いつきっぷりが面白かったのかアンドリュー王は『ククッ』と笑いながら、
「それじゃあ行くとしよう。アルフレッド、ついてこい」
と行って、颯爽と前に進んで行った。
そして、アンドリュー王はある一軒の店の前で止まった。
香ばしい焼き菓子の香り……ふむ。なるほど。
ここはアンドリュー王の気に入っているお店というよりはきっとトーマ王妃の気に入っている店なんだろう。
シュウにここの菓子を食べさせようと連れてきたということか……。
おそらく今日来られなかったトーマ王妃にも買って帰るつもりなのだろうな。
離れていてもいつも伴侶のことを考えている辺り、やはり私と同じだと思ってしまった。
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