上 下
123 / 259
第四章 (王城 過去編)

閑話  アンドリュー&トーマ  <約束のアレ>※

しおりを挟む
「トーマ、もう一度近くで見せてくれないか?」

「ふふっ。いいよ」

トーマはトコトコと私のそばに近づいてきて、
『ほら、見て』と背伸びをしながら嬉しそうに私にピアスを見せつける。
背伸びをしたとてほんの数センチ近づくだけなのに、いつもと違う視線の高さに思わず顔が綻びる。
何よりトーマの背伸びが可愛らしすぎて愛おしい。

確かにこの状態も悪くない。
しかし、人間の欲とはどんどん増すものだ。
私はもっと近くでトーマとそして、トーマの耳を美しく彩る藍玉を見たい衝動に駆られた。
背伸びをしているトーマをヒョイと抱きかかえ、ソファーに座ると先ほどよりも遥かに近い場所にトーマが見えた。
その近さに我慢ができなくなり、私の色のピアスに触れながらトーマの唇に自分のそれを重ね合わせた。
そっと目を開けると、トーマの長いまつ毛が下瞼に合わさっていて漆黒の瞳は隠れたままだ。

そう、トーマは口付けをするときにいつもぎゅっと目を瞑る。
最初は私との口付けが嫌なのだろうかと思ったが、どうやらそうではないらしい。
私は口付けの時にトーマの顔を見たくていつも目を開けるのだが、一度トーマと目があったことがあった。
これほどまでに近い場所でトーマの美しい瞳を見ることができて私は幸せに身悶えたのだが、トーマは一瞬にして顔を真っ赤にし口付けを離した。

話を聞けば、あちらの世界では口付けの時は目を瞑るのが常識なのだそうだ。
そんな、勿体無い。
私はいつでもより近くでトーマを見つめていたいと思っているのに。

口付けするときは見ないでっ! と言い張るトーマを説き伏せお互いの常識を擦り合わせた結果、私は目を開けてトーマの上気した顔を見てもいい代わりにトーマは絶対に目を開けないと決まったのだ。

トーマの美しい瞳を見られないのは残念であるが、私の舌に翻弄され興奮するトーマの顔を間近で見られるのはたまらなく興奮する。
あの時、目を開けるのを禁止されなくて本当に良かった。

私の腕の中で子どものように小さくおさまりながらも、色気に満ちた表情で私の舌に必死に絡みついてくるそのトーマの姿に私の興奮は増すばかりだ。

もっと深くもっと長くトーマとの口付けを楽しみたいが、如何せんトーマは色事にまだ慣れていない。
もう3年以上も交わりを続けているというのにいつまでも初々しいままだ。

長い口づけは息が続かず苦しいというトーマのために名残惜しいがそろそろ離れるころか。
ゆっくりと唇を離すと2人の唇の間にツーっと銀の糸が繋がっているのが見えた。
それを恥ずかしそうに見るトーマにまた私は愛おしさが増すのだ。

「アンディー、そんなに見つめないでよ」

恥ずかしいよと照れるトーマがさらに私の興奮を掻き立てる。

「今日はアレをしてくれるのだろう?」

「ふふっ。覚えてた?」

「ああ、忘れるわけがなかろう。トーマがアレをしてくれるのは年に数回あるかないかだぞ」

「ふふっ。アンディーのえっち」

『えっち』という聞いたことのない言葉を初めて耳にしたとき、その舌足らずな感じが妙にトーマに似合う気がした。
あちらの世界の言葉の詳しい意味はいまだに教えてはくれないが、『えっちしよう』と誘ってくれる時のトーマとの交わりはいつもよりかなり積極的だ。
年に数回のアレの時もいつも『えっちしよう』と誘ってくれるのだ。
だから、今の『えっち』もおそらく同じ意味なのだろう。
これから始まるトーマとの情事に興奮で胸が激しく波たってくる。

「トーマ、寝室に行こう」

コクリと頷くトーマを抱きかかえてベッドに連れて行く。
いつもならそっと目を瞑るトーマの唇に口付たら情事の始まりなのだが、今日は違う。

「アンディー」

トーマの甘い蕩けるような声が私の名を呼ぶ。

すぐにでもトーマの身体中を触れ、撫で回したいがここは我慢だ。
トーマが触れてくれるまで私はただ黙って待ち続ける。

「アンディー、見てて……」

トーマの細く長い指がゆっくりと服を剥ぎ取り、トーマの白く柔らかな肌が露わになっていく。
自分で脱がせるより、興奮するのはなぜだろう……。
考えてもわからないほど昂っている自分がいる。

どんどん見えていく肌にゴクリと唾を呑み込んだ。
そんな私を見て
『ふふっ』と情欲を掻き立てる笑顔を見せる。

こんなにも艶かしく美しいトーマを見られるのが自分だけなのだということが私の自尊心を満たしていく。

長く綺麗な脚がスーッと伸びてきて、指先が私のモノに触れる。

ようやく触れてもらえると慌てて前を寛げようと手をかけると、

「アンディー、だぁーめっ」

と止められた。

それは流石に辛いとトーマを見やると、

「今日は僕が全部してあげる」

と艶っぽい笑顔を浮かべながら近づいてくる。

もうなんの衣服も纏っていないトーマの肌に触れてしまいそうになるが、それをグッと堪えて待ち構えると近づいてきたトーマがゆっくりと私の前を寛げる。
その瞬間、自分でも引くほどに大きく昂ったモノが我慢できないとでもいうようにぶるんと飛び出してきた。

抑えきれない欲望を見られたようで恥ずかしいのだが、トーマは

「ふふっ。かわいいっ! アンディー興奮してるね」

と嬉しそうに私のモノを指でピンと弾いた。
その小さな刺激にもビクリと反応してしまうほど私のモノはもう限界近くまで勃ち上がっていた。

「と、トーマ……頼む」

「ふふっ。仕方ないなぁ」

そういうが早いかトーマは長く美しい両足の裏で私のモノを挟み込み、ゆっくりと上下に動かし始めた。
口内ともトーマの中とも違う繊細で滑らかな足裏の感触に『ああっ、いいっ……ああ……っ』と声が漏れる。

見れば、トーマが足を動かすたびに緩く勃ち上がったトーマの可愛らしい果実がフルフルと揺れている。
そしてトーマの指は私が官能を導き出してあげた胸の尖りを自分で弄り始めている。
そのなんとも言えない淫猥な姿にさらに私のモノは昂り続ける。

なんせ、足で自分のモノを弄られながら淫らなトーマの姿を見るなんて……これで興奮しないわけがないのだ。

「ふふっ。きもちいぃ?」

「ああ、トーマ……最高だ……もっと、いいか?」

「はぁーい」

子どもみたいな返事とは裏腹に足の動きはどんどん激しさを増していく。
それと同時にトーマも自分のモノに手をかけた。

あの可愛らしい果実のようなトーマのモノがグチュグチュと音を立てながら、甘い匂いを漂わせ始める。

「んんっ……あ、ああっん……っ、きもち、いっ……っ」

「トーマ、愛してる……ゔっ、ぅっ……んっ!」

トーマの果実から蜜が噴き出たと同時に私のモノからも蜜が弾けた。

トーマの綺麗な足に私の蜜がねっとりとかかってツーっとふくらはぎへと垂れていく。
その様子に今まで押さえつけていた理性がプツリときれた気がした。

「ひゃあ……っ、あ、アンディー、ああっ、くす、ぐったいよぉ……ああ、んっ」

一心不乱にペロペロと舐め尽くす私にトーマも驚いたことだろう。
自分で自分の蜜を舐めるなどいくら甘いとはいえ拒むものだが、トーマの足を流れていくのは別物だ。
それにどうやらトーマの果実から吹き出した蜜もここにかかっていたようだ。
私の蜜とトーマの蜜が相まって、今までに感じたこともないくらい甘く美味しい。
気づけば貪るように蜜を余すところなく舐め尽くしていた。

「アンディー、良かった?」

「ああ、最高だったよ。またしてくれるか?」

「ふふっ。どうしようかな」

2人で抱き合いながらベッドに横になり、イチャイチャと言葉を交わしていると、また私のモノが昂り始めた。
今度は私の番だ。

これでトーマの奥深いところまで思いっきり可愛がってやろう。

今夜はまだまだ長い。
さぁ、甘い口付けからだ。
トーマ、愛してるよ。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

種子生成で変わる世界

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:9

モブの俺が巻き込まれた乙女ゲームはBL仕様になっていた!

BL / 連載中 24h.ポイント:795pt お気に入り:7,757

裸を見られた少女たち

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:319pt お気に入り:2

恋心を利用されている夫をそろそろ返してもらいます

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,164pt お気に入り:1,258

異世界でのおれへの評価がおかしいんだが

BL / 完結 24h.ポイント:1,185pt お気に入り:13,886

騎士団長様からのラブレター ーそのままの君が好きー

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:340pt お気に入り:315

毒吐き蛇侯爵の、甘い呪縛

恋愛 / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:424

処理中です...