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第四章 (王城 過去編)
フレッド 18−2※
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それからどれくらいその場に座っていただろうか。
気づけばもうそろそろ日も落ちそうな時間になっていた。
もうこんな時間か……。
シュウはまだ眠っているだろうか?
そっと寝室に近づくと、シュウの泣き声が聞こえてきた。
起きて自分の部屋で寝ていたから驚いたのかもしれない。
ということは、自分がしたことを覚えていないかもしれないな。
トーマ王妃には強く責めないでと釘を刺されたが、何も言わないわけにはいかない。
そうだとしたら、どういう風に伝えるべきか……。
悩みながら寝室の扉をカチャリと開けると、
シュウがこちらを向いていた。
「シュウ? 起きたのか?」
「……フレ、ッドぉ……」
舌足らずのようなあの口調が残っている。
まだ少し酔っているのだろう。
シュウの傍に居させておいたパールと張り合うようにシュウを抱きしめながら、
「なぁ、シュウ……。お前はどれくらい覚えてる?」
と尋ねてみた。
「えっ?」
何のことかわからないといった表情を向けるシュウにもう一度尋ねてみた。
「トーマ王妃とワインを呑んでからのこと……どこまで覚えてる?」
「えっとー、お父さんの部屋のソファーに座って甘ぁーいジュースみたいなワイン飲みながらおしゃべりしたよ。それで、2本か3本か開けたような気がするけど……気づいたらここで寝てた」
「はぁーーーっ」
やっぱり何も覚えてない……。
シュウにはもう酒は呑ませてはいけないということだな。
これだけはちゃんと伝えておかなければならぬ。
「シュウ、もうお前は酒は口にしてはいけない。
それだけ私と約束してくれ。こんなことがまたあったら、私は発狂しそうになる」
シュウの肩を両手強く抱き、言い聞かせるように伝えるとただならぬ空気に酔いも醒めたのか青褪めた表情で口を開いた。
「ぼく……何したの? 何か悪いことをしてしまったの?」
どうする?
シュウのしでかしたことを伝えるべきか?
でも、口にすればシュウを責めてしまいそうだ。
それは避けたい。
自分の中で葛藤している間に、
「もうお酒は呑まないって約束するから……何したか教えて欲しい……お願い」
シュウが再度尋ねてきた。
もう、これは言うしかないだろう。
トーマ王妃に言われたように強く責めずにいられるかは甚だ疑問だが、隠し通すこともできない。
「……ちが……んだ」
「えっ? なんて?」
「だから! 間違えたんだ、私と陛下を!」
そう言うと、シュウは顔面蒼白で
「……う、そ……」
と小さく呟いた。
そう、嘘ならどんなに良かったかしれやしない。
「本当だ。シュウが酔っぱらったかもしれないって、トーマ王妃が私を呼びに来てくれて……陛下も一緒に部屋に着いたら、シュウは……陛下に抱きついて口付けしようとしたんだ」
私の言葉にシュウはすぐに唇に手を当て、
「や……っ、」
必死に唇を擦り始めた。
嫌悪感たっぷりのその表情に、ほんの少しだけほっとした自分がいた。
シュウはアンドリュー王との口付けをあんなに嫌がるのかと思うだけで救われた気がした。
血が出そうになる程、必死に擦る手を掴んでやめさせた。
「私が寸前で止めさせたよ。当たり前だろう。例え、陛下と言えどもシュウと口付けなど許すはずがない」
そう言うとあからさまに安堵の表情を浮かべた。
そんなシュウを見て、私はあるお仕置きを思いついた。
「口付けしてなかったから良いと言うわけではないよ。シュウから抱きついて行ったんだからな」
怒った口調でそう言うと、シュウは落ち込んだ様子で
「フレッドを、傷つけて……ごめんなさい」
と謝罪の言葉を述べた。
これが口先だけの言葉でなく、自分がしでかしたことへの後悔と私に申し訳ないという気持ちとが存分に入っていることはよく分かっている。
わかっていながら、シュウを見つめて黙っていると、
「フレッド……どうしたら許してくれる?」
と聞いてきた。
そう! その言葉を待っていたんだ!
「……そうだな。悪い子にはお仕置きが必要かな」
ニヤリと笑みを溢しながらそう言うと、シュウはどんなお仕置きを想像しているのか覚悟を決めたような顔をして
「うん。わかった。ぼく、なんでもするよ」
と言い切った。
「なら、まずは一緒に風呂にでも入ろうか。頭をスッキリさせるにはちょうどいい」
有無を言わさず、シュウを抱き抱えてバスルームへと向かった。
ひとつだけ貰ってきたあの入浴剤を早速使ってやろう。
シュウの淫らな姿が見られると思うと思わずにやけそうになるが、これはお仕置きだ。
絶対に笑ってはいけない。
素知らぬふりをして、シュウの淫らな姿を引き出すのだ。
髪や身体を洗う時間も惜しいと思うほどに、シュウの乱れた姿が見たくてたまらない。
どうせまた後で風呂に入ることだし、さっさと湯船に入れてしまおう。
シュウを抱き抱えたままさっとお湯をかけ流し、そのまま湯船へと沈み込んだ。
「そうだ、シュウに面白いものを見せてやろう」
何食わぬ顔をしてシュウの目の前に差し出したハートの形の入浴剤。
「あれ? これって……?」
「ふふっ。シュウも見たんだろう?
ブランシェット侯爵からの贈り物だよ」
「えっ? でも、あれは間違いだって……」
「あ? ああ、あの……ブルーノが連絡したらそのまま使っていいと言われそうでな、貰ってきたんだ」
危ない、危ない。
そうだ、ほかの人への贈り物と間違えたと伝えたんだったか。
うまい言い訳ができて良かった。
「これ、お風呂で使うものだったの?」
やはりシュウは知らないだろうな。
これがどうなるか、そして自分がどうなるかも。
ああ、楽しみでたまらない。
「ああ。これを湯につけるとな……」
「わぁっ、何これ? おもしろい! お湯がぬるぬるしてる!」
そう、あれは入浴剤といっても湯の色が変わるのではなく、湯がトロリとしたお湯に変化するのだ。
このトロリとしたお湯には微電流が発生するのだが、刺激に弱い場所、特に普段弄られているところには強い反応を示す。
私がシュウの胸の尖りや可愛い果実を普段可愛がってあげているから、きっとこの微電流は強い刺激となって反応するはずだ。
何も気づかずにこのお湯で遊んでいるシュウの子どものような笑顔が、快感に歪み嬌声をあげるのだと思うとそれだけで昂ってしまいそうになる。
「ふふっ。気持ちいいだろう? このお湯は身体によく浸透して温めてくれるんだ」
トロリとしたお湯を両手で掬い上げシュウの肩に流してやると、湯はゆっくりとシュウの滑らかな肌を滑っていく。
「うん、きもちいぃ……」
シュウは『ふぅ』と緊張がほぐれたような声を出しながら湯の温もりを楽しんでいたが、突然身体をビクリと震わせ、
「……っあ……」
と甘やかな吐息を漏らした。
おっ、来たか。
何かわからない刺激に戸惑った顔をしている。
ふふっ。面白いな。
「んっ? シュウ、どうした?」
私は素知らぬ顔でシュウに尋ねた。
「う、ううん……なんでもない」
ふふっ。我慢してるな?
必死で耐えようとしている姿が実に可愛い。
「そうか?」
さぁ、我慢しなくていい。
私に淫らな姿を見せてくれ。
私はせっせと湯をシュウにかけていく。
胸の尖りに当たるように執拗に……。
その度にシュウの身体がピクリ、ピクリと反応する。
我慢が出来なくなるのもすぐだな。
シュウが足を擦り合わせている。
これは兆してきたに違いない。
「シュウ? どうした?」
「……な、んでも……ない、だいじょ……ぶ」
「なんでもないことないだろう?
もしかしてのぼせたのか?」
だいぶ声に艶が出てきた。
間違いなく興奮状態にあるはずだ。
シュウを顔が見えるように抱き直すと、私の腹にシュウの硬くなった果実の感触があったことに思わず笑みが溢れた。
もうこんなに硬くなっているのか。
それなら、可愛がってあげないといけないな。
「……シュウ、これは何かな?」
腹に当たる可愛い果実を指先でツンと弾くと、シュウは可愛い声を上げた。
「……っふぁ……」
「シュウ? 答えるんだ。どうしてこんなふうになってるんだ?」
普段の私ならシュウの果実がここまで硬くなる前から優しく包み込むように覆い尽くして弄り倒してあげるのだが、今日はお仕置きなのだからシュウから強請るまでは触れてはやらない。
シュウの一番感じるところをピンと弾くだけで身体が跳ねていく。
相当な快感がきているな、これは。
「……あ、の……お湯が、きもちよく……て」
「うん? このお湯のせいでシュウのここがこんなふうになってしまったというのか?」
わざとシュウの羞恥心を煽るように言ってやると、シュウの昂りはどんどん硬さを増していく。
「……ひぁ……っ、あぁ……んっ」
「そうか。もうすっかり勃ち上がってしまってるな。シュウ、どうしたら良い?」
「……えっ?」
いつものように私が触れるのを待っていたのだろう。こんな状態になった時にどうして欲しいだなんてシュウからきいたことがない。
いつも私が我慢できずにシュウを感じさせたくてたまらなくなってしまうのだから……。
でも今日だけは我慢だ。
シュウに我慢の限界が来て、私を欲しいと強請るまでは絶対に触れない。
湯の中では愚息が早くシュウの中に入りたいと恐ろしいほどに意気込んでいるが、我慢するんだ。
シュウの淫らに誘う姿をみるまでは……。
早くシュウの限界を来させるために、硬くなった果実への刺激を続けていると、
「……やぁ……っあ、んん……っ、ふぁ……っ……フ、レッドぉ……いつ、ものように……さ、さわってぇ……」
シュウは嬌声をあげ、必死に私の指を求めた。
これだけで私の理性を壊すには十分だったが、せっかくならシュウがひとりでやるのを見てみたい。
その欲求がムクムクと湧き上がってきた。
「シュウ、どうやってやるのか私に見せてくれないか?」
そういうと、シュウは涙を浮かべながら必死な様子で可愛らしい抵抗をみせた。
「……なん、で? フレ、ッド……いじわる、しないで……さわ、ってぇ……」
「ふふっ。シュウ、お仕置きするって言ったろう?」
その言葉にハッとした表情を見せたシュウは、お仕置きという言葉の意味に気づいたようだ。
少しずつ顔が赤らんでいくのは、今までの刺激のせいだけではないだろう。
「ほら、お仕置き。できないなら、いいぞ。
許して欲しくないんだな、シュウは……」
「フレッド……。ぼく、やるよ……」
「ああ、じゃあ見せてくれ」
覚悟を決めたように私の膝から立ち上がった。
その場に突っ立ったまま、自分のモノに触れようとするシュウに更なる要望を与えてみた。
「シュウ、そこの縁に腰掛けて足を広げて見せて」
恥じらい嫌がるかと思ったが、素直にして見せたのはこれがお仕置きだと理解したからだ。
湯船の縁に腰を下ろすと、座っている私の目線にシュウのモノが見える。
フルフル震えるそれは、私に見られていることで更に硬さを増し、先端からキラリと蜜が垂れ始めている。
ああ、先端に舌を挿し込んであの甘い蜜を心ゆくまで舐め尽くしたい。
そんな衝動に駆られるが、今そんなことをすれば水の泡だ。
シュウの可愛い姿を見られなくなってしまう。
凶暴なまでに猛った愚息を宥めながら、じっとシュウを見続けていた。
シュウは私に視線を向けながら、手は自分の可愛らしいモノを握って上下に擦り始めた。
「……あぁ……っ」
シュウのモノに纏わりついたトロリとしたお湯がシュウの動きに合わせてクチュクチュと音を立てる。
「シュウ、感じてるのか? もっと動かして」
私がそう言うと、シュウは素直に手の動きを速めた。
グチュグチュといやらしい音が浴室中に響き渡る。
あまりにもシュウの艶めかしい姿に目が離せない。
擦られ蜜をタラタラと溢し続けるシュウのモノをみながら、快感に嬌声をあげるシュウの姿も目に焼き付けたい。
「……あっ、は……っ、んん……っ」
シュウがこんなに淫らになったのは私のせいか。
穢れなき天使の如く無垢なシュウにこんなことをさせられるのは私だけか。
そう思うだけで、愚息の昂りは勢いを増していく。
もっと喘いで乱れて欲しい。
もっと蕩けるような声で。
欲求は高まる一方だ。
「ほら、シュウ。ここも、触ってあげて」
シュウの手を取り、ピンと尖った胸の尖りにそっと当てると、それだけで感じたようだ。
きゅっと摘んでやると、
「あぁん……っ!」
ひときわ大きな声をだし、身体をびくつかせた。
シュウの反応にもう我慢が出来なくなってきて、
「仕方ないから手伝ってやろう」
そういって何度も何度も胸の尖りばかりを執拗に摘んでやった。
「フレ、ッドぉ……、ここ、ここ……さわってぇ……」
我慢の限界がきたのか、シュウは突然立ち上がると私に背を向け可愛らしい尻を突き出した。
縁に座っていたからか、尻には赤い痕が残っていたが、それよりも私の目を引いたのはパックリと開いた蕾だった。
パクパクと口を開け、中から愛液を滴らせている。
「……フレッドぉ、おねが、い……なか、にさわ、ってぇ……」
シュウは自分で人差し指を挿し込みグチュグチュさせながら強請ってくる。
なんだ、このエロい生き物は……。
これがシュウ?
あまりのエロさに思わず唾を飲み込んだ。
そして、エロい姿に暴発してしまいそうな愚息をシュウに見せつけた。
「もう、我慢しないからな」
尻の割れ目にあてがい、愚息にシュウの愛液を纏わらせてから
「挿入るぞ!」
という声をかけたと同時に一気に貫いた。
「か……はっ……」
いつものように中を解していなかったから狭かったが、よほど私のモノを挿入て欲しかったんだろう。
シュウの中は私に吸い付いて離れようとしない。
「ああっ、シュウ、シュウ……私のものだ」
可愛いシュウの淫らな姿に興奮が抑えられない私は何度もギリギリまで引き抜いては一気に奥まで挿し込み、シュウを味わい尽くした。
「フ、レッド……はぁ……っ、はぁ……っ、ああんっ!」
シュウが突然、しがみついてきて、
「ああ……っ、フレ、ッドぉ……お、く……きもちいぃ……もっとぉ……」
と強請ってくる。
ただでさえすぐにイッてしまいそうな状態に必死に耐えているというのに、そんなお強請りまでされて我慢できるはずがない。
「ああっ! もう、これ以上煽るな!」
それでもシュウより先にイクわけにはいかない。
必死に腰を大きく動かして、シュウの最奥を突きまくる。
「ひぁ……っん、ああっ……フ、レッドぉ……、すご、い……きもちいぃ……」
「ああ、シュウ……愛してる」
耳元でシュウに愛を囁くと、シュウは気持ちよさような顔をして、
「ああ……っ、イく、イく、もぉ……でちゃ、う……」
と言いながら甘い蜜を放った。
シュウがイッたことに安堵した瞬間、
「はぁ……っ、ああ……っはぁ……っ」
私もシュウの中で果てていた。
とんでもない量が出続けているのを感じながら、
愚息が落ち着くのを待った。
これはシュウのお仕置きだったはず。
しかし、終わってみれば愚息を限界まで我慢させて……言うなれば愚息へのお仕置きになってしまったんじゃないかなんて心の中で秘かに笑っている自分がいた。
やはり私にはシュウにお仕置きなど無理かもしれない。
シュウの淫らな姿を見ては我慢できないからな。
そんなことを思いながら、シュウの中からゆっくりと愚息を引き抜いた。
「シュウが可愛すぎて我慢できなくなってしまった」
擦りすぎて少し赤くなっている唇に口付けを送ると、シュウは小さな声で
「フレッド、まだ怒ってる?」
と尋ねてきた。
「いいや、最初から怒ってなどいないよ。
ただ、わかって欲しかっただけだ。
シュウが私以外の人間と口付けを交わすところなど死んでも見たくないからな」
シュウは本当に反省したんだろう。
大事な口付けをアンドリュー王と交わさずに済んだことを安堵しているように見えた。
「うん。ごめんなさい。
……ねぇ、フレッド……ちゅうしていい?」
「えっ?」
ちゅうとは何だったか……と思う間もなく、シュウの唇が再び私のそれに重ねられた。
シュウからの甘い甘い口付けに酔いしれながら、
私たちは深い口付けを交わした。
そのままシュウを抱き抱えバスタオルで包み、寝室へ横たわらせ、今度はいつものように口付けを交わし、首筋やピアスの付いた耳たぶに口付けを送り、
そして、シュウの全身に触れ甘やかな時を過ごした。
2度目の風呂はシュウの大好きな香りの強い花を入れてある。シュウと身体を繋げた後にこの風呂に入れるとシュウの身体の疲れが取れやすいらしいと分かってからはいつもこれだ。
自制しているのもあるが、この風呂に入れることで翌日熱を出すことがなくなったから、シュウの身体には合っているんだろうと思う。
お互いの汗や蜜でベタベタになってしまった身体を清め、新しい夜着に着替えさせまた寝室へと戻ってきた。
「シュウ、大丈夫か? 身体きついところないか?」
そう尋ねるとシュウは柔かな笑顔を見せてくれた。
「ううん、大丈夫。フレッドが優しくしてくれたから……あっ、でも……」
「どうした?」
「フレッドがまだ中にいるような感覚はするね。ふふっ」
シュウはその言葉が男の感情を煽ることがわからないのだろうな。
「そう言うのを煽るって言うんだぞ。
シュウは少し男心を勉強しないといけないな」
「わかった、頑張る!」
「ははっ。期待してるよ」
そう話すシュウの仕草がもうすでに煽っていることに気づいていないだろう。
上目遣いでにっこり笑うだけでなんでこんなに可愛いんだろうな。
「それから……シュウ、もうわかってると思うが、酒は口にしてはいけない。呑んでいいのは私と2人っきりの時だけだ。私がいても他の者がいる時はダメだ。わかったな?」
「うん。わかった、約束する」
あんなに舌足らずで今よりさらに可愛らしくなると言うのは本当に想定外だった。
そんな姿を他の者に見られると考えるだけで怒りが込み上げてくる。
ただ、あの酔った姿は言葉に言い表せないほど可愛かった。いや、可愛すぎたんだな。
そういえば、あの時視界の隅にチーズが見えたな……。
あれを食べたならあんなに酔うことはなかったはずなのだが、異世界人のシュウには効果がなかったということか?
「約束してくれるならいいが……。
シュウ、ちょっと聞きたいんだが……あの時テーブルの上にはブランシェット侯爵のワインと一緒にチーズが置かれていたな。
あれは食べなかったのか?」
「えっ? チーズ? えっと……お父さんが用意してくれたけど、そういえば呑みながら話するのに一生懸命で、チーズは1つも食べてなかったかも……。でも、チーズが何か関係あるの?」
「はぁーーっ、そうか……。
シュウが酔ったのはそのせいもあるかもしれないな。あのチーズには酔うのを防ぐ効果があるんだ。
この時代にはまだ解明されてなかったかもしれないが、我々の時代にはちゃんと証明されてるんだよ。
トーマ王妃はあのワインとチーズを一緒に食べた時の経験からなんとなくわかっていて、シュウに勧めてくれていたかもしれないな。だから、トーマ王妃はシュウと一緒にあれだけ呑んで、ほんの少しも酔ってはいなかったぞ」
トーマ王妃はチーズを食べることで酔いを防ぐということは知らなかったのだな。
何かするたびに歴史の改竄になるのではと心配になるがこれは知らせたとしてもそこまで重要でないから大丈夫だろう。
トーマ王妃もシュウと同じ体質ならば、同じように酔う可能性がある。
シュウと違って国内外の人と呑む機会の多いトーマ王妃なら知っておくのは身の為だろう。
「そうなんだ……。ちゃんと食べておけば良かった。お父さんにも迷惑かけちゃったな。アンドリューさまにも……。ぼくのせいでお父さんとアンドリューさまもケンカとかしてないかな?」
たしかにあの時トーマ王妃は驚きすぎて声も出ない様子だった。相手がシュウだったからまだ良かったのかはわからんが、自分の息子が……しかも姿形のよく似た息子が抱きついて口付けを強請っている姿をどう見たのだろうな。
「大丈夫だとは思うが、明日謝りに行っておこう。
私もついていってやるから。
トーマ王妃は明日から公務だろう。
その前に謝りに行こう」
「うん。ありがとう、フレッド」
「じゃあ寝ようか。おやすみ、シュウ」
シュウを腕の中に抱き、私は眠りについた。
気づけばもうそろそろ日も落ちそうな時間になっていた。
もうこんな時間か……。
シュウはまだ眠っているだろうか?
そっと寝室に近づくと、シュウの泣き声が聞こえてきた。
起きて自分の部屋で寝ていたから驚いたのかもしれない。
ということは、自分がしたことを覚えていないかもしれないな。
トーマ王妃には強く責めないでと釘を刺されたが、何も言わないわけにはいかない。
そうだとしたら、どういう風に伝えるべきか……。
悩みながら寝室の扉をカチャリと開けると、
シュウがこちらを向いていた。
「シュウ? 起きたのか?」
「……フレ、ッドぉ……」
舌足らずのようなあの口調が残っている。
まだ少し酔っているのだろう。
シュウの傍に居させておいたパールと張り合うようにシュウを抱きしめながら、
「なぁ、シュウ……。お前はどれくらい覚えてる?」
と尋ねてみた。
「えっ?」
何のことかわからないといった表情を向けるシュウにもう一度尋ねてみた。
「トーマ王妃とワインを呑んでからのこと……どこまで覚えてる?」
「えっとー、お父さんの部屋のソファーに座って甘ぁーいジュースみたいなワイン飲みながらおしゃべりしたよ。それで、2本か3本か開けたような気がするけど……気づいたらここで寝てた」
「はぁーーーっ」
やっぱり何も覚えてない……。
シュウにはもう酒は呑ませてはいけないということだな。
これだけはちゃんと伝えておかなければならぬ。
「シュウ、もうお前は酒は口にしてはいけない。
それだけ私と約束してくれ。こんなことがまたあったら、私は発狂しそうになる」
シュウの肩を両手強く抱き、言い聞かせるように伝えるとただならぬ空気に酔いも醒めたのか青褪めた表情で口を開いた。
「ぼく……何したの? 何か悪いことをしてしまったの?」
どうする?
シュウのしでかしたことを伝えるべきか?
でも、口にすればシュウを責めてしまいそうだ。
それは避けたい。
自分の中で葛藤している間に、
「もうお酒は呑まないって約束するから……何したか教えて欲しい……お願い」
シュウが再度尋ねてきた。
もう、これは言うしかないだろう。
トーマ王妃に言われたように強く責めずにいられるかは甚だ疑問だが、隠し通すこともできない。
「……ちが……んだ」
「えっ? なんて?」
「だから! 間違えたんだ、私と陛下を!」
そう言うと、シュウは顔面蒼白で
「……う、そ……」
と小さく呟いた。
そう、嘘ならどんなに良かったかしれやしない。
「本当だ。シュウが酔っぱらったかもしれないって、トーマ王妃が私を呼びに来てくれて……陛下も一緒に部屋に着いたら、シュウは……陛下に抱きついて口付けしようとしたんだ」
私の言葉にシュウはすぐに唇に手を当て、
「や……っ、」
必死に唇を擦り始めた。
嫌悪感たっぷりのその表情に、ほんの少しだけほっとした自分がいた。
シュウはアンドリュー王との口付けをあんなに嫌がるのかと思うだけで救われた気がした。
血が出そうになる程、必死に擦る手を掴んでやめさせた。
「私が寸前で止めさせたよ。当たり前だろう。例え、陛下と言えどもシュウと口付けなど許すはずがない」
そう言うとあからさまに安堵の表情を浮かべた。
そんなシュウを見て、私はあるお仕置きを思いついた。
「口付けしてなかったから良いと言うわけではないよ。シュウから抱きついて行ったんだからな」
怒った口調でそう言うと、シュウは落ち込んだ様子で
「フレッドを、傷つけて……ごめんなさい」
と謝罪の言葉を述べた。
これが口先だけの言葉でなく、自分がしでかしたことへの後悔と私に申し訳ないという気持ちとが存分に入っていることはよく分かっている。
わかっていながら、シュウを見つめて黙っていると、
「フレッド……どうしたら許してくれる?」
と聞いてきた。
そう! その言葉を待っていたんだ!
「……そうだな。悪い子にはお仕置きが必要かな」
ニヤリと笑みを溢しながらそう言うと、シュウはどんなお仕置きを想像しているのか覚悟を決めたような顔をして
「うん。わかった。ぼく、なんでもするよ」
と言い切った。
「なら、まずは一緒に風呂にでも入ろうか。頭をスッキリさせるにはちょうどいい」
有無を言わさず、シュウを抱き抱えてバスルームへと向かった。
ひとつだけ貰ってきたあの入浴剤を早速使ってやろう。
シュウの淫らな姿が見られると思うと思わずにやけそうになるが、これはお仕置きだ。
絶対に笑ってはいけない。
素知らぬふりをして、シュウの淫らな姿を引き出すのだ。
髪や身体を洗う時間も惜しいと思うほどに、シュウの乱れた姿が見たくてたまらない。
どうせまた後で風呂に入ることだし、さっさと湯船に入れてしまおう。
シュウを抱き抱えたままさっとお湯をかけ流し、そのまま湯船へと沈み込んだ。
「そうだ、シュウに面白いものを見せてやろう」
何食わぬ顔をしてシュウの目の前に差し出したハートの形の入浴剤。
「あれ? これって……?」
「ふふっ。シュウも見たんだろう?
ブランシェット侯爵からの贈り物だよ」
「えっ? でも、あれは間違いだって……」
「あ? ああ、あの……ブルーノが連絡したらそのまま使っていいと言われそうでな、貰ってきたんだ」
危ない、危ない。
そうだ、ほかの人への贈り物と間違えたと伝えたんだったか。
うまい言い訳ができて良かった。
「これ、お風呂で使うものだったの?」
やはりシュウは知らないだろうな。
これがどうなるか、そして自分がどうなるかも。
ああ、楽しみでたまらない。
「ああ。これを湯につけるとな……」
「わぁっ、何これ? おもしろい! お湯がぬるぬるしてる!」
そう、あれは入浴剤といっても湯の色が変わるのではなく、湯がトロリとしたお湯に変化するのだ。
このトロリとしたお湯には微電流が発生するのだが、刺激に弱い場所、特に普段弄られているところには強い反応を示す。
私がシュウの胸の尖りや可愛い果実を普段可愛がってあげているから、きっとこの微電流は強い刺激となって反応するはずだ。
何も気づかずにこのお湯で遊んでいるシュウの子どものような笑顔が、快感に歪み嬌声をあげるのだと思うとそれだけで昂ってしまいそうになる。
「ふふっ。気持ちいいだろう? このお湯は身体によく浸透して温めてくれるんだ」
トロリとしたお湯を両手で掬い上げシュウの肩に流してやると、湯はゆっくりとシュウの滑らかな肌を滑っていく。
「うん、きもちいぃ……」
シュウは『ふぅ』と緊張がほぐれたような声を出しながら湯の温もりを楽しんでいたが、突然身体をビクリと震わせ、
「……っあ……」
と甘やかな吐息を漏らした。
おっ、来たか。
何かわからない刺激に戸惑った顔をしている。
ふふっ。面白いな。
「んっ? シュウ、どうした?」
私は素知らぬ顔でシュウに尋ねた。
「う、ううん……なんでもない」
ふふっ。我慢してるな?
必死で耐えようとしている姿が実に可愛い。
「そうか?」
さぁ、我慢しなくていい。
私に淫らな姿を見せてくれ。
私はせっせと湯をシュウにかけていく。
胸の尖りに当たるように執拗に……。
その度にシュウの身体がピクリ、ピクリと反応する。
我慢が出来なくなるのもすぐだな。
シュウが足を擦り合わせている。
これは兆してきたに違いない。
「シュウ? どうした?」
「……な、んでも……ない、だいじょ……ぶ」
「なんでもないことないだろう?
もしかしてのぼせたのか?」
だいぶ声に艶が出てきた。
間違いなく興奮状態にあるはずだ。
シュウを顔が見えるように抱き直すと、私の腹にシュウの硬くなった果実の感触があったことに思わず笑みが溢れた。
もうこんなに硬くなっているのか。
それなら、可愛がってあげないといけないな。
「……シュウ、これは何かな?」
腹に当たる可愛い果実を指先でツンと弾くと、シュウは可愛い声を上げた。
「……っふぁ……」
「シュウ? 答えるんだ。どうしてこんなふうになってるんだ?」
普段の私ならシュウの果実がここまで硬くなる前から優しく包み込むように覆い尽くして弄り倒してあげるのだが、今日はお仕置きなのだからシュウから強請るまでは触れてはやらない。
シュウの一番感じるところをピンと弾くだけで身体が跳ねていく。
相当な快感がきているな、これは。
「……あ、の……お湯が、きもちよく……て」
「うん? このお湯のせいでシュウのここがこんなふうになってしまったというのか?」
わざとシュウの羞恥心を煽るように言ってやると、シュウの昂りはどんどん硬さを増していく。
「……ひぁ……っ、あぁ……んっ」
「そうか。もうすっかり勃ち上がってしまってるな。シュウ、どうしたら良い?」
「……えっ?」
いつものように私が触れるのを待っていたのだろう。こんな状態になった時にどうして欲しいだなんてシュウからきいたことがない。
いつも私が我慢できずにシュウを感じさせたくてたまらなくなってしまうのだから……。
でも今日だけは我慢だ。
シュウに我慢の限界が来て、私を欲しいと強請るまでは絶対に触れない。
湯の中では愚息が早くシュウの中に入りたいと恐ろしいほどに意気込んでいるが、我慢するんだ。
シュウの淫らに誘う姿をみるまでは……。
早くシュウの限界を来させるために、硬くなった果実への刺激を続けていると、
「……やぁ……っあ、んん……っ、ふぁ……っ……フ、レッドぉ……いつ、ものように……さ、さわってぇ……」
シュウは嬌声をあげ、必死に私の指を求めた。
これだけで私の理性を壊すには十分だったが、せっかくならシュウがひとりでやるのを見てみたい。
その欲求がムクムクと湧き上がってきた。
「シュウ、どうやってやるのか私に見せてくれないか?」
そういうと、シュウは涙を浮かべながら必死な様子で可愛らしい抵抗をみせた。
「……なん、で? フレ、ッド……いじわる、しないで……さわ、ってぇ……」
「ふふっ。シュウ、お仕置きするって言ったろう?」
その言葉にハッとした表情を見せたシュウは、お仕置きという言葉の意味に気づいたようだ。
少しずつ顔が赤らんでいくのは、今までの刺激のせいだけではないだろう。
「ほら、お仕置き。できないなら、いいぞ。
許して欲しくないんだな、シュウは……」
「フレッド……。ぼく、やるよ……」
「ああ、じゃあ見せてくれ」
覚悟を決めたように私の膝から立ち上がった。
その場に突っ立ったまま、自分のモノに触れようとするシュウに更なる要望を与えてみた。
「シュウ、そこの縁に腰掛けて足を広げて見せて」
恥じらい嫌がるかと思ったが、素直にして見せたのはこれがお仕置きだと理解したからだ。
湯船の縁に腰を下ろすと、座っている私の目線にシュウのモノが見える。
フルフル震えるそれは、私に見られていることで更に硬さを増し、先端からキラリと蜜が垂れ始めている。
ああ、先端に舌を挿し込んであの甘い蜜を心ゆくまで舐め尽くしたい。
そんな衝動に駆られるが、今そんなことをすれば水の泡だ。
シュウの可愛い姿を見られなくなってしまう。
凶暴なまでに猛った愚息を宥めながら、じっとシュウを見続けていた。
シュウは私に視線を向けながら、手は自分の可愛らしいモノを握って上下に擦り始めた。
「……あぁ……っ」
シュウのモノに纏わりついたトロリとしたお湯がシュウの動きに合わせてクチュクチュと音を立てる。
「シュウ、感じてるのか? もっと動かして」
私がそう言うと、シュウは素直に手の動きを速めた。
グチュグチュといやらしい音が浴室中に響き渡る。
あまりにもシュウの艶めかしい姿に目が離せない。
擦られ蜜をタラタラと溢し続けるシュウのモノをみながら、快感に嬌声をあげるシュウの姿も目に焼き付けたい。
「……あっ、は……っ、んん……っ」
シュウがこんなに淫らになったのは私のせいか。
穢れなき天使の如く無垢なシュウにこんなことをさせられるのは私だけか。
そう思うだけで、愚息の昂りは勢いを増していく。
もっと喘いで乱れて欲しい。
もっと蕩けるような声で。
欲求は高まる一方だ。
「ほら、シュウ。ここも、触ってあげて」
シュウの手を取り、ピンと尖った胸の尖りにそっと当てると、それだけで感じたようだ。
きゅっと摘んでやると、
「あぁん……っ!」
ひときわ大きな声をだし、身体をびくつかせた。
シュウの反応にもう我慢が出来なくなってきて、
「仕方ないから手伝ってやろう」
そういって何度も何度も胸の尖りばかりを執拗に摘んでやった。
「フレ、ッドぉ……、ここ、ここ……さわってぇ……」
我慢の限界がきたのか、シュウは突然立ち上がると私に背を向け可愛らしい尻を突き出した。
縁に座っていたからか、尻には赤い痕が残っていたが、それよりも私の目を引いたのはパックリと開いた蕾だった。
パクパクと口を開け、中から愛液を滴らせている。
「……フレッドぉ、おねが、い……なか、にさわ、ってぇ……」
シュウは自分で人差し指を挿し込みグチュグチュさせながら強請ってくる。
なんだ、このエロい生き物は……。
これがシュウ?
あまりのエロさに思わず唾を飲み込んだ。
そして、エロい姿に暴発してしまいそうな愚息をシュウに見せつけた。
「もう、我慢しないからな」
尻の割れ目にあてがい、愚息にシュウの愛液を纏わらせてから
「挿入るぞ!」
という声をかけたと同時に一気に貫いた。
「か……はっ……」
いつものように中を解していなかったから狭かったが、よほど私のモノを挿入て欲しかったんだろう。
シュウの中は私に吸い付いて離れようとしない。
「ああっ、シュウ、シュウ……私のものだ」
可愛いシュウの淫らな姿に興奮が抑えられない私は何度もギリギリまで引き抜いては一気に奥まで挿し込み、シュウを味わい尽くした。
「フ、レッド……はぁ……っ、はぁ……っ、ああんっ!」
シュウが突然、しがみついてきて、
「ああ……っ、フレ、ッドぉ……お、く……きもちいぃ……もっとぉ……」
と強請ってくる。
ただでさえすぐにイッてしまいそうな状態に必死に耐えているというのに、そんなお強請りまでされて我慢できるはずがない。
「ああっ! もう、これ以上煽るな!」
それでもシュウより先にイクわけにはいかない。
必死に腰を大きく動かして、シュウの最奥を突きまくる。
「ひぁ……っん、ああっ……フ、レッドぉ……、すご、い……きもちいぃ……」
「ああ、シュウ……愛してる」
耳元でシュウに愛を囁くと、シュウは気持ちよさような顔をして、
「ああ……っ、イく、イく、もぉ……でちゃ、う……」
と言いながら甘い蜜を放った。
シュウがイッたことに安堵した瞬間、
「はぁ……っ、ああ……っはぁ……っ」
私もシュウの中で果てていた。
とんでもない量が出続けているのを感じながら、
愚息が落ち着くのを待った。
これはシュウのお仕置きだったはず。
しかし、終わってみれば愚息を限界まで我慢させて……言うなれば愚息へのお仕置きになってしまったんじゃないかなんて心の中で秘かに笑っている自分がいた。
やはり私にはシュウにお仕置きなど無理かもしれない。
シュウの淫らな姿を見ては我慢できないからな。
そんなことを思いながら、シュウの中からゆっくりと愚息を引き抜いた。
「シュウが可愛すぎて我慢できなくなってしまった」
擦りすぎて少し赤くなっている唇に口付けを送ると、シュウは小さな声で
「フレッド、まだ怒ってる?」
と尋ねてきた。
「いいや、最初から怒ってなどいないよ。
ただ、わかって欲しかっただけだ。
シュウが私以外の人間と口付けを交わすところなど死んでも見たくないからな」
シュウは本当に反省したんだろう。
大事な口付けをアンドリュー王と交わさずに済んだことを安堵しているように見えた。
「うん。ごめんなさい。
……ねぇ、フレッド……ちゅうしていい?」
「えっ?」
ちゅうとは何だったか……と思う間もなく、シュウの唇が再び私のそれに重ねられた。
シュウからの甘い甘い口付けに酔いしれながら、
私たちは深い口付けを交わした。
そのままシュウを抱き抱えバスタオルで包み、寝室へ横たわらせ、今度はいつものように口付けを交わし、首筋やピアスの付いた耳たぶに口付けを送り、
そして、シュウの全身に触れ甘やかな時を過ごした。
2度目の風呂はシュウの大好きな香りの強い花を入れてある。シュウと身体を繋げた後にこの風呂に入れるとシュウの身体の疲れが取れやすいらしいと分かってからはいつもこれだ。
自制しているのもあるが、この風呂に入れることで翌日熱を出すことがなくなったから、シュウの身体には合っているんだろうと思う。
お互いの汗や蜜でベタベタになってしまった身体を清め、新しい夜着に着替えさせまた寝室へと戻ってきた。
「シュウ、大丈夫か? 身体きついところないか?」
そう尋ねるとシュウは柔かな笑顔を見せてくれた。
「ううん、大丈夫。フレッドが優しくしてくれたから……あっ、でも……」
「どうした?」
「フレッドがまだ中にいるような感覚はするね。ふふっ」
シュウはその言葉が男の感情を煽ることがわからないのだろうな。
「そう言うのを煽るって言うんだぞ。
シュウは少し男心を勉強しないといけないな」
「わかった、頑張る!」
「ははっ。期待してるよ」
そう話すシュウの仕草がもうすでに煽っていることに気づいていないだろう。
上目遣いでにっこり笑うだけでなんでこんなに可愛いんだろうな。
「それから……シュウ、もうわかってると思うが、酒は口にしてはいけない。呑んでいいのは私と2人っきりの時だけだ。私がいても他の者がいる時はダメだ。わかったな?」
「うん。わかった、約束する」
あんなに舌足らずで今よりさらに可愛らしくなると言うのは本当に想定外だった。
そんな姿を他の者に見られると考えるだけで怒りが込み上げてくる。
ただ、あの酔った姿は言葉に言い表せないほど可愛かった。いや、可愛すぎたんだな。
そういえば、あの時視界の隅にチーズが見えたな……。
あれを食べたならあんなに酔うことはなかったはずなのだが、異世界人のシュウには効果がなかったということか?
「約束してくれるならいいが……。
シュウ、ちょっと聞きたいんだが……あの時テーブルの上にはブランシェット侯爵のワインと一緒にチーズが置かれていたな。
あれは食べなかったのか?」
「えっ? チーズ? えっと……お父さんが用意してくれたけど、そういえば呑みながら話するのに一生懸命で、チーズは1つも食べてなかったかも……。でも、チーズが何か関係あるの?」
「はぁーーっ、そうか……。
シュウが酔ったのはそのせいもあるかもしれないな。あのチーズには酔うのを防ぐ効果があるんだ。
この時代にはまだ解明されてなかったかもしれないが、我々の時代にはちゃんと証明されてるんだよ。
トーマ王妃はあのワインとチーズを一緒に食べた時の経験からなんとなくわかっていて、シュウに勧めてくれていたかもしれないな。だから、トーマ王妃はシュウと一緒にあれだけ呑んで、ほんの少しも酔ってはいなかったぞ」
トーマ王妃はチーズを食べることで酔いを防ぐということは知らなかったのだな。
何かするたびに歴史の改竄になるのではと心配になるがこれは知らせたとしてもそこまで重要でないから大丈夫だろう。
トーマ王妃もシュウと同じ体質ならば、同じように酔う可能性がある。
シュウと違って国内外の人と呑む機会の多いトーマ王妃なら知っておくのは身の為だろう。
「そうなんだ……。ちゃんと食べておけば良かった。お父さんにも迷惑かけちゃったな。アンドリューさまにも……。ぼくのせいでお父さんとアンドリューさまもケンカとかしてないかな?」
たしかにあの時トーマ王妃は驚きすぎて声も出ない様子だった。相手がシュウだったからまだ良かったのかはわからんが、自分の息子が……しかも姿形のよく似た息子が抱きついて口付けを強請っている姿をどう見たのだろうな。
「大丈夫だとは思うが、明日謝りに行っておこう。
私もついていってやるから。
トーマ王妃は明日から公務だろう。
その前に謝りに行こう」
「うん。ありがとう、フレッド」
「じゃあ寝ようか。おやすみ、シュウ」
シュウを腕の中に抱き、私は眠りについた。
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