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第四章 (王城 過去編)
フレッド 13−2※
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そんな2人を見て、アンドリュー王が再度目で訴えてくる。
そうだな、2人にも自分たちがどれだけ目立つ存在なのか少しはわかってもらわなければな。
私がそっと頷くと、アンドリュー王の一喝が響いた。
「なれど! もう2人で勝手に城下など出歩くことは許さぬぞ。トーマも其方も少しは己の魅力というものを自覚せねばいかん」
「その通りでございます。
トーマ王妃! 2人してあんな美しい女性に変装などされたら、目を惹かぬはずがございません。ましてや、平民の服をお召しになられては彼奴らでなくとも、すぐに声をかけられます。
シュウも! お前はすぐに人を虜にしてしまうのだから、気をつけないといけないぞ」
私たちの迫力に驚いたのか、シュウもトーマ王妃もしおらしい顔つきでごめんなさいと謝っていた。
そんな姿も可愛いと思ってしまうのだから、私はどうしようもない。
シュウに危険が迫ればまた助けにいくだけだ。
多分、アンドリュー王も同じ気持ちだろうな。
アンドリュー王の言葉でようやく食事が始まった。
トーマ王妃は甲斐甲斐しくアンドリュー王に世話をされながら、スープを飲み干した。
私もシュウに食べさせながら、楽しい時間を過ごした。
食事を終え、ブルーノが食後の紅茶と焼き菓子を持ってきた。
それを食しながら、会話を楽しんでいると突然トーマ王妃が声を上げた。
何かを思い出したのかアンドリュー王の耳元で何かを囁き、アンドリュー王は『ああ』と頷いた。
聞けば、わたしたちに頼があるのだという。
しかも、その内容が明日シュウを貸してくれとのことで私は驚きの色を隠せなかった。
シュウを貸してくれとな?
どういうことだ?
私のシュウは物ではないのだぞ。
アンドリュー王といえども、そんなこと許せるはずもないだろう。
そんなことは口が裂けても言えないが、内容によっては決別も致し方ない。
私はそんな不穏なことさえ考えてしまっていた。
私の不機嫌さに気づいたのか、トーマ王妃が慌てて口を開いた。
「実は明日、城下にある孤児院を慰問することになってるんだけど、こんな顔を子どもたちに見せる訳にいかないから、柊くんに僕の代わりに行ってもらえないかなって」
ああ、なるほど。
貸してもらえないかとはそういうことか……。
シュウは当然無理だと断ったが、トーマ王妃の必死の頼みに最後には了承した。
トーマ王妃がくるのを心待ちにしている孤児院の子どもたちが悲しむのはみたくないというシュウの優しさだ。
シュウならば、きっとうまくやれるだろう。
シュウの了承の返事にアンドリュー王もトーマ王妃も喜んでいる。
本音を言えば、たとえこんな仕方のない状況であったとしても、私以外の男の隣をシュウが歩くなど賛成したくないのだがここで反対などできるはずもない。
それでも、私は『頑張っておいで』と言うしかない。
私の言葉にシュウは嬉しそうに笑った。
その笑顔に私の心がチクリと痛んだ。
ならば練習をしてみようとトーマ王妃が提案してきた。
トーマ王妃の服を着るのだという。
そのためにトーマ王妃がアンドリュー王の膝から下されたのを見て、シュウも私に下ろすように言ってきた。
離したくはないのだが、仕方ない。
明日の練習ということはトーマ王妃の服を着て、アンドリュー王の隣に並ぶ練習をするのか?
シュウが頑張っている姿を見るのは嬉しいのだが、アンドリュー王と並ぶ姿は見たくないと思ってしまう。
狭量だと言われてもそれが私の本音なのだ。
私のそんな思いなど露ほども知らないシュウは嬉しそうにトーマ王妃の私室へと入っていった。
それをただじっと眺めていると、
『フレデリック、こちらへ』
とアンドリュー王に促され少し離れたソファー席に移動した。
「フレデリック、其方の伴侶から話は聞いたか?」
アンドリュー王はシュウたちに聞こえぬように小声で尋ねてくる。
「はい、抜かりなく。聞けば聞くほどあいつらの所業には反吐が出ます」
それを口火に私はシュウから聞いたことを全て包み隠さず、アンドリュー王に報告した。
「ということは、サンディーは広場でトーマたちを見かけたときから連れ去る気だったということだな。恐らくそのハンカチにも何か薬を仕込んでいたのだろう」
2人に聞こえないように冷静に話してはいるが、アンドリュー王の拳がギリギリと音を立てているのが聞こえる。
やはり相当お怒りの様子だ。
まぁ、当然だな。
「あいつらがシュウたちを連れ込んだあの家の捜索はどうなっているのですか?」
「それならヒューバートに隅から隅まで調べさせて、
『プラバニウム』と『デュルエラ』を残らず押収している。その他、麻酔薬や催淫剤なども見つかったそうだ」
ほぅ、あれはまだ残ってたのか。
なるほど、使えるな。
それにしても麻酔薬に催淫剤か……。
だとすると、ハンカチには本当に麻酔薬でも仕込んでいたかもしれないな。
本当に救いようのない奴らだ。
「陛下、あいつらへの処罰は何かお考えですか?」
「ラッセル侯爵家、ハジェンズ伯爵家については両家とも家名断絶の上、一族揃って鉱山での強制労働。
奴隷として一生働いてもらおう。
そして、サンディー、アランについては、お前も知ってるだろう。
オランディアに代々伝わるあの拷問を」
城下の広場に罪人を低い磔にし、
先を潰した刃物を置き、前を通る者たちに斬りつけさせる。
罪人は斬れない刃物でひと思いに殺してもらうこともできず、じわじわと痛みを与えられながら、死ぬのを待つ
この当時の拷問ならばそれぐらいが妥当なのか。
ラッセル侯爵家、ハジェンズ伯爵家、両家の処罰についてはどうでもいいし、まぁ、妥当だろう。
しかし、あいつらの処罰はアンドリュー王には悪いが正直言って甘すぎる。
シュウやトーマ王妃が味わった同じ恐怖を味わわせてやらなければ何の意味もない。
こんなもので私の気が済むものか。
シュウの腕に痕を刻み、シュウの首筋に舌を這わせた奴だぞ。
あいつらは殺さない。
死んで償いなどあいつらには必要ない。
「トーマを殴り、肌に触れた奴らだ。
城下の者たちも赦しなどしないだろう。
思い思いにあやつらを痛ぶるに違いない。
ましてや、今まで偉そうにしてきた高位貴族たちだからな。どうだ?」
アンドリュー王はそう言うが、ここはハッキリ言ってやる。
「恐れながら、城下での磔拷問はすぐにシュウやトーマ王妃の耳に入ります。シュウもトーマ王妃も心根が優しく、どんな酷い目に遭わされた相手といえども拷問に処せられることは望まないでしょう」
「ならば、其方はあいつらを赦すと申すか?」
アンドリュー王は怒りに満ちた目で私を見つめているが、あいつらを赦すなど頭の片隅にもない。
「いいえ、逆です。私はその程度の拷問では了承しかねます。あいつらにはもっと酷い苦しみを与えなければ意味がないのです」
そう、あんなほんの少しの痛みと羞恥、恐怖などあってないようなものだ。
「ほぉ、何か良い策でも?」
「あいつらは知らなかったようですが、あれにはもう一つ大変な効果があるのです。むしろ、我々の時代ではそちらの方が有名ですよ」
そう、『プラバニウム』の汁を『デュルエラ』に混ぜたものは、飲ますよりももっとすごい効果が得られる方法があるのだ。
「大変な効果だと?」
「はい。『デュルエラ』のとてつもない効果は得手して人を狂わせます。一度使うと止めることができないのです。私たちの時代には『デュルエラ』は危険植物として一度根絶やしにされたのですよ。今は、我が領地にいる研究者の男だけが復活させることに成功して、あいつらのような罪人にのみ使用しているのです」
ゴードンにいろいろと聞いていたのがまさかこんなところで役に立つとは思いもしなかったがな。
「して、その効果とは?」
「あれを飲ますのではなく、直接陰部に塗り込むと男でも女でも疼いて疼いて挿れてもらわずにはいられなくなるのですよ。
あいつらは襲ってでもヤリたかったのですから、これからは思う存分ヤッてもらったらいいのです。
ほら、この時代にもあるのでしょう?
ブランシェット侯爵家の秘密の男娼の館が。
そこにあいつらを送り込んで、毎日加虐嗜好な男たちに好きなだけ可愛がって貰いましょう」
「なるほど、それは面白い。
あの館の話はトーマや其方の伴侶の耳にも入らぬし、いい考えだ。
なれど、其方の時代にもあれは受け継がれておるのだな」
アンドリュー王がニヤリとほくそ笑む。
「もちろんでございます。いつの時代も残虐で変態的な性交を求める輩はたくさんおります。
私はもちろんそのような趣味はありませんが……」
「私もだ。トーマのように可愛らしい者が傍にいるのだからあんな場所には行く気も起こらんな」
『ははっ』と笑い声が重なった。
「よし、そうと決まればすぐにブランシェット侯爵を呼び出すとするか」
そう言うが早いか、アンドリュー王はブルーノをこっそりと呼び、ブランシェット侯爵に2日後に登城するように先触れを出しておくよう指示をした。
ラッセル侯爵家、ハジェンズ伯爵家にはもうすでに両当主の爵位剥奪と領地没収、そして家名断絶の上、一族総出で鉱山での強制労働が決定した旨を勅令として発布したそうだ。
両当主は突然の勅令に驚き、異議を唱えようとしたそうだが、勅令を伝えに行った騎士団団長のヒューバートに息子の所業を聞き、愕然として膝から崩れ落ちそのまま立ち上がることは出来なかったという。
両当主が直接謀反を起こしたわけでないが、シュウとトーマ王妃への所業はもちろんのこと、無抵抗の女性たちへの取り返しのつかない非道な行いをした息子たちへの己の育て方を恥じ、そして悔いながら奴隷として一生を過ごしてもらうしかない。
「それにしてもトーマたちは遅すぎるのではないか? 2人っきりで中で何をしているのだ?」
私は2人が密室にいたとしても、特にそういう面で心配を感じないのだがアンドリュー王は気になるようで、少し苛々し始めている。
もう立ち上がって部屋まで行ってしまうのでは?
と思った矢先、トーマ王妃の部屋の扉がカチャリと開いた。
『遅くなってごめんね』と部屋から出てきたのはトーマ王妃が2人??
いや、右はシュウだ!
元々似ているのだが、トーマ王妃の服を身につけ髪型を同じにすれば、もう私とアンドリュー王以外に見分けられる者はいないだろう。
この姿でアンドリュー王の隣を歩くのか……。
溺愛して少しの間も離れることがないと後世に伝えられたほどの2人だ。
それは国民にも広まっていることであるし、公務で揃って外に出られた日には仲の良い2人を見るのを楽しみにさえしていることだろう。
だからこそ、2人が出歩く時にはそれなりの触れ合いを求められる。
シュウがアンドリュー王と手を繋いだり、抱き抱えられたりといった場面があったとしたら?
想像するだけで、頭がおかしくなりそうだ。
「おお、見れば見るほどトーマにそっくりだな。
私やフレデリックならともかく、これなら他の者に気付かれることはないだろう」
私の心の内も知らずにアンドリュー王はどこか満足気な様子だ。
私のシュウをじっくりと見つめている姿に少し苛立ちが募る。
シュウをそんなに見つめないでくれ!
シュウは私のものなのだぞ!
と大声をあげたくなる。
「もう、アンディー!! そんなに柊くんを見たらダメだよ」
私の気持ちを知ってか知らずか、それともトーマ王妃の嫉妬なのか、トーマ王妃がアンドリュー王を諌めてくれて、ほんの少しだけ気持ちが浮上した。
「ああ、申し訳ない。だが、いくらトーマにそっくりでも私が愛するのはトーマ1人だから心配するでないぞ」
「もう! 嫉妬して言ってるんじゃないってば!」
アンドリュー王は全く気づいていない様子だがトーマ王妃はやはり私のためを思って諌めてくれたのだろう。
シュウ自身はどう思っているのだろう?
直接尋ねることもできずに、ただじっと3人の様子を後ろから見つめていると、シュウがタタっと2人の横を通って私の元に駆け寄ってきた。
「ねぇ、フレッド……似合ってる?」
似合ってる……。
ああ、似合ってるさ。
アンドリュー王の傍にいても十分映えるほどに。
「……ああ、どこからどう見てもトーマ王妃だ」
精一杯の笑顔でそう返すことしかできない。
私の気持ちはわかってもらえないだろうな……。
「違うよ、フレッドにはどう見えてる?」
「えっ?」
私にはどう見えてるって……どういうことだ?
「フレッドが好きなぼくじゃない?」
「何を言う! シュウがどんな格好でも私には愛しいシュウであることに変わりはないぞ」
そうだ!
例えシュウがトーマ王妃の姿をしていようが、奴隷のような貧しい格好をしていようが、関係ない。
シュウはシュウなのだから。
「ふふっ。良かった。
冬馬さんの格好しているぼくの方が好きだって言われたらどうしようかと思っちゃった」
――――っ!
私はなんと愚かだったのだろう。
何もわかっていないのは私ではないか。
シュウの気持ちを理解せずにただただ嫉妬して……。
「申し訳ない。シュウがトーマ王妃の代役を頑張ろうとしている時に嫉妬などしてしまって……私の狭量さに嫌気がさしたのではないか?」
「そんなことあるわけないよ。むしろ、嫉妬してくれて嬉しい。ふふっ」
『ぐぅっっ』
シュウがあまりにも可愛いことをいうのに我慢できず、私は目の前で可愛らしく微笑むシュウを抱き抱え、仲睦まじく言い合っているアンドリュー王とトーマ王妃の元に駆け寄った。
「申し訳ありませんが、私たちはここで失礼致します。明日、朝食を共に致しますので打ち合わせはその時で宜しいでしょうか?」
一応お伺いを立ててはいるが、有無を言わせず失礼するつもりではある。
「あ、ああ。そうだな。
今日は其方の伴侶も疲れているだろうし、ここでお開きとするか」
「明日必要なことは書いておくから心配しないで」
私の意図に気付いたのか、アンドリュー王もトーマ王妃もすぐに了承してくれた。
私はその返事を聞くや否や、すぐに
『それでは失礼致します』
と、声をかけ、シュウを腕の中に閉じ込めたまま急いで部屋を出た。
近いはずの私たちの部屋が何キロも離れているようなそんなもどかしい気持ちでやっとのことで部屋に辿り着いた。
部屋の扉がしまった瞬間、我慢していたものが弾け飛んでいく、そんな気がした。
気づけば、シュウの唇を奪っていた。
柔らかで甘いその唇を貪るように重ね合わせた。
シュウの小さいけれど敏感な舌が私の舌に絡みつく。
甘い唾液がお互いを行き来し、クチュクチュと淫靡な音を立てる。
シュウの口から溢れでる吐息に痺れるような興奮を覚える。
もっともっと感じたくて深く絡み合わせていると、シュウの吐息に苦しそうに声が混ざった。
もっと味わっていたい。
けれど、シュウに苦しみを与えたくない。
まだ足りない。
でも……
そんな葛藤の中、私はゆっくりと唇を離した。
とろんと蕩けた眼差しで私を見つめるシュウに
私は希う。
「シュウ……まだ足りないんだ。寝室に連れて行ってもいいか?」
シュウをじっと見つめると、シュウもまた小さく頷いてくれた。
シュウが心変わりをしないうちにと急いで寝室へと連れて行く。
すぐにでもシュウを抱きしめたいが、この服は早く脱がせたい。
ただの私の我が儘だが、それだけは許して欲しい。
素早く服を脱がせると、下着から細く伸びた白い腕と脚が実に艶めかしい。
この姿を見られるのは私だけだ。
そんな優越感がむくむくと湧き上がり、嬉しくなってぎゅっと抱きしめた。
そんな時いつもなら、そっと私の背中に回してくるシュウの細い腕の片方しか感触がない。
「――っ!」
おかしいと思った瞬間、シュウの小さな悲鳴が聞こえた。
その声にハッとした。
そうだ!
シュウは腕を痛めていると言うのに。
私はなんて大馬鹿者なんだろう。
あんな怖い思いをしたシュウに痛みなど与えてしまって……。
「ああ、悪かった……。今日は無理しないようにしないとな」
シュウの腕の痛みに障らないように触れようとするが、先ほどのシュウの小さな悲鳴が私を臆病にしてしまう。
あの時、あの家から聞こえたシュウの悲鳴と同じではないとはわかっているが、
シュウをこれ以上傷付けたくない。
思う存分シュウに触れたい。
傷付けたくない。
そんな葛藤の中で、私はひとつの決断を下した。
「今日はここで止めておこうか?」
『止めよう』ではなく『止めておこうか?』
そんな聞き方になってしまったのは、やはりシュウに触れたい私の邪な気持ちの現れだろう。
私のそんな想いが妄想となって現れたのだろうか……突然シュウからとんでもない言葉が聞こえてきた。
「ねぇ、ぼく……今日はフレッドの蜜が舐めたい」
シュウは今、何と言った?
耳に入ってきた言葉を何度反芻しても処理できないほどの衝撃に、私の頭はすっかり思考停止してしまった。
私はただ、自分の足の間に入り込んだシュウが私のズボンの前を寛げ、私のモノを取り出して行く様を夢の中の出来事のようにふわふわとした気持ちで上から眺めていた。
シュウの細くて長い綺麗な指が私のモノに触れた瞬間、身体を駆け抜けたゾクリとした感覚にこれは現実なのだと一気に覚醒した。
「しゅ、シュウ……な、何を?」
慌ててそう尋ねた。
シュウは傷付いているんだから、止めさせないと!
そんな思いとは裏腹に私の愚息は、シュウの優しく絡み付くような指の動きにどんどん勢いを増して行く。
止めどなく与えられるシュウからの刺激にもういつ破裂してもおかしくないほどに勃ち上がった私の愚息の先端からプクリと蜜が溜まっている。
少しくらい我慢できないのか!
そう叱咤したくなるほどに、愚息は天を仰ぎ更なる刺激を待ち望んでいるようだ。
シュウはそんな愚息の胸の内を理解しているかのようにゆっくりと先端に顔を近づけると、可愛らしい小さな赤い舌を出し先端をペロッとひと舐めする。
先端に溜まっていた蜜が舌に掬い取られた快感に身体が震える。
身体の震えが愚息からシュウの舌へと伝わってしまったのだろうか……シュウが舌を出しながら私を見上げる。
その破壊力に私はただ驚くことしか出来ず、
茫然とシュウの顔を見続けていた。
シュウはそんな私に扇情的な笑顔を見せつけるように、小さな口を大きく開き愚息を口の中へ導いて行く。
シュウの小さな口には私の張り出した先端しか入っていないが、シュウが上下に動かすたびに口の窄まりに先端が引っかかってなんとも言えない快感が襲ってくる。
それと同時に根元をシュウの小さな手で擦られてしまっては持ちそうにない。
こんなに早くイくなんて男の沽券に関わるんだと必死に耐えようとするが、私のモノを恍惚とした表情で愛おしそうに咥えているシュウと目が合った瞬間、何もかも考えられなくなり、
「ぐぅ……ぁあっ、あっ……イく……」
という声と共に『ビュービュルビュルビュクビュク』とシュウの口の中に大量の蜜を噴き出してしまった。
シュウはその蜜を美味しそうに味わうようにゆっくりと飲み干すと、まだ私のモノの先端に残っているほんの少しの蜜も探し出し吸い上げて行く。
最後の一滴を吸い取られた時、身体がビクビクと震え思わず声が出てしまった。
シュウにそんな声を聞かれて恥ずかしいのに、シュウは嬉しそうに吐精して少し萎えた愚息を労るように舌先でペロペロ舐め尽くしてからちゅぽんと離した。
「ふふっ。気持ちよかった?」
「ああ。気持ち良すぎておかしくなりそうだ」
シュウに育てられ大きくなった愚息の最後の一滴まで吸い上げられて、自分だけが気持ちよくなってしまったことに男として恥ずかしくなってしまった。
それなのに、シュウは嬉しそうに
「ふふっ。良かった。フレッドの蜜甘くって美味しかったよ。ねぇ、この蜜が媚薬っていうやつなんだよね?」
とシュウが知るはずもないことを口にした。
「シュウ……どうしてそれを?」
「うん、冬馬さんに教えてもらったんだ。このおかげで挿れても気持ちよく感じられるって」
トーマ王妃がそんなことを……。
そうか、あの2人も唯一だったな。
「挿れてもって……シュウ怖くないのか?」
「コレを挿れるんだよね? 大きくて怖いかなと思ったけど、大きくなっていくの見てたら可愛いって思っちゃった」
私の愚息が可愛い……。
シュウに怖がられるのは辛いが、可愛いと言われるのもそれはそれで男としての誇りというか威厳が傷付くというかなんというか……。
なんとも複雑な気分だ。
「明日ぼく頑張ってくるから、帰ってきたらご褒美欲しいな」
シュウからご褒美を強請ってくるなど珍しい。
それは全力で叶えてあげなければな。
「ぼく……フレッドと最後までしたいんだ
ぼくのお尻にコレ挿れてくれる?」
私の愚息に愛おしそうに触れながら、
ぼくのお尻に挿れて……だと?
可愛らしい顔でなんてことを言い出すんだ!
『は……ぁん、フレ、ッド……ここ、に……挿れてぇ……ぐちゅ、ぐちゅしてぇ……』
トロトロに蕩けた蕾をくぱぁと広げ、淫らな姿で私を誘うシュウの姿を想像し私の愚息は一瞬のうちに
『ギューーーン』と勢いよく天に向かってそそりたった。
「あれ? 大きくなっちゃった……。なんで?」
「なんでって……ああ……もう、シュウの無自覚な煽りには困ってしまうな……はぁ……」
「よく分からないけどお願い聞いてくれる?」
シュウは本当にわかってない。
可愛い羊が自分から飢えた狼の目の前で食べてと寝転ぶなんて。
けれど、それがシュウの望みならば私は思う存分叶えてやる。
「それは私へのご褒美になってしまうがいいのか?」
「えっ?」
「ふふっ。明日頑張っておいで。
帰ってきたらいっぱい愛し合おう」
そう、蕩けるほどに甘い蜜を味わって、シュウをいっぱい感じさせてとろとろにしてやろう。
明日の夜は私たちにとって素晴らしい夜になるはずだ。
そうだな、2人にも自分たちがどれだけ目立つ存在なのか少しはわかってもらわなければな。
私がそっと頷くと、アンドリュー王の一喝が響いた。
「なれど! もう2人で勝手に城下など出歩くことは許さぬぞ。トーマも其方も少しは己の魅力というものを自覚せねばいかん」
「その通りでございます。
トーマ王妃! 2人してあんな美しい女性に変装などされたら、目を惹かぬはずがございません。ましてや、平民の服をお召しになられては彼奴らでなくとも、すぐに声をかけられます。
シュウも! お前はすぐに人を虜にしてしまうのだから、気をつけないといけないぞ」
私たちの迫力に驚いたのか、シュウもトーマ王妃もしおらしい顔つきでごめんなさいと謝っていた。
そんな姿も可愛いと思ってしまうのだから、私はどうしようもない。
シュウに危険が迫ればまた助けにいくだけだ。
多分、アンドリュー王も同じ気持ちだろうな。
アンドリュー王の言葉でようやく食事が始まった。
トーマ王妃は甲斐甲斐しくアンドリュー王に世話をされながら、スープを飲み干した。
私もシュウに食べさせながら、楽しい時間を過ごした。
食事を終え、ブルーノが食後の紅茶と焼き菓子を持ってきた。
それを食しながら、会話を楽しんでいると突然トーマ王妃が声を上げた。
何かを思い出したのかアンドリュー王の耳元で何かを囁き、アンドリュー王は『ああ』と頷いた。
聞けば、わたしたちに頼があるのだという。
しかも、その内容が明日シュウを貸してくれとのことで私は驚きの色を隠せなかった。
シュウを貸してくれとな?
どういうことだ?
私のシュウは物ではないのだぞ。
アンドリュー王といえども、そんなこと許せるはずもないだろう。
そんなことは口が裂けても言えないが、内容によっては決別も致し方ない。
私はそんな不穏なことさえ考えてしまっていた。
私の不機嫌さに気づいたのか、トーマ王妃が慌てて口を開いた。
「実は明日、城下にある孤児院を慰問することになってるんだけど、こんな顔を子どもたちに見せる訳にいかないから、柊くんに僕の代わりに行ってもらえないかなって」
ああ、なるほど。
貸してもらえないかとはそういうことか……。
シュウは当然無理だと断ったが、トーマ王妃の必死の頼みに最後には了承した。
トーマ王妃がくるのを心待ちにしている孤児院の子どもたちが悲しむのはみたくないというシュウの優しさだ。
シュウならば、きっとうまくやれるだろう。
シュウの了承の返事にアンドリュー王もトーマ王妃も喜んでいる。
本音を言えば、たとえこんな仕方のない状況であったとしても、私以外の男の隣をシュウが歩くなど賛成したくないのだがここで反対などできるはずもない。
それでも、私は『頑張っておいで』と言うしかない。
私の言葉にシュウは嬉しそうに笑った。
その笑顔に私の心がチクリと痛んだ。
ならば練習をしてみようとトーマ王妃が提案してきた。
トーマ王妃の服を着るのだという。
そのためにトーマ王妃がアンドリュー王の膝から下されたのを見て、シュウも私に下ろすように言ってきた。
離したくはないのだが、仕方ない。
明日の練習ということはトーマ王妃の服を着て、アンドリュー王の隣に並ぶ練習をするのか?
シュウが頑張っている姿を見るのは嬉しいのだが、アンドリュー王と並ぶ姿は見たくないと思ってしまう。
狭量だと言われてもそれが私の本音なのだ。
私のそんな思いなど露ほども知らないシュウは嬉しそうにトーマ王妃の私室へと入っていった。
それをただじっと眺めていると、
『フレデリック、こちらへ』
とアンドリュー王に促され少し離れたソファー席に移動した。
「フレデリック、其方の伴侶から話は聞いたか?」
アンドリュー王はシュウたちに聞こえぬように小声で尋ねてくる。
「はい、抜かりなく。聞けば聞くほどあいつらの所業には反吐が出ます」
それを口火に私はシュウから聞いたことを全て包み隠さず、アンドリュー王に報告した。
「ということは、サンディーは広場でトーマたちを見かけたときから連れ去る気だったということだな。恐らくそのハンカチにも何か薬を仕込んでいたのだろう」
2人に聞こえないように冷静に話してはいるが、アンドリュー王の拳がギリギリと音を立てているのが聞こえる。
やはり相当お怒りの様子だ。
まぁ、当然だな。
「あいつらがシュウたちを連れ込んだあの家の捜索はどうなっているのですか?」
「それならヒューバートに隅から隅まで調べさせて、
『プラバニウム』と『デュルエラ』を残らず押収している。その他、麻酔薬や催淫剤なども見つかったそうだ」
ほぅ、あれはまだ残ってたのか。
なるほど、使えるな。
それにしても麻酔薬に催淫剤か……。
だとすると、ハンカチには本当に麻酔薬でも仕込んでいたかもしれないな。
本当に救いようのない奴らだ。
「陛下、あいつらへの処罰は何かお考えですか?」
「ラッセル侯爵家、ハジェンズ伯爵家については両家とも家名断絶の上、一族揃って鉱山での強制労働。
奴隷として一生働いてもらおう。
そして、サンディー、アランについては、お前も知ってるだろう。
オランディアに代々伝わるあの拷問を」
城下の広場に罪人を低い磔にし、
先を潰した刃物を置き、前を通る者たちに斬りつけさせる。
罪人は斬れない刃物でひと思いに殺してもらうこともできず、じわじわと痛みを与えられながら、死ぬのを待つ
この当時の拷問ならばそれぐらいが妥当なのか。
ラッセル侯爵家、ハジェンズ伯爵家、両家の処罰についてはどうでもいいし、まぁ、妥当だろう。
しかし、あいつらの処罰はアンドリュー王には悪いが正直言って甘すぎる。
シュウやトーマ王妃が味わった同じ恐怖を味わわせてやらなければ何の意味もない。
こんなもので私の気が済むものか。
シュウの腕に痕を刻み、シュウの首筋に舌を這わせた奴だぞ。
あいつらは殺さない。
死んで償いなどあいつらには必要ない。
「トーマを殴り、肌に触れた奴らだ。
城下の者たちも赦しなどしないだろう。
思い思いにあやつらを痛ぶるに違いない。
ましてや、今まで偉そうにしてきた高位貴族たちだからな。どうだ?」
アンドリュー王はそう言うが、ここはハッキリ言ってやる。
「恐れながら、城下での磔拷問はすぐにシュウやトーマ王妃の耳に入ります。シュウもトーマ王妃も心根が優しく、どんな酷い目に遭わされた相手といえども拷問に処せられることは望まないでしょう」
「ならば、其方はあいつらを赦すと申すか?」
アンドリュー王は怒りに満ちた目で私を見つめているが、あいつらを赦すなど頭の片隅にもない。
「いいえ、逆です。私はその程度の拷問では了承しかねます。あいつらにはもっと酷い苦しみを与えなければ意味がないのです」
そう、あんなほんの少しの痛みと羞恥、恐怖などあってないようなものだ。
「ほぉ、何か良い策でも?」
「あいつらは知らなかったようですが、あれにはもう一つ大変な効果があるのです。むしろ、我々の時代ではそちらの方が有名ですよ」
そう、『プラバニウム』の汁を『デュルエラ』に混ぜたものは、飲ますよりももっとすごい効果が得られる方法があるのだ。
「大変な効果だと?」
「はい。『デュルエラ』のとてつもない効果は得手して人を狂わせます。一度使うと止めることができないのです。私たちの時代には『デュルエラ』は危険植物として一度根絶やしにされたのですよ。今は、我が領地にいる研究者の男だけが復活させることに成功して、あいつらのような罪人にのみ使用しているのです」
ゴードンにいろいろと聞いていたのがまさかこんなところで役に立つとは思いもしなかったがな。
「して、その効果とは?」
「あれを飲ますのではなく、直接陰部に塗り込むと男でも女でも疼いて疼いて挿れてもらわずにはいられなくなるのですよ。
あいつらは襲ってでもヤリたかったのですから、これからは思う存分ヤッてもらったらいいのです。
ほら、この時代にもあるのでしょう?
ブランシェット侯爵家の秘密の男娼の館が。
そこにあいつらを送り込んで、毎日加虐嗜好な男たちに好きなだけ可愛がって貰いましょう」
「なるほど、それは面白い。
あの館の話はトーマや其方の伴侶の耳にも入らぬし、いい考えだ。
なれど、其方の時代にもあれは受け継がれておるのだな」
アンドリュー王がニヤリとほくそ笑む。
「もちろんでございます。いつの時代も残虐で変態的な性交を求める輩はたくさんおります。
私はもちろんそのような趣味はありませんが……」
「私もだ。トーマのように可愛らしい者が傍にいるのだからあんな場所には行く気も起こらんな」
『ははっ』と笑い声が重なった。
「よし、そうと決まればすぐにブランシェット侯爵を呼び出すとするか」
そう言うが早いか、アンドリュー王はブルーノをこっそりと呼び、ブランシェット侯爵に2日後に登城するように先触れを出しておくよう指示をした。
ラッセル侯爵家、ハジェンズ伯爵家にはもうすでに両当主の爵位剥奪と領地没収、そして家名断絶の上、一族総出で鉱山での強制労働が決定した旨を勅令として発布したそうだ。
両当主は突然の勅令に驚き、異議を唱えようとしたそうだが、勅令を伝えに行った騎士団団長のヒューバートに息子の所業を聞き、愕然として膝から崩れ落ちそのまま立ち上がることは出来なかったという。
両当主が直接謀反を起こしたわけでないが、シュウとトーマ王妃への所業はもちろんのこと、無抵抗の女性たちへの取り返しのつかない非道な行いをした息子たちへの己の育て方を恥じ、そして悔いながら奴隷として一生を過ごしてもらうしかない。
「それにしてもトーマたちは遅すぎるのではないか? 2人っきりで中で何をしているのだ?」
私は2人が密室にいたとしても、特にそういう面で心配を感じないのだがアンドリュー王は気になるようで、少し苛々し始めている。
もう立ち上がって部屋まで行ってしまうのでは?
と思った矢先、トーマ王妃の部屋の扉がカチャリと開いた。
『遅くなってごめんね』と部屋から出てきたのはトーマ王妃が2人??
いや、右はシュウだ!
元々似ているのだが、トーマ王妃の服を身につけ髪型を同じにすれば、もう私とアンドリュー王以外に見分けられる者はいないだろう。
この姿でアンドリュー王の隣を歩くのか……。
溺愛して少しの間も離れることがないと後世に伝えられたほどの2人だ。
それは国民にも広まっていることであるし、公務で揃って外に出られた日には仲の良い2人を見るのを楽しみにさえしていることだろう。
だからこそ、2人が出歩く時にはそれなりの触れ合いを求められる。
シュウがアンドリュー王と手を繋いだり、抱き抱えられたりといった場面があったとしたら?
想像するだけで、頭がおかしくなりそうだ。
「おお、見れば見るほどトーマにそっくりだな。
私やフレデリックならともかく、これなら他の者に気付かれることはないだろう」
私の心の内も知らずにアンドリュー王はどこか満足気な様子だ。
私のシュウをじっくりと見つめている姿に少し苛立ちが募る。
シュウをそんなに見つめないでくれ!
シュウは私のものなのだぞ!
と大声をあげたくなる。
「もう、アンディー!! そんなに柊くんを見たらダメだよ」
私の気持ちを知ってか知らずか、それともトーマ王妃の嫉妬なのか、トーマ王妃がアンドリュー王を諌めてくれて、ほんの少しだけ気持ちが浮上した。
「ああ、申し訳ない。だが、いくらトーマにそっくりでも私が愛するのはトーマ1人だから心配するでないぞ」
「もう! 嫉妬して言ってるんじゃないってば!」
アンドリュー王は全く気づいていない様子だがトーマ王妃はやはり私のためを思って諌めてくれたのだろう。
シュウ自身はどう思っているのだろう?
直接尋ねることもできずに、ただじっと3人の様子を後ろから見つめていると、シュウがタタっと2人の横を通って私の元に駆け寄ってきた。
「ねぇ、フレッド……似合ってる?」
似合ってる……。
ああ、似合ってるさ。
アンドリュー王の傍にいても十分映えるほどに。
「……ああ、どこからどう見てもトーマ王妃だ」
精一杯の笑顔でそう返すことしかできない。
私の気持ちはわかってもらえないだろうな……。
「違うよ、フレッドにはどう見えてる?」
「えっ?」
私にはどう見えてるって……どういうことだ?
「フレッドが好きなぼくじゃない?」
「何を言う! シュウがどんな格好でも私には愛しいシュウであることに変わりはないぞ」
そうだ!
例えシュウがトーマ王妃の姿をしていようが、奴隷のような貧しい格好をしていようが、関係ない。
シュウはシュウなのだから。
「ふふっ。良かった。
冬馬さんの格好しているぼくの方が好きだって言われたらどうしようかと思っちゃった」
――――っ!
私はなんと愚かだったのだろう。
何もわかっていないのは私ではないか。
シュウの気持ちを理解せずにただただ嫉妬して……。
「申し訳ない。シュウがトーマ王妃の代役を頑張ろうとしている時に嫉妬などしてしまって……私の狭量さに嫌気がさしたのではないか?」
「そんなことあるわけないよ。むしろ、嫉妬してくれて嬉しい。ふふっ」
『ぐぅっっ』
シュウがあまりにも可愛いことをいうのに我慢できず、私は目の前で可愛らしく微笑むシュウを抱き抱え、仲睦まじく言い合っているアンドリュー王とトーマ王妃の元に駆け寄った。
「申し訳ありませんが、私たちはここで失礼致します。明日、朝食を共に致しますので打ち合わせはその時で宜しいでしょうか?」
一応お伺いを立ててはいるが、有無を言わせず失礼するつもりではある。
「あ、ああ。そうだな。
今日は其方の伴侶も疲れているだろうし、ここでお開きとするか」
「明日必要なことは書いておくから心配しないで」
私の意図に気付いたのか、アンドリュー王もトーマ王妃もすぐに了承してくれた。
私はその返事を聞くや否や、すぐに
『それでは失礼致します』
と、声をかけ、シュウを腕の中に閉じ込めたまま急いで部屋を出た。
近いはずの私たちの部屋が何キロも離れているようなそんなもどかしい気持ちでやっとのことで部屋に辿り着いた。
部屋の扉がしまった瞬間、我慢していたものが弾け飛んでいく、そんな気がした。
気づけば、シュウの唇を奪っていた。
柔らかで甘いその唇を貪るように重ね合わせた。
シュウの小さいけれど敏感な舌が私の舌に絡みつく。
甘い唾液がお互いを行き来し、クチュクチュと淫靡な音を立てる。
シュウの口から溢れでる吐息に痺れるような興奮を覚える。
もっともっと感じたくて深く絡み合わせていると、シュウの吐息に苦しそうに声が混ざった。
もっと味わっていたい。
けれど、シュウに苦しみを与えたくない。
まだ足りない。
でも……
そんな葛藤の中、私はゆっくりと唇を離した。
とろんと蕩けた眼差しで私を見つめるシュウに
私は希う。
「シュウ……まだ足りないんだ。寝室に連れて行ってもいいか?」
シュウをじっと見つめると、シュウもまた小さく頷いてくれた。
シュウが心変わりをしないうちにと急いで寝室へと連れて行く。
すぐにでもシュウを抱きしめたいが、この服は早く脱がせたい。
ただの私の我が儘だが、それだけは許して欲しい。
素早く服を脱がせると、下着から細く伸びた白い腕と脚が実に艶めかしい。
この姿を見られるのは私だけだ。
そんな優越感がむくむくと湧き上がり、嬉しくなってぎゅっと抱きしめた。
そんな時いつもなら、そっと私の背中に回してくるシュウの細い腕の片方しか感触がない。
「――っ!」
おかしいと思った瞬間、シュウの小さな悲鳴が聞こえた。
その声にハッとした。
そうだ!
シュウは腕を痛めていると言うのに。
私はなんて大馬鹿者なんだろう。
あんな怖い思いをしたシュウに痛みなど与えてしまって……。
「ああ、悪かった……。今日は無理しないようにしないとな」
シュウの腕の痛みに障らないように触れようとするが、先ほどのシュウの小さな悲鳴が私を臆病にしてしまう。
あの時、あの家から聞こえたシュウの悲鳴と同じではないとはわかっているが、
シュウをこれ以上傷付けたくない。
思う存分シュウに触れたい。
傷付けたくない。
そんな葛藤の中で、私はひとつの決断を下した。
「今日はここで止めておこうか?」
『止めよう』ではなく『止めておこうか?』
そんな聞き方になってしまったのは、やはりシュウに触れたい私の邪な気持ちの現れだろう。
私のそんな想いが妄想となって現れたのだろうか……突然シュウからとんでもない言葉が聞こえてきた。
「ねぇ、ぼく……今日はフレッドの蜜が舐めたい」
シュウは今、何と言った?
耳に入ってきた言葉を何度反芻しても処理できないほどの衝撃に、私の頭はすっかり思考停止してしまった。
私はただ、自分の足の間に入り込んだシュウが私のズボンの前を寛げ、私のモノを取り出して行く様を夢の中の出来事のようにふわふわとした気持ちで上から眺めていた。
シュウの細くて長い綺麗な指が私のモノに触れた瞬間、身体を駆け抜けたゾクリとした感覚にこれは現実なのだと一気に覚醒した。
「しゅ、シュウ……な、何を?」
慌ててそう尋ねた。
シュウは傷付いているんだから、止めさせないと!
そんな思いとは裏腹に私の愚息は、シュウの優しく絡み付くような指の動きにどんどん勢いを増して行く。
止めどなく与えられるシュウからの刺激にもういつ破裂してもおかしくないほどに勃ち上がった私の愚息の先端からプクリと蜜が溜まっている。
少しくらい我慢できないのか!
そう叱咤したくなるほどに、愚息は天を仰ぎ更なる刺激を待ち望んでいるようだ。
シュウはそんな愚息の胸の内を理解しているかのようにゆっくりと先端に顔を近づけると、可愛らしい小さな赤い舌を出し先端をペロッとひと舐めする。
先端に溜まっていた蜜が舌に掬い取られた快感に身体が震える。
身体の震えが愚息からシュウの舌へと伝わってしまったのだろうか……シュウが舌を出しながら私を見上げる。
その破壊力に私はただ驚くことしか出来ず、
茫然とシュウの顔を見続けていた。
シュウはそんな私に扇情的な笑顔を見せつけるように、小さな口を大きく開き愚息を口の中へ導いて行く。
シュウの小さな口には私の張り出した先端しか入っていないが、シュウが上下に動かすたびに口の窄まりに先端が引っかかってなんとも言えない快感が襲ってくる。
それと同時に根元をシュウの小さな手で擦られてしまっては持ちそうにない。
こんなに早くイくなんて男の沽券に関わるんだと必死に耐えようとするが、私のモノを恍惚とした表情で愛おしそうに咥えているシュウと目が合った瞬間、何もかも考えられなくなり、
「ぐぅ……ぁあっ、あっ……イく……」
という声と共に『ビュービュルビュルビュクビュク』とシュウの口の中に大量の蜜を噴き出してしまった。
シュウはその蜜を美味しそうに味わうようにゆっくりと飲み干すと、まだ私のモノの先端に残っているほんの少しの蜜も探し出し吸い上げて行く。
最後の一滴を吸い取られた時、身体がビクビクと震え思わず声が出てしまった。
シュウにそんな声を聞かれて恥ずかしいのに、シュウは嬉しそうに吐精して少し萎えた愚息を労るように舌先でペロペロ舐め尽くしてからちゅぽんと離した。
「ふふっ。気持ちよかった?」
「ああ。気持ち良すぎておかしくなりそうだ」
シュウに育てられ大きくなった愚息の最後の一滴まで吸い上げられて、自分だけが気持ちよくなってしまったことに男として恥ずかしくなってしまった。
それなのに、シュウは嬉しそうに
「ふふっ。良かった。フレッドの蜜甘くって美味しかったよ。ねぇ、この蜜が媚薬っていうやつなんだよね?」
とシュウが知るはずもないことを口にした。
「シュウ……どうしてそれを?」
「うん、冬馬さんに教えてもらったんだ。このおかげで挿れても気持ちよく感じられるって」
トーマ王妃がそんなことを……。
そうか、あの2人も唯一だったな。
「挿れてもって……シュウ怖くないのか?」
「コレを挿れるんだよね? 大きくて怖いかなと思ったけど、大きくなっていくの見てたら可愛いって思っちゃった」
私の愚息が可愛い……。
シュウに怖がられるのは辛いが、可愛いと言われるのもそれはそれで男としての誇りというか威厳が傷付くというかなんというか……。
なんとも複雑な気分だ。
「明日ぼく頑張ってくるから、帰ってきたらご褒美欲しいな」
シュウからご褒美を強請ってくるなど珍しい。
それは全力で叶えてあげなければな。
「ぼく……フレッドと最後までしたいんだ
ぼくのお尻にコレ挿れてくれる?」
私の愚息に愛おしそうに触れながら、
ぼくのお尻に挿れて……だと?
可愛らしい顔でなんてことを言い出すんだ!
『は……ぁん、フレ、ッド……ここ、に……挿れてぇ……ぐちゅ、ぐちゅしてぇ……』
トロトロに蕩けた蕾をくぱぁと広げ、淫らな姿で私を誘うシュウの姿を想像し私の愚息は一瞬のうちに
『ギューーーン』と勢いよく天に向かってそそりたった。
「あれ? 大きくなっちゃった……。なんで?」
「なんでって……ああ……もう、シュウの無自覚な煽りには困ってしまうな……はぁ……」
「よく分からないけどお願い聞いてくれる?」
シュウは本当にわかってない。
可愛い羊が自分から飢えた狼の目の前で食べてと寝転ぶなんて。
けれど、それがシュウの望みならば私は思う存分叶えてやる。
「それは私へのご褒美になってしまうがいいのか?」
「えっ?」
「ふふっ。明日頑張っておいで。
帰ってきたらいっぱい愛し合おう」
そう、蕩けるほどに甘い蜜を味わって、シュウをいっぱい感じさせてとろとろにしてやろう。
明日の夜は私たちにとって素晴らしい夜になるはずだ。
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