ひとりぼっちのぼくが異世界で公爵さまに溺愛されています

波木真帆

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第二章 (恋人編)

フレッド   8−1※

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ワーグナー子爵の反応を楽しみにしながら、今日の仕事を全て終え、私は意気揚々とシュウの部屋へと向かった。

扉をノックしたものの、何の返事もない。
私は怖くなって急いで部屋の中へと入った。

綺麗に片付けられた部屋にはシュウの甘い香りだけが漂っていてシュウ本人は見当たらない。

どこにいったんだ?
また、どこかへ……?

一瞬恐怖を感じた時、シュウの勉強机に何かが書かれた紙が置かれていた。

手紙?

そこには

『フレッド
お仕事お疲れさま。
ぼくはフレッドに買って貰った本をゆっくり読みたくて書斎に行きます。
心配しないでね。 シュウより』

ああ、シュウ。

丁寧で柔らかな文字がシュウの人柄をよく表している。シュウの匂いがほんのり香るその手紙を綺麗に折り畳み、大切に胸元にしまうと私は書斎へと向かった。

時間も忘れて読み耽っていたのだろう。
私の呼びかける声で驚かせてしまったようだ。
驚いた拍子にシュウの手から離れた本を落とさないように手を伸ばして受け取った。

はぁ、落とさないで良かった。

驚かされたのに怒りもせず、柔かに笑うシュウに早く触れたくて、私は手に持っていた本をそっと机に置き、シュウの座っていた椅子に腰を下ろした。

やっと触れ合えるんだ。
隣同士に座るだけで満足出来るわけがない。
シュウをさっと持ち上げ、私の膝の上に向かい合わせになるように座らせた。

私の目の前にはいつもの漆黒の髪と瞳のシュウがいる。

やっと、シュウの髪を撫でることができた。
ジョセフの用意したかずらは、本物の髪質だったけれど、やはり私の手にはシュウの髪が馴染む。

そして、私に撫でられるのを無条件で喜ぶシュウが愛おしくて、シュウの唇が欲しくなった。

『口付けしてもいいか?』そう問いかけると、シュウは顔を赤らめるだけで何も答えず、そのまま私の唇に重ね合わせてきた。

シュウの柔らかな唇がちゅっと音を立てて私に当たったかと思うと、すぐに離れていこうとする。

離すわけがないだろう。

逃げないようにシュウの後頭部に手を当て、唇を重ね合わせる。

何度も角度を変えシュウの下唇を啄んでいく。

ああ、舌を入れて掻き回したい。
深く舐め合って、絡め合いたい。

そう思ったけれど、シュウは嫌がるだろうか……。

まだ理性を保てるうちにと、そっと唇を離した。

だが、口付けに潤んだシュウの瞳を見ていると、もっと深い口付けがしたくてたまらない。
私は我慢が出来なくなって『もっと口付けしたい、いいか?』と問いかけた。

シュウは真っ赤な顔で、

「ばか……いちいち聞かないでよ、伴侶なんでしょ? フレッドがしたいときに奪ってよ……」

小声でそんな事を言ってくる。

はぁ……。潤んだ上目遣いでそんな煽る事を言われてはもう我慢なんかできるものか。

私は本能のままにシュウの唇に重ね合わせ、舌で唇を舐め尽くしているとシュウの唇が開いた。
その瞬間、私は舌を挿し入れシュウの口内を舐め尽くす。
甘い甘い唾液に痺れながら、舌を動かしていく。

シュウの気持ちよさそうな吐息にもっと深くなっていく。
甘い……気持ちいい……もっと……舐めたい
シュウの舌の熱さと甘い唾液にすっかり蕩けきって全ての唾液を舐めとりたい衝動に駆られる。
シュウ……愛してる。

一心不乱に舐めていると、シュウが背中を叩いてきた。あっ、まずい……。
私は慌てて唇を離すと、ツーっとキラキラ光る糸が繋がってそれにまた興奮して唇を奪いそうになる。
ああ、だめだ、だめだ!

「シュウ、悪かった……我を忘れて、つい……」

シュウはそう謝る私の頭を撫で優しく髪を梳き始めた。髪を通るシュウの指が心地良い。

『ぼくもして欲しかったから』と言ってくれるシュウの言葉が嬉しくてぎゅっと抱きしめる。

ああ、シュウは私に甘すぎる。だから、ついつけ上がってしまうのだ。

そういうとシュウは、伴侶だから甘やかしたいのだと言ってくれた。

両親にも兄にも甘えたことなんてなかったし、甘やかしたいなんて言われたこともなかった。
まさか身も心も美しい伴侶が甘えさせてくれるなんて未来がくるなんて思っても見なかった。

『ありがとう、シュウ……愛してるよ』

嬉しくて何度も何度も同じ言葉を繰り返した。

気持ちが落ち着いた頃、シュウがなぜこの部屋にいたのかを思い出した。
そうだ! 本のことを聞こうと思っていたんだった。

あの本のことを尋ねると、シュウは私と2人だけの秘密にしてほしいと言う。

秘密にしなければいけない本とは何だろう?
国の裏帳簿とか? 国家機密の流失?
いや、それはないか。
大体誰も読めない字で書かれているのはおかしいし。

そう思いながら了承すると、シュウが私の目を見つめながら、ゆっくり話し出したことは私の想像を遥かに上回ったものだった。

「あれはね、ぼくと同じところからこの世界にやってきた人が書いた日記だったんだよ」

シュウと同じ……【にほん】とか言っていたな。
そうか、あれはシュウの国の言葉で書かれていたから誰にも読めなかったんだ。

それだけでも驚いたと言うのに、続く言葉に私はさらに驚き大声をあげてしまった。

「その人はね、オランディアのアンドリュー王の伴侶になったんだって」

アンドリュー王はこの国の歴史の中で最も偉大な王と呼ばれている方だ。
彼には伝説の王妃と呼ばれる素晴らしい伴侶がいたのだが、シュウがこの話を知るわけがないから、シュウの話は本物だ! いや、別に疑っているわけではないが……。
まさかあの、伝説の王妃が書いたものだったなんて!

「そうその人。第三王子なのに王になったんだよね」

そう、はるか昔、この国の歴史で一番大きな戦争が起こった時、戦地で第一王子と第二王子が戦火に巻き込まれて亡くなり、年老いた王と成人直前だった第三王子、そしてまだ幼い第四王子だけが生き残った。
第三王子であるアンドリュー王が新しい王となったが、国は焼け野原、そして追い討ちをかけるように天候不順による干ばつで国民が飢えに苦しみ、国家存亡の危機に陥った。
その時天上の素晴らしい知恵を持った美青年が突然王城に現れ、アンドリュー王と共に、王妃となって国を救ったという話が王家の古い文献に残されている。

トーマ王妃は『聖なる種』をたくさん持っていて、それを畑にばら撒くとあっという間に見たこともない実がたくさんなって食料危機を救ったとか、それで見たこともない料理を作ったとかいう伝説が残されているのだが、今思えば、突然現れたとんでもない美しさを持つ人という時点で、シュウと全く同じだ!
その事をすっかり忘れていたな……。

あの本はその伝説の王妃の日記というわけか。

その本に何が書かれていたのかと尋ねると、
その王妃が橘  冬馬たちばな  とうまという名前であったこと、
王妃がこの国に現れた時の事から、アンドリュー王と出会ったこと、
『聖なる種』についてのこと
後継の第四王子についてのこと、
そして、偉大なる王、アンドリュー王との仲睦まじい話が書かれていたと教えてくれた。

伝承ではアンドリュー王は決して見目の良い方ではなかったと言われている。
トーマ王妃がシュウのような心の持ち主だったとしたら、アンドリュー王も私のように幸せだったに違いない。

私がシュウにこの部屋の存在を与えたように、突然全く違う世界に迷い込んでしまったトーマ王妃にとってこの日記は、きっと心の拠り所になっていたのではないか。
話せる場を作ることはやはり大切なことだったんだろう。

きっとトーマ王妃はシュウのような同じ境遇の者たちのためにその日記を書いたのだと私は思う。

そう言ってやるとシュウも日記を書こうかと言い出した。

これからまた数十年、数百年後にまたシュウたちの世界から迷い込んできた人に、シュウの想いを伝えることはきっとより良い未来に繋がることだろう。

シュウにはぜひ私への思いも書いてほしいものだ。
そう話すと、シュウは笑っていたが、シュウ……冗談ではないのだぞ。
私とシュウがどれほど愛し合っているか、全世界の人に知らしめたいほどなんだ、私は。
アンドリュー王のように愛し合った話など書いてくれたら私は嬉しい。

「はははっ」

部屋中にシュウと私の笑い声が響き渡った。

「でもさ、ちょっと不思議なんだよね」

なんのことかと聞けば、トーマ王妃もシュウと同じようにオランディア語の会話も読み書きも出来たそうだ。
シュウが書いた文字も私は読むことができる。
それが不思議なのだと。

確かに……。
スペンサー卿もシュウの書いた文字を難なく読んでいたし、さっきの書き置きといい、シュウがオランディア語が書けることは間違いない。

その証拠にシュウが今日部屋に置いてくれていた書き置きも綺麗なオランディア語で書かれていた。
けれど、シュウはいつでもあちらの言葉で書いているつもりなのだという。

確かに不思議だ。

そう言われればそうだ。
あの日記は私には全く読めなかった。
というより、文字に見えなかった。
記号のような、ただの形にしか見えなかった。

私は少し試してみたくなり、シュウに『にほんご』で何か書いてくれないかと頼み、私は膝の上にいたシュウを抱き抱え、机の中に入れてある便箋と筆を持ってきた。

「物を取りに行くときくらいぼくを下ろしたらいいのに……。重くなかった?」

「少しの時間でも離れたくなかったんだ。それにシュウはもっと太っても良いくらいだぞ」

こちらに来てからよく食べるようになったとは言っていたが、それでもシュウはまだまだ軽いのだから、シュウを抱き上げるなど造作もない。

シュウと一緒に居られる時はいつでもくっついていたいのだ。離れるなど考えたくもない。

シュウに渡した筆は私が公爵位を賜った時に、国王である兄から譲り受けた、前国王であった父の筆だ。
それを書きやすいと喜んでくれるシュウを見て嬉しくなる。
大切な物を大切な人に使って貰う……それが私にはとても幸せなのだ。

シュウは何を書くかを悩みながら、筆を滑らせる。

しばらくして書き上がったものは、美しい絵のようだった。
しかし全く読むことはできない。
何と書いてあるのかと問うと、

「これはね、ぼくの名前。【花村 柊】って書いてるんだよ」

と教えてくれた。

ハナムラ シュウ……

これがシュウの名前……。
名は体を表すというが、本当に美しい。
これは芸術品のようだ。

シュウの書いてくれた文字を指でなぞってみるが難しい……。
私もこの美しいシュウの名前を【にほんご】で書けるようになりたいものだ。

「今度はオランディア語で何か書いてくれないか?」

シュウは自信がないと言いつつも何かをさらさらと書き始めた。

今日の書き置きも素晴らしく綺麗な文字だった。
シュウはなんと書いてくれるだろうか?

「どう? 読める?」

「フレデリック・ルイス・サヴァンスタック……」

「すごーい! ちゃんと読め……うわっ」

シュウが前国王から貰った筆で私の名前を書いてくれた。
そんな幸せがあっていいのか……。
それに何より……シュウのこの文字……。

「ねえ、フレッド。どうしたの?」

「シュウの書いた文字が、心から私を愛おしいと叫んでいるように見えたんだ」

【にほんご】で書いたシュウの名前と、
【オランディア語】で書いてくれた私の名前を額に入れてみんなに見せびらかしたいくらいだ。

おそらく書いている相手によって文字が変化しているのだろう。
シュウが私宛に書いたからあの書き置きもオランディア語だったのだ。
だから、トーマ王妃の日記もシュウたちに向けて書いたから『にほんご』だったに違いない。
そう言ってやると、シュウは嬉しそうにトーマ王妃の日記を大切に保管しておくと言っていた。

そう、これからまたこの国に来るかもしれない人たちのために。
シュウはなんて優しいのだろう……。

そういえば、ちょうど【にほんご】の話が出たところで、ずっと聞いてみたかった事を聞いてみてもいいだろうか……。
でも、もし、昔好きだった人の名前だと言われたら……どうしたらいいだろう……。

シュウのなんの曇りもない瞳が私を見つめる。
こんな事聞いて嫌われたりしないだろうか……。

「『にほんご』の話で思い出したんだが……パールも『にほんご』なんだろう? どんな意味があるんだ? ずっと気になっていたんだ」

私の質問にきょとんとした顔をして、そしてふんわりとした笑顔を見せてくれた。

「ああ、パール……日本語では真珠しんじゅって言うんだけど、呼びにくいかと思って同じ意味のパールにしたんだ。真珠パールは真っ白で綺麗な宝石でね、邪気から持ち主をまもるって言われているんだ。
だから、フレッドのことをパールが護ってくれるんじゃないかと思って」

ああ、私は愚か者だ……。
何が昔好きだった人の名前だ!
シュウはいつでも私のことを考えてくれているというのに!

シュウはいつでも私のことを想ってくれているのだ。
これほど嬉しいことがあろうか。

喜びのあまりシュウを抱きしめると、シュウは私に出会えて本当に良かったと言って、シュウも隙間がないほどにぎゅっと抱きしめてくれる。
シュウの温もりが、香りが、私を幸せにしてくれる。

「シュウ……私の方こそだ。
シュウの分け隔てない優しさに私がどれだけ救われたか。
今日、外出して分かっただろう?
この国では私のような容姿の者はみなに嫌われる。
私のせいでシュウも嫌な視線を浴びたのではないか?それを感じさせたくなくて……いや、それだけじゃない。
今日、ケーキ屋で声をかけてきたあの男のような見目の美しい奴らにシュウが奪われるのではないかと思うと怖かったんだ。
だから、外へ出したくなかった……」

私より見目の良い男など掃いて捨てるほどいるんだ。シュウほど美しい人が現れれば、自分に自信のあるやつはすぐに寄ってくるだろう。

シュウは私のことを好きだと言ってくれているが、どうしても自分に自信が持てないんだ。

もし、町にいる奴らにシュウが惹かれてしまったらと思うと怖くて仕方がなかった。

だから、私の傍から離れてほしくなかった。
外には連れて行きたくなかったんだ。

そう思っていたのにシュウは

「ねぇ、ぼくはね……ここに来てからフレッドが一番格好良いと思ってるよ」

と言い出した。

シュウは今なんて言った?
私が一番格好良い???

「フレッドの光り輝くような金色の髪も、透き通るような水色の瞳も、頼りがいのある高い身長もぼくは大好きだよ。それに……ぼくのことをいつも考えてくれてるとこも、時々暴走しちゃうとこも、パールや他の人たちにすぐにヤキモチ妬いちゃうとこも全部大好き」

私の欠点を全て好きだと言ってくれるなんて……それどころかシュウを思うあまり、ついやり過ぎてしまうところも好きだと言ってくれるなんて……私はどれだけ幸せ者なのだろう。

「ねぇ、フレッド。知らない誰かの言葉や態度で傷つく必要なんてないんだよ。フレッドはぼくの言葉を信じていてね。ぼくは今のこのままのフレッドが大好きなんだからね」

シュウの優しすぎる言葉に涙が止まらない。
人前で泣いたことなど今まで一度もないというのに……。
醜い顔がさらに醜くなってしまう。

シュウは私のどんな顔でも好きだと優しくそう言ってくれたけれど、
今日はまだそこまで勇気がでないのだ。
いつかシュウに泣き顔も見せられる日がくるといい、私は必死に涙を抑えながらそう考えていた。

しばらく抱き合っていたが、夕食の時間もとうに過ぎている。
きっとシュウもお腹が空いたことだろう。

そろそろ食事にしようと言って、立ちあがろうとしたがずっとくっついていたから離れ難くて、抱き抱えようとすると、シュウは町でやっていたように私の腕に絡みつき、指を絡めて繋いだ。

「ねぇ、知ってる? この手の繋ぎ方、恋人繋ぎって言うんだよ」

「そうか……恋人繋ぎ。抱き抱えるのも良いが、こっちも良いもんだな」

指と指が絡めるのは閨の時によくするものだが、これだといつでもシュウが私のものだと見せつけられていい。

今日はこれでダイニングルームに行くとしよう。
マクベスも使用人たちも驚くだろうな。ふふっ。

「マクベス! 食事にするから、支度を」

マクベスは『畏まりました』と返事をしながら、目線はずっと私とシュウの絡み合った手を見ている。
『旦那さま。また純粋なシュウさまを騙してこのような繋ぎ方を閨以外の場所で……』と訴えるような目つきで私をみているが、知ったことか。
私はシュウから絡み繋いでくれた指を離したくないのだから。

マクベス! お前の不躾な視線でシュウが指を離そうとしているではないか。
絶対に私は離さないぞ! と言わんばかりにシュウと絡めた指をぎゅっと握ると、シュウもまた離れないように握ってくれた。

ああ、シュウが可愛くてたまらない……。

私は優しくシュウの頭を撫で、美しい髪の感触を味わった。

食事を終え、いつものようにお風呂に入ると、今日も私の髪を洗いたいとシュウから願ってもない言葉を貰った。
シュウに髪を洗って貰うことを断るなんてするはずがないだろう。

喜んでお願いすると、シュウの細くて綺麗な指が私の髪を滑っていく。
優しい動きなのに弱すぎない力加減が心地良く、この時間がいつまでも続けばいいのにとさえおもってしまうほどだ。

泡でいっぱいになった私の髪をシャワーで洗い流しながら、魅惑されたような表情で見つめ、私の髪を綺麗だと言ってくれる。
私はそれだけで骨抜きにされてしまうのだ。

こんな金色の髪、一生好きになどなれないと思っていた。
シュウが愛おしそうに私の髪に触れてくれるだけで、今までの私の負の感情をあっという間に霧散してくれるのだから、シュウには本当に感謝している。

今度はシュウの綺麗な髪を洗い流して、いつものように身体は各々で洗うことにした。
シュウに洗って貰ったあとは、あまりの気持ちよさに愚息がつい首をもたげてしまうのだ。
それを絶対にシュウには見せるわけにはいかない。

そう思っていたのに……突然背中にシュウの細くて綺麗な指先の感触があった。

慌てて止めようとしたけれど、

「もう暴れちゃダメだよ! ほら、背中向けて!」

シュウにそう言われてはもう止めることもできない。

背中だけでいいからと言ったのだが、不敵な笑みを浮かべるシュウがなんだか小悪魔のように見えてきた。
私はなんとか別のことを考えて、気を紛らわせようと必死にマクベスの身体でも想像してみようと試みたが、考えようと思うだけで肌が粟立つほど寒気がして早々に諦めた。
はぁっ、気持ちが悪くなってきた……。

どうしたらいいんだ……。
そんなことを思い悩んでいると、シュウが突然、怪我をしたのかと聞いてきた。
最近怪我などしただろうか? と思ってみてみると、それは兄上との剣術の稽古で誤って剣先が刺さったときの古傷だった。

「痛そう……」

シュウの柔らかな指先が傷痕に触れた瞬間、身体の中を電流がビリっと流れたようにゾクゾクした。

シュウは私の声に驚いたのかなんなのか、何度も何度も傷痕に触れてくる。
私の身体にはその度に何度も快感の波が押し寄せてくる。

指の動きを止めてほしくて、名を呼んだけれどシュウの指の動きは一向に止まらない。
仕方ない。
私は動き回るシュウの手を捕まえた。

「イタズラばかりだな、今日のシュウは」

そう言って、振り返ってみると立っていると思っていたシュウがしゃがみこんでいて、あろうことかシュウの目の前に、ずっと隠してきたあまりにも凶悪な愚息を露見してしまった。

残念なことに愚息はシュウのいたずらにすっかり昂ってしまっていて、もう手で隠すことも出来ないほどに大きく滾っている。

ああ、何ということだ……。

シュウに嫌われてしまう……。

「わぁ……っ、お、っきい」

えっ?
シュウの声に驚いて顔を見ると、目を見開きそろそろと指先を愚息へと近づけているではないか。

なんの躊躇いもなく、私のモノに触れている。
シュウが……シュウが私のモノに触れている……
こんな夢みたいなことがあっていいのか?

嘘だろ……シュウが私のモノを優しく愛おしそうに撫でているなんて。
シュウが撫でているだけで、自分がやる時とは比べ物にならないほどの快感が襲う。

あまりの快感に自分でも引いてしまうほど硬く大きく昂っていくのがわかった。


シュウの拙い指の動きが更なる快感を引き起こす。
気持ちが良すぎて半ば放心状態になってしまっているうちに、捕まえていたシュウの手が私の手の中から抜け出てしまった。

と、同時に先ほど以上の快感が押し寄せる。

そっと目を開け見てみると、シュウが両手で私のモノを覆い尽くし、10本の指がバラバラに私のモノを刺激する。

シュウにはダメだと言いながら、言葉とは裏腹に気持ち良すぎて腰まで動かしてしまいそうだ。

「ねぇ、きもちいぃ?」

『ずきゅーーーん』
シュウが私のモノを扱きながら、上目遣いで『きもちいい?』なんて、聞いてくるなんて……。

「ああっ、シュウが……こんなに淫らに……。シュウ、最高だ……」

私の声に反応したのか、シュウの扱き方が速くなっていくにつれ、我慢しなければと思っても少しずつ出てしまっているのを感じる。

こんなに早く出るなんて、男が廃るというものだ!
なんとしてでも我慢せねば……!

ゔっ……っ、な、なんだ? 
この身体の奥が痺れるような快感は……。

目線を下にすると、シュウがピンクの舌を出し、私のモノをペロペロと舐め尽くしているのが見えた。
これは夢か? 現実なのか?

ピチャピチャといやらしい音がバスルームに響く。
私のモノを美味しそうに舐めているシュウの痴態に、我慢しようと思っても堪えきれない。

「ああ……っ、もう、イ……くっ」

あんな苦いもの、シュウの口に入れるわけにはいかない!
必死の思いで引き離した途端、我慢しきれなかった白濁が物凄い勢いで噴き出した。

『ビューッ、ビュル、ビュル、ビュク……』

お前は初めての射精なのか! と自分で呆れてしまうほど、たくさんの量の濃い白濁が噴き出してしまった。

ああ、なんという快感だろう……。

身体どころか脳までも溶けてしまいそうなほどの快楽に一瞬放心し悦に入る。

ハッと我にかえると、あろうことかシュウの綺麗な顔を、肌を汚してしまっていたことに気づいた。

私の濃い白濁がシュウの頬を伝って唇へと流れていくのをみて、私はまた愚息が昂ってくるのを感じていた。

目を離すこともできずに流れるのを見ていると、シュウがあのピンクの舌を出し、唇の横を流れる私の白濁を舐めようとしている。

『ゔぅっっ……っ』

シュウは私をどうするつもりなのだろう……。

このままでは、シュウを押し倒してしまうかもしれない。

それはダメだ!

シュウの小さな蕾をきちんと慣らして解して、シュウの方から私を欲しがってくれるまでは……。
こんなところでなし崩しになどできるはずがない。

私は急いで柔らかな布をお湯に浸し、私のモノで汚れてしまった綺麗な顔をゆっくりと拭いとった。

「シュウ、すまなかった。決して顔にかけるつもりはなかったんだ!」

「ふふっ。大丈夫だよ。ねぇ、フレッド……気持ちよかった?」

本当に天国へいってしまったのかと思うほどのこの上ない喜びだったぞ。
ああ、私のシュウ……。
このようなことができるのは私だけだ。

「シュウ、風邪をひくといけないから湯船に入ろう」

シュウを抱きかかえ湯船へと入った。
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