93 / 99
番外編
友貴也を迎えに
しおりを挟む
ダンボール五箱ほどで全ての荷物を詰めることができ、一度車を取りに行き、一度で荷物を運び終えた。
部屋に置いてあった布団について、倉橋くんに確認の連絡をしたところ、新しい社員が入った時には、マットレスも含めて新しいものに替えるからそのまま置いていても処分しても構わないという返答だったから、今日使ってから処分するとしようか。
一度家に戻った時に着替えはもちろん、タオルやローションなど必要なものを持って友貴也の家に戻った。もちろん夕食の材料も忘れない。
倉橋くんの所有の家だから、引越しといっても普通に電気やガス、水道が自由に使えるのはありがたい。
夕食の下拵えをしている間に、布団用の乾燥機でマットレスからシーツ、布団までをダニ退治をしておいた。友貴也は肌が弱いからしっかりと予防しておかないとな。
友貴也が美味しいと言ってくれたハンバーグを準備して、ご飯もセットし、スープとサラダを作るとちょうど友貴也の仕事が終わる時間になっていた。
「さて、迎えに行こうか」
忘れないように部屋中にカメラをセットして、友貴也を迎えに出かけた。
「友貴也」
K.Yリゾートの会社の扉を開け、声をかけると名嘉村くんが
「平松くん、お迎えが来たよ」
とみんなに聞こえるような大きな声で友貴也を呼び出してくれた。
これもみんなに知らしめるための名嘉村くんの作戦なんだろう。もうこの会社には私たちを応援してくれている人しかいないが、私がどれだけ友貴也に惚れ込んでいるかを見せつけるにはちょうどいい。
「崇史さんっ!!」
友貴也が嬉しそうに私の名を呼びながら、駆け寄ってきた瞬間、会社中がシーンと静まり返った。
「今、聞いた?」
「うんうん。名前で呼んでたね」
「きゃーっ!! ラブラブ」
小声で女性社員たちが私と友貴也を見て笑顔を見せているが、友貴也には聞こえていないようだ。
「お迎えありがとうございます」
「いや、今日もお疲れさま。頑張ったご褒美に今日は友貴也の好きなハンバーグだよ」
「わぁー!! 嬉しい!! 崇史さんのハンバーグ、早く食べたいです!!」
無邪気に喜び、笑顔を見せる友貴也はここが会社ということは忘れてしまっているのだろう。まぁそんなところも可愛いんだが。
「あ、八尋さん。平松くんのお迎えですか?」
「ええ。仕事も終わったようなので連れて帰りますね」
「平松くん、ご苦労さまでした。また明日お願いしますね」
「あ、はい。お、お疲れさまでした」
友貴也は砂川さんの声にここが会社だと思い出したようで、一気に顔を赤らめながら頭を下げた。
私はそんな可愛い友貴也を誰にも見せたくなくてすぐに会社を出た。
「すみません、俺……崇史さんの顔見たら嬉しくなっちゃって……ここが会社だって忘れちゃってました」
「いいよ。私は友貴也が素直に喜んでくれて嬉しいよ。さぁ、帰ろう」
友貴也の手を取って歩き始めると、
「あれ? あっちじゃないんですか?」
と友貴也が不思議そうに声をあげる。
「ああ、友貴也の部屋を片付けたんだけど、最後にあの部屋で二人で過ごしたくなってしまってね。今日は友貴也の部屋で泊まらないか?」
「えっ、そんなの、いいんですか?」
「ああ。倉橋くんには許可をもらってるし、問題ないよ」
私の言葉に友貴也は嬉しそうな笑顔を見せて、
「あの家で崇史さんと二人で過ごせるなんて嬉しいです」
と言ってくれた。
ああ。やっぱり私の友貴也は可愛い。
「久しぶりに鍵を開けてみる?」
「は、はい。なんだか不思議な気分です」
そう言いながらも嬉しそうに鍵を開ける友貴也を見ていると、初めてこの家に迎え入れられた日を思い出す。
あの時の可愛い格好。あれは最高の思い出だ。
「あっ、いい匂いがします」
「ああ。ご飯を炊いてきたからね。すぐにご飯が食べられるよ。手を洗っておいで」
「はい」
「あっ、その前に……」
「えっ? あっ、んんっ……」
玄関の扉を閉めてから、友貴也の唇を奪う。
ここでずっとしたかったけれどできなかったことだ。ようやく夢が叶ったな。
軽くキスをするだけ……と思っていたのに、いざキスをすると止められない。
そのままたっぷりと口内を堪能して唇を離すと、友貴也は私の胸にもたれかかってきた。
「苦しかったか?」
「いえ。すごく嬉しかったです……」
ほんのりと頬を染めて見上げてくれるその姿に興奮する。
ああ、もう本当に友貴也が可愛すぎて困るな。
部屋に置いてあった布団について、倉橋くんに確認の連絡をしたところ、新しい社員が入った時には、マットレスも含めて新しいものに替えるからそのまま置いていても処分しても構わないという返答だったから、今日使ってから処分するとしようか。
一度家に戻った時に着替えはもちろん、タオルやローションなど必要なものを持って友貴也の家に戻った。もちろん夕食の材料も忘れない。
倉橋くんの所有の家だから、引越しといっても普通に電気やガス、水道が自由に使えるのはありがたい。
夕食の下拵えをしている間に、布団用の乾燥機でマットレスからシーツ、布団までをダニ退治をしておいた。友貴也は肌が弱いからしっかりと予防しておかないとな。
友貴也が美味しいと言ってくれたハンバーグを準備して、ご飯もセットし、スープとサラダを作るとちょうど友貴也の仕事が終わる時間になっていた。
「さて、迎えに行こうか」
忘れないように部屋中にカメラをセットして、友貴也を迎えに出かけた。
「友貴也」
K.Yリゾートの会社の扉を開け、声をかけると名嘉村くんが
「平松くん、お迎えが来たよ」
とみんなに聞こえるような大きな声で友貴也を呼び出してくれた。
これもみんなに知らしめるための名嘉村くんの作戦なんだろう。もうこの会社には私たちを応援してくれている人しかいないが、私がどれだけ友貴也に惚れ込んでいるかを見せつけるにはちょうどいい。
「崇史さんっ!!」
友貴也が嬉しそうに私の名を呼びながら、駆け寄ってきた瞬間、会社中がシーンと静まり返った。
「今、聞いた?」
「うんうん。名前で呼んでたね」
「きゃーっ!! ラブラブ」
小声で女性社員たちが私と友貴也を見て笑顔を見せているが、友貴也には聞こえていないようだ。
「お迎えありがとうございます」
「いや、今日もお疲れさま。頑張ったご褒美に今日は友貴也の好きなハンバーグだよ」
「わぁー!! 嬉しい!! 崇史さんのハンバーグ、早く食べたいです!!」
無邪気に喜び、笑顔を見せる友貴也はここが会社ということは忘れてしまっているのだろう。まぁそんなところも可愛いんだが。
「あ、八尋さん。平松くんのお迎えですか?」
「ええ。仕事も終わったようなので連れて帰りますね」
「平松くん、ご苦労さまでした。また明日お願いしますね」
「あ、はい。お、お疲れさまでした」
友貴也は砂川さんの声にここが会社だと思い出したようで、一気に顔を赤らめながら頭を下げた。
私はそんな可愛い友貴也を誰にも見せたくなくてすぐに会社を出た。
「すみません、俺……崇史さんの顔見たら嬉しくなっちゃって……ここが会社だって忘れちゃってました」
「いいよ。私は友貴也が素直に喜んでくれて嬉しいよ。さぁ、帰ろう」
友貴也の手を取って歩き始めると、
「あれ? あっちじゃないんですか?」
と友貴也が不思議そうに声をあげる。
「ああ、友貴也の部屋を片付けたんだけど、最後にあの部屋で二人で過ごしたくなってしまってね。今日は友貴也の部屋で泊まらないか?」
「えっ、そんなの、いいんですか?」
「ああ。倉橋くんには許可をもらってるし、問題ないよ」
私の言葉に友貴也は嬉しそうな笑顔を見せて、
「あの家で崇史さんと二人で過ごせるなんて嬉しいです」
と言ってくれた。
ああ。やっぱり私の友貴也は可愛い。
「久しぶりに鍵を開けてみる?」
「は、はい。なんだか不思議な気分です」
そう言いながらも嬉しそうに鍵を開ける友貴也を見ていると、初めてこの家に迎え入れられた日を思い出す。
あの時の可愛い格好。あれは最高の思い出だ。
「あっ、いい匂いがします」
「ああ。ご飯を炊いてきたからね。すぐにご飯が食べられるよ。手を洗っておいで」
「はい」
「あっ、その前に……」
「えっ? あっ、んんっ……」
玄関の扉を閉めてから、友貴也の唇を奪う。
ここでずっとしたかったけれどできなかったことだ。ようやく夢が叶ったな。
軽くキスをするだけ……と思っていたのに、いざキスをすると止められない。
そのままたっぷりと口内を堪能して唇を離すと、友貴也は私の胸にもたれかかってきた。
「苦しかったか?」
「いえ。すごく嬉しかったです……」
ほんのりと頬を染めて見上げてくれるその姿に興奮する。
ああ、もう本当に友貴也が可愛すぎて困るな。
853
お気に入りに追加
1,087
あなたにおすすめの小説
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

有能官吏、料理人になる。〜有能で、皇帝陛下に寵愛されている自分ですが、このたび料理人になりました〜
𦚰阪 リナ
BL
琳国の有能官吏、李 月英は官吏だが食欲のない皇帝、凛秀のため、何かしなくてはならないが、何をしたらいいかさっぱるわからない。
だがある日、美味しい料理を作くれば、少しは気が紛れるのではないかと考え、厨房を見学するという名目で、厨房に来た。
そこで出逢った簫 完陽に料理人を料理を教えてもらうことに。
そのことがきっかけで月英は、料理の腕に目覚めて…?!
料理×BL×官吏のごちゃまぜ中華風お料理物語、ここに開幕!

それ以上近づかないでください。
ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」
地味で冴えない小鳥遊凪は、ある日、憧れの人である蓮見馨に不意に告白をしてしまい、2人は付き合うことになった。
まるで夢のような時間――しかし、その恋はある出来事をきっかけに儚くも終わりを迎える。
転校を機に、馨のことを全てを忘れようと決意した凪。もう二度と彼と会うことはないはずだった。
ところが、あることがきっかけで馨と再会することになる。
「本当に可愛い。」
「凪、俺以外のやつと話していいんだっけ?」
かつてとはまるで別人のような馨の様子に戸惑う凪。
「お願いだから、僕にもう近づかないで」
元ベータ後天性オメガ
桜 晴樹
BL
懲りずにオメガバースです。
ベータだった主人公がある日を境にオメガになってしまう。
主人公(受)
17歳男子高校生。黒髪平凡顔。身長170cm。
ベータからオメガに。後天性の性(バース)転換。
藤宮春樹(ふじみやはるき)
友人兼ライバル(攻)
金髪イケメン身長182cm
ベータを偽っているアルファ
名前決まりました(1月26日)
決まるまではナナシくん‥。
大上礼央(おおかみれお)
名前の由来、狼とライオン(レオ)から‥
⭐︎コメント受付中
前作の"番なんて要らない"は、編集作業につき、更新停滞中です。
宜しければ其方も読んで頂ければ喜びます。
国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!
古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます!
7/15よりレンタル切り替えとなります。
紙書籍版もよろしくお願いします!
妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。
成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた!
これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。
「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」
「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」
「んもおおおっ!」
どうなる、俺の一人暮らし!
いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど!
※読み直しナッシング書き溜め。
※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。


前世である母国の召喚に巻き込まれた俺
るい
BL
国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。

片思いの練習台にされていると思っていたら、自分が本命でした
みゅー
BL
オニキスは幼馴染みに思いを寄せていたが、相手には好きな人がいると知り、更に告白の練習台をお願いされ……と言うお話。
今後ハリーsideを書く予定
気がついたら自分は悪役令嬢だったのにヒロインざまぁしちゃいましたのスピンオフです。
サイデュームの宝石シリーズ番外編なので、今後そのキャラクターが少し関与してきます。
ハリーsideの最後の賭けの部分が変だったので少し改稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる