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最高の感触と甘い香りとぬくもり
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少し電気を暗くさせてもらったから、大丈夫だろうと目を覆っていた腕を下ろして目を瞑っていると、見られている気配を感じる。
どうやら私の寝顔を見つめてくれているようだ。
それが嬉しくて思わずにやけそうになるが、ここは辛抱だ。
必死に表情に出さないようにしていると、彼の手が私の髪に触れる。
今度は無意識ではなく、彼の意思を持って触れてくれているようだ。
それが嬉しすぎて表情を隠せなくなると思い、寝返りを打ったふりをして、彼の身体に抱きつくように顔を隠した。
頬の下に感じる柔らかな感触は、きっと平松くんのあの可愛い果実。
ほんのりと漂ってくる平松くんの甘い香りに下半身に熱が籠るのがわかるが、ゆったりとしたズボンを履いているからきっとバレてはいないだろう。
ああ、膝枕。最高だな。
服の上からバレない程度に頬を擦り寄せて果実の感触と甘い匂いと温もりをたっぷりと堪能していると、
「んっ……すきぃ……っ」
と可愛い声が聞こえてくる。
その声につい反応して顔を上げると、平松くんの頭が揺れているのが見えた。
こんなふうに腰に抱きつかれても眠っていられるのは、意識されていないからか。
それとも私に触れられることに安心しているのか。
それは後者だと思いたいところだ。
よほど眠気が強いのか、グラグラと揺れてそのままソファーに倒れてしまいそうな様子に私はそっと起き上がって、彼を抱きしめた。
「ふふっ」
寝ているのに私が抱きしめると嬉しそうに笑顔を見せる平松くんがあまりにも可愛いすぎて、彼を腕の中に閉じ込めて、一緒にソファーに横たわった。
このソファーを買った時には、まさかこんな状況が来るなんて思ってなかったが、二人で横になっても十分すぎるほど広いソファーを買っておいた自分を褒めてやりたいと思う。
彼が落ちたりしないように奥側に寝かせて、私も彼のぬくもりと匂いを感じながら、しばしの眠りに落ちた。
決して寝る場所に適したものではなかったが、ここ数日で一番……それこそ、イリゼホテルのジュニアスイートのベッドよりも、平松くんと抱き合って寝るこのソファーの方がぐっすりと眠れた。
それはきっと寝心地ではなく、誰と寝ているかということなのだろう。
一人でしか熟睡できないと思っていた私が、腕に抱きしめて寝た方が熟睡できるなんて……平松くんと知り合う前の私なら信じないかもしれないな。
腕の中の平松くんが身動ぐのを感じて、目覚めたかと思っていると、
「わっ!! なんで……?」
と驚く声が聞こえる。
その焦った声が可愛くて、もう少し見ていたかったけれど、あまり混乱させるのも良くない。
「ああ、平松くん。君のおかげで久々にぐっすり眠れたよ」
笑顔でそう言ったのに、彼はハッとした表情で、
「そろそろ帰らないと!」
と言い出した。
えっ……。
西表に帰ってきた日は、うちに泊まってくれる約束だったのに……。
平松くんが帰るつもりだったのが辛い。
「眠っていて暗くなったのに気づかなかったみたいだな。平松くん、悪い……」
ショックで少し震えていたかもしれない声で、そういうと、
「あの、今日……本当にここに泊めてもらってもいいんですか?」
と尋ねてきた。
泊めてもらってもなんて答えるまでもない。
だって、今日はずっと家にいてくれると思っていたのだから。
すぐに反応できずに黙っていると、平松くんが不安そうに私を呼ぶ。
「ごめん。今日は泊まって行ってほしいって電話で伝えていたからそのつもりでいたんだけど、泊まりたくなくなっちゃったかな?」
何か泊まりたくなくなった理由でもあるならと思って尋ねると、
「八尋さん疲れてるし、俺がいたら食事作ったりとか仕事を増やしちゃうかなって……でも、一人では帰れないんで、結局迷惑かけちゃうかなって思ってしまって……どうしたらいいかなって迷っちゃって……」
という言葉が帰ってきた。
そうか。
きっと私があまりにもぐっすり寝過ぎたから、疲れていると思ったのだろう。
確かに疲れてはいるが、平松くんがいてくれた方が疲れが吹き飛ぶんだ。
だから食事のことは気にしないでいいと伝えたが、気になるのは、彼が言った<一人では帰れない>という言葉。
そんな報告はなかったが、一人でいて何か怖いことでもあったのかと思うと心配でならない。
「一人では帰れないってどういうこと? もちろん帰らせるつもりはないけど、何かあった?」
平松くんのことならなんでも教えて欲しい……そんな期待をこめて尋ねると、どうやら理由は砂川さんのようだ。
ハブが出るから危ないという理由を平松くんに刷り込んでくれたらしい。
だから、一人では帰れないのか……ふふっ。可愛い。
「大丈夫、これからはちゃんと私がついてるよ」
そういうと平松くんは顔を真っ赤にして頷いた後で、
「あ、あの……送っていただくのは、申し訳ないので約束通り泊まらせてもらいますね」
と言ってくれた。
ああ、もう本当に可愛すぎる。
どうやら私の寝顔を見つめてくれているようだ。
それが嬉しくて思わずにやけそうになるが、ここは辛抱だ。
必死に表情に出さないようにしていると、彼の手が私の髪に触れる。
今度は無意識ではなく、彼の意思を持って触れてくれているようだ。
それが嬉しすぎて表情を隠せなくなると思い、寝返りを打ったふりをして、彼の身体に抱きつくように顔を隠した。
頬の下に感じる柔らかな感触は、きっと平松くんのあの可愛い果実。
ほんのりと漂ってくる平松くんの甘い香りに下半身に熱が籠るのがわかるが、ゆったりとしたズボンを履いているからきっとバレてはいないだろう。
ああ、膝枕。最高だな。
服の上からバレない程度に頬を擦り寄せて果実の感触と甘い匂いと温もりをたっぷりと堪能していると、
「んっ……すきぃ……っ」
と可愛い声が聞こえてくる。
その声につい反応して顔を上げると、平松くんの頭が揺れているのが見えた。
こんなふうに腰に抱きつかれても眠っていられるのは、意識されていないからか。
それとも私に触れられることに安心しているのか。
それは後者だと思いたいところだ。
よほど眠気が強いのか、グラグラと揺れてそのままソファーに倒れてしまいそうな様子に私はそっと起き上がって、彼を抱きしめた。
「ふふっ」
寝ているのに私が抱きしめると嬉しそうに笑顔を見せる平松くんがあまりにも可愛いすぎて、彼を腕の中に閉じ込めて、一緒にソファーに横たわった。
このソファーを買った時には、まさかこんな状況が来るなんて思ってなかったが、二人で横になっても十分すぎるほど広いソファーを買っておいた自分を褒めてやりたいと思う。
彼が落ちたりしないように奥側に寝かせて、私も彼のぬくもりと匂いを感じながら、しばしの眠りに落ちた。
決して寝る場所に適したものではなかったが、ここ数日で一番……それこそ、イリゼホテルのジュニアスイートのベッドよりも、平松くんと抱き合って寝るこのソファーの方がぐっすりと眠れた。
それはきっと寝心地ではなく、誰と寝ているかということなのだろう。
一人でしか熟睡できないと思っていた私が、腕に抱きしめて寝た方が熟睡できるなんて……平松くんと知り合う前の私なら信じないかもしれないな。
腕の中の平松くんが身動ぐのを感じて、目覚めたかと思っていると、
「わっ!! なんで……?」
と驚く声が聞こえる。
その焦った声が可愛くて、もう少し見ていたかったけれど、あまり混乱させるのも良くない。
「ああ、平松くん。君のおかげで久々にぐっすり眠れたよ」
笑顔でそう言ったのに、彼はハッとした表情で、
「そろそろ帰らないと!」
と言い出した。
えっ……。
西表に帰ってきた日は、うちに泊まってくれる約束だったのに……。
平松くんが帰るつもりだったのが辛い。
「眠っていて暗くなったのに気づかなかったみたいだな。平松くん、悪い……」
ショックで少し震えていたかもしれない声で、そういうと、
「あの、今日……本当にここに泊めてもらってもいいんですか?」
と尋ねてきた。
泊めてもらってもなんて答えるまでもない。
だって、今日はずっと家にいてくれると思っていたのだから。
すぐに反応できずに黙っていると、平松くんが不安そうに私を呼ぶ。
「ごめん。今日は泊まって行ってほしいって電話で伝えていたからそのつもりでいたんだけど、泊まりたくなくなっちゃったかな?」
何か泊まりたくなくなった理由でもあるならと思って尋ねると、
「八尋さん疲れてるし、俺がいたら食事作ったりとか仕事を増やしちゃうかなって……でも、一人では帰れないんで、結局迷惑かけちゃうかなって思ってしまって……どうしたらいいかなって迷っちゃって……」
という言葉が帰ってきた。
そうか。
きっと私があまりにもぐっすり寝過ぎたから、疲れていると思ったのだろう。
確かに疲れてはいるが、平松くんがいてくれた方が疲れが吹き飛ぶんだ。
だから食事のことは気にしないでいいと伝えたが、気になるのは、彼が言った<一人では帰れない>という言葉。
そんな報告はなかったが、一人でいて何か怖いことでもあったのかと思うと心配でならない。
「一人では帰れないってどういうこと? もちろん帰らせるつもりはないけど、何かあった?」
平松くんのことならなんでも教えて欲しい……そんな期待をこめて尋ねると、どうやら理由は砂川さんのようだ。
ハブが出るから危ないという理由を平松くんに刷り込んでくれたらしい。
だから、一人では帰れないのか……ふふっ。可愛い。
「大丈夫、これからはちゃんと私がついてるよ」
そういうと平松くんは顔を真っ赤にして頷いた後で、
「あ、あの……送っていただくのは、申し訳ないので約束通り泊まらせてもらいますね」
と言ってくれた。
ああ、もう本当に可愛すぎる。
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