ある教授夫夫の甘い思い出 〜右手がくれた奇跡シリーズ

波木真帆

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教授会の裏で  <前編>

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タイトルだけ見ると少し不穏な感じがしなくもないですが(笑)
「ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました」で賢将おじいちゃんの家に直くんが預けられていた時の絢斗と皐月はどんな時間を過ごしていたのかという楽しいお話です。
楽しんでいただけると嬉しいです♡


  *   *   *

<side皐月>

歯学部の小濱こはま教授が体調を崩し年単位での入院治療が必要との診断が下ったということで年度途中で教授を退くことを決断されたそうだ。それに伴い、准教授のつつみさんを教授に推薦したということで急遽教授会が行われることになった。
当日は堤さんの授業担当資格の確認をしたり、堤さんが出した論文の結果などを審査して教授として認められるかどうかの審議を行い、投票によって決定される。そのため一票がかなり大きな意味を持つため、この教授会はやむを得ない場合を除き、参加必須となっている。

法学部の教授である絢斗ももちろん出席しないといけないけれど、彼には今、あまり一人にしてはいけない可愛い息子がいるから難しいだろうと思いつつ、連絡しないわけにはいかない。

今日は家族旅行から帰ってくる日だって言ってたから、この時間なら電話に出られるだろうと思ってかけてみた。数回コールの後に電話がつながった。

ー皐月。どうした? 何かあった?

ーちょっと大事な連絡があって……今、話してもいい?

ーうん。自分の部屋にいるから大丈夫だよ。

ーそっか、よかった。

そして私は教授会の話をした。

ーいつもならリモートで参加でもいいんだけど、今回はさすがに欠席はできないかなと思って……。でも、直くんだっけ? 大丈夫かな?

ーうーん、一人で置いておくのは心配だけど卓さんに話してみる。

ーうん。どうしてもの場合はうちで預かれるよ。宗一郎さんがみてくれるから。

ーありがとう。でも初対面で二人っきりはちょっと難しいかな……。

ーそっか。そうだよね。

ー連絡ありがとう。明日は必ず出席するから。

ーオッケー。あ、そうだ。明日はお弁当持って少し早めに来てよ。教授会の前に久しぶりにおしゃべりもしたいし。

ーわかった。じゃあ、明日ね。

それからしばらくして、直くんは絢斗のお父さんが預かってくれることになったと連絡があった。
絢斗のお父さんが帰国していたのをまだ聞いてなかったからびっくりしたけど、でもあのお父さんなら人見知りらしい直くんも大丈夫だろうな。いつか、宗一郎さんとも会わせられたらいいんだけど……。


「あっ、絢斗ー!!」

教授会当日、駐車場に着くとちょうど絢斗の車が入ってくるのが見えてぶんぶんと手を振ると、絢斗も私に気づいたようで車の中から手を振ってくれた。

車から降りてきた絢斗に駆け寄るとなんだかとても嬉しそう。

「何? いいことあった?」

「うん。お父さんに直くん預けてきたんだけど、お父さんもうすっかり直くんにメロメロでおじいちゃんしてたよ。直くんと会った時のお父さんの顔を思い出したら自然と笑顔になっちゃうよ」

「ええー、本当に? そんなに気に入ったんだ、直くんのこと」

「うん。すっごくいい子だからね。初対面の時から仲良くしてたよ。直くんの方から抱っこされに行ってたし」

「へぇー、そうなんだ。ねぇ、私の部屋でいろいろ話聞かせてよ」

「うん、実は皐月にとびっきりの話があるんだー!」

「えー、なになに? 気になるー!」

久しぶりの絢斗との対面に、すっかり小学生に戻ってしまったような気分で私の部屋に向かった。


「お茶淹れるからそこ座ってて」

「ありがとう。相変わらず皐月の部屋は綺麗にしているよね。秀吾くんもいないのにすごいなぁ」

「絢斗の部屋も今は綺麗でしょう?」

「うん。私がいない間秀吾くんが片付けてくれてるからね。多分私の部屋史上、一番、綺麗だと思うよ。ほんとありがたいよね」

片付けが苦手な絢斗だけど、今年は卒業生の榊くんが助手としてきてくれているから、本当に助かっているみたい。まぁ実際のところ、榊くんは今年入学した観月理央くんのお世話がかりのような立ち位置でもあるんだけど、毎日すごく楽しそうだからいいのかな。

「はい。どうぞ」

「ありがとう。ねぇねぇ、今日の志良堂先生のお弁当は何?」

「今日はね、絢斗と食べるって言ったから唐揚げを多めに入れてくれてるんだ。一緒に食べよう」

「わぁ、嬉しい! 卓さんもね、春巻き多めに入れてくれてるよ」

「わぁー、磯山先生の春巻き美味しいよね」

「そんなこと言ったら志良堂先生が嫉妬するよ」

「ふふっ。それも嬉しいかも」

そんな会話を楽しみながら、絢斗とのランチを楽しんだ。

「ねぇねぇ、それでさっきのとびっきりの話って何?」

「あ、そうだ! ふふっ、皐月絶対羨ましがるよ」

「ええー、なになに?」

絢斗が意味深に言ってくるから気になって仕方がない。
絢斗はそんな私の反応を楽しみながら笑顔で私にスマホを見せた。
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