112 / 133
番外編
千鶴たちとの対面 8
しおりを挟む
「そういえば、お兄ちゃん……下着ってトランクス? 大きな柄が入ってるとかある?」
クローゼットの影に隠れて着替えを始めていると、突然の千鶴からの質問が来て少し動揺してしまう。いや、普通なら家族の間柄だし恥ずかしがるようなことではない。だけど、今日は、というか今は透也とお揃いのものを身につけているから少し照れくさいのかもしれない。
「えっ? いや、普通にシンプルな黒のボクサーパンツだけど……」
少しドキドキしながら答えてみたら、
「ああ。それならまぁいいか」
という答えが返ってきた。
「何かあるのか?」
「ううん、ワンピースから透けたりするかなってちょっと心配したけど、黒なら大丈夫かなって。ああ、もし下着も女性用にしたかったら新品買ってるけどどうする?」
「えっ? いや、それはさすがに……」
「透也さんが嫉妬するかな。まぁ、必要だったら透也さんに選んで買ってもらおうか」
「な、なんで透也に?」
「だって、今のお兄ちゃんの服装を選んでいるの透也さんでしょう?」
「――っ!」
確かにそうだけど、当然のように言われて驚いてしまう。
「なんでわかるかって顔してるけど、わかるに決まってるじゃない。だってお兄ちゃんによく似合ってるし、透也さんの服ともあってるよ。あれってリンクコーデでしょう?」
やっぱり千鶴は詳しいな。いうこと全部が当たっててもはや何もいえない。
「ねぇ、そろそろ着替えは終わった?」
「あ、ちょっと後ろのファスナーが閉められなくて……」
千鶴と会話をしながらファスナーに悪戦苦闘していたら、
「お兄ちゃん、ちょっといい?」
と千鶴の声が聞こえた。
「背中向けてこっちに立って」
言われた通りに背中を向けるとスーッとファスナーが上がっていくのがわかる。
「うん、サイズは合うみたいだね。よかった」
「そうか?」
サッと振り返ると、
「わぁー、よく似合うよ」
と千鶴の満足そうな声が聞こえた。
「これなら透也さんも喜びそうだね。ねぇ、早く見せに行こう!」
「えっ、ちょっ、待っ――!」
透也の前にこの姿で出る、その覚悟もまだできていないのに俺は千鶴に手を取られて部屋の外に連れて行かれた。
そしてそのまま玄関に連れて行かれると、
「あ、そっか。このワンピースでお兄ちゃんの靴じゃね……。とりあえずこのスリッパ履いてて」
と可愛いスリッパを出されてそれに足を入れた。
「じゃあ、お店に行こう」
もう逃げられない。ドキドキしながら俺は千鶴とともに店に向かう階段を下りて行った。
<side透也>
「透也さん、コーヒーのお代わりどうぞ」
千鶴さんと大智が入っていった店の奥をチラチラとみていると長瀬さんに声をかけられた。
「ありがとうございます」
いつものようにいい香りが漂ってくるけれど、やはり気もそぞろになっているのがわかる。
「きっともうすぐ下りてきますよ」
「ええ。そうなんですけどね。やっぱり落ち着かないですね」
「千鶴さんなりにきっとなんとかしてあげたいと思っているんでしょう。でも本当にあの二人は若く見えますよね」
「やっぱり長瀬さんもそう思いました?」
「ええ。最初に小田切から大智さんの双子の妹さんだと聞いていたので年齢はわかっていたんですけど、実際に顔を見た時には年下としか思えませんでしたよ」
「俺も初めて大智と会った時、大学生と間違えたんですよ」
スタジアムで大智を見つけたとき、本当に日本からの留学生だと思った。
まさか俺がずっと気になっていた相手だとは思わなくて……あの時は本当にびっくりした。
「それで今は高校生、ですか。ふふっ。透也さんのスキンケアのお陰じゃないですか?」
「確かにそれはあるかも。だって、大智は俺と会うまで何も手入れしてなかったんですよ! びっくりでしょう?」
「ええ。千鶴さんも同じですよ。最低限のスキンケアだけであのプルプルでシミひとつない素肌。本当にびっくりですよね」
やっぱり遺伝的なものが強いのか……。
俺はこれからも大智の肌をしっかりと守ってやらないといけないな。
そんな会話をしていると、
「お待たせー」
と千鶴さんの嬉しそうな声が部屋の奥から聞こえてきた。
クローゼットの影に隠れて着替えを始めていると、突然の千鶴からの質問が来て少し動揺してしまう。いや、普通なら家族の間柄だし恥ずかしがるようなことではない。だけど、今日は、というか今は透也とお揃いのものを身につけているから少し照れくさいのかもしれない。
「えっ? いや、普通にシンプルな黒のボクサーパンツだけど……」
少しドキドキしながら答えてみたら、
「ああ。それならまぁいいか」
という答えが返ってきた。
「何かあるのか?」
「ううん、ワンピースから透けたりするかなってちょっと心配したけど、黒なら大丈夫かなって。ああ、もし下着も女性用にしたかったら新品買ってるけどどうする?」
「えっ? いや、それはさすがに……」
「透也さんが嫉妬するかな。まぁ、必要だったら透也さんに選んで買ってもらおうか」
「な、なんで透也に?」
「だって、今のお兄ちゃんの服装を選んでいるの透也さんでしょう?」
「――っ!」
確かにそうだけど、当然のように言われて驚いてしまう。
「なんでわかるかって顔してるけど、わかるに決まってるじゃない。だってお兄ちゃんによく似合ってるし、透也さんの服ともあってるよ。あれってリンクコーデでしょう?」
やっぱり千鶴は詳しいな。いうこと全部が当たっててもはや何もいえない。
「ねぇ、そろそろ着替えは終わった?」
「あ、ちょっと後ろのファスナーが閉められなくて……」
千鶴と会話をしながらファスナーに悪戦苦闘していたら、
「お兄ちゃん、ちょっといい?」
と千鶴の声が聞こえた。
「背中向けてこっちに立って」
言われた通りに背中を向けるとスーッとファスナーが上がっていくのがわかる。
「うん、サイズは合うみたいだね。よかった」
「そうか?」
サッと振り返ると、
「わぁー、よく似合うよ」
と千鶴の満足そうな声が聞こえた。
「これなら透也さんも喜びそうだね。ねぇ、早く見せに行こう!」
「えっ、ちょっ、待っ――!」
透也の前にこの姿で出る、その覚悟もまだできていないのに俺は千鶴に手を取られて部屋の外に連れて行かれた。
そしてそのまま玄関に連れて行かれると、
「あ、そっか。このワンピースでお兄ちゃんの靴じゃね……。とりあえずこのスリッパ履いてて」
と可愛いスリッパを出されてそれに足を入れた。
「じゃあ、お店に行こう」
もう逃げられない。ドキドキしながら俺は千鶴とともに店に向かう階段を下りて行った。
<side透也>
「透也さん、コーヒーのお代わりどうぞ」
千鶴さんと大智が入っていった店の奥をチラチラとみていると長瀬さんに声をかけられた。
「ありがとうございます」
いつものようにいい香りが漂ってくるけれど、やはり気もそぞろになっているのがわかる。
「きっともうすぐ下りてきますよ」
「ええ。そうなんですけどね。やっぱり落ち着かないですね」
「千鶴さんなりにきっとなんとかしてあげたいと思っているんでしょう。でも本当にあの二人は若く見えますよね」
「やっぱり長瀬さんもそう思いました?」
「ええ。最初に小田切から大智さんの双子の妹さんだと聞いていたので年齢はわかっていたんですけど、実際に顔を見た時には年下としか思えませんでしたよ」
「俺も初めて大智と会った時、大学生と間違えたんですよ」
スタジアムで大智を見つけたとき、本当に日本からの留学生だと思った。
まさか俺がずっと気になっていた相手だとは思わなくて……あの時は本当にびっくりした。
「それで今は高校生、ですか。ふふっ。透也さんのスキンケアのお陰じゃないですか?」
「確かにそれはあるかも。だって、大智は俺と会うまで何も手入れしてなかったんですよ! びっくりでしょう?」
「ええ。千鶴さんも同じですよ。最低限のスキンケアだけであのプルプルでシミひとつない素肌。本当にびっくりですよね」
やっぱり遺伝的なものが強いのか……。
俺はこれからも大智の肌をしっかりと守ってやらないといけないな。
そんな会話をしていると、
「お待たせー」
と千鶴さんの嬉しそうな声が部屋の奥から聞こえてきた。
680
あなたにおすすめの小説
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
またのご利用をお待ちしています。
あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。
緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?!
・マッサージ師×客
・年下敬語攻め
・男前土木作業員受け
・ノリ軽め
※年齢順イメージ
九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮
【登場人物】
▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻
・マッサージ店の店長
・爽やかイケメン
・優しくて低めのセクシーボイス
・良識はある人
▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受
・土木作業員
・敏感体質
・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ
・性格も見た目も男前
【登場人物(第二弾の人たち)】
▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻
・マッサージ店の施術者のひとり。
・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。
・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。
・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。
▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受
・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』
・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。
・理性が強め。隠れコミュ障。
・無自覚ドM。乱れるときは乱れる
作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。
徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。
よろしくお願いいたします。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※表紙をAI君に描いてもらいました。(2026.2.21)
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
「普通を探した彼の二年間の物語」
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる