年下イケメンに甘やかされすぎて困ってます

波木真帆

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番外編

バレンタイン特別企画  王道をあなたに

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今日はバレンタインということでどのカップルにしようかと思いましたが、彼らに出てきてもらいました♡
楽しんでいただけると嬉しいです♡

  *   *   *


<side大智>

「ちょっと大夢くんに相談があるんだ」

昼食を終え、一息ついたタイミングでそう声をかけると

「何があったんですか?」

と真剣な顔つきで近づいてきて驚いた。

「あっ、そんな大したことじゃないんだけど……」

「いいですよ、なんでも話してください。ここで話をするってことはプライベートなことですよね? 透也くんに何かあったんですか? あっ、もしかして、日本で浮気とか?」

「浮気? いやいや、透也に限ってそんなことはないよ! 絶対に!」

大夢くんがなぜそんなことを言い出したかというと、今、透也が一週間の日程で日本に一時帰国しているからだ。

出かける直前まで行きたくない! と散々ゴネていたけれど、次期社長として大事な仕事だというのだから仕方がない。

毎日必ずテレビ電話をするからと約束をして泣く泣く出かけて行った。
そのおかげで、毎日テレビ電話で話すだけでなく、ここでは言えないようなことをしてしまっている。
でも、正直なところ俺も透也と離れて我慢できないのだから仕方がない。
できることなら仕事の都合をつけて、一緒に日本にいきたかったくらいだ。
でもどうしても外せない大事な取引先との打ち合わせが入っていて諦めたんだ。

離れていて寂しいけれど、浮気なんて心配は全くしていない。
それくらい愛されている自信はある。

「ふふっ。冗談ですよ、大智さんにベタ惚れな、あの透也くんが浮気なんかするわけないですもんね」

ニヤニヤとした笑みを向けられて、ようやく揶揄われていたということに気づいた。
仕事でもプライベートでもよく会うようになった大夢くんは仕事以外ではかなりフランクになってきた。

まぁ義兄弟として仲良くしてくれてすごくありがたいんだけど、年下なのにドキドキさせられっぱなしだ。

「それで相談ってなんですか?」

「ああ、ほら、もうすぐバレンタインだろう? ちょうど透也が帰ってくるのもバレンタインデーだし、せっかくなら何か手作りでも作ってプレゼントしたら喜んでくれるかなって」

「わぁっ! それ、すっごくいいアイディアですね!!」

「大夢くんは毎年バレンタインは祥也さんにあげてるの?」

「はい。最初の頃は頑張ってガトーショコラとか、トリュフとかせっせと作って渡してましたよ。それはそれですごく喜んでくれるし、ちゃんと食べてくれるんですけど、祥也さん……そこまで甘いものが得意ではないので、今は夕食を作ってそのままエッチに流れていくのが恒例になってます」

「えっち……そ、そう、なんだ……」

まさかそこまで赤裸々に教えてくれるとは思ってなかったからびっくりしてしまった。
でも、夫夫になって長くなるとこんな感じが普通になっていくのかな。

「透也くんなら、大智さんが甘いもの作っても喜んで食べてくれそうですけど、せっかくなら甘いものと大智さんと両方用意したらどうですか?」

「甘いものと、俺って……どういうの?」

「ふふっ。僕、いいアプリ知ってるんですよ。これ、みてください!」

そう言って、大夢くんがスマホを操作して見せてくれたのは、

<恋する子猫の狼さん>

というアプリ。

みた感じ、可愛らしい服やバッグ、美味しそうなスイーツ、それに文房具などなどいろんなものが買える万能なお買い物アプリという感じだ。

「ここで、何を買うんだ?」

「ふふっ。このアプリの右上の星マークを押すとアプリが切り替わるんです。みててください」

大夢くんが、星マークを押すと

<恋する子猫の狼さん⭐︎hot.Ver.>

と書かれたページが現れた。

「hotってまさか……」

「ふふっ。そのまさかですよ。セクシーなものがいっぱい売られてるんです」

ページをスクロールして見せてくれる画面には、可愛い着ぐるみパジャマや、レースをふんだんに使った下着、フリルいっぱいのいかにもえっちなエプロンなどの衣装ばかりではなく、いわゆる大人のおもちゃなどそっち関係で使えそうなものがいっぱい売られている。

「これで、透也くんが好きそうなのを買って、帰ってきた日に着て見せてあげたら大喜びすると思いますよ」

「で、でも、ドン引きされたらどうする? ほら、大夢くんならまだ若いし、こういうの着ても似合いそうだし祥也さんが喜ぶのもわかるけど、流石に30過ぎてる男がこんなの着て透也が喜ぶかどうか……」

「何言ってるんですか!! 透也くんが喜ばないわけないですよ!! もう、大智さんは自分の綺麗さを自覚しなさすぎです!!」

勢いよく言われて、

「は、はい。ごめん」

というしかなかった。

「ふふっ。とりあえずこのアプリインストールしてください」

言われるままにアプリをインストールすると、

「いいですか? 今日中に選んで注文してくださいね。そうしないと透也くんが帰ってくるまでに間に合いませんから」

と注意された。

「わ、わかった。ちなみに大夢くんはどんなのを買ったことがあるの?」

「僕は……これとか、あ、あとこれとか、ああ、あっちのも可愛かったですよ」

次々と教えてもらい、意外な事実を知ってしまったなと俺の方がドキドキしてしまった。

「大丈夫。祥也さんと兄弟ですから、大喜びですよ」

「だといいけど……」

まだ自信はないけれど、とにかく大夢くんのアドバイス通りに今回はやってみよう。
ダメだったら今回限りにすればいい。

頭の中がそのことでいっぱいになりながらも何とか仕事を終え、自宅でもう一度アプリと睨めっこして、ひたすら悩んだ挙句、王道を選ぶことにした。
このほうが少しはドン引きされるのも少ないかもしれない。

注文ボタンを押すのがかなり緊張したけれど、押してしまったら今度は届くまでそわそわしてしまう。
複雑な気持ちを持ちつつも、到着の日を待った。

そして、透也が帰ってくる前日、大夢くんの家で俺にでもできそうな簡単なトリュフチョコレートを教えてもらい、下手くそながらもなんとか仕上げて家に帰ってすぐに荷物が届いた。

ジャックに部屋まで運んでもらって、中身がこんなのだとバレないかと緊張したけれど、箱からは一切そんな雰囲気は見えない。

さすが大夢くん推薦のアプリだなと変なところで感心しながら、一人で箱を開けた。

「あっ、可愛い、かも……」

スマホの画面で見ていたよりもずっと可愛く見える。
かなりセクシーだけど……透也が喜んでくれたらいいな。
俺の願いはそれだけだ。

<今空港に着いたよ。すぐに帰るから待っていてくださいね。愛してます。透也>

電話する時間すら惜しいと思ってくれているようで、メッセージだけが入ってきた。

透也が自ら俺のスマホにインストールした、透也のスマホの位置情報アプリで今どこまで帰ってきているかをリアルタイムで確認できる。

俺は昨日届いたばかりの服に着替えて、透也の到着を今か今かと待っていた。

扉を開けた瞬間に、飛びつきたいけどもしかしたら迎えに行っているはずのキースが一緒かもしれない。
流石にこんな姿を透也以外に見られたら、恥ずかし過ぎて死ぬ。

だから、扉が閉まって俺の名前を読んだら出て行こう。
スマホと睨めっこしながら待っていると、透也がようやく社宅の前まで帰ってきた。

そして、すぐにガチャっと鍵を開ける音が聞こえて

「大智ーっ。ただいまーっ!!」

と透也の声が響き、ドアがパタンと閉まる音が聞こえて、ようやくその時が来た。

「お、おかえり、透也」

「あっ、だい――っ!!!!!」

多分俺の顔は、未だかつてないほどに真っ赤になっているだろう。

「そ、その、かっこう……っ」

透也が茫然としながらも一生懸命絞り出した声が聞こえる。

俺が着ているのは、太ももの際までしか丈のない真っ白な総レース生地のエプロン。
透也からは、多分乳首もアソコも思いっきり透けて見えてるだろう。

透也はじっと見つめたまま微動だにしない。

ああ、やっぱりドン引きされたか……

「あ、あの……ごめん。バレンタインだからついはしゃいじゃって――わぁっ!!!」

必死に理由を説明しようとしていたら、突然透也が持っていた荷物も全て放り投げて俺を抱き上げる。

「あっ、とうや――」
「これ、俺のためなんですよね? 今日は寝室から出られないと思ってくださいね。甘い甘い大智をたっぷりいただきますよ。大智が可愛過ぎてもう我慢できません」

「――っ!!」

ギラギラとした獣のような目で見つめられた上に、そんな甘い言葉を囁かれ、俺の方がもうすでに限界を迎えそうになっていた。

透也を喜ばせるつもりが、俺が喜んでいるような気がしないでもないけれど、そこから寝室に運ばれてたっぷり数時間愛し合った。

その間ずっとエプロンは脱がされなかったから、きっと喜んでくれたんだと思いたい。

さて、来年はどうしようか……。
まだまだ試したい服はいっぱいだ。


 Happy Valentine♡



  *   *   *

透也視点、気になりますか?
そっちはかなり濃厚な※になりそうですが……需要があればぜひ♡
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