年下イケメンに甘やかされすぎて困ってます

波木真帆

文字の大きさ
上 下
94 / 125
番外編

癒しのアフタヌーンティー

しおりを挟む
おまけのスイーツにゃんこ会のお話です。
おまけなのに三人が可愛すぎて長くなりました(汗)
楽しんでもらえたら嬉しいです♡

  *   *   *


<side大智>


「あっ! 大智さんっ!! こっち、こっち!」

手を振っているのは敦己くん。
久しぶりの姿になんだか嬉しくなる。



昨日、身体を動かすことも辛くて一日中ベッドの住人をしていて、目が覚めた時には透也がもう帰ってきていた。
今日は一緒に久々に本社に行って、顔を見せる予定だったのに深い眠りについていて起きることすら放棄してしまっていた。

「すみません、大智。一人にして寂しかったですか?」

「いや、ずっと寝ていたみたいだから大丈夫」

「それはそれで俺が寂しいんですけど……」

「ふふっ。じゃあ、おいで」

そういうと、透也はすぐにジャケットを脱ぎ捨ててベッドに横たわり俺を抱きしめてくれた。

「敦己くんと暁くんは元気にしていた?」

「ええ。文句言われましたよ」

「文句? どうして?」

「大智を連れて行かなかったからですよ。二人とも大智に会えるのを相当楽しみにしていたみたいで……」

「そうか、それなら可哀想なことをしたな」

あっちで話題になっているお菓子を買っていくから、一緒に食べながらおしゃべりしようという約束になってたんだったな。
来週からは仕事だし、あんまり話す時間は取れないかもな……。
やっぱり頑張っていくべきだったかと思っていると、透也から驚きの言葉が飛んできた。

「だから、明日ここのラウンジで三人でお茶することになりましたよ」

「えっ? 三人って?」

「大智と、敦己とそして北原の三人です」

「良いのか?」

「良いのかって?」

「いや、透也はともかく、上田先生や小田切先生は週末はずっと一緒に過ごしているものだとばかり……」

だから三人でホテルのラウンジでお茶なんて遠い夢だと思ってた。

「ああ、それなら大丈夫です。本人たちからだけじゃ心配なんで、俺の方から連絡してちゃんと約束も取り付けましたから、明日は三人でお茶してください。ただし、ラウンジから違う場所に出掛けてはダメですよ」

「ああ、わかった! 楽しみだな」

「今日の約束を守れなかった代わりに、部屋付けにしてもらうことになってるんで支払いはしなくて良いですよ。好きなものを好きなだけ頼んでください」

ホテルの、しかもこのイリゼホテルのラウンジでお茶したら、かなりの金額になりそうだけど……透也がせっかくそう言ってくれてるから今回は甘えるとしよう。

ああ、久しぶりに色々話ができるな。
大夢くんも一緒ならもっと楽しかったけれど、まぁそれは別の機会かな。


約束の時間5分前に透也と一緒にロビーに降りたけれど、

「あっ! 大智さんっ!! こっち、こっち!」

と声をかけられた。
どうやら俺が一番最後だったみたいだ。

「ごめん、遅かったかな?」

「いいえ、僕たちが待ちきれなくて早く着いちゃったんです」

「ここまで二人で来たの?」

「いいえ、あそこにいます」

暁くんと敦己くんが視線を向けたその場所にはコーヒーを飲んでいる上田先生と小田切先生の姿があった。

「あっ、じゃあやっぱり……」

「ああ、俺もあそこで邪魔しないようにコーヒー飲んでるから。時間は気にしないでくれて良いから」

透也も一緒にラウンジにいくと言っていたから薄々そうじゃないかと思っていたんだ。
まぁでもその方が安心できるし、いっか。
こっちはこっちで楽しむことにしよう。

「早速ケーキとコーヒー頼もうか。どれでも選んでいいよ。全部透也の奢りだから」

「わぁーっ! どれにしようか悩んじゃうな」

「ねぇ、せっかくだからこのアフタヌーンティー・セットにしよう。全部のケーキが一口サイズで乗ってるし、サンドイッチやキッシュなんかも乗ってるよ」

「うわっ! すごい! でも、一人15000円ですよ。良いのかな?」

「良いって。良いって。ねぇ、大智さん」

「うん。せっかくだしこれにしよう!」

というわけで、早速アフターヌーンティー・セットを頼み、椅子に深く腰を下ろした。
もうすっかり腰も痛く無くなって本当によかった。
ホッとしていると、

「大智さん、元気そうでよかったです。本当に透也はケダモノだから……言っときますけど、大智さん! 嫌な時はちゃんと嫌だと言わなきゃダメですよ!」

と敦己くんから言われてしまって驚いた。
もしかして昨日休んだ理由バレてる?
恥ずかしくなりながらも必死に返答した。

「ごほっ、ごほっ! な――っ、そんなこと、ないから、大丈夫」

「本当ですか? 大智さん、優しいから透也のわがままを受け入れているんだと思って心配してたんです」

「敦己くんが心配してくれるのは嬉しいけど、あれは俺からねだったんだ」

「えっ? 大智さんから?」

驚く二人を前に俺は銀座での出来事を語った。

「だから、俺を安心させるために透也がしてくれたんだ」

「そうだったんですね。でも何もなくて本当によかった。でも本当嫌なやつですね。透也が一緒の時で良かったですよ」

「それは本当にそう思う。一人であんなふうに罵られたらどうしていいかわからなくなっていたかも」

「わかります……怖いですよね」

そうしみじみ話す暁くんの表情にもしかしたら嫌なことを思い出させてしまったかもと不安になった。

「あ、でも本当もう大丈夫だから。それより、二人の近況も教えてよ。小田切先生や上田先生とはどう?」

「最近はよく四人で食事しますよ。この前も四人で飲みに行ったし。ねぇ、暁くん」

「はい。個室ですっごくのんびりできるところで料理も美味しかったし、楽しかったです」

暁くん、すっかり敦己くんと仲良しになったみたいで良かったな。
やっぱり専属事務員になったおかげで一緒の時間を過ごすことも増えたからだろうか。
元々の暁くんの性格の良さも相まって二人の距離がぐんと縮まったようだ。
会社で辛い思いをしていた暁くんには、敦己くんの存在はかなり大きいだろう。

「ええー、そうなんだ。いいね」

「暁くん、ずっと小田切さんとイチャイチャしてましたよ」

「そんな、敦己さんだって上田さんとイチャイチャしてましたよ」

「ふふっ。二人とも相変わらずラブラブなんだな。でもお互い同じところに勤めているから、四人で食事にいく時も時間を合わせやすくていいね」

「そうなんですよ。だから、結構いろんなお店に行けて楽しいです。今度は旅行にも行きたいねって話をしてて……」

「良いなぁ……それは俺たちも参加したいなぁ」

ポツリと溢れたその言葉に暁くんが目を輝かせながら反応してくれた。

「えっ、じゃあ一緒に行きましょうよ! 人数多い方が楽しいですし、ねぇ敦己さん!」

「うん、それは良いね。日程は誉さんたちに任せておけば決めてくれそうだから、場所と内容だけ大まかに決めておけば良さそう」

「あっ、計画表なら僕が作りますよ」

「おお、暁くんが作るなら完璧だな。僕の資料もいつも完璧だし」

「そんなっ、褒められると照れます。でも本当、計画立てたいです」

「俺たちが加わっても大丈夫なのか? 邪魔にならない?」

「邪魔だなんてそんなことないですよ。大人数の方が楽しいですし」

「それなら、大夢くんたちも誘おうか」

「わぁ、それは楽しそう!! 良いですね!!」

話題はいつの間にか楽しい旅行計画の話になっていて、総勢四組八名の大所帯になりそうだけど、こうやって友人たちと楽しい計画で盛り上がるのは学生に戻ったようで嬉しい。

いや、俺の場合は学生時代ですらなかったことだけど。

「んっ! このケーキ、すっごく美味しい!」

「こっちのケーキも最高!!」

「わぁ、大智さん。コーヒーにミルクだけですか? すごい!」

「ふふっ。暁くんはやっぱり砂糖入り?」

「はい。もともとコーヒー自体苦手だったんですけど、智さんのお友達のバリスタさんのコーヒーを飲んでたら飲めるようになったんです」

長瀬ながせさんのコーヒーでしょ? 美味しいよね」

「敦己くんも知り合いの人?」

「もともとは上田と小田切先生と同級生らしくて。誉さんは上田の紹介で知り合ったって言ってましたよ」

「へぇ、バリスタさんってかっこいいな」

「大智さん、そんなこと言ったら透也が嫉妬しますよ」

「まさか、それくらいで……」

と言いつつも、そんな気がする。
そっと透也の方に目を向ければ、すぐに視線があって驚く。
これだけ離れているのに、まさか聞こえてないよね?

「あれだけ他人に興味がなかった透也が大智さんには執着しているので、相当嫉妬してると思いますよ。気をつけてくださいね」

そんな敦己くんの忠告にわかったと返事しながらも、ちょっとドキドキしている自分がいた。


あっという間に3時間以上が経っていて、さすがにここでこれ以上長居するのも申し訳がない。

「帰国までにもう一度くらいおしゃべりできたら良いですね。その時にはちょっと旅行計画も進めたいし」

「そうだね。でも、本当今日は楽しかった。誰にも邪魔されずにたっぷり話せたし。ねぇ、暁くん」

「はい。今日はすっごく楽しかったです。ケーキもすっごく美味しかったし」

「それは本当そう! すっごく美味しかった。透也さまさまだね」

なんて話をしていると、

「もうお茶会は終わりか?」

と声が聞こえた。

「あ、誉さん。はい。あの、今度大夢くんたちも誘って四組で旅行に行きたいって話になって……日程調整お願いしますね」

「えっ、旅行? あ、ああ。そうだな。じゃあ、話をしておこう。なぁ、小田切。透也くん」

「は、はい。そうですね。楽しみですね。ねぇ。透也くん」

「兄貴にも連絡しときますよ」

そんなこんなで旅行計画は大幅に進捗しそうだ。

楽しいお茶会の後は、それ以上に甘々な時間を過ごした。
しおりを挟む
感想 114

あなたにおすすめの小説

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

婚約破棄された僕は過保護な王太子殿下とドS級冒険者に溺愛されながら召喚士としての新しい人生を歩みます

八神紫音
BL
「嫌ですわ、こんななよなよした男が夫になるなんて。お父様、わたくしこの男とは婚約破棄致しますわ」  ハプソン男爵家の養子である僕、ルカは、エトワール伯爵家のアンネリーゼお嬢様から婚約破棄を言い渡される。更に自分の屋敷に戻った僕に待っていたのは、ハプソン家からの追放だった。  でも、何もかもから捨てられてしまったと言う事は、自由になったと言うこと。僕、解放されたんだ!  一旦かつて育った孤児院に戻ってゆっくり考える事にするのだけれど、その孤児院で王太子殿下から僕の本当の出生を聞かされて、ドSなS級冒険者を護衛に付けて、僕は城下町を旅立った。

鈍感モブは俺様主人公に溺愛される?

桃栗
BL
地味なモブがカーストトップに溺愛される、ただそれだけの話。 前作がなかなか進まないので、とりあえずリハビリ的に書きました。 ほんの少しの間お付き合い下さい。

さむいよ、さみしいよ、

moka
BL
僕は誰にも愛されない、、、 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 人を信じることをやめた奏が学園で色々な人と出会い信じること、愛を知る物語です。

私の庇護欲を掻き立てるのです

まめ
BL
ぼんやりとした受けが、よく分からないうちに攻めに囲われていく話。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

どうも。チートαの運命の番、やらせてもらってます。

Q.➽
BL
アラフォーおっさんΩの一人語りで話が進みます。 典型的、屑には天誅話。 突発的な手慰みショートショート。

処理中です...