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ちょっとしたイタズラ
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「本当に彼のおかげで事態が好転したと思います。実は彼が助けを求めて入った事務所が、うちの顧問弁護士さんの後輩の事務所だったんで、後輩さんの方からうちの顧問弁護士さん宛に協力要請がきて、合同で動いてくれたんですよ」
「なるほど。二馬力で動いてくれたからこんなにも早い解決に結びついたということか」
「そういうことです。千鶴さんの方から大智にもうすぐ連絡が来ると思いますけど、千鶴さん、仕事は辞めて……しばらくの間、おばあさまのところに静養に行かれるようですよ」
「そうか……あの優しい祖母なら、きっと千鶴も気持ちが落ち着くだろうな。まぁ、今は無理して働くより、心の休養を取る方が先だな」
「はい。俺もそう思います。それでちょっと考えたんですけど、良かったら千鶴さんを大智のところに呼んだらどうですか?」
「えっ? こっちに?」
「はい。そっちなら、今回の件を誰も何も知りませんし、心機一転リフレッシュもしやすいと思います。千鶴さん、語学も堪能だと聞いていますし、そっちに行っても苦労することはないでしょう?」
思いがけない透也の提案に驚いたものの、結構いいアイディアかもしれないと思った。
こっちは気候もいいし、鬱々とした気持ちになることはない。
千鶴はニューヨークやフロリダには学生時代に行ったことがあるけれど、L.Aはなかったはずだ。
俺が今までも出張でL.Aに行ったと話した時は羨ましそうにしていたな。
「そうだな。千鶴から連絡が来たら話してみるよ。千鶴のことをいろいろ考えてくれてありがとう」
「お礼なんていらないですよ。大智の大事な家族は俺の家族でもあるんですから」
「家族……そうだな。千鶴も喜ぶよ」
俺の言葉に透也が嬉しそうに笑う。
目の前で透也の笑顔が見えるのに、触れることもできない。
こんなに近くに見えるのに、この画面の向こうは8000キロ以上も離れているんだ。
そんなことを考えてしまって思わず涙が溢れる。
「大智……」
「あっ、ごめん。違うんだ。心配かけるつもりじゃ……」
「大智。もう少し待たせることになりますけど、我慢できますか?」
「……自信はないけど、頑張るしかないよな。こっちに来られるのはいつ頃なんだ? 来月?」
「一応二週間後の予定ですけど、合間に三連休があるでしょう? それで一度そっちに帰りますから」
「えっ? でもそれじゃ透也がきついだろう?」
「大智と会えない方がきついですよ。大智以上に俺がもう耐えられないんです。だから、そっちに帰りますよ」
こっちに帰る……俺のいるところが帰る場所だって言ってくれるんだな。
「ありがとう。俺も限界だったから、会えるの嬉しいよ」
「もう少しの辛抱ですから、待っていてくださいね」
「ああ。待ってる。あっ、当日は空港に迎えにいこうか? その方が長く会えるし」
「ぜぇったいに! だ、め、ですっ!!!」
「わぁっ!!!」
我ながらいい提案だと思ったのに、画面いっぱいに近づいた透也に大声で止められてしまった。
「な、なんで?」
「はぁーっ。大智、いつも言っているでしょう? 大智はそっちではすごく目立つんです」
「えっ? でも日本人くらいそんなに……」
「違いますよっ! 可愛いから狙われるって言ってるんです。俺と初めて会った時、スタジアムでナンパされたの忘れたんですか? 一人で空港なんて行ったらどうなるか」
「そんな……」
そんなことないって言いたかったけれど、透也の真剣な様子を見ていたら、それ以上は言えなかった。
「大智が迎えにきたいって言ってくれたことは本当に嬉しいんですよ。そんなに大智が俺に会いたがってるって思ってくれているということですから。でも、大智を危険に晒したくないんです。だから、俺が会社に迎えに行くまで待っててくださいね」
「わかった。そうするよ」
そういうと、透也はようやく笑顔を見せてくれた。
「もうそろそろ寝た方がいいですよね」
「ああ、そうだな」
「大智……愛してますよ」
これはいつも電話の最後に透也が言ってくれる愛の言葉。
いつもなら俺も愛しているよと返すけれど、今日はなにか違うことを言って困らせてみようか。
冷静な透也を見ているとそんなイタズラ心がむくむくと湧き上がってきた。
さて、何を言ってみようかな。
ああっ! そうだっ!
俺はさっと服を捲り上げると、
「帰ったらまずここれを弄って……」
そう言って、ぷっくりと膨らんだ乳首を画面に晒した。
透也は俺の乳首が好きだからきっと喜んでくれるだろうと思ったんだ。
だけど、
「――っ!!!!!」
画面の中の透也は俺の姿をじっと見つめたまま微動だにしない。
えっ?
もしかして、俺……スベッた?
一気に恥ずかしさが込み上げてきて、
「おやすみっ!!」
と言って急いでビデオ通話を切った。
うわー、もう俺はなんてことしちゃったんだ。
素直に愛してるって言えば良かった……。
クッションで頭を隠しながらソファーの上で悶えていると、ピロンとメッセージが届いた音が聞こえた。
絶対透也だ。
言うだけ言ってスベッて逃げた俺のことを呆れているかもしれない。
ああ……見たくないな……。
そう思いつつ、開くと
<大智があんなに魅力的なものを不意打ちで見せてくるから、昂りを抑えるのが大変でしたよ!! そっちに帰ったら責任取ってもらいますからね、でも、大智の可愛い乳首見られて最高でした。そっちに帰ったらたっぷり弄ってあげますよ>
というメッセージと共に、今撮っただろう自撮りの透也の写真が送られてきた。
本当に少し欲情している瞳が見える。
ああ、これを会社の女性たちに見られるのか……。
余計なことをしちゃったなと後悔しつつ、その写真はすぐに保存しておいた。
今日はこれを見ながら寝ようか。
会える日が今から待ち遠しくてたまらないな。
「なるほど。二馬力で動いてくれたからこんなにも早い解決に結びついたということか」
「そういうことです。千鶴さんの方から大智にもうすぐ連絡が来ると思いますけど、千鶴さん、仕事は辞めて……しばらくの間、おばあさまのところに静養に行かれるようですよ」
「そうか……あの優しい祖母なら、きっと千鶴も気持ちが落ち着くだろうな。まぁ、今は無理して働くより、心の休養を取る方が先だな」
「はい。俺もそう思います。それでちょっと考えたんですけど、良かったら千鶴さんを大智のところに呼んだらどうですか?」
「えっ? こっちに?」
「はい。そっちなら、今回の件を誰も何も知りませんし、心機一転リフレッシュもしやすいと思います。千鶴さん、語学も堪能だと聞いていますし、そっちに行っても苦労することはないでしょう?」
思いがけない透也の提案に驚いたものの、結構いいアイディアかもしれないと思った。
こっちは気候もいいし、鬱々とした気持ちになることはない。
千鶴はニューヨークやフロリダには学生時代に行ったことがあるけれど、L.Aはなかったはずだ。
俺が今までも出張でL.Aに行ったと話した時は羨ましそうにしていたな。
「そうだな。千鶴から連絡が来たら話してみるよ。千鶴のことをいろいろ考えてくれてありがとう」
「お礼なんていらないですよ。大智の大事な家族は俺の家族でもあるんですから」
「家族……そうだな。千鶴も喜ぶよ」
俺の言葉に透也が嬉しそうに笑う。
目の前で透也の笑顔が見えるのに、触れることもできない。
こんなに近くに見えるのに、この画面の向こうは8000キロ以上も離れているんだ。
そんなことを考えてしまって思わず涙が溢れる。
「大智……」
「あっ、ごめん。違うんだ。心配かけるつもりじゃ……」
「大智。もう少し待たせることになりますけど、我慢できますか?」
「……自信はないけど、頑張るしかないよな。こっちに来られるのはいつ頃なんだ? 来月?」
「一応二週間後の予定ですけど、合間に三連休があるでしょう? それで一度そっちに帰りますから」
「えっ? でもそれじゃ透也がきついだろう?」
「大智と会えない方がきついですよ。大智以上に俺がもう耐えられないんです。だから、そっちに帰りますよ」
こっちに帰る……俺のいるところが帰る場所だって言ってくれるんだな。
「ありがとう。俺も限界だったから、会えるの嬉しいよ」
「もう少しの辛抱ですから、待っていてくださいね」
「ああ。待ってる。あっ、当日は空港に迎えにいこうか? その方が長く会えるし」
「ぜぇったいに! だ、め、ですっ!!!」
「わぁっ!!!」
我ながらいい提案だと思ったのに、画面いっぱいに近づいた透也に大声で止められてしまった。
「な、なんで?」
「はぁーっ。大智、いつも言っているでしょう? 大智はそっちではすごく目立つんです」
「えっ? でも日本人くらいそんなに……」
「違いますよっ! 可愛いから狙われるって言ってるんです。俺と初めて会った時、スタジアムでナンパされたの忘れたんですか? 一人で空港なんて行ったらどうなるか」
「そんな……」
そんなことないって言いたかったけれど、透也の真剣な様子を見ていたら、それ以上は言えなかった。
「大智が迎えにきたいって言ってくれたことは本当に嬉しいんですよ。そんなに大智が俺に会いたがってるって思ってくれているということですから。でも、大智を危険に晒したくないんです。だから、俺が会社に迎えに行くまで待っててくださいね」
「わかった。そうするよ」
そういうと、透也はようやく笑顔を見せてくれた。
「もうそろそろ寝た方がいいですよね」
「ああ、そうだな」
「大智……愛してますよ」
これはいつも電話の最後に透也が言ってくれる愛の言葉。
いつもなら俺も愛しているよと返すけれど、今日はなにか違うことを言って困らせてみようか。
冷静な透也を見ているとそんなイタズラ心がむくむくと湧き上がってきた。
さて、何を言ってみようかな。
ああっ! そうだっ!
俺はさっと服を捲り上げると、
「帰ったらまずここれを弄って……」
そう言って、ぷっくりと膨らんだ乳首を画面に晒した。
透也は俺の乳首が好きだからきっと喜んでくれるだろうと思ったんだ。
だけど、
「――っ!!!!!」
画面の中の透也は俺の姿をじっと見つめたまま微動だにしない。
えっ?
もしかして、俺……スベッた?
一気に恥ずかしさが込み上げてきて、
「おやすみっ!!」
と言って急いでビデオ通話を切った。
うわー、もう俺はなんてことしちゃったんだ。
素直に愛してるって言えば良かった……。
クッションで頭を隠しながらソファーの上で悶えていると、ピロンとメッセージが届いた音が聞こえた。
絶対透也だ。
言うだけ言ってスベッて逃げた俺のことを呆れているかもしれない。
ああ……見たくないな……。
そう思いつつ、開くと
<大智があんなに魅力的なものを不意打ちで見せてくるから、昂りを抑えるのが大変でしたよ!! そっちに帰ったら責任取ってもらいますからね、でも、大智の可愛い乳首見られて最高でした。そっちに帰ったらたっぷり弄ってあげますよ>
というメッセージと共に、今撮っただろう自撮りの透也の写真が送られてきた。
本当に少し欲情している瞳が見える。
ああ、これを会社の女性たちに見られるのか……。
余計なことをしちゃったなと後悔しつつ、その写真はすぐに保存しておいた。
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