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番外編
テーマパークで遊ぼう! <中編>
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ケモ耳選びが楽しすぎて長くなっちゃいました。
次回で終わるかな。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「うーん、どれにしようか悩んじゃいますね」
渚はケモ耳セットと呼ばれるものの前で座り込んだまま、しばらく動こうとしない。
正直どれも似合うと思うが、何をそこまで悩んでいるのだろう?
「渚はどれでも似合うと思うぞ」
「悩んでるのは欧介さんのですよ。どれも似合いそうで悩んじゃって……」
「私の?」
まさか、私がこの耳と尻尾をつけるのか?
「いや、私は……」
「え……っ、つけるの、いやですか?」
渚に悲しげな顔で見上げられると嫌と言えるはずもない。
「くっ――!! い、いや。そんなことはない。渚とつけられるなら嬉しいよ」
「わぁーっ、よかったです。じゃあ、欧介さんは狼さんにしようかな」
さっきまでの悲しげな顔が一転、満面の笑みを浮かべて、グレーと黒と白が混ざり合ったような立ち耳の狼カチューシャと同じ色合いのもっさりとした大きな尻尾を手に取った。
「それで、渚は何にするんだ?」
「ウサギさんと狐さんと悩んだんですけど、この耳が可愛いんで猫ちゃんにします」
そう言って、みせてくれたのは真っ白な耳と細い尻尾。
これは……っ、可愛いすぎる!!
だが、ウサギと狐も惜しいな。
「渚、せっかくだから、ウサギと狐も買おう」
「えっ、いいんですか?」
「ああ、気にしないでいいよ」
「じゃあ、欧介さんのクマさんのも買っていいですか?」
「ああ。もちろんだよ」
キラキラとした目で見つめられるとだめだなんて言えるはずもない。
というかそもそもだめだというつもりも無い。
なんせ、渚がおねだりしてくれること自体が貴重なのだから。
もう可愛すぎてこのまま押し倒したいくらいだ。
「わーっ、やったぁ。欧介さん、大好きっ!!」
「――っ!!!」
よほど嬉しいのだろう。
ひと目も憚らずに渚の方から抱きついてきてくれるなんて、ああ、もう本当にどうしようもなく可愛すぎる。
支払いを済ませ試着室を借り、渚を鏡の前に立たせて猫耳カチューシャをつけ、ズボンのベルト穴にフックをかけ、尻尾をつけてやると
「わぁー、可愛いっ!!」
とお尻をフリフリと揺らしながら、鏡に向かって
「にゃあっ」
と猫の真似をする。
「くっ――!!」
それをみただけで私の理性が吹き飛んでしまいそうになる。
誰にもみせたく無いくらい可愛いが、このまま出るのが心配になるな。
渚を絶対に離さないようにしないといけないな。
「欧介さんもつけてあげますね」
渚が可愛い猫耳をつけたまま、私の背後で膝立ちになり尻尾をつけてくれる。
ああ、もう鏡に映る姿がとてつもなく可愛い。
「さぁ、できましたよ。あっ、ちゃんとカチューシャもつけてください」
「あ、ああ」
自分がどうなっているよりも渚の格好しか見てなかったが、大丈夫なんだろうか?
恐る恐る狼の耳をつけると、
「わぁーっ!! 欧介さん、すっごくかっこいいです!! やっぱり狼さんが似合いますね」
と嬉しそうに言ってくれるから嫌な気はしない。
気恥ずかしさはあるが、せっかくの機会だ。
ここはレーヴランド、夢の国なのだし楽しむとするか。
店の外に出ると、一斉に視線を感じるがその全ては渚に注がれているようだ。
それもそうだろう。
ただでさえ可愛い渚がこんなにも可愛い子猫になっているのだから。
私は渚に気づかれないように狼らしく周りに威嚇をしながら、園内を歩き始めた。
「わぁー、乗り物がいっぱい! 欧介さん、どれにします?」
「渚は乗ってみたいものはないか?」
「僕、あれに乗りたいです!!」
渚が指したのは、二人乗りのボートのようなものに乗ってかなりの高さから水面目掛けて急降下する乗り物だ。
「楽しそうだが、渚は大丈夫か?」
「ちょっと怖そうですけど、欧介さんが一緒なら楽しそうです」
「そうか、じゃあ並ぶとしよう」
もう夕方になり人もだいぶ少ないからか、あっという間に私たちの番がやってきた。
「水がかかりますので、このシートで濡れないように気をつけてください」
スタッフからシートを渡され、渚とともにボートに乗り込む。
小さな渚をすっぽりと覆い、シートをかけるとボートが動き出した。
最初は余裕そうだった渚がだんだんと高くなるにつれて怖そうに震え始めた。
「おう、すけさん…‥っ」
「大丈夫だよ、私が一緒だから怖くない。そうだろう?」
「はい」
渚が怖がらないようにさらにピッタリと抱きしめながら頂上まで行くと、一気に降下していく。
「わぁーーっ!!」
大きな声をあげる渚をぎゅっと抱きしめているうちにボートはバッッシャーーンと大きな音を立てて水面に飛び込んだ。
被せておいたシートに水がかかったが、渚は無事なようだ。
「どうだ? 怖かったか?」
「ちょっと怖かったですけど、欧介さんが一緒だったから大丈夫でした。でも……」
「でも?」
「欧介さんが一緒じゃないともう乗らないです」
「ははっ。大丈夫。これに乗るときはいつも一緒だよ」
「約束ですよ」
「ああ、約束だ」
そう言って差し出してくれた渚の細くて小さな小指に私の小指を絡めた。
次回で終わるかな。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「うーん、どれにしようか悩んじゃいますね」
渚はケモ耳セットと呼ばれるものの前で座り込んだまま、しばらく動こうとしない。
正直どれも似合うと思うが、何をそこまで悩んでいるのだろう?
「渚はどれでも似合うと思うぞ」
「悩んでるのは欧介さんのですよ。どれも似合いそうで悩んじゃって……」
「私の?」
まさか、私がこの耳と尻尾をつけるのか?
「いや、私は……」
「え……っ、つけるの、いやですか?」
渚に悲しげな顔で見上げられると嫌と言えるはずもない。
「くっ――!! い、いや。そんなことはない。渚とつけられるなら嬉しいよ」
「わぁーっ、よかったです。じゃあ、欧介さんは狼さんにしようかな」
さっきまでの悲しげな顔が一転、満面の笑みを浮かべて、グレーと黒と白が混ざり合ったような立ち耳の狼カチューシャと同じ色合いのもっさりとした大きな尻尾を手に取った。
「それで、渚は何にするんだ?」
「ウサギさんと狐さんと悩んだんですけど、この耳が可愛いんで猫ちゃんにします」
そう言って、みせてくれたのは真っ白な耳と細い尻尾。
これは……っ、可愛いすぎる!!
だが、ウサギと狐も惜しいな。
「渚、せっかくだから、ウサギと狐も買おう」
「えっ、いいんですか?」
「ああ、気にしないでいいよ」
「じゃあ、欧介さんのクマさんのも買っていいですか?」
「ああ。もちろんだよ」
キラキラとした目で見つめられるとだめだなんて言えるはずもない。
というかそもそもだめだというつもりも無い。
なんせ、渚がおねだりしてくれること自体が貴重なのだから。
もう可愛すぎてこのまま押し倒したいくらいだ。
「わーっ、やったぁ。欧介さん、大好きっ!!」
「――っ!!!」
よほど嬉しいのだろう。
ひと目も憚らずに渚の方から抱きついてきてくれるなんて、ああ、もう本当にどうしようもなく可愛すぎる。
支払いを済ませ試着室を借り、渚を鏡の前に立たせて猫耳カチューシャをつけ、ズボンのベルト穴にフックをかけ、尻尾をつけてやると
「わぁー、可愛いっ!!」
とお尻をフリフリと揺らしながら、鏡に向かって
「にゃあっ」
と猫の真似をする。
「くっ――!!」
それをみただけで私の理性が吹き飛んでしまいそうになる。
誰にもみせたく無いくらい可愛いが、このまま出るのが心配になるな。
渚を絶対に離さないようにしないといけないな。
「欧介さんもつけてあげますね」
渚が可愛い猫耳をつけたまま、私の背後で膝立ちになり尻尾をつけてくれる。
ああ、もう鏡に映る姿がとてつもなく可愛い。
「さぁ、できましたよ。あっ、ちゃんとカチューシャもつけてください」
「あ、ああ」
自分がどうなっているよりも渚の格好しか見てなかったが、大丈夫なんだろうか?
恐る恐る狼の耳をつけると、
「わぁーっ!! 欧介さん、すっごくかっこいいです!! やっぱり狼さんが似合いますね」
と嬉しそうに言ってくれるから嫌な気はしない。
気恥ずかしさはあるが、せっかくの機会だ。
ここはレーヴランド、夢の国なのだし楽しむとするか。
店の外に出ると、一斉に視線を感じるがその全ては渚に注がれているようだ。
それもそうだろう。
ただでさえ可愛い渚がこんなにも可愛い子猫になっているのだから。
私は渚に気づかれないように狼らしく周りに威嚇をしながら、園内を歩き始めた。
「わぁー、乗り物がいっぱい! 欧介さん、どれにします?」
「渚は乗ってみたいものはないか?」
「僕、あれに乗りたいです!!」
渚が指したのは、二人乗りのボートのようなものに乗ってかなりの高さから水面目掛けて急降下する乗り物だ。
「楽しそうだが、渚は大丈夫か?」
「ちょっと怖そうですけど、欧介さんが一緒なら楽しそうです」
「そうか、じゃあ並ぶとしよう」
もう夕方になり人もだいぶ少ないからか、あっという間に私たちの番がやってきた。
「水がかかりますので、このシートで濡れないように気をつけてください」
スタッフからシートを渡され、渚とともにボートに乗り込む。
小さな渚をすっぽりと覆い、シートをかけるとボートが動き出した。
最初は余裕そうだった渚がだんだんと高くなるにつれて怖そうに震え始めた。
「おう、すけさん…‥っ」
「大丈夫だよ、私が一緒だから怖くない。そうだろう?」
「はい」
渚が怖がらないようにさらにピッタリと抱きしめながら頂上まで行くと、一気に降下していく。
「わぁーーっ!!」
大きな声をあげる渚をぎゅっと抱きしめているうちにボートはバッッシャーーンと大きな音を立てて水面に飛び込んだ。
被せておいたシートに水がかかったが、渚は無事なようだ。
「どうだ? 怖かったか?」
「ちょっと怖かったですけど、欧介さんが一緒だったから大丈夫でした。でも……」
「でも?」
「欧介さんが一緒じゃないともう乗らないです」
「ははっ。大丈夫。これに乗るときはいつも一緒だよ」
「約束ですよ」
「ああ、約束だ」
そう言って差し出してくれた渚の細くて小さな小指に私の小指を絡めた。
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