イケメン店主に秘密の片想いのはずが何故か溺愛されちゃってます

波木真帆

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お礼がしたい!

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「お疲れ! 平松くん、どうだった?」

「はい。無事に渡せました」

「そっか。よかった。頑張ってたもんね。お疲れさま。どう? 今日は一緒に呑みに行く?」

「あっ、それが……」
「平松くん、八尋さんがすぐに来てくださるそうですよ」

八尋さんのことを話そうと思った途端、砂川さんが俺たちのところにやってきて、八尋さんのことを教えてくれた。

「えっ? もうお迎えですか?」

名嘉村さんが驚くのも無理はない。
だって、まだ定時まで一時間近くあるのだから。
しかも昨日も上司命令だと言って、半休をもらったばかりなのに……。

「ええ、大きな仕事を片付けてもらったので、少し休んでいただこうと思いまして八尋さんにお迎えをお願いしたんです」

「そっか。じゃあ、お疲れさん会はまだ今度ゆっくりしようね」

まるで特別扱いでもされているような待遇に文句が出ないかと心配したけれど、名嘉村さんはすぐに賛成してくれて、その上、周りで仕事をしていた同じ事務課の社員さんたちからも、

「すごく頑張ってたからゆっくり休んだほうがいいよ」
「そうそう、また明日から頑張ってもらわないといけないんだから!」
「平松くん、ずっと頑張ってたからね!」

と優しい声がかかる。

「ほら、みんなもこう言ってますし、早く準備しましょう。もう来られますよ」

「は、はい」

そんな話をしている間に、俺の机は名嘉村さんがすっかり片付けてくれていて、あとは玄関に向かうだけになっていた。

「じゃあ、行きましょうか」

「は、はい」

砂川さんの勢いに押されるように俺は玄関をでた。
視線の先に八尋さんが近づいてくるのが見える。

「あっ!」

八尋さんの姿が見えて思わず声を漏らすと、八尋さんも俺の姿を見つけたのか、笑顔で手を振りながら急いで駆けつけてくれた。

「やぁ、ごめん。待たせたかな?」

「いえ、ちょうど今出てきたところです」

「そうか、よかった」

「あの、すみません……こんなに早く迎えにきていただいたりして……」

「いや、気にしないでいいよ。今日は店も休みだし、迎えにくるって言い出したのは私だからね」

本当に八尋さんって優しいな……。
こんなにまでしてもらえると、俺だけ特別だって思いたくなる。
そんなことは絶対にないんだけど……。

「八尋さん、今日は予定より早く大きな仕事を片付けてもらっての早帰りなんです」

砂川さんが八尋さんに説明してくれると、すぐにパンフレットのイラストのことだとわかってくれたようで八尋さんが笑顔を見せてくれた。

「ああ、なるほど。あれが完成したんですね」

「ええ。だから、ゆっくり身体を休めてもらって、また明日からうちの大事な戦力として頑張ってもらわないといけないので平松くんをよろしくお願いしますね」

「わかりました。任せてください。それにしてもこんなに早くすごいな、平松くん。パンフレット完成したら私にも見せてもらおうかな」

「はい。ぜひみて欲しいです。八尋さんが観光に連れて行ってくださったおかげで描けたものなので、みてもらえたら嬉しいです。」

「そうか、私のおかげか。ならお礼をしてもらおうかな」

「えっ? はい! 俺にできることなら喜んで」

こういうのって初めてだから考えてなかったけど、八尋さんにお礼なら喜んでしたい!

「じゃあ、この前平松くんがご馳走してくれたコーヒー、覚えてる?」

「えっ、はい。あのレストランに併設されていたところですよね?」

「ああ。あの時、平松くんが飲んでたカフェラテが美味しかったから、それをご馳走してもらおうかな」

「――っ!! はい、ぜひ!」

そう言えば、あの時……今度は飲みたいって言ってくれてた。
ちゃんと覚えててくれたんだ……。

「じゃあ、今から行こうか」

「えっ? 今から?」

まだ明るいけどこれからあそこまで?

「あの辺り、夕方は行ったことがないだろう? あの先にビーチがあるからコーヒー飲みながら行ってみないか? 夕方の海は綺麗だよ」

「海……はい! 行きたいです!」

「ふふっ。平松くん、海を見に行きたいって言ってたんですよね。よかったですね」

砂川さんが笑顔で声をかけてくれる。
きっと安慶名さんからあの時の話を聞いていたんだ。

「ああ、そうなのか? 言ってくれればよかったのに。じゃあ、着替えてすぐに行こうか」

「あっ、じゃあ俺一度家に帰ります」

「いいよ、平松くんの服ならうちにあるから」

「えっ? どうして……」

「ふふっ。帰っていた時にあっちで買ってきたんだ。ほら、泊まってくれる約束していたしね。それに着替えがあるほうがいつでも泊まれて便利だろう?」

「ありがとうございます」

八尋さんが地元に帰っていた時も俺のことを考えてくれていたことが嬉しい。
俺……自分で思っていたより、八尋さんの友人ポジションにはなれているのかもしれないな。
そう思うだけで俺は嬉しかった。
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