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人生最高の出会い
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「わぁーっ! すごいご馳走です!!」
「ふふっ。そんなに褒められると照れるなぁ。小鉢に入れているのはほとんど作り置きのものだよ」
「ええー、でも仕事しているのにこんなに作れるだけで尊敬です! これとかすごく難しそうですけど今作ったんですか?」
タレがたっぷりと絡んで見るからに美味しそうな骨付き肉が目の前にこんもりと盛られていて、見ているだけで涎が出てくる。
「ああ、このスペアリブは今、焼いたんだよ。下味をつけて冷凍しておくと食べる日にそのままオーブンで焼いたら食べられるから楽だよ」
「スペアリブ……名前は聞いたことありますけど、家で食べられるなんて思いませんでした。こんなに美味しそうなものなんですね!」
「これは骨付きだから、手でそのまま食べてくれていいからね」
「えーっ!! すごい!!」
手で持って食べていいなんて!
なんだかワクワクしてしまう。
「ガーリックバタートーストも焼いたから、これと一緒に食べようね」
聞けば、このパンも名嘉村さんの手作りでいっぱい作って冷凍しているらしい。
名嘉村さん曰く、その日の気分に合わせて明太子バターとか蜂蜜バターとか乗せて焼くのが楽しいんだって。
本当に名嘉村さんって料理が大好きなんだなって思う。
「平日の夜に料理を作って冷凍しておくのが多いかな。そうしたらいつでも食べられるし、浩輔さんがきたときもすぐに食べられるしね。ほら、せっかくきてくれている時は料理に時間使いたくないでしょ」
「あっ! そう、ですね……」
そっか。
恋人なんだもんね。
一緒にいる時はずっとイチャイチャしていたいってことなのかな。
あの人と……ずっと、イチャイチャ……。
「ふふっ。平松くん、顔赤いけど何想像しているの?」
「えっ、いや。そんな……っ」
「ふふっ。じゃあ、食べようか。あっ、泡盛も出そう。スペアリブによく合う泡盛があるんだよ」
そう言って、名嘉村さんはウキウキと棚から深い海のような綺麗なガラス瓶を持ってきた。
「うわっ、綺麗!」
「これは琉球ガラスだよ。色が綺麗だよね」
中身は日本酒みたいに透明だけど、この綺麗な深青の瓶にときめいてしまう。
同じ色のお猪口に注いでくれて、
「乾杯!」
と軽く合わせて一口呑むと、ストレートとは思えない柔らかい口当たりに驚いた。
「美味しいっ!」
「でしょ? でも、呑みすぎないようにね。さぁ、ご飯も食べて!」
勧められたスペアリブに手を伸ばす。
テーブルにはおしぼりも置いてあってありがたい。
骨の部分を握って齧りつくと、骨から肉がスルリと離れてくれる。
そのお肉の柔らかいことといったら、びっくりしてしまうほどだ。
「んんっ!! 美味しいっ!!」
「ふふっつ。いっぱいあるからゆっくり食べて」
甘辛いお肉の後にはパンが食べたくなって、焼きたての美味しそうなガーリックトーストに手を伸ばそうとして、一瞬躊躇ってしまった。
「どうした? ああっ、このガーリックバターは匂いがしないものだから気にしないでいいよ」
明日八尋さんが帰ってくるから匂いがあるものはやめといたほうがいいかなと思ってしまった俺の反応にすぐに気づいてくれて、そう言ってくれる。
多分、その理由が八尋さんが帰ってくるからとは名嘉村さんは思っていないだろう。
明日も仕事だし、会社で匂いが……とか思ってくれたのかもしれない。
それでも、その心遣いが嬉しかったんだ。
食事も進みながら、美味しい泡盛も呑んで、楽しくなってきたらふと気になっていたことがどうしても聞きたくなってしまった。
普段なら、教育係で上司でもある名嘉村さんにそんなこと聞けるはずなかったのに。
この家のおおらかな雰囲気に馴染みすぎてしまっていたのかもしれない。
「名嘉村さんは、その……どうやって松川さんと付き合い始めたんですか?」
「えー、恥ずかしいな。聞きたい?」
「はい、聞きたいです。松川さんも元々石垣の人なんですか?」
「ううん、浩輔さんは東京の人だよ。大学を卒業してイリゼホテルグループに就職して最初はイリゼホテル銀座に勤務していたんだ。就職して数年して石垣イリゼホテルが開業して、支配人として石垣に来たんだよ」
「えっ、就職して数年で支配人ですか? それ、すごいことですよね」
「ふふっ。そうだね。浩輔さん、優秀だから」
そう言って嬉しそうに笑う名嘉村さんがものすごく可愛らしく見えた。
「僕は大学生四年の時に、夏休みにインターンとして砂川さんに呼んでもらって西表で二週間くらい勉強させてもらったんだ。その間、砂川さんに一緒について回ってて一緒に東京にも行ったんだよ。その時の宿泊先がイリゼホテル銀座だったんだ」
「あっ、じゃあ松川さんとはそこで出会ったんですか?」
「そう。石垣でも西表でもなくて出会いは東京だったんだよ」
名嘉村さんはその時のことを思い出しているのか、表情がものすごく柔らかい。
それがきっと名嘉村さんの人生最高の出会いだったんだろうな。
「ふふっ。そんなに褒められると照れるなぁ。小鉢に入れているのはほとんど作り置きのものだよ」
「ええー、でも仕事しているのにこんなに作れるだけで尊敬です! これとかすごく難しそうですけど今作ったんですか?」
タレがたっぷりと絡んで見るからに美味しそうな骨付き肉が目の前にこんもりと盛られていて、見ているだけで涎が出てくる。
「ああ、このスペアリブは今、焼いたんだよ。下味をつけて冷凍しておくと食べる日にそのままオーブンで焼いたら食べられるから楽だよ」
「スペアリブ……名前は聞いたことありますけど、家で食べられるなんて思いませんでした。こんなに美味しそうなものなんですね!」
「これは骨付きだから、手でそのまま食べてくれていいからね」
「えーっ!! すごい!!」
手で持って食べていいなんて!
なんだかワクワクしてしまう。
「ガーリックバタートーストも焼いたから、これと一緒に食べようね」
聞けば、このパンも名嘉村さんの手作りでいっぱい作って冷凍しているらしい。
名嘉村さん曰く、その日の気分に合わせて明太子バターとか蜂蜜バターとか乗せて焼くのが楽しいんだって。
本当に名嘉村さんって料理が大好きなんだなって思う。
「平日の夜に料理を作って冷凍しておくのが多いかな。そうしたらいつでも食べられるし、浩輔さんがきたときもすぐに食べられるしね。ほら、せっかくきてくれている時は料理に時間使いたくないでしょ」
「あっ! そう、ですね……」
そっか。
恋人なんだもんね。
一緒にいる時はずっとイチャイチャしていたいってことなのかな。
あの人と……ずっと、イチャイチャ……。
「ふふっ。平松くん、顔赤いけど何想像しているの?」
「えっ、いや。そんな……っ」
「ふふっ。じゃあ、食べようか。あっ、泡盛も出そう。スペアリブによく合う泡盛があるんだよ」
そう言って、名嘉村さんはウキウキと棚から深い海のような綺麗なガラス瓶を持ってきた。
「うわっ、綺麗!」
「これは琉球ガラスだよ。色が綺麗だよね」
中身は日本酒みたいに透明だけど、この綺麗な深青の瓶にときめいてしまう。
同じ色のお猪口に注いでくれて、
「乾杯!」
と軽く合わせて一口呑むと、ストレートとは思えない柔らかい口当たりに驚いた。
「美味しいっ!」
「でしょ? でも、呑みすぎないようにね。さぁ、ご飯も食べて!」
勧められたスペアリブに手を伸ばす。
テーブルにはおしぼりも置いてあってありがたい。
骨の部分を握って齧りつくと、骨から肉がスルリと離れてくれる。
そのお肉の柔らかいことといったら、びっくりしてしまうほどだ。
「んんっ!! 美味しいっ!!」
「ふふっつ。いっぱいあるからゆっくり食べて」
甘辛いお肉の後にはパンが食べたくなって、焼きたての美味しそうなガーリックトーストに手を伸ばそうとして、一瞬躊躇ってしまった。
「どうした? ああっ、このガーリックバターは匂いがしないものだから気にしないでいいよ」
明日八尋さんが帰ってくるから匂いがあるものはやめといたほうがいいかなと思ってしまった俺の反応にすぐに気づいてくれて、そう言ってくれる。
多分、その理由が八尋さんが帰ってくるからとは名嘉村さんは思っていないだろう。
明日も仕事だし、会社で匂いが……とか思ってくれたのかもしれない。
それでも、その心遣いが嬉しかったんだ。
食事も進みながら、美味しい泡盛も呑んで、楽しくなってきたらふと気になっていたことがどうしても聞きたくなってしまった。
普段なら、教育係で上司でもある名嘉村さんにそんなこと聞けるはずなかったのに。
この家のおおらかな雰囲気に馴染みすぎてしまっていたのかもしれない。
「名嘉村さんは、その……どうやって松川さんと付き合い始めたんですか?」
「えー、恥ずかしいな。聞きたい?」
「はい、聞きたいです。松川さんも元々石垣の人なんですか?」
「ううん、浩輔さんは東京の人だよ。大学を卒業してイリゼホテルグループに就職して最初はイリゼホテル銀座に勤務していたんだ。就職して数年して石垣イリゼホテルが開業して、支配人として石垣に来たんだよ」
「えっ、就職して数年で支配人ですか? それ、すごいことですよね」
「ふふっ。そうだね。浩輔さん、優秀だから」
そう言って嬉しそうに笑う名嘉村さんがものすごく可愛らしく見えた。
「僕は大学生四年の時に、夏休みにインターンとして砂川さんに呼んでもらって西表で二週間くらい勉強させてもらったんだ。その間、砂川さんに一緒について回ってて一緒に東京にも行ったんだよ。その時の宿泊先がイリゼホテル銀座だったんだ」
「あっ、じゃあ松川さんとはそこで出会ったんですか?」
「そう。石垣でも西表でもなくて出会いは東京だったんだよ」
名嘉村さんはその時のことを思い出しているのか、表情がものすごく柔らかい。
それがきっと名嘉村さんの人生最高の出会いだったんだろうな。
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