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一番温もりを感じる方法
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「あの、俺……何か変なこと聞いてしまいましたか?」
「いえ。そうではないんですが……その、平松くんは、今までに恋人とか……」
「えっ? いや……まだ、誰とも付き合ったことはないんです……。もう26にもなるっていうのに、恥ずかしいですよね」
「いえいえ、気にすることはないですよ。私も初めて恋人ができたのは29の時でしたから……」
「えっ? そうなんですか?」
信じられない。
だって、砂川さんくらい綺麗で、優しい人なら誰も放っておかないと思うけどな。
ああ、そうか。
もしかしたら、高嶺の花すぎて手を出せなかったのかもしれない。
それなら納得がいく。
「ええ。今、お付き合いしている人が初めての恋人で、最後の恋人です」
「――っ!!」
砂川さんの表情にどきっとさせられる。
きっとその恋人さんのことを考えているんだろう。
砂川さんにこんな表情させるなんて……本当に大切な人なんだろうな。
だって、砂川さんが最後の恋人だってこんなにも堂々と宣言するくらいなんだから。
砂川さんにこれだけ愛されるなんて、どんな人なんだろう。
俺と同じ歳だっていう弟さんは、きっと会った事あるんだろうな。
なんだか羨ましい。
「今から最後の恋人って言い切れるくらい、大切な存在なんですね」
「ええ。きっと私はその人と出会うためにずっと一人でいたんだって思いました。だから、年齢とか気にしないでいいですよ。いつか必ず大切な人に出会えますから。ふふっ。でも、平松くんの場合はもう出会っているかもしれませんね」
「えっ?」
「ふふっ」
砂川さんが最後の方に何を言ったのか、あまりよく聞こえなかったけれど、笑顔で返されて聞き返せなかった。
名嘉村さんのことも結局よくわからないままだ。
「あの、それで……間が空いた方が盛り上がるって……どういう意味ですか?」
「ああ、そうでしたね。うーん、恋人と毎日会うのは楽しいですが、ずっと会えなくて久しぶりに会える方がドキドキ感も増して楽しいって思いませんか?」
「久しぶりに会える方が……?」
そう思った瞬間、俺の頭に八尋さんの顔が浮かんだ。
確かに、二日ぶりとか三日ぶりに会えるってなったらドキドキはするけど……でも、やっぱり毎日会える方が嬉しいんじゃないのかな?
離れている間が寂しすぎて、会った時の喜びを上回りそう。
けれど、
「ええ。会いたい、会いたいって思いを募らせながら、普段は電話で声や顔を見るだけで我慢して、ようやく出会った時に手の温もりとか感じたら、近くにいることを実感しませんか?」
と言われると、それは少しわかる気がする。
「そうですね、いくら顔が見えてても声が聞こえてても、温もりを感じないと遠く感じますもんね」
「じゃあ、一番温もりを感じる方法ってわかりますか?」
「えっ、一番?」
「ええ。恋人が一番温もりを感じる方法ですよ」
「恋人が、一番って……あっ!!!」
「ふふっ。気づきましたか?」
盛り上がるって……もしかして、アレのこと?
ってか、名嘉村さんが松川さんとってこと?
うわーっ、うわーっ!
恋人なんだから当然なんだろうけど、そこまで考えてなかった。
でも、そうか……恋人、なんだもんな。
ずっと藤乃くんが玻名崎の社長とか他の男からそういう対象として狙われてたのは知っていたから、男同士でそういうことができるらしいってことは知識としてほんのり知っていた。
だからそういうことから藤乃くんを守らなきゃとは思っていたけど、実際に愛し合ってしている人がいるっていうのを聞いたことがなかったから、考えになかった。
そういえば、俺……藤乃くんのこと、守ってやらなきゃと思ってたから、藤乃くんが好きなんだと思っていたけど藤乃くんとそういうことをしようとは一度も考えたことなかったな。
もちろんキスも、藤乃くんとするのは違う気がする。
というか、そもそもしたいとは思わないな。
じゃあ、八尋さんとは……?
――平松くん、好きだよ……
そう言って、八尋さんのあの顔が近づいてきたら?
「――っ!! だめ、だめっ! ドキドキしすぎるっ!!」
「平松くん、大丈夫ですか?」
「えっ……あっ!!」
突然立ち上がった俺を心配そうに見ている砂川さんの表情に、やらかしてしまったことを知る。
「すみません……つい、いろいろ考えてしまって……」
「いえ。何か気付いたのなら良いことだと思いますよ。そろそろ休憩も終わりですね。昼食までもうひと頑張りしましょうね」
砂川さんは俺に笑顔を見せると、トレイを持って去っていった。
その後ろ姿を見ながら、俺は八尋さんへの想いと藤乃くんへの想いが全く別物だということをしみじみと感じていた。
* * *
気がつけば休憩だけで1話(汗)
次はちょっと進めるようにします。
「いえ。そうではないんですが……その、平松くんは、今までに恋人とか……」
「えっ? いや……まだ、誰とも付き合ったことはないんです……。もう26にもなるっていうのに、恥ずかしいですよね」
「いえいえ、気にすることはないですよ。私も初めて恋人ができたのは29の時でしたから……」
「えっ? そうなんですか?」
信じられない。
だって、砂川さんくらい綺麗で、優しい人なら誰も放っておかないと思うけどな。
ああ、そうか。
もしかしたら、高嶺の花すぎて手を出せなかったのかもしれない。
それなら納得がいく。
「ええ。今、お付き合いしている人が初めての恋人で、最後の恋人です」
「――っ!!」
砂川さんの表情にどきっとさせられる。
きっとその恋人さんのことを考えているんだろう。
砂川さんにこんな表情させるなんて……本当に大切な人なんだろうな。
だって、砂川さんが最後の恋人だってこんなにも堂々と宣言するくらいなんだから。
砂川さんにこれだけ愛されるなんて、どんな人なんだろう。
俺と同じ歳だっていう弟さんは、きっと会った事あるんだろうな。
なんだか羨ましい。
「今から最後の恋人って言い切れるくらい、大切な存在なんですね」
「ええ。きっと私はその人と出会うためにずっと一人でいたんだって思いました。だから、年齢とか気にしないでいいですよ。いつか必ず大切な人に出会えますから。ふふっ。でも、平松くんの場合はもう出会っているかもしれませんね」
「えっ?」
「ふふっ」
砂川さんが最後の方に何を言ったのか、あまりよく聞こえなかったけれど、笑顔で返されて聞き返せなかった。
名嘉村さんのことも結局よくわからないままだ。
「あの、それで……間が空いた方が盛り上がるって……どういう意味ですか?」
「ああ、そうでしたね。うーん、恋人と毎日会うのは楽しいですが、ずっと会えなくて久しぶりに会える方がドキドキ感も増して楽しいって思いませんか?」
「久しぶりに会える方が……?」
そう思った瞬間、俺の頭に八尋さんの顔が浮かんだ。
確かに、二日ぶりとか三日ぶりに会えるってなったらドキドキはするけど……でも、やっぱり毎日会える方が嬉しいんじゃないのかな?
離れている間が寂しすぎて、会った時の喜びを上回りそう。
けれど、
「ええ。会いたい、会いたいって思いを募らせながら、普段は電話で声や顔を見るだけで我慢して、ようやく出会った時に手の温もりとか感じたら、近くにいることを実感しませんか?」
と言われると、それは少しわかる気がする。
「そうですね、いくら顔が見えてても声が聞こえてても、温もりを感じないと遠く感じますもんね」
「じゃあ、一番温もりを感じる方法ってわかりますか?」
「えっ、一番?」
「ええ。恋人が一番温もりを感じる方法ですよ」
「恋人が、一番って……あっ!!!」
「ふふっ。気づきましたか?」
盛り上がるって……もしかして、アレのこと?
ってか、名嘉村さんが松川さんとってこと?
うわーっ、うわーっ!
恋人なんだから当然なんだろうけど、そこまで考えてなかった。
でも、そうか……恋人、なんだもんな。
ずっと藤乃くんが玻名崎の社長とか他の男からそういう対象として狙われてたのは知っていたから、男同士でそういうことができるらしいってことは知識としてほんのり知っていた。
だからそういうことから藤乃くんを守らなきゃとは思っていたけど、実際に愛し合ってしている人がいるっていうのを聞いたことがなかったから、考えになかった。
そういえば、俺……藤乃くんのこと、守ってやらなきゃと思ってたから、藤乃くんが好きなんだと思っていたけど藤乃くんとそういうことをしようとは一度も考えたことなかったな。
もちろんキスも、藤乃くんとするのは違う気がする。
というか、そもそもしたいとは思わないな。
じゃあ、八尋さんとは……?
――平松くん、好きだよ……
そう言って、八尋さんのあの顔が近づいてきたら?
「――っ!! だめ、だめっ! ドキドキしすぎるっ!!」
「平松くん、大丈夫ですか?」
「えっ……あっ!!」
突然立ち上がった俺を心配そうに見ている砂川さんの表情に、やらかしてしまったことを知る。
「すみません……つい、いろいろ考えてしまって……」
「いえ。何か気付いたのなら良いことだと思いますよ。そろそろ休憩も終わりですね。昼食までもうひと頑張りしましょうね」
砂川さんは俺に笑顔を見せると、トレイを持って去っていった。
その後ろ姿を見ながら、俺は八尋さんへの想いと藤乃くんへの想いが全く別物だということをしみじみと感じていた。
* * *
気がつけば休憩だけで1話(汗)
次はちょっと進めるようにします。
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