真っ白ウサギの公爵令息はイケメン狼王子の溺愛する許嫁です

波木真帆

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番外編

おっきくていいの?

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以前も書きましたが、念のため。
ロルフとルルはまだまだ舌ったらずですが、二人の会話はちゃんと話せています。双子なので(笑)
序章が長すぎて書きたいところまで辿り着けませんでしたが、楽しんでいただけるとうれしいです♡


   *   *   *




<sideロルフ>

「とうとうあしただね」

広々とした僕たちのベッドに寝転んで嬉しそうにルルが話しかけてくる。いつもならベッドに乗ったらすぐに眠そうな顔になっているのに、ルルの目はキラキラと輝いている。でもきっと僕の目もおんなじだ。

「うん! たのしみ!」

「るるも! ねえ、でも……おひろめかい、ってどんなことするのかな?」

「うーん、わからないけど、おいわいだからうれしいことだよ!」

僕とルルは明日、一歳の誕生日を迎える。みんなが僕たちの生まれた日だからおめでとう! っていってくれるんだ。ママも一歳のお誕生日から欠かすことなく毎年パパやみんなからおめでとうっていってもらえるんだって。そんな話を聞いていたから、僕もルルもおめでとうって言ってもらえるのが楽しみにでたまらないんだ。

それもパパとママに一番に言ってもらいたくて、僕とルルは今日は二人で寝ることにした。
明日のことを思うとワクワクしてなかなか眠れないけれど、ルルと二人で向かい合って手を握ったらすぐに眠れた。いつもそうなんだ。ルルと向かい合って手を繋ぐと安心する。

なんでだろうって気になってこのことを以前、アントン先生にお話ししたら、ママのお腹の中でいつも二人でそうしていたんだろうって教えてくれたんだ。生まれてきて一年経ってもこれで眠れるってことは、その格好が心地良いってことなんだろうな。

スーッと眠りに落ちていって、気づいたら僕はママたちのお部屋にいた。ママは嬉しそうに小さな箱を開けて小さな布を取り出した。

――ロルフ。あなたがお披露目会で着るお洋服はこれよ!!

えっ? これ……?

ママが見せてくれたのは、小さな小さな洋服。

――これはね、生まれてすぐにロルフが着ていた洋服なの。

でも、僕たちはもうお兄ちゃんだからこんなに小さいのは着られないよ!

――ああー、もう! ずっと小さければよかったのに! どうしてこんなに大きくなったんだろう。

ママ、ひどいよ。僕たち一歳になったんだよ。どうしてそんなことをいうの?

――ママはね、赤ちゃんが好きなの。だからおっきくなったロルフじゃなくて、ちっちゃいロルフが好きなの。でもロルフは大きくなりすぎちゃったから、これからはお腹の赤ちゃんを可愛がることにするからね。

そんなーっ、嫌だっ! ママーっ!! ママーーっ!!


目の前のママがいつも知っているような優しい笑顔を見せてくれないのが怖くて寂しくてたまらない。
僕は必死になってママの名前を呼び続けていると、


「ロルフ……本当に大きくなったね」

と優しい声が聞こえて、僕の頭を撫でる感触がして目が覚めた。

「まま……」

目の前にはいつもの優しい笑顔を浮かべたママの顔。これはいつものママ? さっきの怖いママじゃない?
そう思っている間に、ルルが嬉しそうに

「ぱぱーっ、まんまーっ!!」

と声をあげながらパパ達に手を伸ばす。

「おはよう。そして、一歳のお誕生日おめでとう」

その優しい声にこれはいつもの優しいママだ! とわかった。

「――っ!! ぱぱっ、まんまっ!!」

縋り付くように手を伸ばすと、パパがママのお腹に僕たちが当たらないように脇下で抱きしめてくれる。反対側にはルルも抱きしめられていて、パパの大きな腕の中に僕とママとルルが包み込まれている状態だ。そっとママのお腹に手を添えるとお腹の中がポコポコ動いているのが伝わってくる。

「ちゅごい……」

「お前達の弟か妹もお祝いをしてくれているんだよ。今日はめでたい日だからな」

僕がポツリと呟いた言葉にパパが優しい言葉を返してくれる。

「まま……ろーふろるふ、おっくなって、うれちぃ? ろーふ、ちゅき?」

「うん。とってもうれしいよ。赤ちゃんのロルフも一歳のロルフも、これからどんどん大きくなっていくロルフもぜーんぶ、好きだよ」

「ままっ、ううるるは? ううも、ちゅき?」

「もちろん! ルルも好きだよ。ロルフもルルも、それにお腹の赤ちゃんたちもみんなみんな好き。ママの宝物だよ」

「「ままっ!! ちゅき!!」」

ああ、やっぱり僕のママは優しい! なんであんな夢をみちゃったんだろう。でも、こうやってママに好きって言ってもらえたからいいか。

「さぁ。二人とも、アズールが二人のために作った今日の衣装を見せるぞ。ついてきなさい」

パパがさっと僕たちから手を離してママを抱きかかえてベッドから下りる。僕とルルは慌ててパパとママの後ろをついていった。

パパたちのお部屋の中に入ると、パパはママをソファーに下ろした。

「ロルフ、ルル。荷物を取ってくるから、アズールがソファーから落ちたりしないように見ているんだぞ」

「はーい!!」

やった! パパからお手伝いを頼まれちゃった。これって、僕たちをお兄ちゃんだって思ってくれてる証拠だもんね。僕たちは顔を見合わせて、ママのすぐ隣に座ってママがソファーから落ちないようにしっかりと見張った。

「ロルフとルルがお利口さんだから、どっちが親かわかんないな」

ママはそう言っているけれど顔は嬉しそうだ。

「ろーふと、ううは、ままの、みまもいちゃい見守り隊らから、いーの!!」

「ふふっ。見守り隊か。それはいいね」

ママの笑顔を見て僕もルルも嬉しくなっていると、パパが寝室から大きな箱を二つ持ってきた。

「アズール、どこに置く?」

「ソファーの上に置いて」

「わかった」

パパはママに言われた通り、箱を下ろすとすぐに僕たちをソファーから立たせた。そして僕たちと入れ替わるようにママの隣に腰を下ろした。

「こっちがロルフの、そして、そっちがルルのね。二人とも箱を開けてみて」

そう言われてなんだかドキドキしてきた。僕たちは顔を見合わせて同じタイミングで一緒に箱を開けた。
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