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第三章

夜のお供に※

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<sideルーディー>

夜になったが、今日のうちに北の森まで来ることができた。
予定では明日の昼前に到着予定だったから、かなりの短縮となったことだろう。
この分なら帰宅を少し早められるかもしれない。
そんな期待が広がる。

到着して早々に、騎士たちの匂いを嗅ぎつけてやってきた野獣たちをあっという間に仕留めたおかげで、今日はご馳走が食べられそうだ。

ああ、アズールと子どもたちはちゃんと食事を摂っているだろうか。
私が食べさせてあげないとアズールは途端に食欲が減るから心配だ。

ああ、アズール。
もうしばらくの辛抱だぞ。


「ルーディーさま。食事の支度が整いました」

野営用のテントの外から声をかけてきたのは、マクシミリアン。

「ああ、すぐにいく」

返事をしながら外に出ると、いい匂いが漂ってくる。

「匂いだけでわかる。よくできてるな」

「はい。この辺は野獣も多いですし、今回の遠征では食事には困らなさそうですね」

野営では私も、団長であるマクシミリアンも、そして騎士たちも皆同じものを食べる。
それこそが団結をうみ、訓練最終日まで全員でやり遂げようという意識を持つことになるのだ。

「ルーディー特別顧問。この肉煮込みは私が作りました。どうぞ召し上がってください」

「このスープは私が作りました。どうぞお召し上がりください」

「ああ、いただこう」

次々に騎士たちがら差し出される食事を全て受け取り、完食すると騎士たちの表情に笑みが溢れた。
騎士たちとのこういった関わりもたまにはいいものだ。

食事を終え、私は騎士たちに告げた。

「今日は休んで旅の疲れを癒してくれ。明日は朝から早速訓練に入る。私はお前たちの食事でもうすでに旅の疲れも癒え、力が漲っている。だから明日からの訓練は手加減をするつもりはない。今回の訓練に参加するお前たちはそれを受け止めることのできるものたちが集まったと信じている。訓練最終日まで脱落することのないようにしっかりとついてきてくれ。いいな」

「はいっ!!」

自信に溢れた騎士たちの声に嬉しくなりながら、私は野営用のテントに戻った。

私とマクシミリアン以外のものたちは数人ずつ同じテントで過ごすことになる。
まぁ、狼獣人である私と熊族のマクシミリアンと一緒に寝たがるような勇気あるものはいないだろうからな。
この狭いテントに入っただけできっと、私から溢れ出る威圧に耐え切れないだろう。

マクシミリアンが全てのテントを周り、最終確認を私のところに報告にきて自分のテントに戻って行った。

この辺りには先ほど食事のために仕留めた野獣たちがゴロゴロいるが、私がテントに入る前に威嚇フェロモンをこの野営の周りに放っておいたから夜の間に攻めてくることはない。
たとえそれを掻い潜ってやってきたとしても明日の食事が増えるだけだ。

騎士たちの寝泊まりするテントはマクシミリアンが発明した特殊加工が施されたテントで、外からの匂いを防ぐ効果があり、その効果は絶大だ。
だから、いくら私が野営の周りに威嚇フェロモンを放っても、騎士たちにはなんの支障もない優れものだ。

さて、騎士たちは眠ったようだな。

私もそろそろ眠るとしようか。
だがその前に大事なものを出しておかねばな。

持ってきた荷物から特殊加工が施された袋を取り出した。
これもマクシミリアンの発明したものだが、この発明を使って作ったものが先ほどのテントなのだ。

持ってきたその袋を開けただけでこのテントの中がアズールの匂いに包まれる。

この訓練に参加することを決めてからせっせと作っておいた私のお宝だ。
アズールが眠っているあいだに刺激を与えて出させた蜜をこのブランケットに染み込ませておいたのだ。

ああ、夜な夜な作ったかいがあったというものだ。
マクシミリアンのように蜜を配合したオイルなどが作れれば良いのだがそんな技術を持たないのだから、こうするしか術はない。
もうすでに私はアズールなしでは興奮もしなければ、欲望の蜜を吐き出すこともできない身体になってしまっているのだから。

アズールの匂いを嗅ぎながら、服の中ですでにとてつもなく興奮している昂りを取り出す。
アズールの匂いだけでこの有様だ。
それを新しいブランケットで覆い隠しながら

「アズールっ! アズールっ!!」

頭の中にあるアズールの淫らに喘ぐ姿を思い出しながら扱けば、あっという間に欲望の蜜が弾け飛んだ。
驚くほどの量をブランケットに吸い込ませて、アズールのものを入れていた袋とは違う袋にそれを放り込んだ。

普段なら一度吐き出しただけでは到底足りないが、アズール本人がいない今は一度欲望を吐き出せば落ち着いてくる。

アズールの蜜を染み込ませたブランケットはまた明日も使えるように綺麗に袋にしまいこんで、そうしてようやく私は眠りについたのだった。
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