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第三章
孫たちとの戯れ
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<sideクローヴィス>
「楽しそうなことをしているな」
「ああっ! くーじーたんっ!! ろーふとううにあいにきちぇくりぇちゃの?」
執務に追われて、ようやく一息つこうとしていたところ、アズールと孫たちが庭でお茶をしているという報告を受け、急いで庭に向かうと、大きな木の下でアズールと可愛い孫たちが美味しそうな焼き菓子を食べている楽しげな様子が見えた。
声をかけると、ロルフとルルが我先にと駆け寄ってくる。
「ああ、二人の可愛い声が聞こえてきたよ」
こんなにも嬉しそうに飛び込んできてくれるのはなんとも嬉しいことだ。
尻尾をゆさゆさと揺らしながら飛び込んできた二人を抱きしめながら
「おやつを食べていたのか?」
と尋ねるとロルフは得意げな顔で答えた。
「ちょうー! あのね、じーと、あちょんで、おかち、もらっちゃのー」
「まんまの、まろん、ちゃがちちゃのー! こりぇ、みつけちゃのー!」
二人で争うように話してくれるのが実に可愛い。
「そうか、そうか。それは良かったな」
ルーディーが遠征に出掛けて寂しがるロルフとルルの気を紛らわせようとしてくれたのだな。
フィデリオはさすがそういうところに気が回る。
「ねぇ、くーじーたんも、あちょぼう!!」
「あちょぼう、あちょぼう!」
「ロルフもルルも無理言っちゃダメだよ。お義父さまは忙しいんだから」
元気いっぱいな孫たちはお菓子を食べればすぐに力を取り戻す。
この元気な双子たちをアズールだけで見ることは難しい。
もっと遊んでやらないと足りないだろう。
アズールは私が仕事の合間にきていることをわかっているから、ロルフたちに無理を言ってはいけないと言ってくれるが、孫たちと遊ぶ時間は私にとってかけがえのないものだ。
仕事など後の時間で調節すれば良い。
それに大急ぎで終わらさなければいけないものは終わらせているから問題ない。
ああ、考えてみればそれを最優先でやるように口酸っぱくなるほど言い続けてくれたのはフィデリオだったな。
そうか、おそらくこうなることを見越してくれていたのか……。
本当に気のつくやつだ。ありがたい。
「いいのだよ、アズール。仕事が一息ついたから出てきたのだ。可愛い孫たちと遊ぶ時間くらいはあるよ」
「本当? ふふっ。良かったぁ。ロルフ、ルル。おじいちゃまが遊んでくれるって」
「わぁーい! くーじーたん、あっちまでかけっこちよう!」
「おお、まだまだ負けないぞ! 二人はどれくらい走れるようになったか、見せてくれ」
そういうと、嬉しそうに二人は私の腕から飛び降りて、駆け出していくのを一生懸命追いかけた。
そういえば、ルーディーが幼かった頃はあまりこうして遊ぶこともなかったな。
子どもたちと駆け回るのはこんなにも気持ちがいいものだったのに。
私は何も知らなかった。
ロルフとルルがその楽しさを教えてくれたのだ。
ふふっ。
ルーディーが帰ってきたら、話をしてみよう。
庭で駆け回り、ものすごく楽しかったと。
さて、ルーディーはなんと返してくれるだろうな。
可愛い孫たちとの戯れは実に楽しく、瞬く間に時間が過ぎていく。
気づけばすぐそばにフィデリオがやってきて、
「そろそろロルフさまとルルさまもお食事の時間でございます」
と耳打ちされた。
もうそんな時間になったのかと驚いてしまう。
「ロルフ、ルル。また明日、遊ぶとしよう」
「わぁー、あちたも、くーじーたんとあちょべるの?」
「ああ、もちろんだよ」
大喜びする二人を連れてアズールの元に戻ると、アズールは待ちくたびれたのか眠っていた。
「まんま、まちゃ、ねちぇるのー」
「ちゅかれちぇるねぇー」
そんなに待たせて悪かったなと思いつつも、私はロルフとルルと有意義な時間を過ごせて大満足だった。
ヴェルナーがアズールを起こさないように抱きかかえて部屋に運ぶのを静かに見送り、私はロルフとルルと共にダイニングルームに向かった。
しかし、食事をしながらすぐにルルがうとうとし始めた。
必死に抗って食べようと口を開けるがそれよりも睡眠が我慢できないらしい。
そんなルルに釣られるようにロルフも食べながらうとうとと船を漕ぎ始めた。
どうやら遊ばせ過ぎたらしい。
「陛下。明日はもう少し、加減してお遊びくださいね」
「わかった、わかった」
ついつい楽し過ぎて、体力の限界まで遊ばせ過ぎてしまったな。
フィデリオとティオがロルフとルルを部屋に連れていく。
あっという間にダイニングルームは私一人になってしまったが、まぁ仕方がない。
ルーディーのいない間は私が父親の代わりとして、たっぷり孫たちの遊び相手になるとしよう。
さて、明日は何をして遊ぼうか。
「楽しそうなことをしているな」
「ああっ! くーじーたんっ!! ろーふとううにあいにきちぇくりぇちゃの?」
執務に追われて、ようやく一息つこうとしていたところ、アズールと孫たちが庭でお茶をしているという報告を受け、急いで庭に向かうと、大きな木の下でアズールと可愛い孫たちが美味しそうな焼き菓子を食べている楽しげな様子が見えた。
声をかけると、ロルフとルルが我先にと駆け寄ってくる。
「ああ、二人の可愛い声が聞こえてきたよ」
こんなにも嬉しそうに飛び込んできてくれるのはなんとも嬉しいことだ。
尻尾をゆさゆさと揺らしながら飛び込んできた二人を抱きしめながら
「おやつを食べていたのか?」
と尋ねるとロルフは得意げな顔で答えた。
「ちょうー! あのね、じーと、あちょんで、おかち、もらっちゃのー」
「まんまの、まろん、ちゃがちちゃのー! こりぇ、みつけちゃのー!」
二人で争うように話してくれるのが実に可愛い。
「そうか、そうか。それは良かったな」
ルーディーが遠征に出掛けて寂しがるロルフとルルの気を紛らわせようとしてくれたのだな。
フィデリオはさすがそういうところに気が回る。
「ねぇ、くーじーたんも、あちょぼう!!」
「あちょぼう、あちょぼう!」
「ロルフもルルも無理言っちゃダメだよ。お義父さまは忙しいんだから」
元気いっぱいな孫たちはお菓子を食べればすぐに力を取り戻す。
この元気な双子たちをアズールだけで見ることは難しい。
もっと遊んでやらないと足りないだろう。
アズールは私が仕事の合間にきていることをわかっているから、ロルフたちに無理を言ってはいけないと言ってくれるが、孫たちと遊ぶ時間は私にとってかけがえのないものだ。
仕事など後の時間で調節すれば良い。
それに大急ぎで終わらさなければいけないものは終わらせているから問題ない。
ああ、考えてみればそれを最優先でやるように口酸っぱくなるほど言い続けてくれたのはフィデリオだったな。
そうか、おそらくこうなることを見越してくれていたのか……。
本当に気のつくやつだ。ありがたい。
「いいのだよ、アズール。仕事が一息ついたから出てきたのだ。可愛い孫たちと遊ぶ時間くらいはあるよ」
「本当? ふふっ。良かったぁ。ロルフ、ルル。おじいちゃまが遊んでくれるって」
「わぁーい! くーじーたん、あっちまでかけっこちよう!」
「おお、まだまだ負けないぞ! 二人はどれくらい走れるようになったか、見せてくれ」
そういうと、嬉しそうに二人は私の腕から飛び降りて、駆け出していくのを一生懸命追いかけた。
そういえば、ルーディーが幼かった頃はあまりこうして遊ぶこともなかったな。
子どもたちと駆け回るのはこんなにも気持ちがいいものだったのに。
私は何も知らなかった。
ロルフとルルがその楽しさを教えてくれたのだ。
ふふっ。
ルーディーが帰ってきたら、話をしてみよう。
庭で駆け回り、ものすごく楽しかったと。
さて、ルーディーはなんと返してくれるだろうな。
可愛い孫たちとの戯れは実に楽しく、瞬く間に時間が過ぎていく。
気づけばすぐそばにフィデリオがやってきて、
「そろそろロルフさまとルルさまもお食事の時間でございます」
と耳打ちされた。
もうそんな時間になったのかと驚いてしまう。
「ロルフ、ルル。また明日、遊ぶとしよう」
「わぁー、あちたも、くーじーたんとあちょべるの?」
「ああ、もちろんだよ」
大喜びする二人を連れてアズールの元に戻ると、アズールは待ちくたびれたのか眠っていた。
「まんま、まちゃ、ねちぇるのー」
「ちゅかれちぇるねぇー」
そんなに待たせて悪かったなと思いつつも、私はロルフとルルと有意義な時間を過ごせて大満足だった。
ヴェルナーがアズールを起こさないように抱きかかえて部屋に運ぶのを静かに見送り、私はロルフとルルと共にダイニングルームに向かった。
しかし、食事をしながらすぐにルルがうとうとし始めた。
必死に抗って食べようと口を開けるがそれよりも睡眠が我慢できないらしい。
そんなルルに釣られるようにロルフも食べながらうとうとと船を漕ぎ始めた。
どうやら遊ばせ過ぎたらしい。
「陛下。明日はもう少し、加減してお遊びくださいね」
「わかった、わかった」
ついつい楽し過ぎて、体力の限界まで遊ばせ過ぎてしまったな。
フィデリオとティオがロルフとルルを部屋に連れていく。
あっという間にダイニングルームは私一人になってしまったが、まぁ仕方がない。
ルーディーのいない間は私が父親の代わりとして、たっぷり孫たちの遊び相手になるとしよう。
さて、明日は何をして遊ぼうか。
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