226 / 288
第三章
ロルフとルルの可愛さに落ちる
しおりを挟む
さっきまで眠っていたロルフが父上に抱かれた途端に目を覚まし、声まであげてくれた。
父上の嬉しそうな顔を見ると、ロルフが空気を読んで起きてくれて本当に良かった。
流石、私にそっくりなだけある。
将来有望だな。
「あっ、だぁーっ」
「ロルフはさすが元気だな。おっとっと」
「父上、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。心配するな」
ロルフの動きについていけず落としてしまわないかと心配になるが、父上はなぜか余裕の様子を見せていた。
しかし、
「どうだ、フィデリオ。お前もロルフを抱いてみるか?」
と早々に爺に声をかけていたのは何も言わないでおこう。
「ルーディーさま、アズールさま。この私もロルフさまを抱っこさせていただいてよろしゅうございますか?」
「爺が抱っこしてくれたらロルフも喜ぶよ。ねぇ、ルー」
「ああ、爺に私たちの子を抱っこしてもらうとずっと前から約束していただろう?」
そういうと、爺は目に涙を浮かべながら、お礼を言い父上からロルフを受け取った。
私の世話役だけあって、抱っこの仕方が父上とは雲泥の差だ。
ロルフもあまりの居心地の良さにまた眠りそうになっている。
「ああ、ルーディーさまのお小さい頃を思い出します。本当に可愛らしい。ロルフさま、爺ですぞ」
「んー、むにゃ、むにゃ」
「ふふっ。ロルフ。気持ちよさそうに寝てるわ。さすがフィデリオさま」
義母上から褒められて爺も嬉しそうだ。
爺が片手で抱っこしながら、もう片方の手で顔を撫でようとすると眠っているロルフの手がさっと爺の指を掴む。
「おっ」
小さな手に掴まれて、驚きの声を上げようとしたがさすが爺。
小さな声だけでとどまっていた。
「なんと可愛らしい。この手は私からは、離せませんな」
困った様子で言いながらも表情はこの上なく嬉しそうだ。
ロルフもすっかり爺が気に入ったのかもしれないな。
「陛下。ルルを抱っこされませんか? ちょうど起きたみたいですよ」
「おお、良いのか?」
ロルフを爺に取られたように少し寂しそうにしていた父上を気遣ったのか、義母上が声をかけると満面の笑みを見せてルルの寝ているベッドに近づく。
「おおっ!! 本当に真っ白な耳をして……アズールにそっくりだな」
「ふふっ。さぁ、どうぞ」
「なんと、可愛らしい……っ」
「あぶっ、あー、ぶーっ」
「くっ――!!! あっ!!」
ルルが父上を見つめながら、嬉しそうな笑い声をあげると同時に父上がそのまま崩れ落ちそうになる。
私はすぐに父上の腕からルルを抱き上げ、父上の背中にそっと手を当てた。
「父上、大丈夫ですか?」
「ルーディー、悪い」
「ルルを抱っこしている時はどんなに可愛くても我慢してください」
「必死に耐えようとしたのだが、あまりの可愛さに我慢できなかったんだ。申し訳ない。ルルが無事で良かった」
「ふふっ。うちの人もルルを抱いて同じようになったんですよ。だから、ルーディーも警戒していたのでしょう? 素早い動きだったものね」
「ルルを守るためには必要なことですから」
そういうと、父上は深く頷いた。
「さすがルーディーだな」
「陛下、さすがではございませんよ。お子さまを抱きかかえられたまま、崩れ落ちるのは危のうございますぞ。お気をつけください」
「フィデリオ、そういうがルルの可愛さはとんでもないのだぞ! お前も抱いてみるがいい。ルーディー、フィデリオにルルを抱かせてあげてくれ」
そう言われて、私は片手で爺からロルフを受け取り、そしてもう片方に抱いていたルルを爺に抱かせた。
「――っ、なんと、愛らしいっ!!」
「だぁっ、だぁっ」
「くぅ――!!」
「爺、大丈夫か?」
苦しげな表情だが、なんとか耐えることができているようだ。
「だ、大丈夫で、ござります。ですが、本当に愛らしくて……」
「だろう? 私がああなってしまうのもわかるだろう?」
「は、はい。よくわかりました。アズールさまと初めてお会いしたのは1歳のお披露目の時でしたので、こんなにもお小さい頃を拝見するのは初めてでしたから、これからさらに可愛らしくなるのですから、護衛も早々にお選びした方が良いかもしれませんね」
「ふふっ。気が早いな。だが、そうだな。今からしっかりと吟味しておくのは良いかもしれないな」
ロルフとルルの可愛らしさをしっかりと堪能したところで、爺が思い出したように父上の耳元で何かを囁いていた。
「ああ、そうだったな。子どもたちがあまりにも可愛くてすっかり忘れていたぞ。ルーディー、アズール。これは私からの出産祝いだ」
父上の言葉と同時に爺が、アズールが座っているソファーの前にあるテーブルに大きな箱を置いた。
「これは何が入っているの?」
キラキラとした目で嬉しそうな声をあげるアズールに、
「上の箱がロルフとルルの揃いの服、それから、下の箱には出産を頑張ってくれたアズールとルーディーの衣装も入っておるぞ」
と教えてあげていた。
ロルフとルルの揃いの服はわかるが、アズールと私の服?
一体どのようなものだろう?
「ルー、アズールが開けたい!」
「ああ、じゃあ手伝おう。まずは子どもたちの箱から開けよう」
アズールのすぐそばに箱を持って行ってやり、箱を支えてやるとアズールは腕を伸ばして、箱の中から服を取り出した
* * *
いつも読んでいただきありがとうございます。
後ほど詳しく近況ボードでお知らせする予定ですが、こちらでも書かせていただきます。
明日31日から1月4日まで全ての更新をお休みさせていただきます。
次回は年明け5日から再開する予定です。
どうぞよろしくお願いいたします。
父上の嬉しそうな顔を見ると、ロルフが空気を読んで起きてくれて本当に良かった。
流石、私にそっくりなだけある。
将来有望だな。
「あっ、だぁーっ」
「ロルフはさすが元気だな。おっとっと」
「父上、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。心配するな」
ロルフの動きについていけず落としてしまわないかと心配になるが、父上はなぜか余裕の様子を見せていた。
しかし、
「どうだ、フィデリオ。お前もロルフを抱いてみるか?」
と早々に爺に声をかけていたのは何も言わないでおこう。
「ルーディーさま、アズールさま。この私もロルフさまを抱っこさせていただいてよろしゅうございますか?」
「爺が抱っこしてくれたらロルフも喜ぶよ。ねぇ、ルー」
「ああ、爺に私たちの子を抱っこしてもらうとずっと前から約束していただろう?」
そういうと、爺は目に涙を浮かべながら、お礼を言い父上からロルフを受け取った。
私の世話役だけあって、抱っこの仕方が父上とは雲泥の差だ。
ロルフもあまりの居心地の良さにまた眠りそうになっている。
「ああ、ルーディーさまのお小さい頃を思い出します。本当に可愛らしい。ロルフさま、爺ですぞ」
「んー、むにゃ、むにゃ」
「ふふっ。ロルフ。気持ちよさそうに寝てるわ。さすがフィデリオさま」
義母上から褒められて爺も嬉しそうだ。
爺が片手で抱っこしながら、もう片方の手で顔を撫でようとすると眠っているロルフの手がさっと爺の指を掴む。
「おっ」
小さな手に掴まれて、驚きの声を上げようとしたがさすが爺。
小さな声だけでとどまっていた。
「なんと可愛らしい。この手は私からは、離せませんな」
困った様子で言いながらも表情はこの上なく嬉しそうだ。
ロルフもすっかり爺が気に入ったのかもしれないな。
「陛下。ルルを抱っこされませんか? ちょうど起きたみたいですよ」
「おお、良いのか?」
ロルフを爺に取られたように少し寂しそうにしていた父上を気遣ったのか、義母上が声をかけると満面の笑みを見せてルルの寝ているベッドに近づく。
「おおっ!! 本当に真っ白な耳をして……アズールにそっくりだな」
「ふふっ。さぁ、どうぞ」
「なんと、可愛らしい……っ」
「あぶっ、あー、ぶーっ」
「くっ――!!! あっ!!」
ルルが父上を見つめながら、嬉しそうな笑い声をあげると同時に父上がそのまま崩れ落ちそうになる。
私はすぐに父上の腕からルルを抱き上げ、父上の背中にそっと手を当てた。
「父上、大丈夫ですか?」
「ルーディー、悪い」
「ルルを抱っこしている時はどんなに可愛くても我慢してください」
「必死に耐えようとしたのだが、あまりの可愛さに我慢できなかったんだ。申し訳ない。ルルが無事で良かった」
「ふふっ。うちの人もルルを抱いて同じようになったんですよ。だから、ルーディーも警戒していたのでしょう? 素早い動きだったものね」
「ルルを守るためには必要なことですから」
そういうと、父上は深く頷いた。
「さすがルーディーだな」
「陛下、さすがではございませんよ。お子さまを抱きかかえられたまま、崩れ落ちるのは危のうございますぞ。お気をつけください」
「フィデリオ、そういうがルルの可愛さはとんでもないのだぞ! お前も抱いてみるがいい。ルーディー、フィデリオにルルを抱かせてあげてくれ」
そう言われて、私は片手で爺からロルフを受け取り、そしてもう片方に抱いていたルルを爺に抱かせた。
「――っ、なんと、愛らしいっ!!」
「だぁっ、だぁっ」
「くぅ――!!」
「爺、大丈夫か?」
苦しげな表情だが、なんとか耐えることができているようだ。
「だ、大丈夫で、ござります。ですが、本当に愛らしくて……」
「だろう? 私がああなってしまうのもわかるだろう?」
「は、はい。よくわかりました。アズールさまと初めてお会いしたのは1歳のお披露目の時でしたので、こんなにもお小さい頃を拝見するのは初めてでしたから、これからさらに可愛らしくなるのですから、護衛も早々にお選びした方が良いかもしれませんね」
「ふふっ。気が早いな。だが、そうだな。今からしっかりと吟味しておくのは良いかもしれないな」
ロルフとルルの可愛らしさをしっかりと堪能したところで、爺が思い出したように父上の耳元で何かを囁いていた。
「ああ、そうだったな。子どもたちがあまりにも可愛くてすっかり忘れていたぞ。ルーディー、アズール。これは私からの出産祝いだ」
父上の言葉と同時に爺が、アズールが座っているソファーの前にあるテーブルに大きな箱を置いた。
「これは何が入っているの?」
キラキラとした目で嬉しそうな声をあげるアズールに、
「上の箱がロルフとルルの揃いの服、それから、下の箱には出産を頑張ってくれたアズールとルーディーの衣装も入っておるぞ」
と教えてあげていた。
ロルフとルルの揃いの服はわかるが、アズールと私の服?
一体どのようなものだろう?
「ルー、アズールが開けたい!」
「ああ、じゃあ手伝おう。まずは子どもたちの箱から開けよう」
アズールのすぐそばに箱を持って行ってやり、箱を支えてやるとアズールは腕を伸ばして、箱の中から服を取り出した
* * *
いつも読んでいただきありがとうございます。
後ほど詳しく近況ボードでお知らせする予定ですが、こちらでも書かせていただきます。
明日31日から1月4日まで全ての更新をお休みさせていただきます。
次回は年明け5日から再開する予定です。
どうぞよろしくお願いいたします。
189
お気に入りに追加
5,350
あなたにおすすめの小説
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
推しの恋を応援したかっただけなのに。
灰鷹
BL
異世界転生BL。騎士×転生者の王子。
フィアリス王国の第3王子であるエドワードは、王宮で開かれていた舞踏会で前世の推しである騎士と出会い、前世で好きだった恋愛ファンタジー小説の世界に転生していたことに気づく。小説の通りに推しが非業の死を遂げないよう、奮闘するエドワードであったが……。
攻め:カイン・ド・アルベール(騎士/20才)
受け:エドワード・リーヴェンス・グランディエール(第3王子/転生者/18才)
※ こちらはBLoveさんの短編コンテストに応募した作品を加筆修正したものです。後半は大幅に内容を変えているので、BLoveさんで既読の方にも楽しんでいただけたらいいなと思います。
【完結】雨降らしは、腕の中。
N2O
BL
獣人の竜騎士 × 特殊な力を持つ青年
Special thanks
illustration by meadow(@into_ml79)
※素人作品、ご都合主義です。温かな目でご覧ください。
平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます
ふくやまぴーす
BL
旧題:平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます〜利害一致の契約結婚じゃなかったの?〜
名前も見た目もザ・平凡な19歳佐藤翔はある日突然初対面の美形双子御曹司に「自分たちを助けると思って結婚して欲しい」と頼まれる。
愛のない形だけの結婚だと高を括ってOKしたら思ってたのと違う展開に…
「二人は別に俺のこと好きじゃないですよねっ?なんでいきなりこんなこと……!」
美形双子御曹司×健気、お人好し、ちょっぴり貧乏な愛され主人公のラブコメBLです。
🐶2024.2.15 アンダルシュノベルズ様より書籍発売🐶
応援していただいたみなさまのおかげです。
本当にありがとうございました!
迷える子羊少年と自称王様少年
ユー
BL
「その素晴らしい力オレの側にふさわしい、オレの家来になれ!」
「いや絶対嫌だから!」
的なやり取りから始まる
超能力が存在するSF(すこしふしぎ)な世界で普通になりたいと願う平凡志望の卑屈少年と
自分大好き唯我独尊王様気質の美少年との
出会いから始まるボーイミーツボーイ的な青春BL小説になってればいいなって思って書きました。
この作品は後々そういう関係になっていくのを前提として書いてはいますが、なんというかブロマンス?的な少年達の青春ものみたいなノリで読んで頂けるとありがたいです。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる