209 / 286
第三章
汗の匂いと甘い蜜※
しおりを挟む
<sideルーディー>
ヴェルナーに駆け寄った瞬間、聞いたこともないような唸り声をあげてその場に蹲ってしまったマクシミリアン。
しかも威嚇の声を上げながら、ヴェルナーを抱きかかえて風呂場に駆けていった。
そのあまりの勢いにただただ驚くしかなかったが、ベンは隣で全てを理解したように佇んでいた。
「ベン、今のは……」
「ヴェルナーさまは今までアズールさまのお部屋におられたので、ヴェルナーさまにルーディーさまの匂いがついてしまっていたのです。ですから、マクシミリアンさまにはこちらでしばらくお待ちいただいている間に、ヴェルナーさまにお風呂で匂いを落としていただこうと思っていたのです」
「ああ、そういうことか……。それは、マクシミリアンに申し訳ないことをしたな」
アズールが一日に何度も蜜を欲しいとねだるものだから部屋に私の強い匂いが充満するのも仕方がないことだ。
この屋敷の中ではそれが共通認識になっていたのだが、マクシミリアンに告げるのを忘れていた。
私と試合をして神経が昂っていたマクシミリアンにとって、違う雄の匂いを漂わせていたヴェルナーに迎えられたことはかなりのショックだったに違いない。
マクシミリアンがあんな唸り声を上げるのも初めて聞いたからな……。
もし私がマクシミリアンの立場だったら……。
アズールが私以外の雄の匂いを纏って現れたら……?
間違いなく理性を保てる気がしないな。
「ベン、すぐに二人の服の洗濯を頼む。最優先でな」
「はい。承知しました」
そういうとベンは急いで二人が消えていった風呂場に向かい、二人の衣服を回収して地下へ向かった。
あとはベンに任せておけば問題はないだろう。
かなり時間をとってしまった。
アズールが私を待ち続けてくれているはずだ。
私は急いで階段を駆け上がり、私たちの部屋に向かった。
扉を開けるといつものようにアズールが駆け寄ってくる。
子ができてからは流石に飛び込んでくることは無くなったが、すぐに駆け寄ってきてくれるのは嬉しい。
「ルー、おかえり!」
お腹を守りながらゆっくり駆け寄ってきてくれたアズールを優しく抱き上げる。
「ああ、ただいま。アズールも腹の子たちも元気で変わりないか?」
「うん。大丈夫だよ。さっきまでね、ヴェルとお話ししてたの。あれ? そういえば、お迎えにいかなかった? ルーと一緒にマックスの匂いがしたからヴェルに見てきてってお願いしたの」
「ああ、そうだったのか。アズールはマクシミリアンの匂いも感じたのか?」
「うん、ルーともう一人いるなってわかったの。マックスの匂いに似てたからそうかなって」
「そうか。二人はそのまま帰ったんだ」
「そっか。帰っちゃったんだ……。またヴェル、来てくれるかな?」
「ああ。もちろんだよ。楽しく過ごせたんだろう?」
「うん。ヴェルと話したらここが軽くなった気がしたよ」
そう言いながら、笑顔で胸の辺りを手で押さえる。
やはり重しになっていたのだな。
それをヴェルナーが楽にしてくれたわけか。
本当にヴェルナーに頼んで良かった。
「それなら良かった。アズールにはいつでも笑顔でいてほしいからな」
「ルー……」
「どうした?」
「アズール、心配かけちゃったね。ごめんね」
「何を言っているんだ。私たちは夫夫なのだから謝ることなんて何もない。そうだろう?」
「うん。ルー、大好き!」
「ああ。私もアズールが大好きだよ」
チュッと軽くキスをするとアズールが嬉しそうに微笑む。
「ふふっ。ルー、いつもよりいい匂いする」
胸元に擦り寄ってクンクンと匂いを嗅がれる。
耳が当たってくすぐったいが、嬉しいが勝つ。
「今日はマクシミリアンと試合をしたんだ。だから汗をかいたのだろう。くっ――!! アズールっ!」
訓練でのことを話をしていると、突然ぺろっと舐められてつい声を上げてしまった。
「何を……っ」
「だって、いい匂いだったから。だめ、だった?」
「いや、驚いただけだ。アズール、蜜が欲しいか?」
「うん。欲しい……っ」
「じゃあ、寝室に行こうか」
アズールが頷くと同時に寝室に連れ込む。
ベッドに優しく座らせて、アズールの目の前に立ち、ズボンの前を寛げるとアズールの手が伸びてきて、下着の上から優しく撫でてくる。
「あったかいね。それに……すっごく、おっきくていい匂いがしてる」
恍惚とした目で見上げられるとそれだけで興奮して昂りにさらに熱が籠る。
「うーん。いい匂い」
「アズール……っ」
下着の上から昂りに顔を寄せて、クンクンと匂いを嗅がれる。
やはりあっちでシャワーを浴びて帰ってこなくて正解だったな。
アズールは嬉しそうな顔で下着を下げ、出てきた昂りに自分からむしゃぶりついた。
むわっと汗の匂いを感じるが、アズールはそれが気に入っているようだ。
小さな舌でぺろぺろ舐められて、パクッと先端を咥えられ、舌先で先端を弄られただけであっという間に蜜を放った。
アズールに蜜を飲まれるようになってから、日に日に上手になっている気がする。
アズールはそれを美味しそうに飲み干して、空になった口の中を見せてくれる。
ああ、もう本当に可愛くて仕方がない。
ヴェルナーに駆け寄った瞬間、聞いたこともないような唸り声をあげてその場に蹲ってしまったマクシミリアン。
しかも威嚇の声を上げながら、ヴェルナーを抱きかかえて風呂場に駆けていった。
そのあまりの勢いにただただ驚くしかなかったが、ベンは隣で全てを理解したように佇んでいた。
「ベン、今のは……」
「ヴェルナーさまは今までアズールさまのお部屋におられたので、ヴェルナーさまにルーディーさまの匂いがついてしまっていたのです。ですから、マクシミリアンさまにはこちらでしばらくお待ちいただいている間に、ヴェルナーさまにお風呂で匂いを落としていただこうと思っていたのです」
「ああ、そういうことか……。それは、マクシミリアンに申し訳ないことをしたな」
アズールが一日に何度も蜜を欲しいとねだるものだから部屋に私の強い匂いが充満するのも仕方がないことだ。
この屋敷の中ではそれが共通認識になっていたのだが、マクシミリアンに告げるのを忘れていた。
私と試合をして神経が昂っていたマクシミリアンにとって、違う雄の匂いを漂わせていたヴェルナーに迎えられたことはかなりのショックだったに違いない。
マクシミリアンがあんな唸り声を上げるのも初めて聞いたからな……。
もし私がマクシミリアンの立場だったら……。
アズールが私以外の雄の匂いを纏って現れたら……?
間違いなく理性を保てる気がしないな。
「ベン、すぐに二人の服の洗濯を頼む。最優先でな」
「はい。承知しました」
そういうとベンは急いで二人が消えていった風呂場に向かい、二人の衣服を回収して地下へ向かった。
あとはベンに任せておけば問題はないだろう。
かなり時間をとってしまった。
アズールが私を待ち続けてくれているはずだ。
私は急いで階段を駆け上がり、私たちの部屋に向かった。
扉を開けるといつものようにアズールが駆け寄ってくる。
子ができてからは流石に飛び込んでくることは無くなったが、すぐに駆け寄ってきてくれるのは嬉しい。
「ルー、おかえり!」
お腹を守りながらゆっくり駆け寄ってきてくれたアズールを優しく抱き上げる。
「ああ、ただいま。アズールも腹の子たちも元気で変わりないか?」
「うん。大丈夫だよ。さっきまでね、ヴェルとお話ししてたの。あれ? そういえば、お迎えにいかなかった? ルーと一緒にマックスの匂いがしたからヴェルに見てきてってお願いしたの」
「ああ、そうだったのか。アズールはマクシミリアンの匂いも感じたのか?」
「うん、ルーともう一人いるなってわかったの。マックスの匂いに似てたからそうかなって」
「そうか。二人はそのまま帰ったんだ」
「そっか。帰っちゃったんだ……。またヴェル、来てくれるかな?」
「ああ。もちろんだよ。楽しく過ごせたんだろう?」
「うん。ヴェルと話したらここが軽くなった気がしたよ」
そう言いながら、笑顔で胸の辺りを手で押さえる。
やはり重しになっていたのだな。
それをヴェルナーが楽にしてくれたわけか。
本当にヴェルナーに頼んで良かった。
「それなら良かった。アズールにはいつでも笑顔でいてほしいからな」
「ルー……」
「どうした?」
「アズール、心配かけちゃったね。ごめんね」
「何を言っているんだ。私たちは夫夫なのだから謝ることなんて何もない。そうだろう?」
「うん。ルー、大好き!」
「ああ。私もアズールが大好きだよ」
チュッと軽くキスをするとアズールが嬉しそうに微笑む。
「ふふっ。ルー、いつもよりいい匂いする」
胸元に擦り寄ってクンクンと匂いを嗅がれる。
耳が当たってくすぐったいが、嬉しいが勝つ。
「今日はマクシミリアンと試合をしたんだ。だから汗をかいたのだろう。くっ――!! アズールっ!」
訓練でのことを話をしていると、突然ぺろっと舐められてつい声を上げてしまった。
「何を……っ」
「だって、いい匂いだったから。だめ、だった?」
「いや、驚いただけだ。アズール、蜜が欲しいか?」
「うん。欲しい……っ」
「じゃあ、寝室に行こうか」
アズールが頷くと同時に寝室に連れ込む。
ベッドに優しく座らせて、アズールの目の前に立ち、ズボンの前を寛げるとアズールの手が伸びてきて、下着の上から優しく撫でてくる。
「あったかいね。それに……すっごく、おっきくていい匂いがしてる」
恍惚とした目で見上げられるとそれだけで興奮して昂りにさらに熱が籠る。
「うーん。いい匂い」
「アズール……っ」
下着の上から昂りに顔を寄せて、クンクンと匂いを嗅がれる。
やはりあっちでシャワーを浴びて帰ってこなくて正解だったな。
アズールは嬉しそうな顔で下着を下げ、出てきた昂りに自分からむしゃぶりついた。
むわっと汗の匂いを感じるが、アズールはそれが気に入っているようだ。
小さな舌でぺろぺろ舐められて、パクッと先端を咥えられ、舌先で先端を弄られただけであっという間に蜜を放った。
アズールに蜜を飲まれるようになってから、日に日に上手になっている気がする。
アズールはそれを美味しそうに飲み干して、空になった口の中を見せてくれる。
ああ、もう本当に可愛くて仕方がない。
180
お気に入りに追加
5,273
あなたにおすすめの小説
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
【完結】マジで滅びるんで、俺の為に怒らないで下さい
白井のわ
BL
人外✕人間(人外攻め)体格差有り、人外溺愛もの、基本受け視点です。
村長一家に奴隷扱いされていた受けが、村の為に生贄に捧げられたのをきっかけに、双子の龍の神様に見初められ結婚するお話です。
攻めの二人はひたすら受けを可愛がり、受けは二人の為に立派なお嫁さんになろうと奮闘します。全編全年齢、少し受けが可哀想な描写がありますが基本的にはほのぼのイチャイチャしています。
十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います
塔原 槇
BL
会社員、兎山俊太郎(とやま しゅんたろう)はある日、「やっぱり女の子が好きだわ」と言われ別れを切り出される。彼氏の売れないバンドマン、熊井雄介(くまい ゆうすけ)は人気上昇中の清純派アイドル、桃澤久留美(ももざわ くるみ)と付き合うのだと言う。ショックの中で俊太郎が出社すると、幼馴染の有栖川麗音(ありすがわ れおん)が中途採用で入社してきて……?
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福論。〜飯作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
西園寺若葉
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃんでした。
実際に逢ってみたら、え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこいー伴侶がいますので!
おじいちゃんと孫じゃないよ!
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい
戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。
人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください!
チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!!
※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。
番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」
「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる