真っ白ウサギの公爵令息はイケメン狼王子の溺愛する許嫁です

波木真帆

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第三章

信じられない!

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<sideクレイ>

初夜を終えて早々に私の愛しいティオはアズールとヴェルナーに連れられて行ってしまった。
可愛いアズールが愛しいティオと仲良くしてくれることは嬉しいことだが、アズールはどうも明け透けになんでも聞いてしまって、ティオを困らせてしまうのではないかと心配になる。

まぁ、そのためにヴェルナーもついていてくれるのだから少しは安心しているが。
ティオはアズールたちと一体どんな話をして戻ってくるのか……それは多少興味はある。

だがその間、義兄上と陛下と三人で待つ、この時間がものすごく長く感じる。

本当なら私もアズールのように義兄上に明け透けに閨の話を伺ってみたいものだが、さすがに陛下もいらっしゃる前で尋ねにくい。
こんな絶好の機会を逃せば、もう閨の話を伺うこと難しくなるだろうがなんと言って尋ねたら良いかもわからない。
何度も言い出そうとしては言えずを繰り返していたその時、マクシミリアンがやってきた。

どうやら特別訓練終了の報告にきたようだ。

さすが副団長を任せられているだけあって、マクシミリアンはすぐにこの部屋の中の異様な雰囲気を感じ取った。
陛下が私たちが夫たちと離れて鬱いでいるだけだと告げると、マクシミリアンはすぐにヴェルナーがどこにいるのかと尋ねてきた。

十年以上もパートナーを続けていても尚、真っ先に所在が気になるのはパートナーなのは当然と言ったところか。
マクシミリアンたちも運命の相手だと聞いたが、そういえばヴェルナーは黒豹。
ティオとは同じ猫科か。

それなら、義兄上よりもマクシミリアンの方がより実践的なことを教えてくれるのではないか?
そんな思いが込み上げる。

なんせ、義兄上は同じ狼でも獣人。
あの・・大きさも、持続力も、体力も桁違いのはず。
だからこそ、初夜も一週間もできたのだ。

私は三日間、これ以上ないほどにたっぷりとティオを愛したが、やはり義兄上とは比べ物にならない。
義兄上の閨での出来事は興味としてはあるが、勉強としてはマクシミリアンの方が的確かもしれない。

ここはマクシミリアンに聞いてみる方がいいことを教えてもらえるかもしれない。

そう思った矢先、マクシミリアンの方から

「クレイさまも夫を持たれたばかりで何か気になることやお聞きになりたいことはございませんか? せっかくこうして先輩方が集まっているのですから、何かご相談などはございませんか?」

と提案してくれた。

これに乗らない手はない。

義兄上にも話を聞きつつ、マクシミリアンの話も聞きたいと言って私は質問を投げかけてみた。

「義兄上、可愛いティオからの刺激にすぐに達してしまうのですが、なんとか堪える方法はありませんか?」

「ティオからの刺激というと、ティオが自分から動くということか?」

「いいえ。ティオが嬉しそうに私のものを咥えるのです。あのざらざらとした舌で包み込まれるとどうにも我慢ができなくて……恥ずかしながら、初めての蜜はティオの顔にかけてしまいました」

「なるほど。そういうことか……。それならば気にすることはない」

「と申しますと?」

「私も初めての蜜はアズールにかけたのだ。まぁ、アズールの場合は発情を起こしていたからアズール自ら積極的に動いていたのでな、そのせいもあるのだが……」

「そう、なのですね……」

義兄上の話を聞けるのは嬉しいが、その相手がずっと可愛がってきたアズールだと思うとなんとなく聞きたくないと思ってしまう。
あの可愛いアズールが、義兄上のモノを舐めたのか……。
しかも蜜をかけられたなんて……。

初夜に堪えきれず蜜をかけてしまったのが自分だけでないことにほっとしつつつも、気持ちは複雑だ。

「ま、マクシミリアンはどうだ? 何か堪える方法でも知っているのか? あのざらざらした舌で舐められて我慢できる方法があれば教えてくれないか?」

「マクシミリアン、それは私も聞きたいな。どのように制御しているのだ?」

義兄上も興味があるようだ。
陛下はこの間、じっと私たちのことを見守っていてくださっているのがありがたい。

「いえ、私は制御なんて何も……」

「ほお、熊族は最初から制御せずとも堪えられるということか?」

「いえ、そうではなく……その、ないのです……」

「何がないんだ?」

「その、ですから……ヴェルナーに、咥えさせたことがないのです…‥」

「な――っ! それはまことか?」

マクシミリアンの言葉に驚く私と義兄上よりも何よりも、陛下が一番驚いていらした。
それはそうだろう。
もう十年以上もパートナーを続けているというのに、咥えさせたことがないなんてどこまで自分を律しているのだ?
たとえ、相手から咥えてもらえなくても、咥えてもらいたい衝動に駆られることがないのか?
私には信じられない思いでいっぱいだった。
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