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第三章
静まり返った部屋で
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<sideフィデリオ>
アズールさまが閨に対して興味をもたれるのは、獣人の強い欲望を受け止めることができるウサギ族ならではの習性があるからなのかもしれない。
それに閨事に対して何も教えられずにルーディーさまと交わられるようになったから、他の者たちも同じなのか気になってしまうのかもしれない。
元来、何事にも好奇心旺盛なアズールさまだから、気になったことは尋ねずにはいられないのかもしれないが、想定外だったのはヴェルナーだ。
孫であるマクシミリアンが、幼き頃にヴェルナーを運命の相手だと見初めてからずっと一途に思い続けて、18の誕生日にヴェルナーの跡を追うように騎士団に入団した。
そして、二人はあっという間にパートナーになったのだが、それから10年は経つというのにティオ殿とアズールさまのお話に一番前のめりになって聞いているように見える。
私はただ同じ空間にいるだけの空気のような存在でなければいけないというのに、どうにもヴェルナーの反応が気になって仕方がない。
もしかして、ヴェルナーはマクシミリアンとの閨に満足していないのか?
我が孫ながら、たった一人のパートナーを満足させられないなど恥ずかしい。
私なんかは満足させすぎて――と、私の話は今はどうでもいい。
マクシミリアンにもっと頑張れと言ってやりたいが、勝手に話を盗み聞きして伝えるのは人としてどうかと思うし、何より、そんなことを祖父に言われるのもどうかと思うだろう。
もしかしたら、今はルーディーさまとクレイさまで同じように閨の話で盛り上がっているのではないか?
それならば、近々マクシミリアンにも同席させるように仕向けよう。
狼族のお二人に指南を受ければ、ヴェルナーを満足させられるようになるかもしれない。
孫のためにひと肌脱ぐとしようか。
まだまだ私は引っ込んでなどおれんな。
<sideマクシミリアン>
どうにもさっきからくしゃみが止まらない。
体調が悪いわけでもないのに一体どういうことだろう?
もしかしたら、ヴェルナーが私の噂でもしてくれているのだろうか?
ふふっ。そうであればこんなに嬉しいことはない。
騎士団の特別訓練最終日を終え、陛下にご報告に向かっていると、今は団長とクレイさまがご一緒だという。
なるほど。
クレイさまが運命の相手を見つけられて初夜に入ったと伺っていたが、きっと無事に初夜を終え出てきたことの報告なのだろう。
まさかクレイさまの運命の相手がティオだとは思いもしなかったが、可愛らしくしなやかな身体を持つ猫族のティオはクレイさまにはお似合いだ。
ヴェルナーとティオは同じ猫科だから、クレイさまもあのザラザラとした舌の感触を味わったに違いない。
あれはなんとも癖になる。
初めてヴェルナーとキスをしたあの時から、私はもうヴェルナーの虜だ。
あのしなやかな身体も柔らかくよく動く尻尾もその全てが愛おしい。
ああ、こんなことを考えているとヴェルナーをたっぷりと愛したくなってきた。
明日はちょうど休日。
新婚夫夫に刺激されて思う存分朝までヴェルナーと愛しあおうか。
そんなことを思いながら陛下にご報告に向かうと、陛下と団長とクレイさまが離れた距離に座って当たり障りのない話をしていらした。
許可をいただき中に入ったはずなのに、誰もこちらを向いてもくれない。
かといって話が盛り上がっているとも思えない雰囲気なのに、一体どういうことだ?
クレイさまはチラチラと団長をみては何か言いたげな雰囲気を醸し出しているが、団長はそれには全く気づいていないようだ。
おそろおそる近づいてお声がけすると、
「ああ、マクシミリアンか。特別訓練ご苦労だったな」
と陛下がこちらを向いてくださった。
「あ、はい。無事に終了いたしました。あの……陛下。どうか、なさったのですか? あまりにも皆さまの雰囲気が暗いように見えますが……」
「ああ、心配することはない。ルーディーもクレイも夫と離れて落ち込んでいるだけだ」
「夫と離れて……って、そういえばアズールさまとティオはどちらに? それにヴェルナーも」
「今、アズールの部屋でティオとヴェルナーと話をしているんだ。その間、ここで待っているのだが、如何にもこうにも我々三人だと話の盛り上がりに欠ける」
陛下は笑っておられたが、その雰囲気の重さに少し困っているようにも見えた。
クレイさまは何かお話になりたいようだが、なかなか一声がかけられないのだろう。
何かとっかかりがあれば話も盛り上がりそうだ。
「ああ、なるほど。そういうことでございますか……。それなら、何かお話になったらいかがですか? クレイさまも夫を持たれたばかりで何か気になることやお聞きになりたいことはございませんか? せっかくこうして先輩方が集まっているのですから、何かご相談などはございませんか?」
あまりにも暗い雰囲気を変えるためにもなんとか話題が出るようにとお声がけしてみた。
すると、クレイさまは
「あの、それでは義兄上に伺ってもよろしいですか? できればマクシミリアンの話も聞きたいがいいか?」
と目をキラキラ輝かせて団長と私に質問を投げかけた。
まさか私にまでと思わなかったが、一体何を尋ねられるのだろう?
アズールさまが閨に対して興味をもたれるのは、獣人の強い欲望を受け止めることができるウサギ族ならではの習性があるからなのかもしれない。
それに閨事に対して何も教えられずにルーディーさまと交わられるようになったから、他の者たちも同じなのか気になってしまうのかもしれない。
元来、何事にも好奇心旺盛なアズールさまだから、気になったことは尋ねずにはいられないのかもしれないが、想定外だったのはヴェルナーだ。
孫であるマクシミリアンが、幼き頃にヴェルナーを運命の相手だと見初めてからずっと一途に思い続けて、18の誕生日にヴェルナーの跡を追うように騎士団に入団した。
そして、二人はあっという間にパートナーになったのだが、それから10年は経つというのにティオ殿とアズールさまのお話に一番前のめりになって聞いているように見える。
私はただ同じ空間にいるだけの空気のような存在でなければいけないというのに、どうにもヴェルナーの反応が気になって仕方がない。
もしかして、ヴェルナーはマクシミリアンとの閨に満足していないのか?
我が孫ながら、たった一人のパートナーを満足させられないなど恥ずかしい。
私なんかは満足させすぎて――と、私の話は今はどうでもいい。
マクシミリアンにもっと頑張れと言ってやりたいが、勝手に話を盗み聞きして伝えるのは人としてどうかと思うし、何より、そんなことを祖父に言われるのもどうかと思うだろう。
もしかしたら、今はルーディーさまとクレイさまで同じように閨の話で盛り上がっているのではないか?
それならば、近々マクシミリアンにも同席させるように仕向けよう。
狼族のお二人に指南を受ければ、ヴェルナーを満足させられるようになるかもしれない。
孫のためにひと肌脱ぐとしようか。
まだまだ私は引っ込んでなどおれんな。
<sideマクシミリアン>
どうにもさっきからくしゃみが止まらない。
体調が悪いわけでもないのに一体どういうことだろう?
もしかしたら、ヴェルナーが私の噂でもしてくれているのだろうか?
ふふっ。そうであればこんなに嬉しいことはない。
騎士団の特別訓練最終日を終え、陛下にご報告に向かっていると、今は団長とクレイさまがご一緒だという。
なるほど。
クレイさまが運命の相手を見つけられて初夜に入ったと伺っていたが、きっと無事に初夜を終え出てきたことの報告なのだろう。
まさかクレイさまの運命の相手がティオだとは思いもしなかったが、可愛らしくしなやかな身体を持つ猫族のティオはクレイさまにはお似合いだ。
ヴェルナーとティオは同じ猫科だから、クレイさまもあのザラザラとした舌の感触を味わったに違いない。
あれはなんとも癖になる。
初めてヴェルナーとキスをしたあの時から、私はもうヴェルナーの虜だ。
あのしなやかな身体も柔らかくよく動く尻尾もその全てが愛おしい。
ああ、こんなことを考えているとヴェルナーをたっぷりと愛したくなってきた。
明日はちょうど休日。
新婚夫夫に刺激されて思う存分朝までヴェルナーと愛しあおうか。
そんなことを思いながら陛下にご報告に向かうと、陛下と団長とクレイさまが離れた距離に座って当たり障りのない話をしていらした。
許可をいただき中に入ったはずなのに、誰もこちらを向いてもくれない。
かといって話が盛り上がっているとも思えない雰囲気なのに、一体どういうことだ?
クレイさまはチラチラと団長をみては何か言いたげな雰囲気を醸し出しているが、団長はそれには全く気づいていないようだ。
おそろおそる近づいてお声がけすると、
「ああ、マクシミリアンか。特別訓練ご苦労だったな」
と陛下がこちらを向いてくださった。
「あ、はい。無事に終了いたしました。あの……陛下。どうか、なさったのですか? あまりにも皆さまの雰囲気が暗いように見えますが……」
「ああ、心配することはない。ルーディーもクレイも夫と離れて落ち込んでいるだけだ」
「夫と離れて……って、そういえばアズールさまとティオはどちらに? それにヴェルナーも」
「今、アズールの部屋でティオとヴェルナーと話をしているんだ。その間、ここで待っているのだが、如何にもこうにも我々三人だと話の盛り上がりに欠ける」
陛下は笑っておられたが、その雰囲気の重さに少し困っているようにも見えた。
クレイさまは何かお話になりたいようだが、なかなか一声がかけられないのだろう。
何かとっかかりがあれば話も盛り上がりそうだ。
「ああ、なるほど。そういうことでございますか……。それなら、何かお話になったらいかがですか? クレイさまも夫を持たれたばかりで何か気になることやお聞きになりたいことはございませんか? せっかくこうして先輩方が集まっているのですから、何かご相談などはございませんか?」
あまりにも暗い雰囲気を変えるためにもなんとか話題が出るようにとお声がけしてみた。
すると、クレイさまは
「あの、それでは義兄上に伺ってもよろしいですか? できればマクシミリアンの話も聞きたいがいいか?」
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