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第三章
楽しい勉強
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<sideヴェルナー>
ティオがアズールさま専属護衛になることは想定していた通りだった。
なんせ、あの独占欲の強い狼族のクレイさまが、同じ狼族である陛下のすぐそばに大切なティオを置いておくわけがない。
それは副団長として、そして、専属護衛としてルーディー王子のアズールさまに対する行動をすぐ近くで見ていたからこそわかったことだ。
最初に専属護衛に任命したマクシミリアンの職を解き、代わって私にアズールさまの護衛に任命したのも独占欲が故の行動だ。
まぁ、マクシミリアンの実力を考えれば、王子の下で副団長としての手腕を発揮する方が合っているのだから、あの時の王子の判断は正しかったと言える。
今回ティオがアズールさまの護衛に就任するに伴って、もしかしたら私はお役を解かれるのかと思っていたけれど、これからは二人でアズールさまをお守りすることになったようだ。
正直にいうと、13歳に近い年で入団し、騎士団としての仕事はもう十分過ぎるほどやってきたと自負している私にとって、アズールさまの護衛という仕事は天職だと思っている。
可愛らしい容姿はもちろんのこと、天真爛漫が故に危なっかしいところも、裏表のなく決して人を蔑んだりすることがない優しくて素直な性格も、何もかも人として愛すべき存在のアズールさまのおそばにいられることは幸せしかない。
それをこれからティオと分かち合っていけるのかと思うと、楽しみでしかない。
アズールさまも私同様にティオが護衛になったことを喜んでくださっているようだが、アズールさまはティオとのおしゃべりが一番の楽しみのようだ。
かくいう私もティオの初夜話を楽しみにしている。
アズールさまのお話は何度も聞かせていただいているが、なんせ、王子も、そしてアズールさまも規格外なものだから、あまり参考にならないと言ったら申し訳ないが、その通りなのだ。
私とマクシミリアンも体格差はある方だが、王子とアズールさまとは比べ物にもならない。
しかも王子は獣人で、あの大きさも規格外。
それを一晩に何度も受け入れられて、たっぷりと蜜を注がれてもまた翌日にはたっぷりと愛し合えるアズールさまもまた規格外なのだ。
マクシミリアンは私を運命の相手だと言ったが、王子とアズールさまは神により与えられた運命の番。
たっぷりと蜜を注がれて子ができる身体に変化したアズールさまは王子の唯一無二のお人だというわけだ。
そんな特別な関係にある王子とアズールさまの閨の話を伺ってもすごいと思うことばかりで、自分の参考にできるかというとそうではない。
だが、ティオは私と同じ。
狼族同様、熊族も大きなモノを持ち、受け入れる大変さはほぼ同じだろう。
そんなティオがクレイさまとどのような初夜を過ごしたかはやはり気になる。
今までそんなことを聞ける相手もいなかったし、聞こうとも思わなかったが、これもアズールさまの影響だろう。
お互いに話を聞いて、いいところは真似をするのも勉強になるのではないかと思えるようになったのだ。
アズールさまを抱きかかえ、ティオと一緒にアズールさまの部屋に戻る。
「紅茶をお淹れしましょう。私のことはお気になさらず、会話をお楽しみください」
後ろからついてきてくれていたフィデリオさまが紅茶とお菓子を手早く用意してくれる。
「爺、ありがとう」
「いいえ、滅相もございません。私は隅の方で控えてございますので、ごゆっくりお寛ぎください」
フィデリオさまが隅にある椅子に座られたところで、アズールさまが口を開く。
「ねぇねぇ、それでお兄さまはどうやってティオのお腹の奥をゴリゴリしたの? 抱っこされたの? それとも背中から抱きしめられたの?」
無邪気な声で目をキラキラさせながらアズールさまから発せられる生々しい言葉にティオは顔を真っ赤にしていたけれど、意を決した様子で話し始めた。
「あの、その……お腹の奥を、ゴリゴリ擦られたのは、お風呂場、だったんです……」
「「えっ? お風呂場?」」
私とアズールさまの声が重なる。
まさか初夜の一番最初の交わりをお風呂場で?
それはまたすごい。
もしかして、それくらい我慢ができなかったということなのだろうか?
「陛下に挨拶をして、客間に入った途端にキスされて……その時に、声を聞かせて欲しいってクレイさまに言われたんです」
「声を? それは気持ちいいとかそういうこと?」
「はい。あとは……どうして欲しいかとか、希望も言って欲しいってそう言われて、初めてのキスがすごく気持ちよかったからもっとキスしたいって、おねだりしたんです。そうしたら、もっともっと激しいキスがきて、ぐったりしている間に裸になってて……それで急に恥ずかしくなってきて、尻尾で自分の身体を隠したんです」
「ええー、いいなぁ。ティオの尻尾、ヴェルもだけど、身体に巻き付けたらもふもふして気持ちよさそう。僕は尻尾ちっちゃいからなぁ……」
羨ましそうに私とティオの尻尾に視線を送るアズールさま。
確かにちっちゃいけれど、ウサギ族の尻尾はマクシミリオンたち熊族と同じで、きっと私たちよりずっとずっと敏感なはず。
だって、マクシミリアンの尻尾に触れると一気に聳り立ってすごいことになるのだから。
アズールさまもきっと王子が尻尾に触れると淫らになるのだろうか……。
目の前にいる無邪気なアズールさまからは想像つかないな。
ティオがアズールさま専属護衛になることは想定していた通りだった。
なんせ、あの独占欲の強い狼族のクレイさまが、同じ狼族である陛下のすぐそばに大切なティオを置いておくわけがない。
それは副団長として、そして、専属護衛としてルーディー王子のアズールさまに対する行動をすぐ近くで見ていたからこそわかったことだ。
最初に専属護衛に任命したマクシミリアンの職を解き、代わって私にアズールさまの護衛に任命したのも独占欲が故の行動だ。
まぁ、マクシミリアンの実力を考えれば、王子の下で副団長としての手腕を発揮する方が合っているのだから、あの時の王子の判断は正しかったと言える。
今回ティオがアズールさまの護衛に就任するに伴って、もしかしたら私はお役を解かれるのかと思っていたけれど、これからは二人でアズールさまをお守りすることになったようだ。
正直にいうと、13歳に近い年で入団し、騎士団としての仕事はもう十分過ぎるほどやってきたと自負している私にとって、アズールさまの護衛という仕事は天職だと思っている。
可愛らしい容姿はもちろんのこと、天真爛漫が故に危なっかしいところも、裏表のなく決して人を蔑んだりすることがない優しくて素直な性格も、何もかも人として愛すべき存在のアズールさまのおそばにいられることは幸せしかない。
それをこれからティオと分かち合っていけるのかと思うと、楽しみでしかない。
アズールさまも私同様にティオが護衛になったことを喜んでくださっているようだが、アズールさまはティオとのおしゃべりが一番の楽しみのようだ。
かくいう私もティオの初夜話を楽しみにしている。
アズールさまのお話は何度も聞かせていただいているが、なんせ、王子も、そしてアズールさまも規格外なものだから、あまり参考にならないと言ったら申し訳ないが、その通りなのだ。
私とマクシミリアンも体格差はある方だが、王子とアズールさまとは比べ物にもならない。
しかも王子は獣人で、あの大きさも規格外。
それを一晩に何度も受け入れられて、たっぷりと蜜を注がれてもまた翌日にはたっぷりと愛し合えるアズールさまもまた規格外なのだ。
マクシミリアンは私を運命の相手だと言ったが、王子とアズールさまは神により与えられた運命の番。
たっぷりと蜜を注がれて子ができる身体に変化したアズールさまは王子の唯一無二のお人だというわけだ。
そんな特別な関係にある王子とアズールさまの閨の話を伺ってもすごいと思うことばかりで、自分の参考にできるかというとそうではない。
だが、ティオは私と同じ。
狼族同様、熊族も大きなモノを持ち、受け入れる大変さはほぼ同じだろう。
そんなティオがクレイさまとどのような初夜を過ごしたかはやはり気になる。
今までそんなことを聞ける相手もいなかったし、聞こうとも思わなかったが、これもアズールさまの影響だろう。
お互いに話を聞いて、いいところは真似をするのも勉強になるのではないかと思えるようになったのだ。
アズールさまを抱きかかえ、ティオと一緒にアズールさまの部屋に戻る。
「紅茶をお淹れしましょう。私のことはお気になさらず、会話をお楽しみください」
後ろからついてきてくれていたフィデリオさまが紅茶とお菓子を手早く用意してくれる。
「爺、ありがとう」
「いいえ、滅相もございません。私は隅の方で控えてございますので、ごゆっくりお寛ぎください」
フィデリオさまが隅にある椅子に座られたところで、アズールさまが口を開く。
「ねぇねぇ、それでお兄さまはどうやってティオのお腹の奥をゴリゴリしたの? 抱っこされたの? それとも背中から抱きしめられたの?」
無邪気な声で目をキラキラさせながらアズールさまから発せられる生々しい言葉にティオは顔を真っ赤にしていたけれど、意を決した様子で話し始めた。
「あの、その……お腹の奥を、ゴリゴリ擦られたのは、お風呂場、だったんです……」
「「えっ? お風呂場?」」
私とアズールさまの声が重なる。
まさか初夜の一番最初の交わりをお風呂場で?
それはまたすごい。
もしかして、それくらい我慢ができなかったということなのだろうか?
「陛下に挨拶をして、客間に入った途端にキスされて……その時に、声を聞かせて欲しいってクレイさまに言われたんです」
「声を? それは気持ちいいとかそういうこと?」
「はい。あとは……どうして欲しいかとか、希望も言って欲しいってそう言われて、初めてのキスがすごく気持ちよかったからもっとキスしたいって、おねだりしたんです。そうしたら、もっともっと激しいキスがきて、ぐったりしている間に裸になってて……それで急に恥ずかしくなってきて、尻尾で自分の身体を隠したんです」
「ええー、いいなぁ。ティオの尻尾、ヴェルもだけど、身体に巻き付けたらもふもふして気持ちよさそう。僕は尻尾ちっちゃいからなぁ……」
羨ましそうに私とティオの尻尾に視線を送るアズールさま。
確かにちっちゃいけれど、ウサギ族の尻尾はマクシミリオンたち熊族と同じで、きっと私たちよりずっとずっと敏感なはず。
だって、マクシミリアンの尻尾に触れると一気に聳り立ってすごいことになるのだから。
アズールさまもきっと王子が尻尾に触れると淫らになるのだろうか……。
目の前にいる無邪気なアズールさまからは想像つかないな。
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