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第三章
無邪気すぎて居た堪れない
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<sideクレイ>
「あ、アズール! そ、それに義兄上も。なぜ、ここに? ああっ!!」
突然のことに事態を飲み込めず、慌てふためきながら二人に尋ねている間に、腕の中のティオがサッと飛び降りてしまった。
さすが猫族、と感心している場合ではない。
せっかく出会った運命の相手と離れるなんて耐えられるわけがない。
「ティオ、離れないでくれ!」
「クレイさま。申し訳ありません。流石に王太子殿下と未来の王妃さまの前でそのようなことはできません」
ティオのいう通りだ。
だが……それでも、離れられないのが運命の相手というものだ。
一途に運命を愛する狼族である私は尚のこと、運命の相手がいて離れるなどもってのほかだ。
だから、義兄上はこの家に来たときは絶えず、アズールを抱きかかえていたのから。
「あれ? どうしてティオがここにいるの?」
私とティオの間に流れる不穏な空気を消し去るようなアズールの明るい声が耳に入ってくる。
「えっ? アズール。ティオを知っているのか?」
私の言葉にアズールは当然とでも言いたげにティオに笑いかけた。
「えっ? だって、ティオはお義父さまの護衛だし、最近は爺のお部屋でたまにお茶したりするから仲良しだよ。ねぇ、ティオ」
「ティオ、そうなのか?」
「は、はい。アズールさまとは仲良くさせていただいております」
「そうなのか……知らなかったな」
まさか、私の運命の相手にアズールが先に出会っていたとは思いもしなかった。
「それでどうしてティオがお兄さまと一緒にいるの?」
義兄上の表情を見ると、もう私とティオの関係に気づいているように見えるが、きっと私から言わせたいのだろう。
こうなれば、私も狼族の男だ。
しっかりと運命の相手を守らねばなるまい。
「ティオは私の運命の相手だ」
「えっ……運命の相手って? それ……」
「そうだ、アズールと義兄上のような関係だ」
「ええー!! そうなの? お兄さま! ティオ! おめでとう!! 僕、すっごく嬉しい! ルーも嬉しいよね?」
「ああ、そうだな。クレイにもようやく運命が見つかったとはめでたいことだ。ただ、ティオは父上がいつも有能な護衛騎士だと褒めていたからな……そう簡単には手放さないかもしれないな」
「えっ――! 義兄上、それは……」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべる義兄上の言葉に一気に血の気が引く思いがする。
もし、義兄上と同じようにティオと伴侶として認められるまでこれから何年も待ち続けることになるとしたら……私は耐えられないどころか、限界を突破してティオを襲ってしまうかもしれない。
それほどにティオが欲しくてたまらないのだ
「ははっ。冗談だ。父上のことだ、ずっと目をかけてそばに置いていたティオがようやく運命の相手と出会い、しかもそれがアズールの兄だと知れば大喜びなさるはずだ。
「ほ、本当ですか?」
「ああ。心配ならば、私とアズールが一緒についていこうか。私たちが一緒ならばわざわざ父上に御目通りを願う連絡など必要ない。そもそも運命の相手と出会えたのだから、父上への連絡など後回しでも良いくらいだ。だが、真面目なティオはその様なことを許せぬのだろう?」
「は、はい、陛下への報告を後回しにすることなどできません。ですが、クレイさま。私は決してクレイさまの伴侶になることが嫌というわけではございません。それだけは――わっ!!」
一生懸命私への気持ちを伝えてくれようとするティオが可愛くて思わず抱きしめてしまった。
ティオは二人の前だから驚いてはいたが、決して自分から離れようとしない。
きっと私の思いに応えようとしてくれたのだろう。
「クレイもティオももう我慢できない様だし、早く父上に報告に向かうとしようか。アズール、こういうことだからここに泊まるのはまた違う日にしよう」
「でも……お母さまとお父さまは寂しいって言わないかな?」
「大丈夫だ。義父上も義母上もアズールとクレイの幸せを願っているのだから、特にクレイには早く運命の人と出会って欲しいと願っていただろう? クレイがティオと早く仲睦まじくなれるなら、それを望むはずだ」
「うん。そうだね。あ、じゃあ! お義父さまへの報告が終わったら、ティオも今夜はお兄さまにお腹の奥をゴリゴリと擦られて蜜をいっぱい出されて愛し合うんだね」
「あ、アズールっ! そんなこと……っ!」
「えっ? 違うの?」
キョトンとした顔で小首を傾げられたらなんと返していいのかわからない。
なんせ、アズールは本当に思ったことを言っているだけなのだから。
だが、ティオは明け透けなアズールの言葉に顔を真っ赤にして言葉も出ないようだ。
それにしてもアズールはやはり義兄上と毎晩愛し合っているのだろうな。
――お腹の奥をゴリゴリと擦られて蜜をいっぱい出されて……
当然なのだろうが、アズールの口からこの言葉が出ると、居た堪れなくなるのはやはり私が兄だからだろうか……。
「あ、アズール! そ、それに義兄上も。なぜ、ここに? ああっ!!」
突然のことに事態を飲み込めず、慌てふためきながら二人に尋ねている間に、腕の中のティオがサッと飛び降りてしまった。
さすが猫族、と感心している場合ではない。
せっかく出会った運命の相手と離れるなんて耐えられるわけがない。
「ティオ、離れないでくれ!」
「クレイさま。申し訳ありません。流石に王太子殿下と未来の王妃さまの前でそのようなことはできません」
ティオのいう通りだ。
だが……それでも、離れられないのが運命の相手というものだ。
一途に運命を愛する狼族である私は尚のこと、運命の相手がいて離れるなどもってのほかだ。
だから、義兄上はこの家に来たときは絶えず、アズールを抱きかかえていたのから。
「あれ? どうしてティオがここにいるの?」
私とティオの間に流れる不穏な空気を消し去るようなアズールの明るい声が耳に入ってくる。
「えっ? アズール。ティオを知っているのか?」
私の言葉にアズールは当然とでも言いたげにティオに笑いかけた。
「えっ? だって、ティオはお義父さまの護衛だし、最近は爺のお部屋でたまにお茶したりするから仲良しだよ。ねぇ、ティオ」
「ティオ、そうなのか?」
「は、はい。アズールさまとは仲良くさせていただいております」
「そうなのか……知らなかったな」
まさか、私の運命の相手にアズールが先に出会っていたとは思いもしなかった。
「それでどうしてティオがお兄さまと一緒にいるの?」
義兄上の表情を見ると、もう私とティオの関係に気づいているように見えるが、きっと私から言わせたいのだろう。
こうなれば、私も狼族の男だ。
しっかりと運命の相手を守らねばなるまい。
「ティオは私の運命の相手だ」
「えっ……運命の相手って? それ……」
「そうだ、アズールと義兄上のような関係だ」
「ええー!! そうなの? お兄さま! ティオ! おめでとう!! 僕、すっごく嬉しい! ルーも嬉しいよね?」
「ああ、そうだな。クレイにもようやく運命が見つかったとはめでたいことだ。ただ、ティオは父上がいつも有能な護衛騎士だと褒めていたからな……そう簡単には手放さないかもしれないな」
「えっ――! 義兄上、それは……」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべる義兄上の言葉に一気に血の気が引く思いがする。
もし、義兄上と同じようにティオと伴侶として認められるまでこれから何年も待ち続けることになるとしたら……私は耐えられないどころか、限界を突破してティオを襲ってしまうかもしれない。
それほどにティオが欲しくてたまらないのだ
「ははっ。冗談だ。父上のことだ、ずっと目をかけてそばに置いていたティオがようやく運命の相手と出会い、しかもそれがアズールの兄だと知れば大喜びなさるはずだ。
「ほ、本当ですか?」
「ああ。心配ならば、私とアズールが一緒についていこうか。私たちが一緒ならばわざわざ父上に御目通りを願う連絡など必要ない。そもそも運命の相手と出会えたのだから、父上への連絡など後回しでも良いくらいだ。だが、真面目なティオはその様なことを許せぬのだろう?」
「は、はい、陛下への報告を後回しにすることなどできません。ですが、クレイさま。私は決してクレイさまの伴侶になることが嫌というわけではございません。それだけは――わっ!!」
一生懸命私への気持ちを伝えてくれようとするティオが可愛くて思わず抱きしめてしまった。
ティオは二人の前だから驚いてはいたが、決して自分から離れようとしない。
きっと私の思いに応えようとしてくれたのだろう。
「クレイもティオももう我慢できない様だし、早く父上に報告に向かうとしようか。アズール、こういうことだからここに泊まるのはまた違う日にしよう」
「でも……お母さまとお父さまは寂しいって言わないかな?」
「大丈夫だ。義父上も義母上もアズールとクレイの幸せを願っているのだから、特にクレイには早く運命の人と出会って欲しいと願っていただろう? クレイがティオと早く仲睦まじくなれるなら、それを望むはずだ」
「うん。そうだね。あ、じゃあ! お義父さまへの報告が終わったら、ティオも今夜はお兄さまにお腹の奥をゴリゴリと擦られて蜜をいっぱい出されて愛し合うんだね」
「あ、アズールっ! そんなこと……っ!」
「えっ? 違うの?」
キョトンとした顔で小首を傾げられたらなんと返していいのかわからない。
なんせ、アズールは本当に思ったことを言っているだけなのだから。
だが、ティオは明け透けなアズールの言葉に顔を真っ赤にして言葉も出ないようだ。
それにしてもアズールはやはり義兄上と毎晩愛し合っているのだろうな。
――お腹の奥をゴリゴリと擦られて蜜をいっぱい出されて……
当然なのだろうが、アズールの口からこの言葉が出ると、居た堪れなくなるのはやはり私が兄だからだろうか……。
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