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第三章
早く会いたい!
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<sideヴェルナー>
アズールさまと共に公爵家から城内に移動し、今日から夜の任務を解かれる。
なんせ、夜の間はアズールさまのお隣には王子がいらっしゃるのだから、アズールさまの専属護衛として守る必要がなくなるのだ。
もちろんお二人の部屋の前に見張りの騎士はいるが、それは私の仕事ではない。
アズールさまに発情期の兆候が見られてから、何かあった時のためにと今日までずっと公爵家に泊まり込んでいたから、正直に言ってマクシミリアンに会いたくてたまらなかった。
こんなにも長い期間離れたことがなかったから、私の中でマクシミリアンが枯渇していたと思う。
アズールさまと王子の初夜が無事に終われば、しばらく休みをとってもいいと言われていた私は、少しでも早くマクシミリアンに会いたくて訓練場へ急いだ。
王子が騎士団をお休みになっている間、マクシミリアンも忙しい日々を過ごしていたに違いない。
それこそ私のことなど思い出す余裕もないほどに仕事に打ち込んでいたかもしれないが、今日だけは私のマクシミリアンに戻って欲しい。
それくらいマクシミリアンに飢えているのだ。
少し緊張しながら訓練場に足を踏み入れると、
「ほら! そこ! たるんでるぞ!! もっと素早く!!」
とずっと聞きたかったマクシミリアンの声が耳に飛び込んでくる。
ああ、マクシミリアンがいる……そう思った瞬間、
「マクシミリアン!!!」
と叫んでしまっていた。
「ヴェルナー! どうしてここに?」
私の声が届いて、驚いた表情をしながらマクシミリアンが駆けてくる。
ああ、私のマクシミリアンが目の前にいる。
騎士たちの手前、すぐにでも抱きついてキスしたいのを必死に抑えながら、
「今日からアズールさまが城内にお住まいになられるから、私もこちらに移ってきたんだ」
と告げると、マクシミリアンは大きな目をさらに丸くして驚きの声をあげた。
「えっ? それでは……」
「ああ、ようやく夜の任務を解かれた。これからはずっと夜は一緒にいられるぞ。それに……」
「それに?」
「これからしばらくは休暇をもらった」
「――っ!!! それは本当に?」
「ああ、嘘なんて吐く訳がないだろう? だから、今日はマクシミリアンの家で待っているから先に家に帰っているぞ。それを伝えに来たんだ」
「ダメです!」
「えっ? それは……」
もしかして、私が家に入っては困るというのか?
それはつまり、私に会わせたくない相手でもいるということか?
まさか……マクシミリアンに私以外の相手が……?
いや、そんなことはないはずだ。
私たちはすでにパートナー。
マクシミリアンがその私を捨てて不貞を犯すなどあるはずがない。
だが不安が募る。
マクシミリアンからダメだと言われて、一気に落ち込んでしまった私を見て
「ああ、違うんです!! 誤解ですよ!」
とマクシミリアンの焦った声が聞こえる。
「違うとはどういう意味だ?」
「一人で家に行くのがダメだと言ったんです! ヴェルナー、今自分がどんな目をしているかわかっていますか?」
「えっ? 目?」
「はぁー、私が欲しくて欲しくてたまらないという欲情に満ちた目をしているんですよ。ほら、あちらからも騎士たちがヴェルナーを見て頬を染めています。おい、お前たち! こっちを見ていないで訓練を続けろ!! サボったやつは特別訓練をさせるぞ!!」
マクシミリアンの威圧を放ったその言葉に騎士たちが慌てたように訓練を再開する。
「わかったでしょう? そんなヴェルナーを一人にしたら変なのが寄ってきて万が一襲われでもしたら大変ですから」
「襲われでもって……そんなことあるはずがないだろう? これでも私は騎士だぞ」
「わかっています。それでも今のあなたを一人にしたくないんです。訓練が終わるまであそこで大人しく待っていてください。いいですか? 絶対にどこにも行かないでくださいね」
念を押されながらマクシミリアンに二階席に連れて行かれた。
ここから訓練を見るのは久しぶりだ。
王子の訓練を見たいと仰ったアズールさまと来た以来か。
それから、マクシミリアンは怒涛の勢いで訓練を終わらせて、騎士たちがぐったりと訓練場に倒れ込む中、疲れを微塵も見せずに二階席にいる私を迎えにきた。
「さぁ、私たちの家に帰りましょう」
「もういいのか?」
「ええ、あとは私たちの時間です。ヴェルナー同様に私ももう待ちきれないんですよ」
「――っ!!!」
私以上に欲情を孕んだ目で私を見つめながら抱きかかえて走ったかと思うと、あっという間に私たちの家に辿り着いた。
ようやくこれから待ちに待った私たちの甘い時間が始まる。
アズールさまと共に公爵家から城内に移動し、今日から夜の任務を解かれる。
なんせ、夜の間はアズールさまのお隣には王子がいらっしゃるのだから、アズールさまの専属護衛として守る必要がなくなるのだ。
もちろんお二人の部屋の前に見張りの騎士はいるが、それは私の仕事ではない。
アズールさまに発情期の兆候が見られてから、何かあった時のためにと今日までずっと公爵家に泊まり込んでいたから、正直に言ってマクシミリアンに会いたくてたまらなかった。
こんなにも長い期間離れたことがなかったから、私の中でマクシミリアンが枯渇していたと思う。
アズールさまと王子の初夜が無事に終われば、しばらく休みをとってもいいと言われていた私は、少しでも早くマクシミリアンに会いたくて訓練場へ急いだ。
王子が騎士団をお休みになっている間、マクシミリアンも忙しい日々を過ごしていたに違いない。
それこそ私のことなど思い出す余裕もないほどに仕事に打ち込んでいたかもしれないが、今日だけは私のマクシミリアンに戻って欲しい。
それくらいマクシミリアンに飢えているのだ。
少し緊張しながら訓練場に足を踏み入れると、
「ほら! そこ! たるんでるぞ!! もっと素早く!!」
とずっと聞きたかったマクシミリアンの声が耳に飛び込んでくる。
ああ、マクシミリアンがいる……そう思った瞬間、
「マクシミリアン!!!」
と叫んでしまっていた。
「ヴェルナー! どうしてここに?」
私の声が届いて、驚いた表情をしながらマクシミリアンが駆けてくる。
ああ、私のマクシミリアンが目の前にいる。
騎士たちの手前、すぐにでも抱きついてキスしたいのを必死に抑えながら、
「今日からアズールさまが城内にお住まいになられるから、私もこちらに移ってきたんだ」
と告げると、マクシミリアンは大きな目をさらに丸くして驚きの声をあげた。
「えっ? それでは……」
「ああ、ようやく夜の任務を解かれた。これからはずっと夜は一緒にいられるぞ。それに……」
「それに?」
「これからしばらくは休暇をもらった」
「――っ!!! それは本当に?」
「ああ、嘘なんて吐く訳がないだろう? だから、今日はマクシミリアンの家で待っているから先に家に帰っているぞ。それを伝えに来たんだ」
「ダメです!」
「えっ? それは……」
もしかして、私が家に入っては困るというのか?
それはつまり、私に会わせたくない相手でもいるということか?
まさか……マクシミリアンに私以外の相手が……?
いや、そんなことはないはずだ。
私たちはすでにパートナー。
マクシミリアンがその私を捨てて不貞を犯すなどあるはずがない。
だが不安が募る。
マクシミリアンからダメだと言われて、一気に落ち込んでしまった私を見て
「ああ、違うんです!! 誤解ですよ!」
とマクシミリアンの焦った声が聞こえる。
「違うとはどういう意味だ?」
「一人で家に行くのがダメだと言ったんです! ヴェルナー、今自分がどんな目をしているかわかっていますか?」
「えっ? 目?」
「はぁー、私が欲しくて欲しくてたまらないという欲情に満ちた目をしているんですよ。ほら、あちらからも騎士たちがヴェルナーを見て頬を染めています。おい、お前たち! こっちを見ていないで訓練を続けろ!! サボったやつは特別訓練をさせるぞ!!」
マクシミリアンの威圧を放ったその言葉に騎士たちが慌てたように訓練を再開する。
「わかったでしょう? そんなヴェルナーを一人にしたら変なのが寄ってきて万が一襲われでもしたら大変ですから」
「襲われでもって……そんなことあるはずがないだろう? これでも私は騎士だぞ」
「わかっています。それでも今のあなたを一人にしたくないんです。訓練が終わるまであそこで大人しく待っていてください。いいですか? 絶対にどこにも行かないでくださいね」
念を押されながらマクシミリアンに二階席に連れて行かれた。
ここから訓練を見るのは久しぶりだ。
王子の訓練を見たいと仰ったアズールさまと来た以来か。
それから、マクシミリアンは怒涛の勢いで訓練を終わらせて、騎士たちがぐったりと訓練場に倒れ込む中、疲れを微塵も見せずに二階席にいる私を迎えにきた。
「さぁ、私たちの家に帰りましょう」
「もういいのか?」
「ええ、あとは私たちの時間です。ヴェルナー同様に私ももう待ちきれないんですよ」
「――っ!!!」
私以上に欲情を孕んだ目で私を見つめながら抱きかかえて走ったかと思うと、あっという間に私たちの家に辿り着いた。
ようやくこれから待ちに待った私たちの甘い時間が始まる。
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