真っ白ウサギの公爵令息はイケメン狼王子の溺愛する許嫁です

波木真帆

文字の大きさ
上 下
104 / 289
第二章

忍耐力の限界

しおりを挟む
<sideルーディー>

爺としばらく話をして、私は寝室に戻ったが

「――っ!!」

寝室に漂うアズールの匂いに思わず声をあげそうになってしまった。

きっとこれはブランケットに吸い付いていたアズールの甘い唾液の匂いだ。

アズールの寝室に入った時も同じような匂いを感じるが、私の寝室で同じ匂いを嗅ぐのはわけがちがう。
そもそもアズールが寝ているベッドには私の欲望の蜜をたっぷりと放っているのだから。

私の欲望の蜜の上でアズールが眠っている、その事実だけで興奮してしまうのだ。

いつもの癖で寝室でアズールの匂いを嗅いだら、すぐに昂りが反応してしまう。
今日だけは我慢しなければ!

はぁー、さっき飲んだ興奮を鎮めるハーブティーもアズールにかかれば意味をなさないのだな……。

まだ夜は長い。
眠れればあっという間なのだろうが、眠れるかどうか……。
それすらもわからない。

気合いを入れるしかないか。


「るー」

アズールの寝言が聞こえる。
夢の中でも私といてくれるのか。
そんな喜びを噛み締める前にすぐにアズールのそばに行かなければいけない。

アズールが寝言を出す時は少し眠りの浅い時だからな。

私はそっとベッドに身体を滑り込ませ、アズールの握っていたブランケットと交代するようにアズールに身体を近づけると、アズールは嬉しそうに鼻をすんすん言わせながら私に擦り寄ってきた。

まるで私が隣にいるのを確認しているようなその動きにただ黙って耐えるしかない。

なんせ、眠って少し体温の高くなったアズールから芳しい匂いがしているのだから。
これは汗か、それとも体臭かわからないが、なんともいい匂いがして私の昂りに刺激を与える。
このままだと昂りが暴発してしまいそうになるが、それでもここで耐えなければならないのはアズールが目を覚ましてしまった方が大変なことになってしまうからだ。

一人で眠っている時のアズールはブランケットだけで朝まで起きることはないが、私と一緒に寝た時だけは必ず途中で私が隣にいるかどうかを無意識に確認する。
その時に隣にいれば問題ないが、もしその時に私がいなければ泣きながら寝室を出てしまう。
理由はいまだにわからない。
アズール本人も自分が夜中にこのような行動をとっていることを知らないのだ。

アズールと夜を過ごすようになって初めてこの光景を見た時は驚いたが、アズールから蒼央の話を聞いて、もしかしたらと思った。

蒼央は常に一人で過ごしていたのだ。
誰かがそばにいて眠ることをしたことがない。
だから目を覚ました時に一人でいることが怖いのだろう。

ずっと一人でいることよりも、いたはずの人がいなくなる方が蒼央にとっては恐怖だったに違いない。

それが事実かはわからないが、眠りの浅くなった時に必ずアズールのそばにいてやるようにすると、寝室から出ていくようなことは一度もなかった。

だからこそ、この時間だけは絶対にどれだけ昂りが苦しくても、アズールの望むようにしてあげたいのだ。

まだアズールの心の中に辛い思いは消えてはいない。
いつか蒼央の辛い思い出が全て幸せで上書きされる日を夢見て、私はアズールのそばにい続けるときめた。


「ふふっ。いい、においー」

幸せそうに寝言をいうアズールを見つめながら、このまま深い眠りについてくれればいいと願っていると、

「ぐぅ――っ!!!」

突然昂りに途轍もない刺激を感じた。

な、なんだ?

恐る恐る視線を向けると、アズールの可愛い両足で昂りが挟まれているのが見える。
いや、ただ挟まれているだけではない。
アズールの小さくて可愛い足が何度も何度も擦り上げるのだ。

そのなんともいえない感触に私の昂りは限界に近づいている。

以前、アズールが私の昂りを誤って掴んでしまったことがあったから、アズールの手がイタズラをしないようにしっかりと見ていたというのにまさか今度は足でイタズラされるとは思いもしなかった。

寝ているとは思えないその心地良い動きに、すぐに離れなければと思っても身体が動くのを拒否してしまっている。
だがこのままいけば、暴発は間違いない。

もう一度ブランケットに身代わりを頼むしかないか。

だが、もうすっかり私の匂いは落ちてしまっている。
あれだけアズールが吸い付いていればそれも仕方のないことだ。

こうなったら、ここでやるしかない。

アズールの唇に私の舌をあて、ぺろぺろと舐めてやるとアズールの意識がそちらに向いたようで足の力が弱まった。

今のうちだ!

アズールの唇を舐め小さく開いたその唇に長い舌を滑り込ませ、中の唾液を交換して味わっている間に、ズボンをさげ凶悪なほどに大きくなった昂りに先程のブランケットを纏わせた。

アズールとキスをしながら昂りを扱けば、ただでさえ興奮していたのだからひとたまりもない。

あっという間に三度ほど蜜を放出して、ようやく治まった昂りからブランケットを取り除き、自分の舌の代わりにアズールの口にそのブランケットをあてがってやるとアズールは嬉しそうにそのブランケットに吸い付いた。

そして、そのまま深い眠りに落ちていった。

ふぅ……。
これで朝まで寝てくれるはずだ。

風呂といい、添い寝といい、今夜は本当に大変な夜だった。

それにしても今夜だけで何度蜜を放ったことだろう。
これだけ出しても一向に衰えることがないのだから、運命の番とは本当にすごい存在なのだな。

夜が明けるまでもう少し。
私の忍耐力もそろそろ限界だ。
しおりを挟む
感想 549

あなたにおすすめの小説

【完結】僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました

楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。 ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。 喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。   「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」 契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。 エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。 ⭐︎表紙イラストは針山糸様に描いていただきました

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー! 他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

勘弁してください、僕はあなたの婚約者ではありません

りまり
BL
 公爵家の5人いる兄弟の末っ子に生まれた私は、優秀で見目麗しい兄弟がいるので自由だった。  自由とは名ばかりの放置子だ。  兄弟たちのように見目が良ければいいがこれまた普通以下で高位貴族とは思えないような容姿だったためさらに放置に繋がったのだが……両親は兎も角兄弟たちは口が悪いだけでなんだかんだとかまってくれる。  色々あったが学園に通うようになるとやった覚えのないことで悪役呼ばわりされ孤立してしまった。  それでも勉強できるからと学園に通っていたが、上級生の卒業パーティーでいきなり断罪され婚約破棄されてしまい挙句に学園を退学させられるが、後から知ったのだけど僕には弟がいたんだってそれも僕そっくりな、その子は両親からも兄弟からもかわいがられ甘やかされて育ったので色々な所でやらかしたので顔がそっくりな僕にすべての罪をきせ追放したって、優しいと思っていた兄たちが笑いながら言っていたっけ、国外追放なので二度と合わない僕に最後の追い打ちをかけて去っていった。  隣国でも噂を聞いたと言っていわれのないことで暴行を受けるが頑張って生き抜く話です

処理中です...