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第二章
雄叫びの理由
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<sideルーディー>
私の胸元に顔を擦り寄せているアズールから甘い匂いが漂ってくる。
アズールが深い眠りに入った証拠だ。
ベッド脇に忍ばせておいたブランケットをそっと手に取り、ゆっくり私とアズールの間に挟み込んでいく。
「うーん、ふふっ……いい、におい……」
アズールの手が私の身体から離れ、ブランケットに抱きついていく。
私の欲望の蜜をたっぷりと染み込ませたブランケットの端をアズールの口元に持っていくと、嬉しそうに口をあけチュッチュと吸い付いた。
これでしばらくはアズールと離れていても大丈夫だろう。
深い眠りに入っているから大丈夫だとは思うが、それでも起こさないようにそっとベッドから出た。
少し離れて頭を冷やしておかないと、夜はまだまだ長いからな。
これでもアズールと12年一緒に過ごし成長を見守ってきたのだ。
アズールと夜を過ごしたことも何度もある。
そういうと少しいかがわしい気もするが、本当に添い寝をするだけだ。
最初こそアズールとの夜に大変な思いをしたこともあったが、今ではアズールの眠りの波もわかるようになってきたから、ほんの少し離れても大丈夫だと感じられるようになってきた。
私の寝室に侵入してくるような愚か者もこの国にはいないから、安心してアズールを一人でも寝かせられる。
もしアズールが目を覚ましそうになっても、すぐに気配を感じられる点で言えば、獣人で良かったと言えるかもしれない。
少しだけあのブランケットにアズールを任せて、静かに寝室を出てから爺を呼んだ。
爺も状況を理解してくれているから、静かに部屋にやってきた。
「ルーディーさま。お疲れさまでございます。紅茶をお淹れいたしましょう」
「ああ、ありがとう」
爺が淹れてくれるハーブティーは、私の昂りを落ち着かせてくれる。
「アズールとの風呂はどうなることかと思ったが、爺の対策のおかげでなんとか乗り切れたな。ただ、あの拘束具はやはり小さすぎたぞ」
「申し訳ございません。今、ルーディーさまのおサイズに合う拘束具をお作りしておりますので、次回には安心してお使いいただけるかと存じます」
「次回?」
「はい。アズールさまは、ルーディーさまのお部屋でのお泊まりを楽しまれているご様子でしたので、今宵一度きりのこととは到底思えませぬ。これからはお泊まりはいつもルーディーさまのお部屋をご希望されると思いますよ。ですから、ルーディーさまのおサイズに合わせた拘束具は必要でございましょう?」
「ああーっ……確かにそうだな。公爵家に私が泊まるよりも随分と楽しそうだった。だが、その度に今夜のような大変な夜を過ごすわけか……」
「あの、ルーディーさま。つかぬことをお聞きいたしますが、お風呂場でのあの雄叫びは本当になんでもなかったのでございますか? アズールさまは勘違いだったと仰っておいででございましたが……」
そう言われて、アズールの可愛らしい果実が私の腕につけられたあの感触が一気に甦る。
「くっ――!!」
「ルーディーさまっ!!」
とてつもない勢いで一瞬のうちに激しい昂りを見せた私の股間に目をやった爺は、顔面蒼白で
「何があったのかお話いただけますか?」
と尋ねてきた。
きっと今、爺の頭の中ではとんでもない事態になっているのだろう。
「アズールが……私に身体を触れられて発情の兆しを見せたのだ。」
「――っ、なんとっ! それではアズールさまのお大事な場所が?」
「ああ、まだ蜜を出すまでには至っていないようだが、反応はしていたな。アズールは初めての反応に驚いて病気かもしれないと不安になり、私の腕にその反応した昂りを触れさせたのだ」
「腕に、お触れになったのでございますか?」
「ああ。雄叫びをあげてしまう気持ちもわかってくれるだろう? 理性がとんでアズールに襲いかからないようにするにはあれしか方法がなかった」
「ルーディーさま……それは……本当に、よくぞ我慢なさいました」
「ふっ。爺が褒めてくれるとは、頑張った甲斐があったというものだな」
そう冗談めかして言ってはみたが、爺の表情を見れば本当に大変なことだったと理解してくれているのだろうな。
「アズールだが、まだ誰もアズールには性教育はしていないのだな?」
「はい。それは間違いございません」
「だが、今回のことで発情の時期が早まるかもしれない。初めての時に間違いが起こらぬように早めに教育はしておいた方が良いのではないか? アズールももう12歳。いくら身体の小さなウサギ族であってもいつ精通が起こっても不思議はないぞ」
「それはそうでございますね。ですが、どなたにアズールさまの性教育をお願いするのでございますか?」
「それは一人しかいないだろう」
「まさか、ルーディーさまでは?」
「違う。私では教育にならぬだろう? アズールの教師はヴェルナーだ。専属護衛としてそばにいることだし、アズールはヴェルナーを信頼している。それにヴェルナーはマクシミリアンの伴侶だ。決して間違いなども起こらない。教師にはうってつけだろう」
私の言葉に爺はなるほどと納得したようだ。
爺としたことがヴェルナーのことを忘れていたようだな。
こんなこともあろうかと私はアズールの専属護衛をマクシミリアンからヴェルナーに変えておいたのだ。
教育はもう少し後でもいいかと思っていたが、こうなった以上少しでも早い方がいい。
今夜を乗り切ったら、すぐにでもヴェルナーに話しておこう。
これで少し、アズールも無防備でなくなれば良いのだが……。
私の胸元に顔を擦り寄せているアズールから甘い匂いが漂ってくる。
アズールが深い眠りに入った証拠だ。
ベッド脇に忍ばせておいたブランケットをそっと手に取り、ゆっくり私とアズールの間に挟み込んでいく。
「うーん、ふふっ……いい、におい……」
アズールの手が私の身体から離れ、ブランケットに抱きついていく。
私の欲望の蜜をたっぷりと染み込ませたブランケットの端をアズールの口元に持っていくと、嬉しそうに口をあけチュッチュと吸い付いた。
これでしばらくはアズールと離れていても大丈夫だろう。
深い眠りに入っているから大丈夫だとは思うが、それでも起こさないようにそっとベッドから出た。
少し離れて頭を冷やしておかないと、夜はまだまだ長いからな。
これでもアズールと12年一緒に過ごし成長を見守ってきたのだ。
アズールと夜を過ごしたことも何度もある。
そういうと少しいかがわしい気もするが、本当に添い寝をするだけだ。
最初こそアズールとの夜に大変な思いをしたこともあったが、今ではアズールの眠りの波もわかるようになってきたから、ほんの少し離れても大丈夫だと感じられるようになってきた。
私の寝室に侵入してくるような愚か者もこの国にはいないから、安心してアズールを一人でも寝かせられる。
もしアズールが目を覚ましそうになっても、すぐに気配を感じられる点で言えば、獣人で良かったと言えるかもしれない。
少しだけあのブランケットにアズールを任せて、静かに寝室を出てから爺を呼んだ。
爺も状況を理解してくれているから、静かに部屋にやってきた。
「ルーディーさま。お疲れさまでございます。紅茶をお淹れいたしましょう」
「ああ、ありがとう」
爺が淹れてくれるハーブティーは、私の昂りを落ち着かせてくれる。
「アズールとの風呂はどうなることかと思ったが、爺の対策のおかげでなんとか乗り切れたな。ただ、あの拘束具はやはり小さすぎたぞ」
「申し訳ございません。今、ルーディーさまのおサイズに合う拘束具をお作りしておりますので、次回には安心してお使いいただけるかと存じます」
「次回?」
「はい。アズールさまは、ルーディーさまのお部屋でのお泊まりを楽しまれているご様子でしたので、今宵一度きりのこととは到底思えませぬ。これからはお泊まりはいつもルーディーさまのお部屋をご希望されると思いますよ。ですから、ルーディーさまのおサイズに合わせた拘束具は必要でございましょう?」
「ああーっ……確かにそうだな。公爵家に私が泊まるよりも随分と楽しそうだった。だが、その度に今夜のような大変な夜を過ごすわけか……」
「あの、ルーディーさま。つかぬことをお聞きいたしますが、お風呂場でのあの雄叫びは本当になんでもなかったのでございますか? アズールさまは勘違いだったと仰っておいででございましたが……」
そう言われて、アズールの可愛らしい果実が私の腕につけられたあの感触が一気に甦る。
「くっ――!!」
「ルーディーさまっ!!」
とてつもない勢いで一瞬のうちに激しい昂りを見せた私の股間に目をやった爺は、顔面蒼白で
「何があったのかお話いただけますか?」
と尋ねてきた。
きっと今、爺の頭の中ではとんでもない事態になっているのだろう。
「アズールが……私に身体を触れられて発情の兆しを見せたのだ。」
「――っ、なんとっ! それではアズールさまのお大事な場所が?」
「ああ、まだ蜜を出すまでには至っていないようだが、反応はしていたな。アズールは初めての反応に驚いて病気かもしれないと不安になり、私の腕にその反応した昂りを触れさせたのだ」
「腕に、お触れになったのでございますか?」
「ああ。雄叫びをあげてしまう気持ちもわかってくれるだろう? 理性がとんでアズールに襲いかからないようにするにはあれしか方法がなかった」
「ルーディーさま……それは……本当に、よくぞ我慢なさいました」
「ふっ。爺が褒めてくれるとは、頑張った甲斐があったというものだな」
そう冗談めかして言ってはみたが、爺の表情を見れば本当に大変なことだったと理解してくれているのだろうな。
「アズールだが、まだ誰もアズールには性教育はしていないのだな?」
「はい。それは間違いございません」
「だが、今回のことで発情の時期が早まるかもしれない。初めての時に間違いが起こらぬように早めに教育はしておいた方が良いのではないか? アズールももう12歳。いくら身体の小さなウサギ族であってもいつ精通が起こっても不思議はないぞ」
「それはそうでございますね。ですが、どなたにアズールさまの性教育をお願いするのでございますか?」
「それは一人しかいないだろう」
「まさか、ルーディーさまでは?」
「違う。私では教育にならぬだろう? アズールの教師はヴェルナーだ。専属護衛としてそばにいることだし、アズールはヴェルナーを信頼している。それにヴェルナーはマクシミリアンの伴侶だ。決して間違いなども起こらない。教師にはうってつけだろう」
私の言葉に爺はなるほどと納得したようだ。
爺としたことがヴェルナーのことを忘れていたようだな。
こんなこともあろうかと私はアズールの専属護衛をマクシミリアンからヴェルナーに変えておいたのだ。
教育はもう少し後でもいいかと思っていたが、こうなった以上少しでも早い方がいい。
今夜を乗り切ったら、すぐにでもヴェルナーに話しておこう。
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