真っ白ウサギの公爵令息はイケメン狼王子の溺愛する許嫁です

波木真帆

文字の大きさ
上 下
103 / 289
第二章

雄叫びの理由

しおりを挟む
<sideルーディー>

私の胸元に顔を擦り寄せているアズールから甘い匂いが漂ってくる。
アズールが深い眠りに入った証拠だ。

ベッド脇に忍ばせておいたブランケットをそっと手に取り、ゆっくり私とアズールの間に挟み込んでいく。

「うーん、ふふっ……いい、におい……」

アズールの手が私の身体から離れ、ブランケットに抱きついていく。
私の欲望の蜜をたっぷりと染み込ませたブランケットの端をアズールの口元に持っていくと、嬉しそうに口をあけチュッチュと吸い付いた。

これでしばらくはアズールと離れていても大丈夫だろう。

深い眠りに入っているから大丈夫だとは思うが、それでも起こさないようにそっとベッドから出た。

少し離れて頭を冷やしておかないと、夜はまだまだ長いからな。

これでもアズールと12年一緒に過ごし成長を見守ってきたのだ。
アズールと夜を過ごしたことも何度もある。
そういうと少しいかがわしい気もするが、本当に添い寝をするだけだ。

最初こそアズールとの夜に大変な思いをしたこともあったが、今ではアズールの眠りの波もわかるようになってきたから、ほんの少し離れても大丈夫だと感じられるようになってきた。

私の寝室に侵入してくるような愚か者もこの国にはいないから、安心してアズールを一人でも寝かせられる。
もしアズールが目を覚ましそうになっても、すぐに気配を感じられる点で言えば、獣人で良かったと言えるかもしれない。

少しだけあのブランケットにアズールを任せて、静かに寝室を出てから爺を呼んだ。

爺も状況を理解してくれているから、静かに部屋にやってきた。

「ルーディーさま。お疲れさまでございます。紅茶をお淹れいたしましょう」

「ああ、ありがとう」

爺が淹れてくれるハーブティーは、私の昂りを落ち着かせてくれる。

「アズールとの風呂はどうなることかと思ったが、爺の対策のおかげでなんとか乗り切れたな。ただ、あの拘束具はやはり小さすぎたぞ」

「申し訳ございません。今、ルーディーさまのおサイズに合う拘束具をお作りしておりますので、次回には安心してお使いいただけるかと存じます」

「次回?」

「はい。アズールさまは、ルーディーさまのお部屋でのお泊まりを楽しまれているご様子でしたので、今宵一度きりのこととは到底思えませぬ。これからはお泊まりはいつもルーディーさまのお部屋をご希望されると思いますよ。ですから、ルーディーさまのおサイズに合わせた拘束具は必要でございましょう?」

「ああーっ……確かにそうだな。公爵家に私が泊まるよりも随分と楽しそうだった。だが、その度に今夜のような大変な夜を過ごすわけか……」

「あの、ルーディーさま。つかぬことをお聞きいたしますが、お風呂場でのあの雄叫びは本当になんでもなかったのでございますか? アズールさまは勘違いだったと仰っておいででございましたが……」

そう言われて、アズールの可愛らしい果実が私の腕につけられたあの感触が一気に甦る。

「くっ――!!」

「ルーディーさまっ!!」

とてつもない勢いで一瞬のうちに激しい昂りを見せた私の股間に目をやった爺は、顔面蒼白で

「何があったのかお話いただけますか?」

と尋ねてきた。
きっと今、爺の頭の中ではとんでもない事態になっているのだろう。

「アズールが……私に身体を触れられて発情の兆しを見せたのだ。」

「――っ、なんとっ! それではアズールさまのお大事な場所が?」

「ああ、まだ蜜を出すまでには至っていないようだが、反応はしていたな。アズールは初めての反応に驚いて病気かもしれないと不安になり、私の腕にその反応した昂りを触れさせたのだ」

「腕に、お触れになったのでございますか?」

「ああ。雄叫びをあげてしまう気持ちもわかってくれるだろう? 理性がとんでアズールに襲いかからないようにするにはあれしか方法がなかった」

「ルーディーさま……それは……本当に、よくぞ我慢なさいました」

「ふっ。爺が褒めてくれるとは、頑張った甲斐があったというものだな」

そう冗談めかして言ってはみたが、爺の表情を見れば本当に大変なことだったと理解してくれているのだろうな。


「アズールだが、まだ誰もアズールには性教育はしていないのだな?」

「はい。それは間違いございません」

「だが、今回のことで発情の時期が早まるかもしれない。初めての時に間違いが起こらぬように早めに教育はしておいた方が良いのではないか? アズールももう12歳。いくら身体の小さなウサギ族であってもいつ精通が起こっても不思議はないぞ」

「それはそうでございますね。ですが、どなたにアズールさまの性教育をお願いするのでございますか?」

「それは一人しかいないだろう」

「まさか、ルーディーさまでは?」

「違う。私では教育にならぬだろう? アズールの教師はヴェルナーだ。専属護衛としてそばにいることだし、アズールはヴェルナーを信頼している。それにヴェルナーはマクシミリアンの伴侶だ。決して間違いなども起こらない。教師にはうってつけだろう」

私の言葉に爺はなるほどと納得したようだ。
爺としたことがヴェルナーのことを忘れていたようだな。

こんなこともあろうかと私はアズールの専属護衛をマクシミリアンからヴェルナーに変えておいたのだ。
教育はもう少し後でもいいかと思っていたが、こうなった以上少しでも早い方がいい。

今夜を乗り切ったら、すぐにでもヴェルナーに話しておこう。

これで少し、アズールも無防備でなくなれば良いのだが……。
しおりを挟む
感想 549

あなたにおすすめの小説

青少年病棟

BL
性に関する診察・治療を行う病院。 小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。 ※性的描写あり。 ※患者・医師ともに全員男性です。 ※主人公の患者は中学一年生設定。 ※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!

古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます! 7/15よりレンタル切り替えとなります。 紙書籍版もよろしくお願いします! 妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。 成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた! これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。 「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」 「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」 「んもおおおっ!」 どうなる、俺の一人暮らし! いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど! ※読み直しナッシング書き溜め。 ※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。  

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

【完結】僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました

楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。 ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。 喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。   「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」 契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。 エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。 ⭐︎表紙イラストは針山糸様に描いていただきました

処理中です...