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第一章
ご褒美
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<sideルーディー>
アズールからの祝いの言葉、私たち二人にそっくりなバロンクンスト、そして、アズールが紙で作ってくれた美しい王冠、それだけで十分満足だったというのに、アズールはさらにケーキまで用意してくれた。
甘いものは得意ではないが、いつもアズールと食べに出かけた時にはアズールが食べきれないものを全て食べ尽くすから、アズールは私が甘いもの好きだと思っている。
でもそれでいい。
甘かろうが辛かろうが、それこそとんでもなくまずいものであろうが、アズールが食べさせてくれるものなら、私にとってそれは全てご馳走になるのだから。
爺が私の目の前に運んできてくれたケーキは、いつもと違ってクリームが歪に塗られ、そしてアズールの好きな果物で覆い尽くされていた。
そのどれもがこの家のシェフが作ったとは思えない様子に、これがアズールの手作りだとすぐにわかった。
流石に火傷する恐れがあったからか、ケーキを焼くことはできなかったようだが、アズールがクリームを塗って果物で彩ったケーキはどこからどう見てもアズールの手作りだ。
私のためにこの小さな手で一生懸命作ってくれたと思うだけで嬉しくなる。
せっかくだからいつものようにアズールから食べさせてもらおうかと思っていると、
「あのね、ぼく、このけーきでしたいことがあって……いい?」
と尋ねてきた。
いいも何も、何をしようとしているのかも見当がつかない。
アズールが作ってくれたケーキを私に食べさせる以外に何があると言うのだろう?
その正体を尋ねると、アズールはいたずらっ子のような笑顔を浮かべながら、爺に声をかけた。
どうやら爺だけはアズールの考えを全て知っているようだ。
爺は運んできたケーキに大きな蝋燭を1本、そして小さな蝋燭を5本立てた。
最初はそれが何を意味するのかはわからなかったが、これが私の誕生日ケーキだったことを思い出し、私の年齢を表しているのではないかと予想した。
爺はそれに火をつけ、広間中の電気を消した。
この部屋にある灯りは今はこのケーキの上の蝋燭だけ。
なんと幻想的で美しいのだろう。
なるほど。アズールの考えとはその美しい灯りをみんなで愛でることだったか。
そう思っていると、突然アズールは金糸雀のような美しい声で歌を歌い始めた。
その歌に聞き覚えもない。
と言うことはこの曲がアズールの作ったものだと言うことだ。
その美しい歌声にただ聞き惚れていると、広間にいた全ての者たちもまたアズールの美しい声に聞き入っているのがわかる。
アズールは満面の笑みを浮かべながら歌い切ると、
「ルー、ろうそくのひを、ふきけして」
と言い出した。
こんなにも美しい火を消すのが勿体無いような気もするが、アズールの考えてくれた演出に異を唱えるわけにはいかな。
加減しながらふぅーと軽く息を吹き出すと、ケーキの上にあった蝋燭の火は一瞬で消え去った。
「わぁーーっ!! ルー、おめでとうっ!!」
ぱちぱちと小さな手で拍手しながら、お祝いの言葉をかけてくれるアズールに倣って、皆も拍手をしながら口々に
「おめでとうございます!」
と声をかけてくれる。
なんと心地良いことだろう。
こんなにも嬉しいとは……っ。
素晴らしい演出だな。
広間の電気が付けられ、得意満面なアズールに
「アズール、ありがとう! 素晴らしい演出だったな。それにあの歌も素晴らしかった。これは全てアズールが考えてくれたのか?」
と問いかけると、一瞬悩んだ様子を見せたものの、
「ルーを、よろこばせたくて、かんがえたの。よろこんでくれて、うれしい」
と笑顔を見せてくれた。
ああ、私の今までの誕生日の中で一番嬉しかったよ。
これも全てアズールのおかげだな。
「あずーるが、たべさせてあげる。はい、あ~ん」
大きなフォークにたっぷりと乗せられたケーキを差し出され、爺は私の後ろで驚いているようだがなんの心配もいらない。
なんせ、私にとってのご馳走なのだから。
「あ~ん」
大きな口を開けると、その口に見合うような大きさのケーキが放り込まれる。
甘い、だがそれ以上に嬉しさが勝つ。
「ああ、最高に美味しいな。こんな美味しいケーキは生まれて初めてだ」
「よかったぁ。ねぇ、ルー。あずーるも、たべたい」
「そうか、じゃあ今度は私が食べさせよう。あ~ん」
アズールは決して喉を詰まらせたりしないように、ほんの少しのクリームをつけた小さめの果物を食べさせる。
それでももぐもぐと必死に口を動かして食べるのだ。
その可愛い食べ姿に思わず顔が綻ぶ。
その姿が見たくて何度も何度も果物を食べさせると、
「ルー、あずーる……もう、おなか、いっぱい。ぽんぽこりんだよ」
とぽっこりと膨らんだお腹を見せてくる。
もちろん服を着たままだが。
「くっ――!!」
それでも私の脳内に一瞬にしてよからぬ妄想が膨らんでしまった。
それだけで痛いほど昂りが張り詰める。
この数日、アズールと離れていたから余計だな。
必死に意識を逸らしながら昂りを鎮めていると、今までの疲れと、そしてお腹がいっぱいになったからかアズールが眠そうに頭を揺らす。
「アズール、パーティーはこれくらいにして、そろそろ休んだほうがいい。こんなにも準備してくれたのだから疲れているのだろう」
「うーん、でもまだごほうびが……」
「ああ、ご褒美……そういえばまだ聞いてなかったな。アズール、私からの褒美は何が欲しいんだ? なんでも好きなものを言うといい。私がなんでも叶えよう」
「わーい、あずーる。ルーと、いっしょに、おねんねしたい。きょう、あずーるの、へやにとまってくれる?」
「え――っ、そ、それは……っ」
「だめ、なの? なんでも、かなえてくれるって、いったのに? ふぇ……っ」
「――っ!! 私が嘘などつくわけがないだろう! わかった、アズールの部屋に一緒に泊まるとしよう! ヴォルフ公爵、アリーシャ殿もよろしく頼む。爺、ベン、すぐに泊まりの準備をしてくれ!」
「は、はい。承知しました」
爺は明らかに心配そうな表情をしているのが目に入ったが、アズールの涙を見ればこうするしかない。
今夜は眠れぬ夜になりそうだが、気合を入れるしかないな。
アズールからの祝いの言葉、私たち二人にそっくりなバロンクンスト、そして、アズールが紙で作ってくれた美しい王冠、それだけで十分満足だったというのに、アズールはさらにケーキまで用意してくれた。
甘いものは得意ではないが、いつもアズールと食べに出かけた時にはアズールが食べきれないものを全て食べ尽くすから、アズールは私が甘いもの好きだと思っている。
でもそれでいい。
甘かろうが辛かろうが、それこそとんでもなくまずいものであろうが、アズールが食べさせてくれるものなら、私にとってそれは全てご馳走になるのだから。
爺が私の目の前に運んできてくれたケーキは、いつもと違ってクリームが歪に塗られ、そしてアズールの好きな果物で覆い尽くされていた。
そのどれもがこの家のシェフが作ったとは思えない様子に、これがアズールの手作りだとすぐにわかった。
流石に火傷する恐れがあったからか、ケーキを焼くことはできなかったようだが、アズールがクリームを塗って果物で彩ったケーキはどこからどう見てもアズールの手作りだ。
私のためにこの小さな手で一生懸命作ってくれたと思うだけで嬉しくなる。
せっかくだからいつものようにアズールから食べさせてもらおうかと思っていると、
「あのね、ぼく、このけーきでしたいことがあって……いい?」
と尋ねてきた。
いいも何も、何をしようとしているのかも見当がつかない。
アズールが作ってくれたケーキを私に食べさせる以外に何があると言うのだろう?
その正体を尋ねると、アズールはいたずらっ子のような笑顔を浮かべながら、爺に声をかけた。
どうやら爺だけはアズールの考えを全て知っているようだ。
爺は運んできたケーキに大きな蝋燭を1本、そして小さな蝋燭を5本立てた。
最初はそれが何を意味するのかはわからなかったが、これが私の誕生日ケーキだったことを思い出し、私の年齢を表しているのではないかと予想した。
爺はそれに火をつけ、広間中の電気を消した。
この部屋にある灯りは今はこのケーキの上の蝋燭だけ。
なんと幻想的で美しいのだろう。
なるほど。アズールの考えとはその美しい灯りをみんなで愛でることだったか。
そう思っていると、突然アズールは金糸雀のような美しい声で歌を歌い始めた。
その歌に聞き覚えもない。
と言うことはこの曲がアズールの作ったものだと言うことだ。
その美しい歌声にただ聞き惚れていると、広間にいた全ての者たちもまたアズールの美しい声に聞き入っているのがわかる。
アズールは満面の笑みを浮かべながら歌い切ると、
「ルー、ろうそくのひを、ふきけして」
と言い出した。
こんなにも美しい火を消すのが勿体無いような気もするが、アズールの考えてくれた演出に異を唱えるわけにはいかな。
加減しながらふぅーと軽く息を吹き出すと、ケーキの上にあった蝋燭の火は一瞬で消え去った。
「わぁーーっ!! ルー、おめでとうっ!!」
ぱちぱちと小さな手で拍手しながら、お祝いの言葉をかけてくれるアズールに倣って、皆も拍手をしながら口々に
「おめでとうございます!」
と声をかけてくれる。
なんと心地良いことだろう。
こんなにも嬉しいとは……っ。
素晴らしい演出だな。
広間の電気が付けられ、得意満面なアズールに
「アズール、ありがとう! 素晴らしい演出だったな。それにあの歌も素晴らしかった。これは全てアズールが考えてくれたのか?」
と問いかけると、一瞬悩んだ様子を見せたものの、
「ルーを、よろこばせたくて、かんがえたの。よろこんでくれて、うれしい」
と笑顔を見せてくれた。
ああ、私の今までの誕生日の中で一番嬉しかったよ。
これも全てアズールのおかげだな。
「あずーるが、たべさせてあげる。はい、あ~ん」
大きなフォークにたっぷりと乗せられたケーキを差し出され、爺は私の後ろで驚いているようだがなんの心配もいらない。
なんせ、私にとってのご馳走なのだから。
「あ~ん」
大きな口を開けると、その口に見合うような大きさのケーキが放り込まれる。
甘い、だがそれ以上に嬉しさが勝つ。
「ああ、最高に美味しいな。こんな美味しいケーキは生まれて初めてだ」
「よかったぁ。ねぇ、ルー。あずーるも、たべたい」
「そうか、じゃあ今度は私が食べさせよう。あ~ん」
アズールは決して喉を詰まらせたりしないように、ほんの少しのクリームをつけた小さめの果物を食べさせる。
それでももぐもぐと必死に口を動かして食べるのだ。
その可愛い食べ姿に思わず顔が綻ぶ。
その姿が見たくて何度も何度も果物を食べさせると、
「ルー、あずーる……もう、おなか、いっぱい。ぽんぽこりんだよ」
とぽっこりと膨らんだお腹を見せてくる。
もちろん服を着たままだが。
「くっ――!!」
それでも私の脳内に一瞬にしてよからぬ妄想が膨らんでしまった。
それだけで痛いほど昂りが張り詰める。
この数日、アズールと離れていたから余計だな。
必死に意識を逸らしながら昂りを鎮めていると、今までの疲れと、そしてお腹がいっぱいになったからかアズールが眠そうに頭を揺らす。
「アズール、パーティーはこれくらいにして、そろそろ休んだほうがいい。こんなにも準備してくれたのだから疲れているのだろう」
「うーん、でもまだごほうびが……」
「ああ、ご褒美……そういえばまだ聞いてなかったな。アズール、私からの褒美は何が欲しいんだ? なんでも好きなものを言うといい。私がなんでも叶えよう」
「わーい、あずーる。ルーと、いっしょに、おねんねしたい。きょう、あずーるの、へやにとまってくれる?」
「え――っ、そ、それは……っ」
「だめ、なの? なんでも、かなえてくれるって、いったのに? ふぇ……っ」
「――っ!! 私が嘘などつくわけがないだろう! わかった、アズールの部屋に一緒に泊まるとしよう! ヴォルフ公爵、アリーシャ殿もよろしく頼む。爺、ベン、すぐに泊まりの準備をしてくれ!」
「は、はい。承知しました」
爺は明らかに心配そうな表情をしているのが目に入ったが、アズールの涙を見ればこうするしかない。
今夜は眠れぬ夜になりそうだが、気合を入れるしかないな。
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