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第一章
僕の楽しみ
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<sideアズール>
「うきゃっ、うきゃっ」
「ふふっ。アズール。とってもご機嫌ね」
「おちょと、おちょと」
「そうね、ずっと楽しみにしていたものね」
お母さまがにっこりと微笑む。
僕はそれを見るだけですごく嬉しい。
でも、今日僕がご機嫌なのは他に理由があるんだ。
あのお披露目会から今日で一ヶ月。
やっと僕専属の護衛騎士さんが決まったってルーが教えてくれてお外に出られることになったんだよ。
前の世界では病室からほとんど出たことはなかったから、僕の世界は本当に小さかった。
太陽の下で駆け回って汗をかくことも、雨の日に傘を差して歩くことも、長靴履いてパシャパシャと水たまりで遊ぶ楽しさも僕は何も知らない。
病室の窓から見える景色だけが季節の移り変わりを教えてくれていた。
結局何も知らないままだった僕がこの世界にやってきて、今度こそお外に出られるかなとずっと楽しみにしていたんだ。
だけど、1歳になるまでは外に出ちゃいけないんだってそう言われていたから、この日をずっと待っていた。
やっと外の世界を楽しめるんだ!!
昨日ルーからそれを教えてもらって、ワクワクで眠れないかと思ったけど、ルーが新しくくれたブランケットに包まったら、あっという間に眠れた。
あのブランケットに包まれているとルーに抱っこされているみたいにすごく安心するんだ。
前にもらったものも凄く安心したけど、いっぱいぎゅーぎゅーして眠ってたら、だんだん安心しなくなってきておかしいなって思ってたところだったから、新しいブランケット貰えてすごく嬉しい。
でも、前のブランケットも気に入っていたから、今はまだルーのところに戻っているんだ。
きっとルーが使ってすぐのやつだと僕も安心するんだろうな。
うん、多分そうだ。
って、話がそれちゃったけど、ぐっすり眠れたから、今日はルーとのお出かけしても元気いっぱい!
ルーが来るまでにはまだ時間がかかるらしいけど、我慢できなくてずっと自分のベッドの上をぴょんぴょん跳ねてる。
なんか、こういう時跳ねてないと落ち着かないんだよね。
なんでだろう、ウサギさんだからかな?
ルー、まだかな?
まだかな、ルー。
ウキウキが抑えられないまま、ぴょんぴょん跳ねていると、僕の耳がピクピクと動いた。
あっ、この足音は!!
ルーだ!!
だんだん近づいてくる!
もうすぐ、もうすぐだ!
扉がバーンと開いた瞬間、ルーの嬉しそうな顔が見えた。
「るーっ!!」
「アズールっ!! ああ、会いたかったぞ!」
ふふっ。昨日も会ったけど、ルーはいつもこう言って抱きしめてくれるんだ。
ルーって可愛いよね。
「おちょと、いくっ! おちょと!」
「アズール、さては私が来るより外に行く方を楽しみにしていたな? 私はこんなにもアズールに会いたかったというのに」
「ちあう! あじゅーるも、あいちゃかっちゃ」
「本当か?」
「そちて、るーと、おちょと、いくー」
「ははっ。そうか。私と出かけるのを楽しみにしていたのなら、ゆるそう」
「あじゅーるも、るー、ゆるちてあげりゅ」
「ははっ。アズールも許してくれるのか。それは嬉しいな」
ルーが嬉しそうに笑いながら、僕を軽々と抱き上げてベッドから出してくれる。
ぎゅって抱きつくと、あのブランケットよりも安心する。
匂いはあのブランケットの方が強く感じるけど、なんでだろう?
「さぁ、待ちに待ったお出かけだ」
「うきゃっ、うきゃっ!」
「と、その前に、アズールに紹介しておこうか。おい、マクシミリアン!」
ルーが大声で誰かを呼ぶと、扉からかっこいい騎士の格好をした男の人が入ってきた。
「わっ! くま、ちゃん?」
「アズール、よくわかったな。マクシミリアンは熊族だ。騎士は強くて力のある熊族が多いんだよ。アズールの専属護衛だから、いつでもアズールを守ってくれるから安心だろう?」
「いちゅも?」
「ああ、そうだよ」
「るーは? るーは、まもっちぇ、くりぇにゃいの? もう、あじゅーるの、ちょばにいにゃい?」
ルーがそばにいてくれないなんて、そんなのやだ……っ。
なんだか急に寂しくなってきて、ルーの顔が滲んで見えなくなってきた。
「――っ!! アズールっ!! そんなことあるわけないだろう!! 私はいつでもアズールを守る!! 決まっているだろう?」
「ほんちょ?」
「ああ、本当だとも!」
「よかっちゃぁー」
ルーに抱きしめられながら、はっきりと言ってもらえて安心した。
だって、僕にとって誰がいてくれるよりもルーがいてくれる方が安心だもん。
「いいか、アズール。基本的にアズールを守るのは私だが、マクシミリアンはその手助けをしてくれるんだ」
「てだちゅけ?」
「ああ。だから、困ったことがあって私がそばにいない時はすぐにマクシミリアンを呼ぶんだ。わかったか?」
「あい。まくち、みい、あん?」
「ふふっ。難しいようだな。うーん、マクシミリアン。どうする?」
「私はマックスと呼んでいただければと存じます」
「アズール、マックスなら言えるか?」
「まっくちゅ?」
「――っ!!! 私、20年以上生きてきて、こんなにも可愛らしく名前を呼ばれたのは初めててございます」
そう言って僕の目の前のクマさん……マックスは、とっても嬉しそうに笑っていた。
「うきゃっ、うきゃっ」
「ふふっ。アズール。とってもご機嫌ね」
「おちょと、おちょと」
「そうね、ずっと楽しみにしていたものね」
お母さまがにっこりと微笑む。
僕はそれを見るだけですごく嬉しい。
でも、今日僕がご機嫌なのは他に理由があるんだ。
あのお披露目会から今日で一ヶ月。
やっと僕専属の護衛騎士さんが決まったってルーが教えてくれてお外に出られることになったんだよ。
前の世界では病室からほとんど出たことはなかったから、僕の世界は本当に小さかった。
太陽の下で駆け回って汗をかくことも、雨の日に傘を差して歩くことも、長靴履いてパシャパシャと水たまりで遊ぶ楽しさも僕は何も知らない。
病室の窓から見える景色だけが季節の移り変わりを教えてくれていた。
結局何も知らないままだった僕がこの世界にやってきて、今度こそお外に出られるかなとずっと楽しみにしていたんだ。
だけど、1歳になるまでは外に出ちゃいけないんだってそう言われていたから、この日をずっと待っていた。
やっと外の世界を楽しめるんだ!!
昨日ルーからそれを教えてもらって、ワクワクで眠れないかと思ったけど、ルーが新しくくれたブランケットに包まったら、あっという間に眠れた。
あのブランケットに包まれているとルーに抱っこされているみたいにすごく安心するんだ。
前にもらったものも凄く安心したけど、いっぱいぎゅーぎゅーして眠ってたら、だんだん安心しなくなってきておかしいなって思ってたところだったから、新しいブランケット貰えてすごく嬉しい。
でも、前のブランケットも気に入っていたから、今はまだルーのところに戻っているんだ。
きっとルーが使ってすぐのやつだと僕も安心するんだろうな。
うん、多分そうだ。
って、話がそれちゃったけど、ぐっすり眠れたから、今日はルーとのお出かけしても元気いっぱい!
ルーが来るまでにはまだ時間がかかるらしいけど、我慢できなくてずっと自分のベッドの上をぴょんぴょん跳ねてる。
なんか、こういう時跳ねてないと落ち着かないんだよね。
なんでだろう、ウサギさんだからかな?
ルー、まだかな?
まだかな、ルー。
ウキウキが抑えられないまま、ぴょんぴょん跳ねていると、僕の耳がピクピクと動いた。
あっ、この足音は!!
ルーだ!!
だんだん近づいてくる!
もうすぐ、もうすぐだ!
扉がバーンと開いた瞬間、ルーの嬉しそうな顔が見えた。
「るーっ!!」
「アズールっ!! ああ、会いたかったぞ!」
ふふっ。昨日も会ったけど、ルーはいつもこう言って抱きしめてくれるんだ。
ルーって可愛いよね。
「おちょと、いくっ! おちょと!」
「アズール、さては私が来るより外に行く方を楽しみにしていたな? 私はこんなにもアズールに会いたかったというのに」
「ちあう! あじゅーるも、あいちゃかっちゃ」
「本当か?」
「そちて、るーと、おちょと、いくー」
「ははっ。そうか。私と出かけるのを楽しみにしていたのなら、ゆるそう」
「あじゅーるも、るー、ゆるちてあげりゅ」
「ははっ。アズールも許してくれるのか。それは嬉しいな」
ルーが嬉しそうに笑いながら、僕を軽々と抱き上げてベッドから出してくれる。
ぎゅって抱きつくと、あのブランケットよりも安心する。
匂いはあのブランケットの方が強く感じるけど、なんでだろう?
「さぁ、待ちに待ったお出かけだ」
「うきゃっ、うきゃっ!」
「と、その前に、アズールに紹介しておこうか。おい、マクシミリアン!」
ルーが大声で誰かを呼ぶと、扉からかっこいい騎士の格好をした男の人が入ってきた。
「わっ! くま、ちゃん?」
「アズール、よくわかったな。マクシミリアンは熊族だ。騎士は強くて力のある熊族が多いんだよ。アズールの専属護衛だから、いつでもアズールを守ってくれるから安心だろう?」
「いちゅも?」
「ああ、そうだよ」
「るーは? るーは、まもっちぇ、くりぇにゃいの? もう、あじゅーるの、ちょばにいにゃい?」
ルーがそばにいてくれないなんて、そんなのやだ……っ。
なんだか急に寂しくなってきて、ルーの顔が滲んで見えなくなってきた。
「――っ!! アズールっ!! そんなことあるわけないだろう!! 私はいつでもアズールを守る!! 決まっているだろう?」
「ほんちょ?」
「ああ、本当だとも!」
「よかっちゃぁー」
ルーに抱きしめられながら、はっきりと言ってもらえて安心した。
だって、僕にとって誰がいてくれるよりもルーがいてくれる方が安心だもん。
「いいか、アズール。基本的にアズールを守るのは私だが、マクシミリアンはその手助けをしてくれるんだ」
「てだちゅけ?」
「ああ。だから、困ったことがあって私がそばにいない時はすぐにマクシミリアンを呼ぶんだ。わかったか?」
「あい。まくち、みい、あん?」
「ふふっ。難しいようだな。うーん、マクシミリアン。どうする?」
「私はマックスと呼んでいただければと存じます」
「アズール、マックスなら言えるか?」
「まっくちゅ?」
「――っ!!! 私、20年以上生きてきて、こんなにも可愛らしく名前を呼ばれたのは初めててございます」
そう言って僕の目の前のクマさん……マックスは、とっても嬉しそうに笑っていた。
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