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第一章
安心させたい
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<sideルーディー>
んっ?
大広間に入ってから、何か嫌な視線を感じる。
アズールの美しさに魅了されているのとは違う。
明らかに私に対して敵対心のようなものを感じる。
どこだ?
アズールに集中しつつも、大広間中に神経を研ぎ澄ませる。
私の能力を持ってすれば、特定などすぐにできるはずだ。
あいつか!
あいつは確か……ホフマン侯爵家のパウルだったか。
大した力も感じないが、やる気なら存分に相手をしてやろう。
もちろんアズールには一切手を出させるつもりはないが。
「るー、ひちょ、たくちゃん。ちゅこち、こあい」
初めて見るたくさんの人たちに怯えたアズールが小声で私に訴えかけてくる。
小さな手で私の服をしっかりと掴んでいる姿がいじらしくもあり、可愛らしくもある。
「大丈夫。私がずっと一緒にいるから怖がらなくていいよ。みんなアズールの誕生日と私たちのお祝いに来てくれたんだ」
「るー、じゅっちょ、いっちょ?」
「ああ。もちろんだ。私とアズールはずっと一緒だよ」
そういうと、アズールは嬉しそうに私に抱きつきながら、皆に笑顔を向けた。
きっと私がそばにいるというのが安心できたのだろう。
それくらい私はアズールの信用を勝ち取っている。
あんなわけのわからない侯爵家の息子などに負けるはずなどない。
「わぁーっ!」
「おおーっ!!」
「なんて美しいっ!!」
突然大広間中に地鳴りのような声が響いたのはさっきのアズールの笑顔を見たものたちの反応の大きさだ。
そのあまりにも大きな声に
「うにゃっ!!」
と声をあげ、私に抱きついてくる。
私の上着の中に隠れようとするほど怖かったようだ。
「皆の者! 私の大事な息子になる者を怖がらせてはならぬっ!!」
父上が玉座から声を張り上げ注意すると、今まで騒がしかった大広間は一気に水を打ったような静けさを取り戻した。
「アズール、もう大丈夫だぞ」
そう声をかけてみたものの、可愛いお尻をフリフリさせながら私の服の中へ頭を入れ込んでいく。
怖がっているアズールには悪いのだが、その姿は可愛すぎる。
私はその姿を誰にもみられないように全力で隠すしかなかった。
急いで自分たちの席に向かうと、父上の後ろに控えていた爺がさっとブランケットを渡してくれた。
やはり爺は頼りになる。
手渡されたブランケットでアズールの身体が見えないように覆い隠し、もう一度
「もう大丈夫だぞ」
と声をかけるとようやく上着から耳だけを出してくれた。
小刻みにフルフルと揺れると、まだ少し怯えながらもゆっくりと可愛らしい顔を見せてくれた。
「こあかっちゃの」
「そうだな。アズールは耳が敏感で小さな音も拾ってしまうからな。父上が大声を出さないように皆に注意したからもう大丈夫だぞ」
「ほんちょ?」
「ああ。私も一緒にいるからな」
「るー、あいあと。いいにおいちゅるー」
「アズール、私にお礼を言うときはほっぺたにキス、するんだろう?」
「あー、ちょっかぁ。わちゅれちぇた、るー、ちゅーっ」
「――っ!!」
アズールの可愛らしい小さな唇が私の毛むくじゃらの頬に触れる。
こんなにもふさふさの毛で覆われているというのに、アズールの唇が触れたところはすぐにわかる。
「ふふっ。ふしゃふしゃのもふもふぅー。あじゅーる、るーのほっぺ、ちゅき!」
「くはっ!!」
アズールの無垢な煽りに心が鷲掴みにされる。
ああ、もう本当にアズールは一体私をどうしたいのだろう。
<sideクローヴィス(ヴンダーシューン王国の国王でルーディーの父)>
大広間に入場してすぐにアズールの美しさに招待客の視線が釘付けになったのがわかった。
だが、その中に何か違う感情が蠢いているのがわかったが、それがどこから発せられているのかまでは見当がつかなかった。
そっとルーディーに視線を送れば、さすが『神の御意志』として生まれただけあって、ならずものをすでに見つけているようだ。
その者が何かしようとも、もうすでに袋の鼠同然。
ルーディーに目をつけられてただで済んだ者は未だかつて一人もいないのだから。
アズールは初めて見る大勢の人の姿にすっかり怯えてしまっている。
ただでさえ、ウサギ族は大きな音に弱く、人見知りだと聞いている。
まだ1歳になったばかりのアズールにはたくさんの者たちから注がれる視線に耐えきれなかったのだろう。
必死にルーディーの影に隠れようとするのがいじらしく思えて、私は皆に注意を与えた。
その静まり返った隙にルーディーはアズールを連れ、自分たちの席に着いた。
フィデリオがすぐにアズールを落ち着かせるためのブランケットを手渡したが、ルーディーはアズールに夢中で気づいていないようだな。
あれはルーディーが幼少の頃から使っていたブランケット。
いわば、ルーディーの匂いがたっぷりと染み込んでいる。
これならアズールもすぐに落ち着くことだろう。
んっ?
大広間に入ってから、何か嫌な視線を感じる。
アズールの美しさに魅了されているのとは違う。
明らかに私に対して敵対心のようなものを感じる。
どこだ?
アズールに集中しつつも、大広間中に神経を研ぎ澄ませる。
私の能力を持ってすれば、特定などすぐにできるはずだ。
あいつか!
あいつは確か……ホフマン侯爵家のパウルだったか。
大した力も感じないが、やる気なら存分に相手をしてやろう。
もちろんアズールには一切手を出させるつもりはないが。
「るー、ひちょ、たくちゃん。ちゅこち、こあい」
初めて見るたくさんの人たちに怯えたアズールが小声で私に訴えかけてくる。
小さな手で私の服をしっかりと掴んでいる姿がいじらしくもあり、可愛らしくもある。
「大丈夫。私がずっと一緒にいるから怖がらなくていいよ。みんなアズールの誕生日と私たちのお祝いに来てくれたんだ」
「るー、じゅっちょ、いっちょ?」
「ああ。もちろんだ。私とアズールはずっと一緒だよ」
そういうと、アズールは嬉しそうに私に抱きつきながら、皆に笑顔を向けた。
きっと私がそばにいるというのが安心できたのだろう。
それくらい私はアズールの信用を勝ち取っている。
あんなわけのわからない侯爵家の息子などに負けるはずなどない。
「わぁーっ!」
「おおーっ!!」
「なんて美しいっ!!」
突然大広間中に地鳴りのような声が響いたのはさっきのアズールの笑顔を見たものたちの反応の大きさだ。
そのあまりにも大きな声に
「うにゃっ!!」
と声をあげ、私に抱きついてくる。
私の上着の中に隠れようとするほど怖かったようだ。
「皆の者! 私の大事な息子になる者を怖がらせてはならぬっ!!」
父上が玉座から声を張り上げ注意すると、今まで騒がしかった大広間は一気に水を打ったような静けさを取り戻した。
「アズール、もう大丈夫だぞ」
そう声をかけてみたものの、可愛いお尻をフリフリさせながら私の服の中へ頭を入れ込んでいく。
怖がっているアズールには悪いのだが、その姿は可愛すぎる。
私はその姿を誰にもみられないように全力で隠すしかなかった。
急いで自分たちの席に向かうと、父上の後ろに控えていた爺がさっとブランケットを渡してくれた。
やはり爺は頼りになる。
手渡されたブランケットでアズールの身体が見えないように覆い隠し、もう一度
「もう大丈夫だぞ」
と声をかけるとようやく上着から耳だけを出してくれた。
小刻みにフルフルと揺れると、まだ少し怯えながらもゆっくりと可愛らしい顔を見せてくれた。
「こあかっちゃの」
「そうだな。アズールは耳が敏感で小さな音も拾ってしまうからな。父上が大声を出さないように皆に注意したからもう大丈夫だぞ」
「ほんちょ?」
「ああ。私も一緒にいるからな」
「るー、あいあと。いいにおいちゅるー」
「アズール、私にお礼を言うときはほっぺたにキス、するんだろう?」
「あー、ちょっかぁ。わちゅれちぇた、るー、ちゅーっ」
「――っ!!」
アズールの可愛らしい小さな唇が私の毛むくじゃらの頬に触れる。
こんなにもふさふさの毛で覆われているというのに、アズールの唇が触れたところはすぐにわかる。
「ふふっ。ふしゃふしゃのもふもふぅー。あじゅーる、るーのほっぺ、ちゅき!」
「くはっ!!」
アズールの無垢な煽りに心が鷲掴みにされる。
ああ、もう本当にアズールは一体私をどうしたいのだろう。
<sideクローヴィス(ヴンダーシューン王国の国王でルーディーの父)>
大広間に入場してすぐにアズールの美しさに招待客の視線が釘付けになったのがわかった。
だが、その中に何か違う感情が蠢いているのがわかったが、それがどこから発せられているのかまでは見当がつかなかった。
そっとルーディーに視線を送れば、さすが『神の御意志』として生まれただけあって、ならずものをすでに見つけているようだ。
その者が何かしようとも、もうすでに袋の鼠同然。
ルーディーに目をつけられてただで済んだ者は未だかつて一人もいないのだから。
アズールは初めて見る大勢の人の姿にすっかり怯えてしまっている。
ただでさえ、ウサギ族は大きな音に弱く、人見知りだと聞いている。
まだ1歳になったばかりのアズールにはたくさんの者たちから注がれる視線に耐えきれなかったのだろう。
必死にルーディーの影に隠れようとするのがいじらしく思えて、私は皆に注意を与えた。
その静まり返った隙にルーディーはアズールを連れ、自分たちの席に着いた。
フィデリオがすぐにアズールを落ち着かせるためのブランケットを手渡したが、ルーディーはアズールに夢中で気づいていないようだな。
あれはルーディーが幼少の頃から使っていたブランケット。
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これならアズールもすぐに落ち着くことだろう。
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