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第一章
お揃いの衣装
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<sideアズール>
僕たちの部屋に入ると、テーブルの上に大きな箱が二つ乗せられているのが見えた。
これかな、これかな?
「るーっ、こりぇ?」
「ああ、そうだよ。こっちの箱がアズールの。そして、こちらが私のだ」
「るーも、おきがえ、しゅるの?」
「ああ。お揃いを着るのだろう?」
「ちょっかぁ……ふふっ、ちゃのちみぃ」
「アズールは自分で箱を開けられるか?」
「あけりゅーっ!」
「ふふっ。ならば、あっちでゆっくり開けよう」
僕の言葉にルーは嬉しそうに僕を抱っこしたまま、もう片方の手で服が入っている箱を二箱とも重ねて軽々と持ち上げ、ふわふわの絨毯の上に腰をおろした。
僕はもちろん、ルーの膝の上だ。
もふもふのしっぽが僕に巻きついているのは、僕が万が一にも膝から落ちたりしないように守ってくれているんだ。
ルーが後ろからぎゅっと抱きしめてくれているから、絶対に落ちたりはしないと思うけどね。
「ほら、ここのリボンを引っ張ってごらん」
言われた通り、片方のリボンを引っ張るとするりとリボンが解けた。
わぁっ!
考えてみたら、初めての誕生日プレゼントだ!!
いつも嬉しそうにリボンを外していた子たちの気持ちが今ならよくわかる。
リボンを外す時って、何が入っているかっていうドキドキ感がたまらない。
まるで宝箱でも開けるみたいにワクワクしてしまう。
みんなこんな楽しみを味わっていたんだな。
箱の蓋に手をかけて開けようとするけれど、意外と重い。
さりげなくルーが僕の手と一緒に箱を持ち上げてくれる。
「ふふっ、あいあと」
ルーを見上げてお礼を言うと、ルーは嬉しそうに笑ってくれた。
ルーと一緒に蓋を開けると、中に薄っぺらい紙が被さっていた。
これなら僕でも取れそう!
それを摘んでさっと取り去ると、
「わぁーっ!!」
箱の中に、ルーの上着にそっくりな服が綺麗に畳まれているのが見える。
触ってもいいのかな?
汚したりしないかな?
ドキドキしながら、ルーを見上げると
「いいんだよ。アズールのだから、触ってみてくれ」
と言ってくれる。
一生懸命箱の中に手を伸ばして、その服に触れるとびっくりするくらいに柔らかい。
しかも、僕でも持ち上げられるほど軽い。
見た目はルーの服とそっくりなのに、なんでこんなに柔らかくて気持ちがいいんだろう……。
不思議だ。
柔らかくて薄くて、首にフリルがたくさんついたシャツ。
その上から着るルーのにそっくりのかっこいい上着。
そして、僕の足の長さにぴったりな上着とお揃いのズボン。
そのどれもがかっこいい。
「うきゃあーっ!!」
あっ! 興奮しすぎて変な声が出ちゃった。
だけど、そんな声を出してもルーは嬉しそうに笑って僕をみてくれる。
その優しさに安心する。
「アズールが喜んでくれて嬉しいよ。これは全て柔らかくて軽い毛糸で仕立てたんだ。見た目は私のと同じに見えるだろう? マティアスたちが私の思っていた通りに作り上げてくれたんだよ。これでお揃いが着られるな。ほら、アズール。みてごらん。私の衣装も、アズールのにそっくりだろう?」
ルーはもう一つの箱を開け、ルーの服を見せてくれた。
「わぁっ、あじゅーるのと、おんなじーっ!!」
「そうだろう? でもほら、触ったらわかる」
「あっ、おもちゃい」
「ふふっ。これだとアズールがすぐに疲れてしまうからな。こっちのがいいだろう?」
「あじゅーる、こっち、いいーっ」
「ふふっ。二人で揃いで着るのが楽しみだな」
「るー、あいあと」
「お礼を言うなら、ここにキスしてくれるか?」
「きちゅ?」
「ああ。1歳の記念だ。私の頬にチューっとしてくれたらいい」
「ふふっ。きねんーっ」
僕はルーをよじ登るように膝の上で立ち上がり、ルーのもふもふのほっぺたにちゅーっと唇を当てた。
もふもふが唇に当たる感触は柔らかい毛布に口つけたみたいで、なんだかとても面白かった。
「るー、うれちぃ?」
「ああ。アズール、とっても嬉しいよ。でも約束してくれ。今日からキスは私とだけだ。いいか?」
「るー、らけ?」
「ああ、そうだ。約束できるか?」
「おとーちゃま、おかーちゃま、おにーちゃま、は?」
「うーん、それがあったか……まぁ、仕方がない。家族だけなら許そう。でもそれ以外はダメだ」
よかった、お父さま、お母さま、お兄さまが大丈夫なら何も問題ないもんね。
「わかっちゃーっ!!」
「よし、アズール。いい子だな」
僕が大きな声で返事をすると、もふもふのしっぽが嬉しそうにたくさん動いた。
最近はあまり動かなくなって寂しかったけど、今日は前に戻ったみたいで嬉しいな。
でも、フサフサのもふもふがいっぱい動いていると、なんでこんなに楽しいんだろうな……。
僕たちの部屋に入ると、テーブルの上に大きな箱が二つ乗せられているのが見えた。
これかな、これかな?
「るーっ、こりぇ?」
「ああ、そうだよ。こっちの箱がアズールの。そして、こちらが私のだ」
「るーも、おきがえ、しゅるの?」
「ああ。お揃いを着るのだろう?」
「ちょっかぁ……ふふっ、ちゃのちみぃ」
「アズールは自分で箱を開けられるか?」
「あけりゅーっ!」
「ふふっ。ならば、あっちでゆっくり開けよう」
僕の言葉にルーは嬉しそうに僕を抱っこしたまま、もう片方の手で服が入っている箱を二箱とも重ねて軽々と持ち上げ、ふわふわの絨毯の上に腰をおろした。
僕はもちろん、ルーの膝の上だ。
もふもふのしっぽが僕に巻きついているのは、僕が万が一にも膝から落ちたりしないように守ってくれているんだ。
ルーが後ろからぎゅっと抱きしめてくれているから、絶対に落ちたりはしないと思うけどね。
「ほら、ここのリボンを引っ張ってごらん」
言われた通り、片方のリボンを引っ張るとするりとリボンが解けた。
わぁっ!
考えてみたら、初めての誕生日プレゼントだ!!
いつも嬉しそうにリボンを外していた子たちの気持ちが今ならよくわかる。
リボンを外す時って、何が入っているかっていうドキドキ感がたまらない。
まるで宝箱でも開けるみたいにワクワクしてしまう。
みんなこんな楽しみを味わっていたんだな。
箱の蓋に手をかけて開けようとするけれど、意外と重い。
さりげなくルーが僕の手と一緒に箱を持ち上げてくれる。
「ふふっ、あいあと」
ルーを見上げてお礼を言うと、ルーは嬉しそうに笑ってくれた。
ルーと一緒に蓋を開けると、中に薄っぺらい紙が被さっていた。
これなら僕でも取れそう!
それを摘んでさっと取り去ると、
「わぁーっ!!」
箱の中に、ルーの上着にそっくりな服が綺麗に畳まれているのが見える。
触ってもいいのかな?
汚したりしないかな?
ドキドキしながら、ルーを見上げると
「いいんだよ。アズールのだから、触ってみてくれ」
と言ってくれる。
一生懸命箱の中に手を伸ばして、その服に触れるとびっくりするくらいに柔らかい。
しかも、僕でも持ち上げられるほど軽い。
見た目はルーの服とそっくりなのに、なんでこんなに柔らかくて気持ちがいいんだろう……。
不思議だ。
柔らかくて薄くて、首にフリルがたくさんついたシャツ。
その上から着るルーのにそっくりのかっこいい上着。
そして、僕の足の長さにぴったりな上着とお揃いのズボン。
そのどれもがかっこいい。
「うきゃあーっ!!」
あっ! 興奮しすぎて変な声が出ちゃった。
だけど、そんな声を出してもルーは嬉しそうに笑って僕をみてくれる。
その優しさに安心する。
「アズールが喜んでくれて嬉しいよ。これは全て柔らかくて軽い毛糸で仕立てたんだ。見た目は私のと同じに見えるだろう? マティアスたちが私の思っていた通りに作り上げてくれたんだよ。これでお揃いが着られるな。ほら、アズール。みてごらん。私の衣装も、アズールのにそっくりだろう?」
ルーはもう一つの箱を開け、ルーの服を見せてくれた。
「わぁっ、あじゅーるのと、おんなじーっ!!」
「そうだろう? でもほら、触ったらわかる」
「あっ、おもちゃい」
「ふふっ。これだとアズールがすぐに疲れてしまうからな。こっちのがいいだろう?」
「あじゅーる、こっち、いいーっ」
「ふふっ。二人で揃いで着るのが楽しみだな」
「るー、あいあと」
「お礼を言うなら、ここにキスしてくれるか?」
「きちゅ?」
「ああ。1歳の記念だ。私の頬にチューっとしてくれたらいい」
「ふふっ。きねんーっ」
僕はルーをよじ登るように膝の上で立ち上がり、ルーのもふもふのほっぺたにちゅーっと唇を当てた。
もふもふが唇に当たる感触は柔らかい毛布に口つけたみたいで、なんだかとても面白かった。
「るー、うれちぃ?」
「ああ。アズール、とっても嬉しいよ。でも約束してくれ。今日からキスは私とだけだ。いいか?」
「るー、らけ?」
「ああ、そうだ。約束できるか?」
「おとーちゃま、おかーちゃま、おにーちゃま、は?」
「うーん、それがあったか……まぁ、仕方がない。家族だけなら許そう。でもそれ以外はダメだ」
よかった、お父さま、お母さま、お兄さまが大丈夫なら何も問題ないもんね。
「わかっちゃーっ!!」
「よし、アズール。いい子だな」
僕が大きな声で返事をすると、もふもふのしっぽが嬉しそうにたくさん動いた。
最近はあまり動かなくなって寂しかったけど、今日は前に戻ったみたいで嬉しいな。
でも、フサフサのもふもふがいっぱい動いていると、なんでこんなに楽しいんだろうな……。
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