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第一章
僕が元気にさせよう!
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<sideクレイ>
朝食のためにダイニングルームに向かおうとすると、ベンに家族用のダイニングルームに案内されたから驚いた。
てっきり朝食も、昨夜の食事の時と同じようにあの広いダイニングルームだと思っていたのに。
もしかしたら、王子とアズールは別で食事をするんだろうか?
そう思いながら、ダイニングルームに足を踏み入れると、そこにはいつものようにお母さまの隣にアズールが座っていて、王子の姿は見えなかった。
「あれ? 父上、もう王子さまはお帰りになったのですか?」
「んっ? ああ、そうなんだ。今日は城で抜けられない用事があったのかもしれないな」
「そうなんですね。じゃあ、また後でお越しになるのですか?」
「いや、今日はどうだろう? 難しいのではないかな」
昨夜はルーディー王子がお泊まりされて、すごく楽しそうだったアズールはなんだか寂しそうだ。
きっと朝食も一緒に食べられるんだと思っていたんだろうし、その後も一緒に過ごすつもりだったんだろうな。
「はふーっ」
寂しそうにため息をついているように見える。
やっぱり寂しいんだな。
ここは兄として、僕がアズールを元気にさせるところだな。
よしっ!!
「じゃあ、お母さま。今日は僕がアズールにご飯を食べさせるよ」
「えっ? でも……アズールのお世話をしながらだとクレイが食べられないでしょう? クレイだって、育ち盛りなのだから朝からしっかり食べておかないとお昼まで持たないわよ」
「お母さま、大丈夫だよ。僕、昨日王子さまがご飯を食べているところをじっくり見てたんだ! ちゃんとアズールを見ながら、僕もご飯も食べられるよ!! 任せてっ!!」
トンと胸を叩きながら自信満々に言うと、
「アリーシャ。クレイがそこまで言ってくれているんだ。今日はクレイに任せるとしよう。アズールもクレイに食べさせて欲しいだろう?」
「あいっ!! にぃにっ!!」
さっきまでの寂しそうな表情から一変。キラキラとした目で僕を見つめてくれるアズールがとても可愛い。
「ほら、お母さま。アズールもそう言ってくれているよ」
「ふふっ。そうね。じゃあ、今日はクレイにお願いするわ。ベン、アズールの椅子をクレイの隣に」
「承知しました」
ベンが僕の席のすぐ隣にアズールの椅子をつけて、お母さまがそっとアズールを座らせてくれる。
「にぃにっ」
「ふふっ。ご挨拶してからだよ。アズール」
「いただきまーす」
「たたたーたきまーちゅ」
「ふふっ。ちょっと『た』が多かった気もするけど」
「ふぇっ?」
「ああ、いいんだよ。大丈夫。上手にご挨拶できてたよ」
耳に触れないように優しく頭を撫でてやると、サラサラの髪の毛が僕の指をくすぐっていく。
「わぁ、お母さま。アズールの髪、すっごくサラサラで綺麗だね」
「ふふっ。そうね。ウサギ族の髪は繊細だから、優しくね」
「はーい」
アズールは僕に頭を撫でられて嬉しそうに笑っている。
ああ、可愛い弟が生まれてよかったな。
「アズール、なにから食べたい?」
「にぃに」
「えっ? 僕?」
「んーん、にぃに」
「アズール、わからないよ」
「ふぇーん」
「あっ、アズール。泣かないで」
助けを求めてお母さまに視線を向けると、お母さまは口には出さず、視線だけで教えてくれた。
あーっ! なるほど。
「アズール、これだろう?」
フォークで刺して、アズールの口に人参を持っていくとアズールは嬉しそうに目を輝かせながら口を開けた。
もぐもぐと小さな口を動かして食べているのがものすごく可愛い。
「ふふっ。そういえば、昨日も美味しそうに食べていたね。これはそんなに美味しいの?」
そういうと、アズールは食べかけの人参の端を手でちぎり取って
「どーじょ、にぃに」
と小さな手で手渡してくれる。
「えっ? いいの?」
「だぁっ!!」
本当にいいのかな? と思ってお母さまを見ると、頷いてくれている。
そっか、もらっていいんだ。
「アズール。ありがとう」
お礼を言って、アズールの小さな手から人参のかけらをもらって、パクッと口に放り込むとジュワっと甘ったるい汁が口の中に広がった。
歯がなくてもすぐに潰れてしまうほどくたくたに煮てある人参は、僕の知っている人参とは全くの別物だった。
うわっ、なにこれ……っ。
全然美味しくないんだけど……。
「にぃに、おいちっ?」
キラキラと嬉しそうな目で見上げてくるアズールを前に、まずいなんて絶対に言えない。
そんなこと言ったら絶対に泣いてしまう。
でも、口の中にある人参はあんなにも小さかったのに、とてつもなく主張していて飲み込むのもやっとだ。
必死に喉の奥に飲み込んで
「あ、ああ。とってもおいしかったよ」
と言うと、
「もっちょ、どーじょ」
とお皿を指さしてくる。
「えっ? あ、あの……アズールの分がなくなっちゃうからもう大丈夫だよ。ありがとう」
断ると一瞬寂しそうな顔を見せたけれど、頭を撫でてやると機嫌が治ったようでホッとした。
「ふふっ。さぁ、クレイ。お肉もたくさん食べなさい」
お母さまが僕の目の前にお肉がたくさん入ったお皿を置いてくれる。
僕は昨夜の王子のようにアズールに野菜を食べさせながら、自分のご飯を口に運んでいく。
大きな骨付きの肉をガブリと口に入れると、ジュワっと肉汁が溢れてくる。
ああ、やっぱり僕はこっちがいい。
アズールもいつかこんなお肉が食べられるようになるといいな。
そうしたら、一緒に分け合いっこして食べられるのに。
そうだ、今度もし王子とまた食卓を囲む機会があったら、アズールのご飯を王子に食べてもらおうか。
あのまずい野菜を食べて、どんな反応するか楽しみだな。
ちょっと思いついてしまったいたずらに楽しくなりながら、あっという間に食事の時間が終わった。
朝食のためにダイニングルームに向かおうとすると、ベンに家族用のダイニングルームに案内されたから驚いた。
てっきり朝食も、昨夜の食事の時と同じようにあの広いダイニングルームだと思っていたのに。
もしかしたら、王子とアズールは別で食事をするんだろうか?
そう思いながら、ダイニングルームに足を踏み入れると、そこにはいつものようにお母さまの隣にアズールが座っていて、王子の姿は見えなかった。
「あれ? 父上、もう王子さまはお帰りになったのですか?」
「んっ? ああ、そうなんだ。今日は城で抜けられない用事があったのかもしれないな」
「そうなんですね。じゃあ、また後でお越しになるのですか?」
「いや、今日はどうだろう? 難しいのではないかな」
昨夜はルーディー王子がお泊まりされて、すごく楽しそうだったアズールはなんだか寂しそうだ。
きっと朝食も一緒に食べられるんだと思っていたんだろうし、その後も一緒に過ごすつもりだったんだろうな。
「はふーっ」
寂しそうにため息をついているように見える。
やっぱり寂しいんだな。
ここは兄として、僕がアズールを元気にさせるところだな。
よしっ!!
「じゃあ、お母さま。今日は僕がアズールにご飯を食べさせるよ」
「えっ? でも……アズールのお世話をしながらだとクレイが食べられないでしょう? クレイだって、育ち盛りなのだから朝からしっかり食べておかないとお昼まで持たないわよ」
「お母さま、大丈夫だよ。僕、昨日王子さまがご飯を食べているところをじっくり見てたんだ! ちゃんとアズールを見ながら、僕もご飯も食べられるよ!! 任せてっ!!」
トンと胸を叩きながら自信満々に言うと、
「アリーシャ。クレイがそこまで言ってくれているんだ。今日はクレイに任せるとしよう。アズールもクレイに食べさせて欲しいだろう?」
「あいっ!! にぃにっ!!」
さっきまでの寂しそうな表情から一変。キラキラとした目で僕を見つめてくれるアズールがとても可愛い。
「ほら、お母さま。アズールもそう言ってくれているよ」
「ふふっ。そうね。じゃあ、今日はクレイにお願いするわ。ベン、アズールの椅子をクレイの隣に」
「承知しました」
ベンが僕の席のすぐ隣にアズールの椅子をつけて、お母さまがそっとアズールを座らせてくれる。
「にぃにっ」
「ふふっ。ご挨拶してからだよ。アズール」
「いただきまーす」
「たたたーたきまーちゅ」
「ふふっ。ちょっと『た』が多かった気もするけど」
「ふぇっ?」
「ああ、いいんだよ。大丈夫。上手にご挨拶できてたよ」
耳に触れないように優しく頭を撫でてやると、サラサラの髪の毛が僕の指をくすぐっていく。
「わぁ、お母さま。アズールの髪、すっごくサラサラで綺麗だね」
「ふふっ。そうね。ウサギ族の髪は繊細だから、優しくね」
「はーい」
アズールは僕に頭を撫でられて嬉しそうに笑っている。
ああ、可愛い弟が生まれてよかったな。
「アズール、なにから食べたい?」
「にぃに」
「えっ? 僕?」
「んーん、にぃに」
「アズール、わからないよ」
「ふぇーん」
「あっ、アズール。泣かないで」
助けを求めてお母さまに視線を向けると、お母さまは口には出さず、視線だけで教えてくれた。
あーっ! なるほど。
「アズール、これだろう?」
フォークで刺して、アズールの口に人参を持っていくとアズールは嬉しそうに目を輝かせながら口を開けた。
もぐもぐと小さな口を動かして食べているのがものすごく可愛い。
「ふふっ。そういえば、昨日も美味しそうに食べていたね。これはそんなに美味しいの?」
そういうと、アズールは食べかけの人参の端を手でちぎり取って
「どーじょ、にぃに」
と小さな手で手渡してくれる。
「えっ? いいの?」
「だぁっ!!」
本当にいいのかな? と思ってお母さまを見ると、頷いてくれている。
そっか、もらっていいんだ。
「アズール。ありがとう」
お礼を言って、アズールの小さな手から人参のかけらをもらって、パクッと口に放り込むとジュワっと甘ったるい汁が口の中に広がった。
歯がなくてもすぐに潰れてしまうほどくたくたに煮てある人参は、僕の知っている人参とは全くの別物だった。
うわっ、なにこれ……っ。
全然美味しくないんだけど……。
「にぃに、おいちっ?」
キラキラと嬉しそうな目で見上げてくるアズールを前に、まずいなんて絶対に言えない。
そんなこと言ったら絶対に泣いてしまう。
でも、口の中にある人参はあんなにも小さかったのに、とてつもなく主張していて飲み込むのもやっとだ。
必死に喉の奥に飲み込んで
「あ、ああ。とってもおいしかったよ」
と言うと、
「もっちょ、どーじょ」
とお皿を指さしてくる。
「えっ? あ、あの……アズールの分がなくなっちゃうからもう大丈夫だよ。ありがとう」
断ると一瞬寂しそうな顔を見せたけれど、頭を撫でてやると機嫌が治ったようでホッとした。
「ふふっ。さぁ、クレイ。お肉もたくさん食べなさい」
お母さまが僕の目の前にお肉がたくさん入ったお皿を置いてくれる。
僕は昨夜の王子のようにアズールに野菜を食べさせながら、自分のご飯を口に運んでいく。
大きな骨付きの肉をガブリと口に入れると、ジュワっと肉汁が溢れてくる。
ああ、やっぱり僕はこっちがいい。
アズールもいつかこんなお肉が食べられるようになるといいな。
そうしたら、一緒に分け合いっこして食べられるのに。
そうだ、今度もし王子とまた食卓を囲む機会があったら、アズールのご飯を王子に食べてもらおうか。
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