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番外編
緊張の対面
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『天涯孤独になった僕をイケメン外国人が甘やかしてくれます』と対になっています。
楽しんでいただけたら嬉しいです♡
* * *
「理央、ほらこっちにおいで。そろそろ着陸態勢に入るぞ」
榊くんと楽しそうに話をしているところだが、仕方がない。
それでも声をかけると理央は素直に俺の元に戻ってきた。
素直で本当にいい子だ。
一人ずつシートベルトはつけるものの、通常の飛行機とは違ってペアシートになっているから俺たちの身体が遮るものが何もなく、ピッタリ寄り添ったままだ。
悠木は空良くんの腰にシートベルトをつけているが、寄り添うどころか、自分の胸に空良くんをもたれかけさせて寝かせている。
朝食の時もずっと眠そうだったからな。
あんなになるとわかっていても、空良くんと愛し合っていたんだろう。
あの様子だときっと明け方近くまで楽しんでいたに違いない。
あいつは本当に鬼畜だな。
あんなんじゃなかったと思ったがやっぱり最愛ができると変わるんだろうな。
だんだんと高度が下がってきて建物が見えるようになってくると、理央は窓の外を嬉しそうに眺めて始めた。
「この下はもうフランスですか?」
「ああ、そうだな。見える景色も日本とは違うだろう?」
「はい。本当に絵本の世界みたい!」
「フランスは昔の街並みも残っているからな。理央が気に入ったら、ゆくゆくはヨーロッパに住んでも構わないぞ」
「えっ! そんなことできるんですか?」
「ああ。フランスで司法試験に受かれば、EUの中ならどこでも弁護士として働けるからな。フランスでなくても問題ないよ」
「すごーい!!」
「ふふっ。理央が俺のそばで働いてくれるなら、俺はどこでもやれるよ」
「凌也さん……」
そうだ。
働く場所はどこでもいい。
理央さえいてくれさえすればそれで……。
フランスでは二人で街を散歩するのもいいな。
理央の夢が広がるかもしれない。
あんなひどい場所で成長してきた理央は自分の夢を見ることすら諦めて、ただ毎日の仕事を終わらせることに必死だった。
そんな理央を俺の手で救い出せたことは本当に幸運だったんだ。
本当に見つけられてよかった。
そんな思いが込み上げてきて、俺は理央をギュッと抱きしめた。
「理央の夢を叶えるのが俺の夢だから……理央はなんでも好きにしてくれていいんだぞ」
「僕はどこで暮らしてもいいからずーっと凌也さんのそばにいたいです。夢、叶えてくれますか?」
「理央――っ、ああ。もちろんだ。誰がなんと言っても離さないよ」
「ふふっ。嬉しい」
理央と抱き合いながら甘い甘いキスを交わしている間に、飛行機は無事にパリ国際空港に到着した。
「わぁー、ドキドキするーっ!!」
飛行機を降りてロレーヌ総帥たちとの待ち合わせ場所に向かう間中、理央は何度も何度も飛び跳ねながら嬉しい感情を表していた。
「ふふっ。もう何度も話したりしているんだろう? 同じ年だし緊張しなくても大丈夫だろう?」
「でも……テレビ電話とか写真で見たときはすっごく大人っぽくて同じ年には見えなかったですよ」
「ああ、弓弦くんは父親がフランス人だからな、そのせいだろう。日本人は比較的童顔だと言われることが多いからな」
「僕のこと子どもだって思われるかも……」
「気にしないでいい。そのままの理央を俺は愛しているんだから……」
「凌也さん……」
嬉しそうに抱きついてくる理央を抱き上げると、一瞬喜んだものの
「あっ、下ります」
と恥ずかしそうに言い出した。
きっと佳都くんや空良くんの視線が気になったのだろう。
俺たちはすでに家族だし、もうすぐ挙式もして正式な夫夫になるんだから姫抱っこくらい気にしなくてもいいのだが。
仕方ない。
ここはいうことを聞いてやるか。
優しく理央を下ろし、その代わりに理央の腰に手を回してピッタリと寄り添わせた。
先を行く、綾城と佳都くんが到着口にさしかかった途端
「ケイトーーっ!!」
と大きな声が空港に響き渡った。
その声に俺たち全員が視線を向けると、俺たちの目の先にとてつもなく目立つ集団がいた。
あの絶対的王者の風格を醸し出しているのがロレーヌ総帥だ。
リモートで直接話はしたが、やはり実物のオーラは半端ないな。
そのすぐ隣にいるのがおそらく弓弦くんだろう。
あのオーラに圧倒されないなんて、弓弦くんも意外と大物かもしれないな。
大声をあげながら我々に手を振っているのがミシェルさんか。
天使の音を奏でると言われるだけあって見た目も可愛らしいな。
まぁ理央には敵わないが。
その隣で周りの者たちに威嚇を放っているのがロレーヌ総帥の秘書のセルジュさん。
ロレーヌ一族だけあって、こちらもオーラは半端ない。
彼らを守るように立っているのが護衛兼家庭教師のリュカさんとパリ警視庁警備隊長のジョルジュさん。
どこからの気配にもすぐに対応できるように満遍なく意識を向けているようだな。
さすがだ。
こんなに目立つ集団と行動を共にするのか……。
理央には誰にも手出しされないように俺がしっかりと守らないとな。
「凌也さん、早く弓弦くんたちのところに行きたいです」
「ああ、そうだな。急ごう」
綾城と佳都くんの跡を追うようについていくと、
「ようこそ! フランスに!!」
と弓弦くんとミシェルさんに歓迎され、理央は嬉しそうだ。
友達に出迎えてもらえるなんて初めての経験だからな。
やっぱり友達ができて本当によかった。
理央は早速弓弦くんたちと、佳都くんたちと7人で集まってきゃっきゃと楽しそうに話をしている。
可愛らしい子猫がたくさん集まって笑顔で話をしているのを見ると癒されるな。
「ロレーヌ、目立ちすぎだぞ」
「悪い、こんなに集まるとは思ってなかったんだよ。とりあえず車を用意しているから、話は後にして屋敷に行こう。君たち、悪いが自分の伴侶を連れてついてきてくれ」
ロレーヌ総帥の言葉に俺はすぐに理央の元に行き、到着口で集まっていると他の人の邪魔になるからといって納得させ、ロレーヌ総帥の後に続いて駐車場へ向かった。
『天涯孤独になった僕をイケメン外国人が甘やかしてくれます』と対になっています。
楽しんでいただけたら嬉しいです♡
* * *
「理央、ほらこっちにおいで。そろそろ着陸態勢に入るぞ」
榊くんと楽しそうに話をしているところだが、仕方がない。
それでも声をかけると理央は素直に俺の元に戻ってきた。
素直で本当にいい子だ。
一人ずつシートベルトはつけるものの、通常の飛行機とは違ってペアシートになっているから俺たちの身体が遮るものが何もなく、ピッタリ寄り添ったままだ。
悠木は空良くんの腰にシートベルトをつけているが、寄り添うどころか、自分の胸に空良くんをもたれかけさせて寝かせている。
朝食の時もずっと眠そうだったからな。
あんなになるとわかっていても、空良くんと愛し合っていたんだろう。
あの様子だときっと明け方近くまで楽しんでいたに違いない。
あいつは本当に鬼畜だな。
あんなんじゃなかったと思ったがやっぱり最愛ができると変わるんだろうな。
だんだんと高度が下がってきて建物が見えるようになってくると、理央は窓の外を嬉しそうに眺めて始めた。
「この下はもうフランスですか?」
「ああ、そうだな。見える景色も日本とは違うだろう?」
「はい。本当に絵本の世界みたい!」
「フランスは昔の街並みも残っているからな。理央が気に入ったら、ゆくゆくはヨーロッパに住んでも構わないぞ」
「えっ! そんなことできるんですか?」
「ああ。フランスで司法試験に受かれば、EUの中ならどこでも弁護士として働けるからな。フランスでなくても問題ないよ」
「すごーい!!」
「ふふっ。理央が俺のそばで働いてくれるなら、俺はどこでもやれるよ」
「凌也さん……」
そうだ。
働く場所はどこでもいい。
理央さえいてくれさえすればそれで……。
フランスでは二人で街を散歩するのもいいな。
理央の夢が広がるかもしれない。
あんなひどい場所で成長してきた理央は自分の夢を見ることすら諦めて、ただ毎日の仕事を終わらせることに必死だった。
そんな理央を俺の手で救い出せたことは本当に幸運だったんだ。
本当に見つけられてよかった。
そんな思いが込み上げてきて、俺は理央をギュッと抱きしめた。
「理央の夢を叶えるのが俺の夢だから……理央はなんでも好きにしてくれていいんだぞ」
「僕はどこで暮らしてもいいからずーっと凌也さんのそばにいたいです。夢、叶えてくれますか?」
「理央――っ、ああ。もちろんだ。誰がなんと言っても離さないよ」
「ふふっ。嬉しい」
理央と抱き合いながら甘い甘いキスを交わしている間に、飛行機は無事にパリ国際空港に到着した。
「わぁー、ドキドキするーっ!!」
飛行機を降りてロレーヌ総帥たちとの待ち合わせ場所に向かう間中、理央は何度も何度も飛び跳ねながら嬉しい感情を表していた。
「ふふっ。もう何度も話したりしているんだろう? 同じ年だし緊張しなくても大丈夫だろう?」
「でも……テレビ電話とか写真で見たときはすっごく大人っぽくて同じ年には見えなかったですよ」
「ああ、弓弦くんは父親がフランス人だからな、そのせいだろう。日本人は比較的童顔だと言われることが多いからな」
「僕のこと子どもだって思われるかも……」
「気にしないでいい。そのままの理央を俺は愛しているんだから……」
「凌也さん……」
嬉しそうに抱きついてくる理央を抱き上げると、一瞬喜んだものの
「あっ、下ります」
と恥ずかしそうに言い出した。
きっと佳都くんや空良くんの視線が気になったのだろう。
俺たちはすでに家族だし、もうすぐ挙式もして正式な夫夫になるんだから姫抱っこくらい気にしなくてもいいのだが。
仕方ない。
ここはいうことを聞いてやるか。
優しく理央を下ろし、その代わりに理央の腰に手を回してピッタリと寄り添わせた。
先を行く、綾城と佳都くんが到着口にさしかかった途端
「ケイトーーっ!!」
と大きな声が空港に響き渡った。
その声に俺たち全員が視線を向けると、俺たちの目の先にとてつもなく目立つ集団がいた。
あの絶対的王者の風格を醸し出しているのがロレーヌ総帥だ。
リモートで直接話はしたが、やはり実物のオーラは半端ないな。
そのすぐ隣にいるのがおそらく弓弦くんだろう。
あのオーラに圧倒されないなんて、弓弦くんも意外と大物かもしれないな。
大声をあげながら我々に手を振っているのがミシェルさんか。
天使の音を奏でると言われるだけあって見た目も可愛らしいな。
まぁ理央には敵わないが。
その隣で周りの者たちに威嚇を放っているのがロレーヌ総帥の秘書のセルジュさん。
ロレーヌ一族だけあって、こちらもオーラは半端ない。
彼らを守るように立っているのが護衛兼家庭教師のリュカさんとパリ警視庁警備隊長のジョルジュさん。
どこからの気配にもすぐに対応できるように満遍なく意識を向けているようだな。
さすがだ。
こんなに目立つ集団と行動を共にするのか……。
理央には誰にも手出しされないように俺がしっかりと守らないとな。
「凌也さん、早く弓弦くんたちのところに行きたいです」
「ああ、そうだな。急ごう」
綾城と佳都くんの跡を追うようについていくと、
「ようこそ! フランスに!!」
と弓弦くんとミシェルさんに歓迎され、理央は嬉しそうだ。
友達に出迎えてもらえるなんて初めての経験だからな。
やっぱり友達ができて本当によかった。
理央は早速弓弦くんたちと、佳都くんたちと7人で集まってきゃっきゃと楽しそうに話をしている。
可愛らしい子猫がたくさん集まって笑顔で話をしているのを見ると癒されるな。
「ロレーヌ、目立ちすぎだぞ」
「悪い、こんなに集まるとは思ってなかったんだよ。とりあえず車を用意しているから、話は後にして屋敷に行こう。君たち、悪いが自分の伴侶を連れてついてきてくれ」
ロレーヌ総帥の言葉に俺はすぐに理央の元に行き、到着口で集まっていると他の人の邪魔になるからといって納得させ、ロレーヌ総帥の後に続いて駐車場へ向かった。
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