50 / 82
番外編
理央のために※
しおりを挟む
結婚式を挙げられることになったと理央に告げるお話です……が、なぜか変な方向に……。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
時間的なお話の都合を考慮して少し加筆修正しています。
* * *
<side凌也>
「ねぇ、凌也さん。どこに行くの?」
「ふふっ。もうすぐ着くよ」
綾城からあの嬉しい電話をもらってからしっかりと計画を整え、ようやく理央に話ができるようになったある日の休日。
理央を車に乗せて、このやりとりを何度か繰り返しながら、到着したのはA県とS県の県境にある秘湯として有名な温泉地。
「わぁーっ! すごいっ! 街の至る所から湯気が上がってる。凌也さん、ここって……」
「温泉だよ。たまには勉強の疲れを癒さないとな。理央は毎日頑張ってるから」
「凌也さんの方がずっとずっと頑張ってますよ」
「ふふっ。ありがとう。だから今日はゆっくりここで過ごそう」
俺の言葉に理央は嬉しそうに笑って、車窓から見える景色に見入っていた。
今日の目的地であるホテルはプライバシーに重視した全室離れの温泉宿。
各部屋に大きな露天風呂がついており、決して他の客とは会わない構造になっている。
宿泊客は政治家や各国の王族などが多く、一般人はこの宿の存在すら知らないがここは父・久嗣の友人がオーナーを務めている関係で、よく泊まりに来ていた。
と言っても、俺が初めてここに泊まったのは18歳の頃。
大学の入学祝いに連れてきてもらったのが初めてだ。
その時に、俺のことも周知してもらい、それ以来俺の名前でも予約が取れるようになった。
綾城や悠木にも紹介して、今では彼らもここに泊まることができる。
ここなら可愛い理央を誰にも見られることもなく愛でることができて、きっと楽しい時間を過ごせるはずだ。
部屋ごとにあてがわれた専属のスタッフに部屋に案内されたのは、この宿の中でも一番グレードの高い部屋。
なんと言っても大事な日だ。
この部屋が空いていて本当に良かった。
部屋に入ると、理央は嬉しそうに窓から外の景色を眺めていた。
「凌也さん、すっごく綺麗で……それに空気も美味し――んんっ!」
目を輝かせながら嬉しそうに振り向く理央の可愛い表情に我慢できずに、さっと抱きかかえて唇を奪った。
最初こそ驚いていたが、すぐに俺のキスに応えるように理央からも舌を絡めてくる。
クチュクチュと唾液を絡めながら理央の口内を堪能すると、理央は嬉しそうに唾液をコクリと飲み込んだ。
「理央……愛してる」
「んっ、ぼくも……りょーやさんが、すきぃ……っ」
ああ、本当に可愛いな。
「理央、せっかく来たんだから温泉に入ろう」
「でも、まだお昼ですよ……お風呂は夜じゃ……」
「ふふっ。温泉はいつでも入っていいんだよ。ほら、こっちにおいで」
理央を抱きかかえたまま、露天風呂へ連れていくと、寝室からそのまま繋がった露天風呂の目の前には美しい自然の山々が見える。
「綺麗っ!!」
「だろう? 昼間の景色と夜の景色は全然違うんだ。だから、また夜にもゆっくり入ろう」
すっかり露天風呂に魅了されたような表情を見せる理央をあっという間に脱がせ、俺はわざと理央に見せつけるように裸になった。
タオルで隠したりはしない。
すでに昂っている姿を見せつけると、理央は俺のを見ながらゴクリと息を呑んだ。
「凌也さんの……すっごくおっきぃ……っ」
「理央が可愛いからだよ」
「――っ、凌也、さんったら……」
「ほら、おいで理央」
手を広げると、すぐに近づいてくる。
一糸絡わぬ姿で抱き合うと、理央の温もりも少し早い鼓動も、それに興奮して勃ち上がっている理央の可愛いモノも全て感じられる。
ああ、これを幸せと言わずになんというのだろう。
理央を抱き上げ、まずは軽く身体を流し、湯船に浸かった。
後ろから抱きしめるように俺の膝に座らせ景色を眺める。
「理央……今、幸せか?」
「もちろんです! 大好きな凌也さんがずっとそばにいてくれて……優しくて素敵なお父さんとお母さんができて……その上、お友達までできて……僕が生きてきた中で今が一番幸せです」
「そうか……だが、俺はまだ足りないな」
「えっ? 足りない?」
理央はびっくりしたように俺を振り返り、向かい合わせに座った。
「足りないんですか?」
「ああ、俺は理央が俺の伴侶になったって、もっとみんなに見せびらかしたいんだ。だから……俺と結婚式をあげないか?」
「――っ!!! け、っこん、しき……ほ、んと……?」
「ああ、本当だとも。クリスマスにフランスに行こう」
「クリスマス……フランス……それって、佳都さんの……?」
「ああ、そうだ。あのお城で結婚式を挙げるんだ。理央、嬉しいか?」
大喜びすると思っていた。
でも……理央は俺の言葉に微動だにせず、じっと俺を見つめていた。
「理、央? どうし――っ!!!」
突然理央の綺麗な目から涙がつーっと溢れてきて、驚いて抱きしめると
「僕……嬉しくって……凌也さん……ありがとう」
とか細い声で一生懸命教えてくれた。
「理央……俺の方こそ、ありがとうだよ。理央がいなかったら、一生誰とも結婚しようなんて思えなかった」
「凌也、さん……」
「今年のクリスマスは楽しく過ごそうな。結婚式以外にもプレゼントをあげるから……理央、クリスマスプレゼントの希望はあるか?」
「クリスマス、プレゼント……?」
「ああ、何が欲しい? 理央の欲しいものなら、何でも揃えてやるよ」
理央は俺の言葉にニコッと笑顔を見せたと思ったら、
「ふふっ。凌也さんったら、冗談ばっかり」
と一蹴されてしまった。
「? 冗談じゃないよ、なんでも欲しいものをあげるから欲しいものを言ってごらん」
「クリスマスプレゼントはサンタさんが良い子にだけ持ってきてくれるんですよ。僕は悪い子だから、貰えないんです」
「な――っ、理央が、悪い子? どうしてだ?」
「ちっちゃい子たちのお世話もしっかりできなかったし、勉強もしちゃいけないって言われてたのをこっそり隠れてやってたから……きっとサンタさんもそれがわかってたから、来てくれなかったんです」
「理央……」
「それに僕は18になっちゃったから……もう大人ですもんね。サンタさんって赤い服着て白いお髭つけてるんですよね。それにトナカイに乗ってやってくるって……凌也さんは小さい頃に会えましたか? 僕も一度くらい会ってみたかったな……」
そんなふうにしみじみと言われたら、どうしてもその願いを叶えてやりたくなって、
「理央、大丈夫だよ。フランスでは18までサンタクロースが来てくれるんだ。だから、結婚式でフランスに行ったら、その時にサンタが理央の元に来てくれるよ!」
咄嗟にそう叫んでしまっていた。
「本当ですかっ!!! 嬉しいっ!!! 結婚式もできてサンタさんにも会えるなんて!!!!」
目を輝かせて思いっきり喜んでいる理央を悲しませるわけにはいかない。
俺は綾城と悠木に近々相談にいくと心に決めた。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
時間的なお話の都合を考慮して少し加筆修正しています。
* * *
<side凌也>
「ねぇ、凌也さん。どこに行くの?」
「ふふっ。もうすぐ着くよ」
綾城からあの嬉しい電話をもらってからしっかりと計画を整え、ようやく理央に話ができるようになったある日の休日。
理央を車に乗せて、このやりとりを何度か繰り返しながら、到着したのはA県とS県の県境にある秘湯として有名な温泉地。
「わぁーっ! すごいっ! 街の至る所から湯気が上がってる。凌也さん、ここって……」
「温泉だよ。たまには勉強の疲れを癒さないとな。理央は毎日頑張ってるから」
「凌也さんの方がずっとずっと頑張ってますよ」
「ふふっ。ありがとう。だから今日はゆっくりここで過ごそう」
俺の言葉に理央は嬉しそうに笑って、車窓から見える景色に見入っていた。
今日の目的地であるホテルはプライバシーに重視した全室離れの温泉宿。
各部屋に大きな露天風呂がついており、決して他の客とは会わない構造になっている。
宿泊客は政治家や各国の王族などが多く、一般人はこの宿の存在すら知らないがここは父・久嗣の友人がオーナーを務めている関係で、よく泊まりに来ていた。
と言っても、俺が初めてここに泊まったのは18歳の頃。
大学の入学祝いに連れてきてもらったのが初めてだ。
その時に、俺のことも周知してもらい、それ以来俺の名前でも予約が取れるようになった。
綾城や悠木にも紹介して、今では彼らもここに泊まることができる。
ここなら可愛い理央を誰にも見られることもなく愛でることができて、きっと楽しい時間を過ごせるはずだ。
部屋ごとにあてがわれた専属のスタッフに部屋に案内されたのは、この宿の中でも一番グレードの高い部屋。
なんと言っても大事な日だ。
この部屋が空いていて本当に良かった。
部屋に入ると、理央は嬉しそうに窓から外の景色を眺めていた。
「凌也さん、すっごく綺麗で……それに空気も美味し――んんっ!」
目を輝かせながら嬉しそうに振り向く理央の可愛い表情に我慢できずに、さっと抱きかかえて唇を奪った。
最初こそ驚いていたが、すぐに俺のキスに応えるように理央からも舌を絡めてくる。
クチュクチュと唾液を絡めながら理央の口内を堪能すると、理央は嬉しそうに唾液をコクリと飲み込んだ。
「理央……愛してる」
「んっ、ぼくも……りょーやさんが、すきぃ……っ」
ああ、本当に可愛いな。
「理央、せっかく来たんだから温泉に入ろう」
「でも、まだお昼ですよ……お風呂は夜じゃ……」
「ふふっ。温泉はいつでも入っていいんだよ。ほら、こっちにおいで」
理央を抱きかかえたまま、露天風呂へ連れていくと、寝室からそのまま繋がった露天風呂の目の前には美しい自然の山々が見える。
「綺麗っ!!」
「だろう? 昼間の景色と夜の景色は全然違うんだ。だから、また夜にもゆっくり入ろう」
すっかり露天風呂に魅了されたような表情を見せる理央をあっという間に脱がせ、俺はわざと理央に見せつけるように裸になった。
タオルで隠したりはしない。
すでに昂っている姿を見せつけると、理央は俺のを見ながらゴクリと息を呑んだ。
「凌也さんの……すっごくおっきぃ……っ」
「理央が可愛いからだよ」
「――っ、凌也、さんったら……」
「ほら、おいで理央」
手を広げると、すぐに近づいてくる。
一糸絡わぬ姿で抱き合うと、理央の温もりも少し早い鼓動も、それに興奮して勃ち上がっている理央の可愛いモノも全て感じられる。
ああ、これを幸せと言わずになんというのだろう。
理央を抱き上げ、まずは軽く身体を流し、湯船に浸かった。
後ろから抱きしめるように俺の膝に座らせ景色を眺める。
「理央……今、幸せか?」
「もちろんです! 大好きな凌也さんがずっとそばにいてくれて……優しくて素敵なお父さんとお母さんができて……その上、お友達までできて……僕が生きてきた中で今が一番幸せです」
「そうか……だが、俺はまだ足りないな」
「えっ? 足りない?」
理央はびっくりしたように俺を振り返り、向かい合わせに座った。
「足りないんですか?」
「ああ、俺は理央が俺の伴侶になったって、もっとみんなに見せびらかしたいんだ。だから……俺と結婚式をあげないか?」
「――っ!!! け、っこん、しき……ほ、んと……?」
「ああ、本当だとも。クリスマスにフランスに行こう」
「クリスマス……フランス……それって、佳都さんの……?」
「ああ、そうだ。あのお城で結婚式を挙げるんだ。理央、嬉しいか?」
大喜びすると思っていた。
でも……理央は俺の言葉に微動だにせず、じっと俺を見つめていた。
「理、央? どうし――っ!!!」
突然理央の綺麗な目から涙がつーっと溢れてきて、驚いて抱きしめると
「僕……嬉しくって……凌也さん……ありがとう」
とか細い声で一生懸命教えてくれた。
「理央……俺の方こそ、ありがとうだよ。理央がいなかったら、一生誰とも結婚しようなんて思えなかった」
「凌也、さん……」
「今年のクリスマスは楽しく過ごそうな。結婚式以外にもプレゼントをあげるから……理央、クリスマスプレゼントの希望はあるか?」
「クリスマス、プレゼント……?」
「ああ、何が欲しい? 理央の欲しいものなら、何でも揃えてやるよ」
理央は俺の言葉にニコッと笑顔を見せたと思ったら、
「ふふっ。凌也さんったら、冗談ばっかり」
と一蹴されてしまった。
「? 冗談じゃないよ、なんでも欲しいものをあげるから欲しいものを言ってごらん」
「クリスマスプレゼントはサンタさんが良い子にだけ持ってきてくれるんですよ。僕は悪い子だから、貰えないんです」
「な――っ、理央が、悪い子? どうしてだ?」
「ちっちゃい子たちのお世話もしっかりできなかったし、勉強もしちゃいけないって言われてたのをこっそり隠れてやってたから……きっとサンタさんもそれがわかってたから、来てくれなかったんです」
「理央……」
「それに僕は18になっちゃったから……もう大人ですもんね。サンタさんって赤い服着て白いお髭つけてるんですよね。それにトナカイに乗ってやってくるって……凌也さんは小さい頃に会えましたか? 僕も一度くらい会ってみたかったな……」
そんなふうにしみじみと言われたら、どうしてもその願いを叶えてやりたくなって、
「理央、大丈夫だよ。フランスでは18までサンタクロースが来てくれるんだ。だから、結婚式でフランスに行ったら、その時にサンタが理央の元に来てくれるよ!」
咄嗟にそう叫んでしまっていた。
「本当ですかっ!!! 嬉しいっ!!! 結婚式もできてサンタさんにも会えるなんて!!!!」
目を輝かせて思いっきり喜んでいる理央を悲しませるわけにはいかない。
俺は綾城と悠木に近々相談にいくと心に決めた。
応援ありがとうございます!
23
お気に入りに追加
1,797
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる