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番外編
幸せを願って
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『イケメンスパダリ店主は愛する人が鈍感で無防備で可愛すぎて困っています』で崇史が東京で周平たちと飲み会をしたその後のお話です。
今、連載中の
『エリート警察官僚はようやく見つけた運命の相手を甘やかしたくてたまらない!』の裏話に続くようなお話になっていますので楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
崇史くんたちとの飲み会を終えて、私と敬介はイリゼホテル銀座の中にある、オーナー部屋に向かった。
ここは清掃を含めて敬介しか立ち入らない敬介だけの部屋だったが、今では敬介と私だけの部屋になっている。
清掃は入らずとも倉橋くんが開発した自動シーツ交換機能がついたベッドや、死角なく隅々まで床掃除ができるロボット、そのほか、風呂場やトイレの清掃もボタンひとつで丸洗いできるシステムを導入しているため、常にピカピカを維持している。それらのシステムは私たちの住む自宅にも導入して極力家事にかかる時間を部屋し、その分敬介との愛の時間に費やしている。
「敬介、疲れていないか? おいで」
一足早くソファーに腰を下ろし、敬介を呼ぶと嬉しそうに駆け寄ってくる。
私の腕の中にすっぽりとおさまる敬介を抱きしめながら、唇を奪う。
甘い味はさっき食べていたスイーツの味だろう。
甘いものはそこまで得意ではないが、敬介の味がするなら別だ。
極上のスイーツをたっぷりと味わって唇を離した。
「敬介とのキスは最高だな」
「俺も、周平さんとのキス、大好きですよ」
広い部屋なのにソファーの片隅で小さくなって座るのも、これはこれで心地いい。
「それにしても真壁さん……驚きましたね」
「ああ。確かにあれは驚いたな。何も聞いてなかったから特にだな」
「周平さん、寂しい?」
「いや、私も敬介と幸せな時間を過ごしているんだ。ずっと心配していた後輩が幸せを手にしたのならこれ以上嬉しいことはないよ。これで、あの四人組もみんな幸せになった」
「でも、明日から一緒に暮らすって言ってましたし 八尋さんへのあの態度もおかしかったし、まだ思いが通じ合っているようには感じなかったですけど……」
やはり敬介もそれを感じたか。
私も同じだ。
「ああ。あれは、牽制しているとしか思えなかったな。だが、どうして冬貴は崇史くんに牽制なんか?」
「何か勘違いしているのかもしれませんね。真壁さんのお相手は八尋さんのお祖父さんの秘書をやっていた人だと言ってましたし……」
「勘違い、か……。そうだな、私も少し勘違いしていたことがあったから冬貴の気持ちは分からんでもないな」
「周平さんが勘違い、ですか?」
「敬介があまりにも涼平や倉橋くんと仲が良かったからな。どちらかに気があるんじゃないかとは思っていたよ。特に倉橋くんはバイだからね。敬介さえ、本気を出せばすぐにそんな関係になってしまうんじゃないかと思って心配していた」
「だから、三人で事務所作るという話になった時に倉橋とあって話をしたんですか?」
「ああ。そうなんだ。もし、少しでも気があるようなら速攻で引き離すつもりでいたよ」
敬介のやっぱり……とでも言いたげな表情に、きっと涼平たちからこの話を聞いていたんだろうということが察せられた。
「引いてるか?」
「いえ。そんなにまで俺のことを思ってくれてたのに、俺には会いに来てくれなかったんだなってがっかりしただけです」
「――っ、それは……」
「わかってます。言って、もう二度と会えなくなるくらいならずっと見守っているだけで……って思ってくれたんですよね。嬉しいです。もし…‥あの時、すぐに声をかけてくれていたとしても、当時の俺がその気持ちに答えられるかも今はわからないし、今更その時のことを後悔しても意味はないから、今は周平さんとこうしていられることを幸せだと感じます」
「敬介……」
「周平さん……今日はたっぷり愛して……」
「ああ。仰せのままに……」
敬介を抱きかかえてベッドに向かう。
そのまま敬介の綺麗な裸を堪能し、欲望の蜜を敬介とともに出し合って、ベッドのボタンを押して風呂場に向かった。
何度も蜜を出したからかぐったりと私の身を預ける敬介とともにベッドに戻ってくると、もう綺麗なシーツに替わっていた。
これは愛しい者と暮らすなら必需品だろう。
冬貴も一緒に暮らすことにしたと言っていたから、このベッドを祝いとして贈るように倉橋くんに連絡をしておこうか。
私でさえも引越しの時に一度入っただけで他に人を入れたことがないあの部屋に、出会ったばかりの彼を入れるくらいだ。
しかも一緒に暮らすだなんて、今までの冬貴なら絶対に考えられない。
それは私も全く同じだ。
敬介以外の人間は家族でも入れたことがない。
その私が敬介だけはその日のうちに連れ帰ったのだからな。
まぁあの時はしこたま酔っ払っていたから他に連れて行く場所がなかったという理由もあるが……。
あの可愛い寝顔を他の人には見せたくないという心理も働いていた。
だから冬貴が早々に彼との同居を決めたのはそんな理由もあるに違いない。
ようやく訪れた冬貴の春。
私にできる限りのことはしてやろう。
そう思っていたが、まさか敬介が冬貴の大事な人である久代要くんと親友になるとは夢にも思っていなかった。
今、連載中の
『エリート警察官僚はようやく見つけた運命の相手を甘やかしたくてたまらない!』の裏話に続くようなお話になっていますので楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
崇史くんたちとの飲み会を終えて、私と敬介はイリゼホテル銀座の中にある、オーナー部屋に向かった。
ここは清掃を含めて敬介しか立ち入らない敬介だけの部屋だったが、今では敬介と私だけの部屋になっている。
清掃は入らずとも倉橋くんが開発した自動シーツ交換機能がついたベッドや、死角なく隅々まで床掃除ができるロボット、そのほか、風呂場やトイレの清掃もボタンひとつで丸洗いできるシステムを導入しているため、常にピカピカを維持している。それらのシステムは私たちの住む自宅にも導入して極力家事にかかる時間を部屋し、その分敬介との愛の時間に費やしている。
「敬介、疲れていないか? おいで」
一足早くソファーに腰を下ろし、敬介を呼ぶと嬉しそうに駆け寄ってくる。
私の腕の中にすっぽりとおさまる敬介を抱きしめながら、唇を奪う。
甘い味はさっき食べていたスイーツの味だろう。
甘いものはそこまで得意ではないが、敬介の味がするなら別だ。
極上のスイーツをたっぷりと味わって唇を離した。
「敬介とのキスは最高だな」
「俺も、周平さんとのキス、大好きですよ」
広い部屋なのにソファーの片隅で小さくなって座るのも、これはこれで心地いい。
「それにしても真壁さん……驚きましたね」
「ああ。確かにあれは驚いたな。何も聞いてなかったから特にだな」
「周平さん、寂しい?」
「いや、私も敬介と幸せな時間を過ごしているんだ。ずっと心配していた後輩が幸せを手にしたのならこれ以上嬉しいことはないよ。これで、あの四人組もみんな幸せになった」
「でも、明日から一緒に暮らすって言ってましたし 八尋さんへのあの態度もおかしかったし、まだ思いが通じ合っているようには感じなかったですけど……」
やはり敬介もそれを感じたか。
私も同じだ。
「ああ。あれは、牽制しているとしか思えなかったな。だが、どうして冬貴は崇史くんに牽制なんか?」
「何か勘違いしているのかもしれませんね。真壁さんのお相手は八尋さんのお祖父さんの秘書をやっていた人だと言ってましたし……」
「勘違い、か……。そうだな、私も少し勘違いしていたことがあったから冬貴の気持ちは分からんでもないな」
「周平さんが勘違い、ですか?」
「敬介があまりにも涼平や倉橋くんと仲が良かったからな。どちらかに気があるんじゃないかとは思っていたよ。特に倉橋くんはバイだからね。敬介さえ、本気を出せばすぐにそんな関係になってしまうんじゃないかと思って心配していた」
「だから、三人で事務所作るという話になった時に倉橋とあって話をしたんですか?」
「ああ。そうなんだ。もし、少しでも気があるようなら速攻で引き離すつもりでいたよ」
敬介のやっぱり……とでも言いたげな表情に、きっと涼平たちからこの話を聞いていたんだろうということが察せられた。
「引いてるか?」
「いえ。そんなにまで俺のことを思ってくれてたのに、俺には会いに来てくれなかったんだなってがっかりしただけです」
「――っ、それは……」
「わかってます。言って、もう二度と会えなくなるくらいならずっと見守っているだけで……って思ってくれたんですよね。嬉しいです。もし…‥あの時、すぐに声をかけてくれていたとしても、当時の俺がその気持ちに答えられるかも今はわからないし、今更その時のことを後悔しても意味はないから、今は周平さんとこうしていられることを幸せだと感じます」
「敬介……」
「周平さん……今日はたっぷり愛して……」
「ああ。仰せのままに……」
敬介を抱きかかえてベッドに向かう。
そのまま敬介の綺麗な裸を堪能し、欲望の蜜を敬介とともに出し合って、ベッドのボタンを押して風呂場に向かった。
何度も蜜を出したからかぐったりと私の身を預ける敬介とともにベッドに戻ってくると、もう綺麗なシーツに替わっていた。
これは愛しい者と暮らすなら必需品だろう。
冬貴も一緒に暮らすことにしたと言っていたから、このベッドを祝いとして贈るように倉橋くんに連絡をしておこうか。
私でさえも引越しの時に一度入っただけで他に人を入れたことがないあの部屋に、出会ったばかりの彼を入れるくらいだ。
しかも一緒に暮らすだなんて、今までの冬貴なら絶対に考えられない。
それは私も全く同じだ。
敬介以外の人間は家族でも入れたことがない。
その私が敬介だけはその日のうちに連れ帰ったのだからな。
まぁあの時はしこたま酔っ払っていたから他に連れて行く場所がなかったという理由もあるが……。
あの可愛い寝顔を他の人には見せたくないという心理も働いていた。
だから冬貴が早々に彼との同居を決めたのはそんな理由もあるに違いない。
ようやく訪れた冬貴の春。
私にできる限りのことはしてやろう。
そう思っていたが、まさか敬介が冬貴の大事な人である久代要くんと親友になるとは夢にも思っていなかった。
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